トップページ. 歯根端切除術とは
*当サイトに来られる方は、根管治療を行ったが治らないので抜歯するしかない、歯根端切除術を受けたが再発したので抜歯するしかない、奥歯は手術できないので抜歯、と言われて困っている方々です。成功率の高い歯根端切除術を提供します。奥歯(上下6番目)の歯根端切除術が非常に増えています。
★これが歯根端切除術。詳しく見る
術前
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*根管治療で治らない場合、抜歯でなく歯根端切除術で歯を残します。成功するためには逆根管充填が最も重要で、しないと多くが再発します。ネット検索すると手術の失敗で困っている方が多いことを知り、一人でも多くの患者さんの1本の歯を抜歯しないで助けることができればと思い、この相談コーナーを立ち上げました。2012.1.1.開設
筆者は歯根端切除術に特化した専門治療(年間約500症例)をしています。症例実績:国立スマイル歯科では2024.1.1~12.31.1年間で歯根端切除術460例、再植術76例で合計536例の手術を行っています。ご質問があれば「お問い合わせ」にメール相談、レントゲンをスマホ写メール下さい。元.公的病院口腔外科医が回答します。
● 根管治療をしたが治らず抜歯するしかないと言われたが何とか歯を残したい方、
● 歯根端切除術をしましょうと言われたがどのような手術なのか心配な方、
● 大学病院で嚢胞が大きいから、奥歯だから、歯性上顎洞炎だから抜歯するしかないと言われた方、
● 手術をしたが再発して困っている方、「再発した方の相談コーナー」はこちら
のための詳しすぎるサイトです。
Q&A
Q1.歯根端切除術とはどのような手術ですか?
Q2.歯根端切除術はできますか? [抜歯か歯根端切除術か?]
Q3.手術を受けるための病院選びは?
Q4.歯根端切除術をするのはどのような場合ですか? [根管治療か歯根端切除術か?]
術前に再根管治療をしますか?再発例に再根管治療をしますか?
Q6.保険はききますか?費用はいくらですか?
Q7.歯茎の どの部分をどのように切開するのですか?
Q8.歯根端切除術は奥歯でもできますか?上下6番目
Q9.他病院で嚢胞が大きい、歯根が短いからできないと言われた。そちらではできますか?
Q10.抜歯してインプラントと言われたが、何とか歯を残せないですか?
Q11.歯根端切除術が失敗しました。原因は?再発した場合の治療法は?
Q12.筆者の歯根端切除術133症例を見て下さい
Q13.セカンドオピニオンとしてメールで相談にのってくれますか?
Q14.歯根端切除術の流れを教えて下さい
Q15.遠地に住んでいます。そちらの病院で手術を受けたいですが、どうしたらいいですか?
Q16.歯根端切除術、成功のポイントとは?
Q17.逆根管充填は必要ですか?
Q18.歯根端切除術と再植術、どちらを選択するのが良いですか?
Q19.手術を受けたいですが怖くて不安です。どうしたらいいですか?
Q20.歯根端切除術では治せない厄介な歯根の亀裂とは? 亀裂の診断はどうするの?
Q21.人工骨を骨空洞内に入れた方がいいですか?
Q22.切開部を縫合しない開窓術にするのは有効ですか?
Q23.マイクロスコープやCTを使えば成功率が高くなりますか?
Q24.逆根管充填材は何が良いですか?
Q25.根管治療で治らない、痛みが取れない原因は何ですか?
Q26.保険と自費の治療で成功率の違いがありますか?
Q27.歯や歯茎がうずくように痛く、歯の治療を行ったが痛みは消えない。歯が原因でない特発性歯痛(非定型歯痛)ですか?
Q28.歯根端切除術のメリット・デメリット、再発のリスクは?
Q29.歯性上顎洞炎で抜歯と言われたが、歯を残せますか?
Q30.再根管治療でなく、歯根端切除術が第一選択となる場合とは?
Q31.歯根端切除術ができず抜歯となった場合、親知らずの移植ができますか?
Q32.生命保険から手術給付金は出ますか?10万円出ました。
A: 歯根端切除術 (しこんたんせつじょじゅつ)とは
歯根先の病変に対して根管治療を行ったが治らない場合、外科的に?歯根病巣の摘出 ?歯根端の切除 ?逆根管充填 を行って抜歯しないで歯を残すための方法です。
むし歯や外傷で歯の中の根管が細菌感染し、歯根先に病巣ができて歯茎が腫れたり痛みがある場合、*根管治療を行うことで治っていきます。しかし根管治療を続けても治らない場合や、根管が閉鎖・曲がっている・金属土台の除去が困難などで根管治療ができない場合には、歯根の手術をすることで抜歯しないで助けることができます。(*根管治療とは、根管内に針金状の治療器具を入れて根管先端まで穿通させ、汚染部を清掃して消毒薬を入れる治療法)
<術式>
1.歯茎に局所麻酔をして切開し剥離、骨に小さな穴を開けて歯根先の病巣(膿の袋:嚢胞)を除去します。
2.次に感染源である歯根先端を切削バーで1.5~2mm切断し除去。そしてマイクロミラーで切断面の根管と感染歯質、亀裂をチェックします。
3.感染源のほとんどは根管です。そのため逆根管専用の超音波ダイヤモンドチップで、切断面の根管に穴を形成して汚染部を清掃します。専用チップを使用することで、逆根管の形成は深さ2~9mmぐらいまで可能です。
4.止血処置をした後、安全性の高い歯質接着性セメントを根管に流し込み、逆根管充填して完全封鎖します。
5.充填材が固まったのを確認した後、術部をよく洗浄し歯茎を元に戻して縫合します。手術時間は約1時間~1時間半です。詳しい術式 はこちら。
*歯根嚢胞:歯の神経が死んで細菌感染を起こすと根管内の組織が腐敗し、根の先に病巣を作ります。 そして慢性化したものが嚢胞で膿の袋となっています。
*根管治療の不良原因のほとんどは、歯根先端の約2mm以内の根管と感染歯質にあります。そのため歯根先端を切断して除去、切断面の根管をきれいにして充填材で詰め物をし(歯根先の方から根管充填するため逆根管充填と言います)、再感染・再発防止をするものです。大げさな手術ではないですが、感染源の診断と確実な止血処置、良好な逆根管充填材、丁寧で繊細な手技が求められます。
*筆者において歯根端切除術ができるのは前から数えて1~6番目の歯です。
*逆根管充填が重要です。
成功か失敗かの大きな分かれ目は逆根管充填にあり、しないと多くが失敗します。歯根先を切るだけの30分間ぐらいで終える、逆根管充填をしない簡単で雑な手術では成功は遠く約50%は再発します。感染原因は歯根先端と根管にあり、歯根端を切除しただけでは原因除去になっていない。「50%は成功するのだから良いんじゃないの」という考えには全く賛成できない。逆根管充填をしない病院や予後を診てくれない病院があるので注意が必要です。
逆根管充填をしないDrは再発が多いので、治らないからと人工骨を骨内に入れたり、切開部を縫合しないでガーゼを入れて開けておく開窓術にすることがあります。筆者の経験ではそれは間違いで逆根管充填をすれば必要ないです。患者さんが失敗しないためには「歯根端切除術で逆根管充填をしない手術は受けてはいけない」で、再発原因第一位だからです。再発の多くは術後1か月前後です。「予後の良い歯根端切除術」 歯根端切除術の説明.アメリカ編
*かかりつけ歯科医は、逆根管充填をしない病院に紹介してはいけません。確認してから紹介状を書くべきで、50%失敗する病院に紹介されるのは患者さんは嫌です。
*最近(2026年)逆根管充填が面倒だからと、術前にMTAセメントを根管充填しておいて術中に歯根先端を切るだけの術式を歯内療法専門医でみかける。その失敗例の来院が増えていて再手術したところ、逆根管の封鎖が不十分(充填が緊密でなくボソボソ)で感染源が残っていたのが原因であり私は勧められない。ちゃんと逆根管充填をした方が良いと思う。
*切断面の何を見るのか?→まずは逆根管、しかし逆根管だけが感染源ではない。その周囲の感染象牙質、壊死セメント質、微小亀裂をチェックし、あれば治療することが成功率を高めるうえで重要です。
Q2 歯根端切除術はできますか? [抜歯か歯根端切除術かの選択。できない場合とは]
A:レントゲン写真で判断します。歯根端切除術は歯根先の感染源を除去し、切断面に逆根管充填をして感染源を断ち根尖病変を治す手術です。手術ができて成功する可能性が高い、つまり適応症であるかどうかの判断が重要となります。適応症でないと手術をしても成功しません。
基本的には?歯根先の病変であること、?歯根に亀裂がないこと、?術中に歯根先端がちゃんと見えてそこに器具が入ることが条件となります。嚢胞が大きいから、歯根が短いから手術ができないということではない。
画像診断:手術ができるかどうかの判断は、小さい部分的なデンタル・レントゲン写真が重要で、CTのみでは詳細な診断はできない。歯根や根管の形態、根管充填の状態、根尖病変の位置と大きさ、歯槽硬線、歯根膜空隙、壊死セメント質、歯根炎症性吸収などをチェックし、どの歯根のどの部位にどんな原因があるのかを診断します。特に歯槽硬線や壊死セメント質はデンタル・レントゲンでないと正確な画像診断ができない。
CT検査が有効なのは、奥歯である上下の6.7番、複数根の病変、穿孔、上顎4番口蓋根、下顎7番樋状根、舌面縦溝などの歯根の舌側病変。また上顎洞病変や下顎神経との関係を精査するのに有効です。
<歯根端切除術はできますか?>
1.歯の部位について:
・上の歯は前から数えて1~5番目は可能。上6番(奥から2番目)は歯根が3本で、できる歯根とできない歯根がある。頬側の2根はできるが、内側根は骨深く歯根先が見えず器具が入らないからできない。Q8.奥歯はできますか?
・下の歯は1~6番目は可能。ただし下6番で4根あって、後方舌側根が舌側に大きく開大している場合(非常に稀に)は骨深いためできない。
・上下の7番目(最後方の奥歯)は、歯根先が見えないからできず、再植術で対応する。
2.大きい嚢胞:歯根先に大きい嚢胞(2~4歯に及んでいても)があっても手術は可能です。しかし歯根全体に影があれば、広範囲の亀裂や感染歯質の可能性がありできないか、しても再発の可能性がある。また病巣が歯周ポケットと大きく交通している場合は、そこから感染し易いのでできない。大きい嚢胞 症例71
3.歯根が短い:炎症による歯根吸収や、再発例で前回手術時に根尖切除量が多い場合は歯根が短くなっている。さらに3mm切除すると動揺がひどくなるので手術はできないとするDrは多い。→筆者はこれ以上短くしたくないので1mm切除にとどめる。切断面に金属ポストが露出する場合は、金属を一層削ってSB接着セメントを使用すれば手術可能。症例17
4.再発例:成功率が低いためできないとするDrは多い。「3回失敗しましたが4回目でも手術できますか?」→はい、筆者はSB接着セメントを使用するので可能で成功率は高い。4回目の歯根端切除術で成功、症例10
5.亀裂:歯根に大きく縦に亀裂(ヒビ)が入っていれば、亀裂が感染源なので除去できず手術はできない。亀裂が歯根先端で歯根長1/3以内なら可能です。亀裂の有無や部位・長さの診断が重要となる。亀裂の診断はどうするの?
6.後遺症:下4.5.6番の歯根先は下顎神経に近いため、下唇などに知覚麻痺の後遺症が出る可能性がある。上6番の歯根は上顎洞に近いため、術後に歯性上顎洞炎を起こす可能性がある。これらの後遺症が心配で手術適応としないDrは多いが筆者は可能としている。
7.歯性上顎洞炎の原因歯:原因歯は上6番のことが多く、頬側の2根は可能で抜歯しないで歯を残すことができる。口蓋根はできない。
8.逆根管充填材の違いで、成功率や手術できる・できないの適応症の広さが異なる。
手術適応症においてMTAセメントは狭いがSBセメントは広い。例えば、大きい嚢胞、歯根が短い、小亀裂や感染歯質、穿孔、副根管、金属土台が長く逆根管形成が困難、歯根炎症性吸収、再発例、歯根を斜めに切除する、などは、MTAでは非適応症とされるがSBは適応となる。
<歯根端切除術ができない場合とは>
再発する可能性が高いリスクとは
1.歯根に亀裂がある。
2.歯根に広範囲の感染歯質(歯根の腐敗)がある。
3.重症の歯周炎がある。
4.歯根端切除術は歯根先の病変を治す手術であり、レントゲンで歯根先の病変ではなく歯根全体や歯茎縁まで病変の影がある場合はできない。つまり1.2.3の可能性が高い。
5.部位別では上6番の口蓋根、下6番の後方舌側開大根、上下7番、上下6番根間中隔部の穿孔、があれば基本的にできない。
*リスクがある場合、手術したとしても再発につながる。リスクがあっても成功する場合もあれば、それが原因で失敗する場合もある。成功率の問題である。再発した場合には抜歯となることを、患者さんに説明し納得してもらう必要がある。だからリスク説明をちゃんと聞いてもらえない患者さんには勧められない。成功すれば喜ばれるがリスクがあって再発した場合には、患者さんは悲しみ・後悔・ショックとなる。患者さんは手術すれば成功すると思っている方も多く、再発となるリスクを理解してもらってないとトラブルになることがあり注意が必要です。
*再発のリスクが高いのは、歯根の亀裂と感染歯質(腐敗)である。見える部分の治療ができたとしても、歯根裏側など見えない部分にあれば再発につながる。術者は何とか成功して歯を残してあげたいと思っているが、そうは言っても亀裂と感染歯質に対して発見と治療は非常に困難です。亀裂などのリスクがあれば成功率は低く、再発となって患者さんを悲しませることになってしまうので、診断とリスク説明は重要です。再発した場合は抜歯か再手術が選択となるが、筆者は再手術の成功率は30%以下と説明している。
*手術のリスクは、術後の腫れ・痛み・感染・知覚麻痺・上顎洞炎・後遺症がある。メリットとデメリットを説明し、患者さんが納得の上で手術を行わなければならない。Q28.メリットデメリット、リスクについて
上記は筆者の場合であって、術者によって考え方や診断法、術式、逆根管充填材、経験度が異なるので一律的なものではないです。
A: 病院選びのポイント
逆根管充填を行うかどうかを必ず確認して下さい。逆根管充填は歯根先端を切除した後に、切断面の根管に穴を形成してセメントを充填すること。これには手間と時間がかかり面倒なため行わない病院は多く、行われていればちゃんとした病院と判断できます。
また手術の説明書をもらえる病院であれば、手術の症例数、自信度、成功率、信頼性が高いと思います(サイドメニューに筆者作成あり)。担当医に3つ質問して判断して下さい。?逆根管充填はしますか? ?成功率はどれぐらいですか? ?手術時間はどれぐらいですか?
< 手術をどこで受けようか悩んでいる方へ >
1.逆根管充填はしますか?(切断面の根管にセメントを詰めますか?)
「逆根管充填はしない」と言われたら再発する可能性が高いため、その病院での手術は避けた方が賢明です。歯根端を切るだけだと切断面の根管に感染源が残って再発します。残念ながら逆根管充填をしない病院は多く、その術者は成功率50%と分っていて手術をすると思います。つまり50%は失敗します。
逆根管充填をしないDrは術直後にこう言うでしょう。「手術は成功しました。悪い所はきれいに全部取りました。でも再発するかもしれない。もし再発したら紹介元の先生で抜歯してもらって下さい」と、再発した場合の患者トラブルを防ぐための説明です。最も多い再発パターンです。 再発症例 1.2.3
開業歯科から大学病院や病院歯科へ紹介状を書いてもらった場合は、「紹介先の先生は逆根管充填をしていますか?」と確認してから行ったほうが良い。また紹介する側の先生は逆根管充填してくれるDrと確認してから紹介しなければいけない。でないと失敗した場合、無責任だと評判を悪くし患者さんは転医するでしょう。失敗すると分かっていて紹介するのはやめて下さい。
2.成功率はどれぐらいですか?
成功率 50%と言われたら・・・。一般論でなく手術担当医の成功率を聞いてください。その際に先生の目を見て、任せて良いか駄目かを患者さん自身で判断します。成功率を言えないDrは経過を診ないDrです。失敗して来院された患者さんは言います。「手術すれば必ず治ると思ったのに。あの時ちゃんと説明を受けておけば良かった。大学病院だから逆根管充填はちゃんとしてくれると思ったのに。成功率50%と聞いていれば受けなかったのに」
一般的には医者が患者に成功率50%の手術は勧められないと思うが。この質問はし辛く担当医は嫌な顔をするかもしれないが、自分の歯を守るためです。「成功率なんて分からないよ」というDrは経過を診ない手術やりっぱなしです。
3.手術時間はどれぐらいですか?
30分ぐらいの簡単な手術と言われたら、歯根先端を切るだけの逆根管充填をしない簡単で雑な手術ですのでお勧めできない。通常でも切開から逆根管充填、縫合まで、成功を目指すなら1時間以上はかかります。
手間がかかる止血処置、切断面の根管・亀裂・感染歯質のチェックと治療、逆根管充填材の硬化、息を止めて行うような丁寧で繊細な手技が要求されます。
4.術後の経過はいつ頃まで診てくれますか?
手術をやりっぱなしだったり、1か月間しか経過を診ない病院は避けた方が賢明です。術者が高い成功率を目指すなら、経過を追って症状やレントゲン写真で治癒評価し、再発してないか確認するのは当たり前です。私は最低でも1年後の経過を診ない病院での手術は勧められない。経過を診ていく中で失敗例を検証し、術式が修正され成功率が高まっていくからです。
経過を追わない理由は再発率が高いため術者は見たくないのです。1年後の経過を診ないDrは言います。「特に問題なくみんな成功しているみたいだよ」
5.もし再発した場合、原因は何ですか?
手術を任せられるかどうかはこの質問が一番良いのかもしれません。逆根管充填をしなかったり、1年後の経過を診ないDrは答えられないからです。再発原因の第一位は圧倒的に逆根管充填をしてなかったです。
6.手術が自費の場合いくらかかりますか?もし高額自費で治らなかった場合、一部返金されますか?
最悪は、セラミック冠(10~12万)を壊して自費で根管治療(5~10万)をする。治らないので自費でマイクロスコープとMTAを使って歯根端切除術(8~15万)したが再発、「努力はしましたが治らないので他院で抜歯して下さい。自費治療費はお返しできません」の場合です。
トラブルや後悔しないように、成功率や治らなかった場合の費用負担を術前に話合って、メリットデメリット、再発リスクを聞き納得した上で治療に入る必要があります。お金がかかっても治れば嬉しいが、治らなかった場合の患者さんの悲しみと負担は大きい。術後のフォローとマネージメント、説明責任が大事で歯科医の努めです。
7.保険より自費? マイクロスコープを使う使わない? 口腔外科か歯内療法科か? 開業歯科より大学病院?
で決めるのは疑問です。マイクロスコープを使ったが失敗した患者さんを、多数診て治療してきた経験から言えば、成功要因はここではなくて上記項目が優先し、丁寧な説明と丁寧な術式、そして何よりもやりっぱなしでなく長期(術後1年)に経過を診てくれるDrが良い。
*勧められない病院:逆根管充填はしません。成功率は50%ぐらい。約30分間ぐらいの簡単な手術です。術後の経過は紹介元の歯科で診てもらって、1年後の経過は私は診ません。
Q4 歯根端切除術をするのはどのような場合ですか? [根管治療か歯根端切除術かの選択] 術前に再根管治療をしますか?
レントゲン写真で判断します。根尖病変が根管治療で治せると判断すれば行い、治せないと判断すれば歯根端切除術を選択する。基本は根管治療だが歯根端切除術を第一選択 (Q30) とする場合も多い 。根管治療で治る可能性があるのに歯根端切除術をしてはいけないし、根管治療で治る可能性がないのに根管治療をしてはいけない。
根管治療の限界を知り、その上で歯根端切除術を積極的に行うケースが多々あると思われる。特に根管の閉鎖・湾曲・穿孔・副根管・根尖破壊、歯根炎症性吸収・壊死セメント質・再発例、などの場合は根管治療はほぼ無効であり、歯根端切除術が第一選択である。治らないと分かっていて冠を壊して再根管治療を行うのは無駄で無意味で歯が可哀そう。
最悪は「根管治療が不良だから抜歯するしかない」という治療方針で、筆者には全く受け入れられない。そう言われた90%以上で手術は成功し歯が残っている。部分的な小さい歯科レントゲンがCTに優先して重要です。
A: 歯根端切除術を行うのは以下のような場合です。
?根管治療をしたが治らない、?根管治療ができない、?根管治療をしても治る可能性がない
具体的には
1.根管治療を続けているが、痛みや腫れやフィステルなどの症状が消えず治らない。→感染源がどこかに残って除去できないから。
2.根管治療をしているが根管から膿が止まらず、適切に根管治療や根管充填ができない。→嚢胞が大きく炎症が著しい場合で根管からのアプローチでは限界を超えている。
3.歯根先の根管が曲がっていたり閉鎖しているため、根管先端まで治療器具が入らず穿通せず根管治療ができない。
4.根管に長い金属ポストが入っていて、除去しようとすれば歯根が割れる危険性がある。→割れたら抜歯
5.根尖孔が破壊されたり炎症性吸収がある場合、適切な根管治療や根管充填ができない。
6.根管の穿孔(途中で横に人工的な穴が開いている)や副根管(根管の横道)、側枝があるもの。→感染源が除去できず根管治療では治らない。歯根の側面に影がある。
7.根管充填材が歯根先の根管外に漏れて感染していたり、治療器具が破折して残存し、根管治療では治せない。→手術で除去するしかない。
8.根管充填は良好だが症状がある。→原因は根管外にあるため再根管治療しても治せる見込みがない。
9.歯根先部に感染歯質(壊死セメント質や感染象牙質)があり、感染源となっている。→根管に原因なく根管治療では治らない。
10.再発症例。→歯根端が切除され根尖の根管が破壊されているため再根管治療では治せない。
Q 術前に再根管治療をしますか? 再発例に再根管治療をしますか?
A: 歯根端切除術をする前に、再根管治療をしてから手術するか、再根管治療をしないで手術するかが議論されている。何でもかんでも根管充填がきれいでも、根管治療してからでないと歯根端切除術はしないとするDrがいますがそれは間違いです。
逆根管治療では感染源が除去できないと思われた場合は、術前に再根管治療を行うのが良い。逆根管治療で感染源が除去でき良好な逆根管充填ができると思われたならば、再根管治療をする必要はなく第一選択として歯根端切除術を行うのが良い。
筆者においてはほとんどが後者である。特に以下は、術前の再根管治療は無駄で意味がないので行ってはならないと思っている。根管治療で治らない、治る見込みのない歯に無意味な再根管治療をしてはならない。逆根管治療・逆根管充填は進歩している。
1.根管充填が良好な場合、再根管治療するのは意味がない。根管内だけが感染源だと思っていたり、再発原因をマイクロリーケージのせいと考えるDrだと再根管治療をするかもしれないが、それは間違いだと思います。
2.根管充填が不良でも根尖から約8mm以内(2mm切除すると逆根管形成6mmとなる)であれば、形成・充填は適切にできるので全く問題ない。
3.根管治療をしても根尖孔まで開かず治らないと分かっている場合。根管の閉鎖・弯曲・穿孔・副根管があれば再根管治療は意味がない。
4.歯根に炎症性吸収、根尖破壊、が認められ根管治療では治癒しないと考えられた場合。
5.歯根に感染歯質(壊死セメント質)を認める場合。肥大根を認め肥大部に一致して病変の陰影を認める場合。
筆者は歯根端切除術をすると決まれば、術前に再根管治療をすることはほとんどない。
その理由は逆根管専用の超音波チップで根管内の感染源はきれいに除去し清掃できるからです。万一根管深く感染源があったとしても、長い超音波チップ(6mm.9mm:スプラソン)を使用すれば問題なく可能です。そして液状のSB接着セメントを専用シリンジを使って注入すれば、緊密な根管充填が可能となり根管の完全封鎖ができるからです。
私の5000例以上の長期経過観察で、術前に再根管治療をするしないは成功率に影響を及ぼしていない。補綴物が容易に除去できて根管治療ができる場合は行う。
歯内療法専門医ではマイクロリーケージ(歯冠側からの微小漏洩感染)問題で、術前に再根管治療をするDrが多いと聞きます。それはそれで良いと思っていて、考え方や術式、逆根管充填材や充填法の違いと思われる。接着性合着セメンや接着性根管充填材(メタシールSoftペーストなど)の普及によって、マイクロリーケージは議論にならないだろう。筆者はマイクロリーケージが原因で再発したという症例に遭遇した経験はないが、症例を見てみたいものだ。
術前の再根管治療の実施については、レントゲン写真での正確な画像診断が重要で、冠や土台を壊す労力、歯根亀裂や穿孔の危険性、冠や土台の再補綴費用、患者さんの精神的負担を考えると、慎重な対応が求められる。
再発例での再根管治療は意味があるのか?:再発原因が根管内にあるからと冠・土台を壊して再根管治療をするのは全く意味がなく無駄です。長い逆根管専用超音波チップで根管内を清掃し、SB液を流し込んで接着充填すれば問題点をクリアーできるからです。
筆者の結論:根管治療で治る可能性がないのに、冠やコアを壊して再根管治療をするのは無駄です。術式や器材で問題なくカバーできるから。2025.3.15
Q5 手術は痛いですか? 術後の注意事項は? 経過は?
A: < 痛みは >歯茎に局所麻酔をしますので手術中は痛みはありません。手術の程度は「親知らずの抜歯」と同じくらいです。術後の痛みは1~3回鎮痛剤を飲むことで治まる場合がほとんどです。術中と術後に痛くならないポイントとコツ 術後の注意事項はこちら。
< 経過は >手術翌日に腫れや痛みの経過をみます。歯茎がプーと膨隆して腫れている場合は、切開部から血液や空気を抜くのは有効で治癒を早める外科後処置です。術後4~7日間 歯茎が腫れ、感染防止のため抗生剤を内服してもらい7日後に抜糸します。通常、手術前にあった歯茎の腫れや痛みは、手術 2~3 週間後には消失しているでしょう。術後症状として約1か月間歯茎を押すと軽い痛みや、1~2か月間突っ張るような違和感や、創部歯肉の知覚感覚が鈍いことがありますが徐々に回復します。
歯根嚢胞が大きい場合(10mm以上)は、骨内からの出血のため5~10日間 唇や頬が腫れたり痛みが強く出たり、頬に紫色や黄色の内出血班が出る場合があります。その場合3~4日目がピークで徐々に引いていきます。まれに3~5か月間突っ張った違和感が残ることもありますが、いずれ自然消失します。
術後はあせらないことが大切で、徐々に痛みや違和感が軽減しているなら3か月間は待ちましょう。手術を受けたからすぐに症状が無くなるのではなく、骨の中や骨膜の手術は修復再生し治っていくのに時間がかかるからです。再発の場合は手術1か月前後に、術前と同じ場所に同じ痛みや腫れ、フィステルが出てくることが多いです。2か月間それがなければ手術はほぼ成功です。
完治は1年後の定期検査で、症状なくレントゲン写真で病巣が消失し骨が再生しているのを確認します。 レントゲン画像で歯根周囲の歯槽硬線の出現が成功のキーワードです。
<術後に痛みが持続する場合>
1.感染・再発して炎症による痛みの可能性がある。歯茎の腫れやフィステルなどの炎症症状があり抗菌剤や鎮痛剤で軽減する。しかし以下のような感染・再発ではない痛みが続くことがまれに場合がある。
2.MTAを逆根管充填材に使用した場合、まれにジーンとした術後疼痛が2~4か月間続くことがある。MTAの強アルカリ性(pH12)による骨膜や骨への化学熱傷が原因と考えられる。詳しくは「ブログ歯根端切除術の170」
3.止血剤として硫酸化第二鉄(ウルトラデント®)を骨内や粘膜内に使ったため、組織壊死と長期の疼痛を招く恐れがある。使用目的外であり使ってはならない。
4.非常にまれだが、歯に原因がないのに歯がうずく痛みが続く非定型歯痛(神経障害性疼痛)が起きている場合がある。広い意味の神経痛で、手術が成功して炎症がなくなって骨再生は良好で、レントゲンで病変の影は消失するも歯の痛みが続く。非定型歯痛Q27
<経過の相談メール>以下のようなお返事をすることが多いです。
Q:大変お世話になりました。○月○日に歯根端切除術をして頂きました○○です。
術後2ヶ月後の経過は、歯茎の腫れはないですが ジーンとした痛みがあります。
再発しているのか、不安を感じています。どうなんでしょうか?
A:今のところ順調な普通の経過と思われます。治っていく症状なのか再発かはまだ分かりません。治癒へ向かう場合は、術後症状は徐々に軽減し1~3か月で消失していることが多いです。再発する場合は術後1か月前後にフィステルがあります。結果は待つしかないです。ジーン痛が徐々に弱まっていればいずれ消失すると思います。術後3か月待って良いと思います。
どうしても心配なら詳しく診させていただきますので受診下さい。次は術後6か月のレントゲンを見せて下さい。
kasazaki
Q6 保険はききますか?費用はいくらですか?
A: 医院によって保険適応される場合と適応されない自費診療があります。保険適応3割負担であれば1歯約 7000円前後で、レントゲンや薬代諸費用を入れると合計約1万円前後です。CT検査をすれば保険適応で追加約 9000円ぐらい。
マイクロスコープやMTAセメント、人工膜メンブレン、骨空洞補填材などの特殊な材料を使用する場合は、手術自体が保険適応外(保険と自費の混合診療は禁止なため)となり自費で11~19万円、根管治療を伴えば追加 5~8万円のようです。自費でも成功すればいいのですが、失敗した場合の費用を担当医と話し合っておく方がいいです。
参考までに東京医科歯科大学病院HP自費治療料金表に、歯根端切除術1歯につき142,560円+マイクロスコープ使用52,140円=合計194,700円と記載ありました(2026.7)。当院での 診療案内、自費料金表
Q7 歯茎のどの部分をどのように切開するのですか? A: 前歯部で多いのは?で、歯根先部に嚢胞がある場合に横へ弓状に約15mm切開します。この切開は歯茎が下がることはないです。特に差し歯になっている方や歯茎の薄い方はこの切開を選択します。そして歯茎を剥離してバーで骨を削って穴を開け、嚢胞を取り除きます。
嚢胞が大きく歯冠方向に及んでいる場合は?を選択します。それぞれに利点や欠点、病変の大きさによる適応があり、担当医に具体的に説明を受けるとよいでしょう。切開線によっては歯茎が下がる場合があります。
術者へ: ?の切開で歯茎を下げないコツは、歯肉縁の乳頭部を先に縫合すること。縦切開部を水平でなく斜め縫合にフラップを吊り上げるように縫合する。骨膜の一部切離をする減張切開を行ったり、マットレス縫合も有効です。
Q8 歯根端切除術は奥歯でもできますか? 上下6番
A:奥歯でもできます。できる歯根とできない歯根があります。筆者はどう診断しどう治療しているか?部分的なデンタル・レントゲンとCT検査が必要で、どの歯根のどの場所にどんな原因があるかを画像読影し診断することが重要となります。
奥歯の 歯根端切除術(6番)←詳しい症例はこちら
● 上下7番(最後方の奥歯、第二大臼歯)について
奥過ぎて手術視野が悪いため歯根端切除術はできません。一度抜歯して抜歯穴から嚢胞を摘出した後、歯根端の治療をしてから元に戻す再植術で治療できる場合があります。下7番の根管治療不良の原因で多いのは樋状根(約30%)です。条件によっては例外的に左上7番の歯根端切除術ができる場合があります。Q.上7番の歯根端切除術はできますか?再植術はできますか?
● 上4. 5番 (前から数えて4.5番目の小臼歯)は普通にできます。
上4番は2根あり、舌側根の歯根先が骨深い場合には注意が必要で、把握するにはCTが有効です。
● 下4. 5番 は普通にできます。
ただし4.5番の根尖病巣とオトガイ神経や下顎神経が近い場合には、神経損傷が生じて術後に下唇やその下方皮膚に知覚麻痺の後遺症が残ることが稀にあり注意が必要です。 症例8.9.10
Q1.歯根嚢胞が大きいからできないと言われたが、できますか?
A: 嚢胞が大きく直径10~30mmの3~4歯に及ぶ場合でも、嚢胞が裏側骨まで達してトンネル状の骨欠損でも、上顎洞や鼻腔底に及んでいても手術は可能です。大きい嚢胞、症例71
歯根長の1/3以上の大きい嚢胞があれば、手術できないとするDrは多いですが筆者は可能です。理由は、感染源は嚢胞ではなくて歯根にあるからです。だだし嚢胞が歯茎縁まで及んでいる場合や、原因が歯周炎は非適応です。
Q2.歯根が短くてもできますか?
A: 歯根が短くても手術は可能です。マイクロスコープ・MTAを使うDrは歯根先端を3mm切除するのがルールで、術後に歯がぐらつくため手術しないとのことですが、SB接着セメントを使えば歯根切除は1.5~2mmです。症例4 症例24
Q3.下4.5番の歯根端切除術はできないと言われた。してもいいが歯根を4~5mm切除することになるので 再植術を勧めると言われたがどうなのですか?
A: 下4.5番の歯根先端の近くに下顎神経が通っているため、神経の位置や手技に慣れてないと神経損傷を起こし、後遺症として下唇やその下部皮膚に麻酔がかかったようなしびれ(知覚麻痺)が生じる可能性があるためです。そのためこの部の歯根端切除術は行わないで、代わりに再植術をするというDrは多いようです。筆者は普通に根尖切除1.5~2mmしてSB逆根管充填を行っている。 症例8.9.10 下顎小臼歯の手術はできますか? メール相談3.
Q4.マイクロスコープ・MTAを使って手術したが再発した。再手術できますか?
A: 可能です。MTAを使ったが再発した場合の原因は、逆根管充填の封鎖不良と感染歯質の残存です。MTAで再発した場合、またMTAを使って再手術しても成功しない。逆根管や切断面を広く皿状形成し、完全封鎖できるSB接着セメントを使用すれば、成功する可能性は高い。 マイクロ・MTA再発症例の治療15
Q6.上6番や下6番(奥から2番目)の歯根端切除術はできますか?
A:上下6番の歯根端切除術は後方過ぎて、歯根先が良く見えず器具を入れづらいため行わないとするDrは多い。筆者においては、上6番は3根あり内側根はできないが頬側2根は可能としている。下6番は普通に可能。奥歯でもできますか?
Q5.上奥歯の歯根先が上顎洞の中に入っていますが、手術はできますか?
A:はい可能です。CT検査し、上顎洞の形態や病変、自然孔をチェックします。上顎洞炎の診断と治療など口腔外科知識と経験が必要です。歯根先端が上顎洞に入っていても逆根管充填はちゃんとしなければなりません。術後に上顎洞炎発症のリスク説明と注意事項をお話します。Q29.歯性上顎洞炎で抜歯と言われた。歯根端切除術で歯を残せますか?
Q10 抜歯してインプラントと言われたが、何とか歯を残せないですか?
A: 「抜歯してインプラントにするしかない」そう言われて来院された患者さんの約8割の歯において、歯根端切除術で病巣は完治して歯が残っています。根管治療で治らないから、歯根嚢胞が大きいから、抜歯してインプラントと言われても、歯根先の病巣なら歯根端切除術で歯を残せます。
インプラントの発展は喜ばしいが逆に抜歯のハードルが低くなって、根管治療しても治らないからと安易に抜歯してインプラントを勧める歯科医が多くなっていると聞きます。しかし成功率90%以上の予後の良い歯根端切除術があるのでメール相談ください。当科でも数多くのインプラント治療をしていますが、自分の歯で噛める喜びは代え難いものです。
歯を残したいと思えば、根管治療や歯根手術を熱心に行っている歯科医院を選んで相談しないといけない。インプラントに熱心な歯科(HPの最初にインプラントを掲載している、インプラントセンター年間100本以上などの記載がある、ネット検索でインプラントの広告をしている)を受診すれば、最も早く抜歯して得意としているインプラントを勧められる可能性がある(例外もある)。残念ながらインプラントに熱心な歯科医は、抜歯にも熱心なことがあるので注意が必要です。
抜かずに済む歯が抜かれてインプラントになるのは悲しい。抜歯ありきで考えるのではなく可能な限りの歯を残すための追求があって、不可能な場合に抜歯があり、その先にインプラントがある。歯を残す成功率の高い術式があるのにこんなに早く放棄していいのだろうか?
根管治療で治らないから抜歯してインプラントと言われたらレントゲンを写メール下さい。手術ができて歯が残せるかお返事します。
再発症例を検証し分析し再発を防止しなければならない。再発例に目を向けないで成功率は高まらない。
<再発した原因>
A: 再発の原因は、まだ歯根のどこかに細菌繁殖の感染源が残っていたからです。再手術が成功するためには感染源の解明が大事です。そのほとんどは歯根の切断面にあり根管と歯根歯質に分類できます。
<手術失敗の原因は4つに分類できます>
1. 逆根管充填をしてなかった。していたが逆根管の封鎖が不良だった。
2. 歯根に亀裂があった。
3. 切断面や歯根面に感染歯質 (壊死セメント質や感染象牙質)が残っていた。
4. 根尖病巣と歯周ポケットが大きく交通していた。
*失敗の原因のほとんどは 1.の逆根管充填にあります。
・歯根先端を切断除去しただけで逆根管充填をしてない。
・逆根管充填をしていても材料がボソボソで不良であったり害がある。
・充填材が歯質と接着してないため逆根管の完全封鎖ができず辺縁漏洩 (へんえんろうえい) が起きて感染源となっていた。
・上手く適切に充填されてなく封鎖不良。
・充填材が脱離していた。
・充填時に血液や水が混ざったなどの手技エラー。
・切断面の極細根管(イスムスやフィン)や根管側枝、副根管を見落とした。
・逆根管が汚染していたが除去されず充填された(臭い物に蓋ではダメ)。
これらのこだわった確認と診断力がないと成功へ向かって進めません。
<歯根端切除術の失敗4大原因>
<再発した場合の治療法> kasazaki自論
再発した場合、原因を解明してはじめて治療ができるので、原因が判らず闇雲に再手術でさらに歯根を切除して短くしても治らない。レントゲンや症状から上記の4大原因を推測し、再歯根端切除術を行って感染源を除去、完全封鎖できる逆根管充填材を使うことで成功する可能性が高い。
1.再発の原因(細菌感染源)が、どの歯根、どの根管、どの部位にあるか、感染歯質や亀裂、根管穿孔、副根管がないかなどを探し出す感染源診断が非常に重要です。
2.逆根管充填をしてないのが原因なら、きちんと逆根管充填を行う。逆根管を完全封鎖できる良好な材料を使えば約90%は治癒する。
3.再発原因が歯根の感染歯質にあると分かった場合は、根尖切除量を多くして切断面を皿状に広く形成、接着セメントで逆根管と切断面を広く接着充填して完全封鎖します。
正常歯質と感染歯質とを見分ける診断力(黄褐色・白濁色・灰色、微小亀裂、セメント象牙境白線)と、見るだけでなく軟化度の触診も大切。う蝕検知液やメチレンブルー染色液で染まらない感染歯質があるので注意。
Q12 筆者の歯根端切除術133症例を見て下さい
A: 現在当院では年間約500例の手術を行っていて、長期経過で90%以上の成功を収めています。歯根端切除術で困っている方が全国から来院されるため、長期経過観察して治癒評価し術式を高めるよう努力しています。もちろんリスクある手術ですので必ず成功しますとは言えません。しかし患者さんの治りたい期待に、医術的にも精神的にも満足を感じてもらえるよう、成功という結果を残してあげたいと思っています。
再発例の手術は年間約100例ですが90%以上の成功率です。なぜ成功率が高いかは適確な診断と基本術式を丁寧に行い、SB接着性セメントで逆根管充填して根管の完全封鎖がされたためだと思っています。
症例実績:国立スマイル歯科では2021.10.1~2022.9.30.1年間で歯根端切除術は392例、再植術は56例で合計448例でした。2024.1.1~2024.12.31.1年間で歯根端切除術460例、再植術76例で合計536例の手術を行っています。症例数ではなく成功率の高い手術が行えたと思ってます。
筆者の107治療症例を供覧します。
1. 筆者の歯根端切除術の治療症例:1~100←ここをクリック。
症例?は手術6年4か月後.
2. 再発した場合の治療症例:1~33←ここをクリック。
症例?は手術10年6か月後.
3. 再植術の症例:73.74.
A: はい、どの歯ですか? 左上2番(上前から数えて左へ2番目)とか。症状は? 担当医からの説明は? 根管治療を長く続けても治らないのですが原因は? 手術を受けたが痛みや腫れが引かないのですが? 手術はできますか?など遠慮なくメール相談下さい。
レントゲンをスマホ撮影して写メールくれれば詳しく説明できます。でも来院されて直接みた方がさらに詳しく説明ができます。根管治療で治らなくても、歯根先の病巣ならほとんどのケースで歯根端切除術を行うことで成功し歯が残ります。
写メールの方法:スマホでレントゲンを撮り、このコーナーの掲示板に添付して送って下さい。担当医に「レントゲンをスマホで撮っていいですか?」と言って了解を得てから撮影します。普通に簡単にきれいに撮れて送れます。便利になったものです。「患者の立場からは医師を信頼していないように思われることが心配で言い出しにくいです」というメールもありますが、そこは明るく軽く頼んでみましょう。万一嫌な顔をされたらサラッと流しましょう。
手術の流れ(筆者の場合): 電話かWEBで初診の予約 → ?初診 → ?歯根端切除術(初診から約1か月待ち) → ?翌日に傷口の洗浄 → ?7日後に抜糸 → ?術後2か月に経過・再発チェック → ?術後6か月に経過チェック → ?術後1年にレントゲンで治癒の確認。分院WEB予約、 電話042-577-8211
<初診日は検査と診断>問診と症状のチェック、レントゲン検査を行い手術ができるかを診断します。どの歯根のどの場所にどんな原因があるのかを見極めることが重要となります。手術法、再発のリスク、経過などの説明をして手術日を予約します。
<手術>局所麻酔下で歯根端切除術(嚢胞摘出、歯根端切除、逆根管充填)をします。手術は約1時間~1時間30分。翌日に術後症状のチェックと洗浄、7日後に抜糸。
<経過観察>術後2か月、6か月、1・2年後に定期経過観察を行い、症状やレントゲンで病変の影をチェックし治癒・再発を確認します。遠地の方は地元かかりつけ歯科で撮影したレントゲンを、スマホ写メール報告でもOKです。再発の場合は術後1か月前後に腫れや痛み、フィステルが出てくることが多く、それがなければ成功へと向かいます。完治の確認は手術1年後の症状とレントゲンです。再発した場合は抜歯か再手術となります。
*筆者での手術をご希望の方はサイドメニュー下に「笠崎の診療案内」を載せています。
Q15 遠地に住んでいます。そちらの病院で手術を受けたいですが、どうしたらいいですか?
A: 遠方から来院され歯根端切除術を受ける方の流れ
まずQ14を読んで下さい。初診予約のうえ一度来院してもらい、レントゲンを撮って手術が可能かどうか診断、可能であれば再発リスク説明・同意書を作成し手術の予約をします。歯根先の病変でなかったり、歯根の亀裂があれば手術はできないので、前もってレントゲンをスマホ写メールしてもらい相談してからの方が良いかもしれません。手術当日は近くのビジネスホテル1泊を利用する方もいます。質問を忘れないように箇条書きにしておくと便利です。
<術後は>
翌日に洗浄処置や術後症状をチェックします。簡単な症例で術後症状があまり出ないと予測される場合は、翌日の洗浄は無しです。抜糸は7日後で、紹介状を書きますので地元歯科でOKです。経過観察はメールのやり取りで行いますので、来院しなくても構いません。手術1か月後と2か月後に経過メールを下さい。再発チェックです。
経過観察として手術6か月後、1年後に地元歯科でレントゲンを撮ってスマホ写メール下さい。再発か完治かをレントゲンで診断し結果報告します。術者としては直接診たいです。
Q16 歯根端切除術、成功のポイントとは?
1.成功の最大ポイントは、切断面の根管を完全封鎖できるかどうかです。
基本術式を丁寧に行い、歯根先端を切除するだけで手術を終えるのではなく逆根管充填を確実に行う。逆根管充填をしないと根管に感染源が残り多くが再発する。成功と失敗の大きな分かれ目になる。
失敗の原因第一位は術者が逆根管充填をしなかった、です。また逆根管充填においては封鎖性が重要で、充填材の選択や術者テクニック、経験によって左右されます。
*患者さんが失敗しないためには逆根管充填をしない手術を受けてはいけない。開業歯科医は逆根管充填をしない大学病院や病院歯科に紹介してはいけない。
2.切断面の根管だけでなく、感染歯質や亀裂のチェックを行いあれば治療する。
根尖病変の感染源は根管で、根尖切除と逆根管充填によってほとんどが治癒する。しかしそれでも治癒しない場合があり、その原因は感染歯質(壊死セメント質や感染象牙質:歯根そのものの腐敗で、膿の中に長期間に浸かっていたため細菌がしみ込んでしまった)や微小亀裂であり、発見した場合は適切な治療が必要となる。(術式に記載)
レントゲンでの画像診断や、術中にこれが感染歯質や微小亀裂だと見分ける目と心が必要です。この発見にはメチレンブルー染色液やマイクロスコープ使用が有効だが、MTAセメントでは治せずSB接着セメントが適応とされる。
3.手術1年後に経過をみること。
この手術において最も大事なことは経過を診るということ。当たり前のことだが手術のやりっ放しは許されない。最低でも1年予後を検証し治癒評価し成功率を出す必要がある。術後1年の経過を診ないで成功したとは言えない。
成功率を高めるには、なぜ失敗したか失敗症例の原因解明と分析が重要です。「失敗例を検証し活かすことが成功率を高める大きいポイント」と確信している。成功率は、他医の報告を引用するのではなく自らのデータで示さなければいけない。歯根端切除術において1年後の経過を診ていれば、逆根管充填をしないという術式は消えていったはずだが、経過を診ないため残っている。
★マイクロスコープとMTAを使えば成功率が高くなります。という記述があるが最新データでその成功率は約80%に下がってしまっている。マイクロスコープの使用が成功率に影響する訳ではないので過信しない方が良いと筆者は思っている。何が優先するかである。
A: 根管充填が良好で切断面根管が完全封鎖されていれば、逆根管充填をしなくても治ることはあります。しかし切断面の根管が緊密で完全封鎖されていることはまずない。良好な充填と見えても探針で触ればスカスカ・ボロボロだったり、長期にみればセメントは溶解・腐敗・感染が生じ50%以上が再発します。
筆者は年間約80~90例の他院からの再発例の再歯根端切除術を行っているが、再発原因第一位は圧倒的に「歯根先を切るだけで逆根管充填をしてなかった」です。成功するためには逆根管充填は必須であり、偶然の成功を待つのではなく全例に逆根管充填をしなければならない。
成功率50%を目標にするのではなく100%を目指すべきだと私は思っています。サイド「再発した場合の治療症例29」にその実例を示しますが、再発した歯は「どうして大学病院まで行ったのに逆根管充填をしてくれなかったのか!」と叫んで嘆いています。逆根管充填をしない術式は失敗率の高い手術と理解しなければいけない。歯科医師なら逆根管充填をしないと成功率が低くなるのは分かっているはず、私は見過ごせない。
<術前にMTAを根管充填したので逆根管充填はしなくていい、は間違いです>
術前にMTAセメントで根管充填したから術式が楽だからと、根尖を切断するだけで逆根管充填をしないDrがいる。歯内療法専門医に多い。しかしその再発例の切断面根管を見ると、MTAは緊密でなく歯質と隙間があったり、イスムスやフィンなどの極小根管に入ってなかったり、ボソボソ・スカスカで根管封鎖は不十分で再発感染源となっていた。たとえMTAで根管充填しても再発につながるので、成功率を高めるためには逆根管充填は必須です。この方法は経過をみれば成功率が高くないと分かりそうのなのになあ。せめて接着性根管充填材を使えばいいのに。
今日の症例 :左下6番、他院で術前にMTAを根管充填しておいて歯根端切除術をしたが再発、6か月後、筆者で再手術した。開けて見るとMTAは完全硬化してなく、探針先で触れるとボソボソで崩れ、触るとドロドロ泥状であった。筆者の術式で治ってくれると良いがと願うばかり。2022.4.28.
Q18 歯根端切除術と再植術、どちらを選択するのが良いですか?
A: 再植術とは、歯を一度抜き、嚢胞を取り除き、歯根端を切除して根管をきれいにして逆根管充填をし、歯を元に戻して再植する方法です。歯根端切除術と再植術、どちらを選択するのが良いだろうか?再植術の欠点は抜歯時の歯根破折や歯根膜の損傷です。骨空洞の中で出血コントロールと明視野で細かい手技ができるのなら、歯根端切除術の方が予後が良いので選択する。できなければ再植術を選択する。 症例 71.72
<再植術を行う場合とは>
1.部位的に後方過ぎて、歯根端切除術が困難な上・下7番(一番奥歯、第二大臼歯)に行う。
2.歯根の舌側に原因(亀裂・根管穿孔・副根管・壊死セメント質・剥離セメント質)があって、歯根端切除術が適切に行えない場合。
3.歯根破折歯の場合、一度抜歯したのち接着材(スーパーボンド)で接着した後に再植する。
4.上顎6番の口蓋根尖病巣がある場合(条件は厳しい)。
当院2022年度の1年間の歯根端切除術は 392症例で、再植術は 56症例でした。歯根端切除術より簡単だからと再植術を好んで行うDrがいるが、歯根へのダメージが強く、他院で再植術の経過不良で来院した症例を検証すると歯根吸収や骨性癒着が原因でした。
<再植術の成功のポイント。3つの関門がある>
1.最大のポイントは歯根を破折させないで上手く抜歯ができるか。
歯根が複数あって開いていたり(上6番3根)、曲がっていたり、肥大、骨を抱え込んでいると、抜歯時に歯根破折を起こして再植は不可能となる。
2.抜歯後に元に戻す価値があるか。
歯根を確認して、う蝕や損傷、亀裂、感染歯質が著しければ、戻しても成功しないので抜歯したままとなる。
3.歯根が生着するか。
動揺、歯根吸収、骨性癒着が起きずにちゃんと生着するかどうか。
Q.抜いたはいいが再植できずに、結局抜歯になってしまうことはありますか?
A.あります。歯根の曲がりや肥大のため抜歯時に歯根が割れてしまったり、抜歯したら歯根のむし歯や腐敗、亀裂が大きく、戻しても再発の可能性が高い場合です。
Q19 手術を受けたいですが怖くて不安です。どうしたらいいですか?
A: 歯根端切除術は親知らず抜歯と同程度の手術で、私見としては局所麻酔で十分痛くなく怖くなくできていると思っています。手術の説明などをしているうちに担当医と信頼関係が築かれたり、表面麻酔をしたり、スマホイヤホンで音楽を聴いていたりすれば大丈夫だと思います。
痛みに弱く恐怖心の強い方には、静脈鎮静法といって精神安定剤や睡眠剤を静脈点滴しながら浅く眠った状態で手術をすることもできます。当院では年間約400人の歯根端切除術をしていますが、その内1~2人の方が静脈鎮静法で手術をしています。痛みもなく手術時間は短く感じます。
術後に患者さんに感想を聞いてみると「思っていたより軽い手術でした。ネット情報で調べ過ぎて痛みが強く怖い手術だと思い込んでいました」。「もし次に歯根端切除術を受けるとしたら静脈鎮静法で手術しますか、普通の局所麻酔でしますか?」の質問には全員が「次は局所麻酔だけでOKです」と回答しています。
Q20 歯根端切除術では治せない厄介な歯根の亀裂とは?亀裂の診断はどうするの?
A: 歯根に亀裂があれば基本、歯根端切除術はできない。
歯根の亀裂は竹のように縦に入る場合がほとんどで、亀裂があれば亀裂そのものが細菌感染源となり治療は困難か不可能です。根管治療や歯根端切除術では治せず抜歯の適応となる。ただし亀裂が根尖部の1/4以内なら、亀裂部まで歯根を切除して逆根管を深く形成し、SB接着セメントを根管内に流し込む歯根端切除術は有効な治療法となる。
亀裂の幅が広がった歯根破折はレントゲンやCTで破折線として写って判別できるが、亀裂は画像精度や金属ポストの影響でほとんど判別できないので診断は困難です。
<亀裂の診断はどう行うのですか?>
歯根亀裂は縦に入ることがほとんどです。
1.レントゲンで歯根先だけでなく歯根軸に沿って縦にJ字形やI字形の影があったり、歯根全体を取り囲むようにU字形の影があれば亀裂の可能性が高い。
2.歯肉縁近くに腫れやフィステルがある。
3.歯周ポケットが一部で異常に深い(亀裂部で縦に骨吸収しているためで、プローブ検査が有効となる)。
4.歯肉縁を器具で下げたら亀裂が見えた。
5.根管の中から亀裂が見えた。
6.探針による歯根面の横方向への触診で、亀裂がカチッと引っ掛かり発見できた。
7亀裂をメチレンブルー染色検査(1%)で判別し易くしたり、ライトの当て方で発見できた。
8.検査目的に局所麻酔下で歯茎を少しだけ切開して、実際に目で亀裂の有無を確認する。
歯根の亀裂や破折は歯根軸に沿って縦に長く入っていることが多く、根管治療や歯根端切除術では感染源が除去できないので治せない。だから誤診を防ぎ歯を残すために、術前の亀裂の診断は非常に重要である。歯根に沿って縦に影が認められた場合、私の経験では実際に亀裂がある場合(50%)と、亀裂はなく根尖病変が歯根膜に沿って広がっての陰影の場合(50%)とがあり、前者は歯根端切除術で治せないが後者は治せる。
亀裂・破折がある場合、一度抜歯して口腔外でスーパーボンド接着し再植術をして歯を残すこともある。しかし抜歯してみたら根管内も広く腐敗していて再植治療できなかったり、再植しても数年後にまた破折することもあるため治療は困難です。何とか歯を残してあげたいが、歯根亀裂は大きな再発リスクでありと術者と患者を悩ます大問題です。
歯根の側方部に陰影がある場合、鑑別診断として亀裂、副根管、壊死セメント質、歯周嚢胞、根尖病変の広がり、を考えておかねばならない。ブログ117.歯根端切除術をするかしないかの判断で一番難しいのは「亀裂」*亀裂は治療より予防が大事
<CTで亀裂は診断できるか?>
歯根の亀裂はお茶碗のヒビのようなものでCTには写らず診断できない。さらにハレーションと言って冠や土台の金属の反射に邪魔されて鮮明に写らない。鮮明に撮れた歯科用レントゲンの方が分かる場合もあるが、いずれにしろ画像診断では確定診断とならない。CTで亀裂は判断できないのです。根尖病変が治らないからと、亀裂がないのに亀裂があるとして抜歯してしまうDrもいると思いますので注意が必要です。
<亀裂の治療>
治せる亀裂と治せない亀裂がある。亀裂の場所、範囲、亀裂腐敗の程度、亀裂が起きてからの期間、亀裂を治療する接着材と術式の選択、などの要因で決まるがいずれにしろ困難です。特に舌側の亀裂は術者はお手上げで再植術の適応となる。
Q21 人工骨を骨空洞内に入れた方がいいですか?
A: 根尖病巣を摘出した後の骨空洞に人工骨を入れるDrがいるが、目的は何だろうか?大きい骨欠損に対して人工骨を補填し、骨再生を促す目的と思われる。しかし他院で人工骨を入れた患者さんを診ると経過良好例もあるが、人工骨感染や長びく違和感・鈍痛・圧痛を訴えるため除去したり、除去後もうずくような痛みが消失せず治療に苦慮した経験を何度もしている。私はメリットより上記デメリットの方が大きいので、歯根端切除術には使ってないし使わない方が良いと思っている。
逆根管充填をしないで人工骨を入れるケースがあるのには唖然としてしまう。逆根管充填をしないと感染源を残す訳であり、その部に人工骨を入れるのは無謀で絶対的NGです。たとえ非常に大きい歯根嚢胞による骨欠損があっても、逆根管充填をちゃんと行って感染源を絶てば、骨再生は良好で人工骨を入れる必要はないと多くの症例1.2.3.が示しています。
Q22 歯根端切除術で切開部を縫合しない開窓術は有効ですか?
A: いいえ、筆者は歯根端切除術に開窓術をしたことはない。この手術において、切開部の歯茎を縫合しないでガーゼを入れて、創口を開けておく開窓術を行う必要性は全くない。他病院で開窓術を行い、数か月経っても非常に強い痛みや引きつれを訴えて、再発して来院する患者さんを何度も経験してきた。その全例で逆根管充填はされてなかった。たぶん開窓術をするDrは逆根管充填をしないので再発率が高く、開窓術をして再発症状を遅らせているだけではないだろうか。
開窓術をするDrへ:再発するから開窓ではなく、逆根管充填すれば再発せず開窓にしなくていいのです。開窓術は古典的な顎骨嚢胞の治療法の一つですが、感染源を断つことが優先し歯根端切除術には必要のない術式であり、治りが遅くなったり痛みを伴うため応用してはいけない。
あまり他病院のことは言いたくないが、神奈川県下で多い。開窓術を行う病院は逆根管充填をしないので再発率の高い病院と言えます。患者さんの長期の術後苦痛・辛さ・再発を考えると言い過ぎではないと思っています。逆根管充填をしないで開窓術にするのはNGです。
Q23 マイクロスコープやCTを使用すれば成功率は高くなりますか?
A: 歯根端切除術の成功率を左右する、また高める要因は多くある。 Q16 。マイクロススコープやCTは診断において有用な器機ではあるが、これがあれば成功率が高まると言える程この手術は単純ではない。
マイクロスコープを使用することで、切断面を強拡大で観察し、逆根管や歯質や亀裂などを詳細にチェックできる。特に感染歯質や微小亀裂の発見には有効で、発見できればそれを治療し手術エラーを防ぎ成功率は高まると言える。しかしマイクロで逆根管だけを見るのに使うならば、宝の持ち腐れであまり意味はない。分かりやすく言うならば、感染源が逆根管だけならマイクロを使わなくても成功率は同じ。感染原因が感染歯質や微小亀裂にあるならマイクロは非常に有用である。
マイクロは見る道具であり治す道具ではない。治すのは術者の感染源診断と逆根管充填材である。マイクロスコープの有無が成功率を高める訳ではなく、成功率を左右する優先順位の上位になってはいない。手技的には手際良く器具を換えながら適確に細かい作業を行うためには、ライト付き拡大鏡の方が向いている。感染歯質と亀裂の確認にはマイクロ、手術はライト拡大鏡がいい。マイクロを使う上で「木を見て森を見ず」にならないように気を付けねばならない。「森」とは歯根全体のことで特に歯根の壊死セメント質や感染象牙質を見ずに手術の成功はない。
<論文について>
歯内療法専門医の一部で、「マイクロを使えば歯根端切除術の成功率が高くなり使わないと低いというデータがある」と言うDrが多くいるが、その基となる Setzer FC論文 J. Endod 2010,Nov;36(11) を調べてみた。https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/ この論文はメタ分析で他人の21論文を集計し数字だけで比較統計処理したものです。ただし逆根管充填材が異なる症例を、マイクロを使った使わなかったで成功率を比較しているため無理があり、エビデンスなく誤解釈したものと判断せざるを得ない。逆根管充填の材質によって成功率は大きく異なり、成功率で大きく劣るアマルガム症例を比較対象にして、マイクロを使えば成功率が高くなると結論づけるのは間違っている。逆根管充填材は同じでマイクロを使った使わなかった成功率比較検証論文でなければ意味がない。ブログ79.マイクロスコープを使えば成功率が高まるというデータ論文の信用性?
CT は、歯根や根尖病巣を3次元的にイメージするのに有用である。最もCTが有効なのは上6番の場合で、根尖病変(特に口蓋根病変、第4根管の有無、根管穿孔)、上顎洞との歯根位置関係、歯性上顎洞炎が精査できる。また下6番や上4番の舌側根の有無や根尖の位置と根尖病変、上7番の根尖病変や下7番の樋状根、根管穿孔の有無と位置、数歯に渡る大きい歯根嚢胞、上顎洞や下顎神経におよぶ病変、上2番の舌面縦溝、腫瘍との鑑別診断、などで有効である。
しかし前歯・小臼歯などではCTがなければ的確な手術ができないという訳ではない。 この手術に手慣れてしまえば、きれいに撮れた歯科用レントゲン写真を見ることで10mm前後の骨空洞のイメージは十分にとらえることは可能。歯槽硬線、歯根膜空隙、壊死セメント質の診断のために、デンタルレントゲンがCTよりも優先して重要です。
Q24 逆根管充填材は何が良いですか?
A: 最も成功率が高く、手術の適応範囲が広い最強の逆根管充填材は何だろうか?それは再発例を治せる逆根管充填材だと思っている。再発した場合、成功率が低いためほとんどのDrは再手術を嫌がります。
<再発例にも対応できる逆根管充填材の条件とは?>
再発原因の感染源は逆根管封鎖不良と感染歯質と微小亀裂である。
1.逆根管を完全封鎖することが重要で、そのためには歯質接着性があること。
逆根管の歯質と充填材との隙間「辺縁漏洩:へんえんろうえい」があれば細菌感染源となり再発する。
2.切断面に感染歯質や小亀裂があれば、削去し被覆接着充填して封鎖できる。
この条件に対応できる材料は、今のところSB接着セメントだと筆者は思っている。MTAセメントは封鎖性で劣り、感染歯質や微小亀裂に対して、薄く被覆接着充填できないため適応とならない。またMTA開発Drが感染部には非適応と報告している。
3.安全(組織細胞毒性がない)、経年的に安定している。
<MTAとSBの違い。MTAでは治せない症例に対して、SBを使用して成功した歯根端切除術>
MTAとSBの大きな違いは手術適応症の広さで、治せる範囲が前者は狭く後者は広い。難治症例とされる、再発例、炎症性吸収、根尖破壊、副根管、大きい嚢胞、歯根が短い、感染歯質、小亀裂、逆根管形成困難、MTAでは適応されない斜めの根尖切除、イスムスやフィンの極小根管などもSB法では適応とされ成功の可能性は高い。
症例:右上1番、歯茎に腫れと痛みがある。レントゲンで根尖病巣は大きく歯根先は炎症吸収によって短くなっている。歯根先の根管に金属が露出し逆根管充填ができない難治症例です。複数の歯科大学病院を受診したが、歯根端切除術の適応ではなく抜歯するしかないと言われたが、あきらめきれず来院した。
このような症例はマイクロスコープ・MTAを使用しても治せないが、SBセメントを逆根管充填する歯根端切除術を行うことで治癒した。
術前 ↑右上1番. 歯根端切除術 直後 3年後 症状なく経過良好
根尖部に金属ポストが 嚢胞を摘出、根尖を 根尖病巣の影は完全消失し.
露出. MTAは脱離するの 0.5mm切除. 金属ポスト 切断面に完治を示す歯槽
で使えない. 先を0.5mm 削去して 硬線が出現.
SBを逆根管充填した.
Q25 根管治療で治らない、痛みが取れない原因は何ですか?
A: 適切な根管治療をしているが、症状や根尖病変が消失せず治らない原因は何だろう?どんなエラーが隠されれているのだろうか?治療不良の原因は細菌感染源が除去できてないためであり、感染源は大きく分類するならば、?根管と?根管でない部に分けて考えるのが判りやすい。
<根管の問題で根管治療が不良>
1.歯根数・根管数を少なくみてしまい治療がされてない根管がある。
根管治療を行う際は汚染しているすべての根管を治療する必要があり、1根管でも手を付けていなければ感染源を残すことになり、治るものも治らない。根管数を少なく見誤り見逃すとエラーを起こす。基本根管数は上下顎6番は4根管、上顎4.5番および下顎4番は2根管、下顎2番は唇舌的に2根管、と思って根管治療に入らなければいけない。大の根管数とみて治療に入らないともう1根管は見つからない。
2.根管の湾曲、樋状根管などの根管異常のため、治療困難や穿孔などのエラーを起こす。
?上顎2番の不良原因のほとんどは、歯根先の根管が口蓋側(内側)に曲がっているためです。歯根先まで器具が入らず根管治療できない、歯根先端近くで根管のステップや唇側穿孔を起こしやすい。手術で開けてみると良く分かる。
?上顎6番の歯根は3本で不良で多いのは近心根、歯根の後方弯曲が原因で歯根先まで器具が入らず根管治療できない、穿孔や器具の破折を起こし易い。次いで多い原因は近心根の内側にもう1根管(第4根管と言われている)あって見落としあるいは根管が狭窄して開かない。
?下顎6番:近心根が後方弯曲し歯根先まで器具が入らず根管治療できない、穿孔や器具の破折を起こし易い。切削バーで根管深く形成するとストリップパーフォレーションを起こす。
?下顎 4.5番の根尖にまれに舌側湾曲がある。扁平な根管であるため緊密な根管充填がされてない。
?上顎4.5番は2根管と思って治療すること。4番を1根管と見誤って歯根の中隔で穿孔。
?下顎7番でまれに樋(とい)状根があり、樋状根管はすみずみまで清掃できなかったり、緊密な根管充填ができないため根管治療は不良のことが多い。再植術で対応する。
?下顎2番は2根管として行う。舌側根管にアプローチされてないことが多い。アプローチするためには根管口舌側壁を削除してファイルが舌側根管に入るようにすることが大事。
3.その他の根管原因には
根管閉鎖、根尖孔破壊、根尖孔開大、副根管、側枝、穿孔、イスムスやフィンなどがある。
<根管が原因でない根管治療不良の場合>
亀裂、炎症性吸収、フェネストレーション、重症の歯周炎、壊死セメント質 (感染セメント質)や感染象牙質、歯根嚢胞そのものが感染源、急性歯根膜炎、水酸化カルシウム剤やMTAなどの根尖孔外漏洩による薬剤性化学熱傷。
Q.痛みがあって根管治療、根管充填をしたが、痛みはさらに強くなり激痛となり苦しんでいる。非定型歯痛と言われたがどうなんですか?
A.最近このような根管治療や根管充填後に強い痛みが取れず、困ってメール相談や来院される患者さんを度々経験している。特にマイクロスコープを使って自費で根管治療を行い、2~3回の短期間で根管治療を終了させることに主眼をおいている歯内療法専門医での治療に起きている。
1回の根管治療をして2回目に根管充填を基本としているようだが、通常は良くても自発痛や強い打診痛がある急性期の根管充填は避けねばならない。根管内がきれいだからと強い痛みを無視して仮封や根管充填をすれば、激痛となって患者さんを苦しめることになる。根管充填後に痛みが取れない場合の流れは、非定型歯痛を疑い口腔顔面痛専門医へ紹介するようだが、診断で非定型歯痛は否定され元の紹介医へ返されることが多い。疼痛専門医も困っているようです。この痛みの原因は急性歯根膜炎を起こしている可能性が高い。
<根管治療を行う上でDrへの注意と診断>
?自発痛や強い打診痛があれば根管がきれいだからと根管充填をしてはいけない。根管だけを見るのではなく激痛症状、急性炎症を診て下さい。
?急性歯根膜炎の診断と治療に注力し強引な治療をしてはいけない。
?非定型歯痛との鑑別診断をする。非歯原性疼痛の可能性があり担当医で診断できない場合は、治療前か根管充填前に疼痛専門医に紹介すべきで、MTA根管充填後に紹介された専門医は困っている。2020.11.24.
症例:(2022.3.)左上3番、虫歯で痛みがあり近歯科を受診、神経を取って根管治療をする。しかし痛みが収まらず自費17万、マイクロスコープを使う歯内療法専門医に転医、1時間かけて根管治療を行うもその夜から激痛となり睡眠は取れず急患として来院した。同医院で次回根管充填すると言われたが心配で、激痛のため涙を流しての初診で仕事は休んでいた。激痛の原因は急性期に二重仮封がされていたためで、根管開放、抗生剤と鎮痛剤を処方、3日間の抗生剤点滴、消炎処置を行った。2日後には激痛は治まったが、患者さんの不信感は著しい。根管開放は必要か否か:https://shikontan.hp-ez.com/page36
Q26 保険と自費の治療で成功率の違いはありますか?
A: 自費での歯根端切除術は、マイクロスコープや特化した専用の器材や医療材料、逆根管充填材を使用することが多いですが、これらの一部は高価で保険適応外となることがあります。駆使することで手術の適応範囲が広がったり、再発例や難症例にも対応できるようになり成功率が高くなるかもしれません。
しかし成功率を高める要因は多くあり、レントゲン診断、適確な術式、逆根管充填材の選択、再発リスクに関係する亀裂や感染歯質のチェックやその治療法、適応症、術者の手術経験度など総合的なものです。マイクロを使えば成功率が高まると言えるほど単純ではない。
<保険と自費の成功率について>
1. 前歯部で感染原因が根管だけであれば、保険診療でも自費診療でも成功率に違いはないだろう(逆根管充填材によっては違う)。しかし切断面に感染歯質や小亀裂があれば、自費でマイクロスコープを使うことで発見が容易になり、適確な治療ができるため成功率が高くなる可能性はある。
2. ダイヤモンド付き超音波チップやマイクロミラーなど、この手術に特化した高価な器材を多種類用意しておくことで、部位や深さにあわせて適確な逆根管形成ができたり、手術の精度が上がることはある。なければ歯根の切除量が多くなったり感染歯質の取り残しや根管形成エラーを起こすことがまれにある。
3. 自費治療は手術料だけでなく、診察料、診断料、レントゲン、根管充填、マイクロスコープ、抗生剤と鎮痛剤、切開痕が目立たない極細ナイロン縫合糸、人工膜メンブレン、定期検査などを含めた総合的費用となっていることが多い。高額な自費の治療をして成功すれば良いが、再発した場合を担当医と良く話し合っておく必要がある。自費治療を行う以上、高い成功率の結果を目指さないといけない訳で、1年後の経過を診てくれない病院での自費・歯根端切除術は避けた方がいいと筆者は思っている。
4.「保険だから逆根管充填はしない」というのを耳にしますが間違いです。また「自費でMTAを根管充填したから根尖切断だけで逆根管充填をしない」という術者がいますが間違いです。経過1年後を診てください。逆根管充填しないとその多くが再発しています。
Q27 歯や歯茎がうずくように痛く、歯の治療を行ったが痛みは消えない。歯が原因でない特発性歯痛(非定型歯痛)ですか?
A: 歯が痛いので歯科医院でレントゲンを撮って診てもらったが、虫歯はなく原因は良く分からないと言われた。しかしうずくような痛みや圧迫感が毎日一日中続き我慢できない。もしかしたら歯の亀裂かもしれないと神経を取るが痛みは消えない。神経が無くなっても根管治療を長く続けても歯の痛みは取れず、非常に難治性で担当医も患者も困り果て抜歯を考えている。歯根端切除術をしても抜歯しても痛みが消えない。
このような場合、歯が原因でないのに歯が痛いという神経性の病気の可能性があります。歯が原因でない歯痛を非歯原性歯痛と言い、「特発性歯痛」がその代表で歯に治療を行っても改善しない。
*特発性歯痛の症状は、歯(歯の奥の方)やその周りの歯茎にジーンあるいはジンジンとした、うずくような強い痛みや圧迫感が一日中続くのが特徴で、ひどくなると痛みは隣の歯や歯茎、骨の中、顔面に拡がったり、反対側に移ったりすることもある。歯茎の表面や歯肉ポケットをそっと触れても痛い過敏性の異常疼痛 (アロディニア) を認めることもある。持続性の痛みで、痛みがない日はなく毎日何か月にも渡って痛い。ただ食事中や睡眠中は痛みが出ないという特徴がある。
鎮痛剤はあまり効果なく、抗生剤で効果なく痛みが消えない。歯茎が腫れる、膿が溜まるなどの局部の細菌性の炎症ではなく、原因は脳の誤作動で生じている痛みなので、脳に作用する特殊な薬物療法(トリプタノール、リリカ、タリージェ、ノリトレンなど)で治療する必要があります。
特発性歯痛は根管治療や歯根端切除術や抜歯を行うDrが知っておかねばならない重要な疾患です。
参照リンク:
・“原因不明の歯痛”(非歯原性歯痛) 日本口腔顔面痛学会 専門医のいる施設
・「特発性歯痛チェックリスト」
・特発性歯痛とは「口と顔の痛み.info]
・非歯原性歯痛診療ガイドライン - 公益財団法人日本医療機能
*鑑別診断としては以下が挙げられ、逆に特発性歯痛の専門医が知って鑑別し、治療あるいは治療マネージメントできねばならない。
?根管治療での急性歯根膜炎
?歯槽骨炎
?亀裂による歯根膜炎痛
?根管治療薬である水酸化カルシウム剤やMTAの強アルカリ性(pH12)による、骨膜や骨への化学熱傷の痛み。
?止血目的に硫酸第二鉄液(ビスコスタット®強酸性pH1)を綿球に浸け、骨内に留置するDrがいる。組織壊死を起こし長期にうずくような激痛を訴えるので使ってはならない。注)本品を3 分以上患部に留置した場合、歯肉の炎症、部分的な壊死が発生する恐れがあるため十分に注意。
Q28 歯根端切除術のメリット・デメリット、再発のリスクは?
A:
メリット:成功した場合には痛みや腫れの炎症症状や根尖病変が消失し、抜歯が避けられ歯が残って長く使えるようになる。
デメリット:外科手術であるため術後に痛みや歯茎・顔の腫れなどの不快症状が一時的にしろ起きること。歯根端が約2mm短くなる。切開線の場所によっては歯茎が少し下がることがある。下顎臼歯の手術では下顎神経損傷が生じて下唇知覚麻痺の後遺症や、上顎臼歯では歯性上顎洞炎が起きる可能性がある。再発した場合は再手術や抜歯を選択しなければならなくなる。
•再発のリスク:大きいリスクは歯根の亀裂と歯根の腐敗(感染歯質)である。
術者は術中に感染源の発見に努めるが、歯根裏側など発見困難な場合や、発見しても治療困難な場合があり再発につながる。ただ逆根管充填をしなかったために再発した場合は、再発のリスクとは言えず術者のミスと言っていい。
リスクには2種類あり一つは再発のリスク、もう一つは手術のリスクであり、術後の痛みや腫れ、知覚麻痺や歯性上顎洞炎などの後遺症がある。リスクは、術者の考え方、診断法、術式、逆根管充填材、適応症の選択、感染歯質の認識、亀裂の程度、経験度で異なる。
*歯科医は根尖病変の病態と治療の選択肢(様子見で放置、抜歯、根管治療、歯根端切除術、再植術)を患者さんに提示して、成功率、再発のリスク、手術のリスク、メリットとデメリットの説明を行い、同意書を作成する。術後経過や再発した場合の誤解や勘違い、トラブルを避けるためです。(サイドメニューに筆者作成あり)
•手術を受けないメリット・デメリット:
メリットは取り合えず歯が残っている。根尖病変の影はあるが小さくて症状がなく影が大きくならない場合は、経過観察で良いと思う。
デメリットは、根尖病巣が残っており細菌繁殖により炎症が強くなると、歯茎の痛みや腫れ、膿が出るなどの症状が出る。時期を逸すると歯質への細菌感染が広がり、歯根端切除術成功へのリスクが高まり、残すのが困難で抜歯になる可能性がある。また病巣が広がって隣の歯に及ぶと神経が死んだり抜歯になる可能性がある。さらに病巣が大きくなれば歯性上顎洞炎や入院下での治療を必要とする場合がある。
A:歯性上顎洞炎の基本治療は原因歯の抜歯で、手っ取り早く確実に上顎洞炎を治すからです。しかし病態や歯の条件によっては歯根端切除術や再植術で歯を残すことが可能です。ただし患者さんは歯を残すことでの再発リスクを理解し、再発した場合には抜歯を了承すること。術者はレントゲン・CTで、原因歯・原因歯根の特定診断、根尖病変と上顎洞の画像診断、上顎洞自然孔の開閉確認、逆根管充填をする手術を行うことが重要です。歯を残して上顎洞炎を治すのは、再発のリスクを背負う訳で確実な治療と長期経過をみなければならないので大変ではあります。
関係する原因歯は上 5.6.7番で 6.7番のことが多い。上6番の歯根は3本あり、歯根端切除術ができるのは頬側2根で、内側根(口蓋根)はできない。つまり内側根に病巣がなければ手術で歯を残せる可能性が高い。上7番は再植術で対応する。奥歯の手術においては、患者さんは唇を強く引っ張られて辛く、術者は術野が狭く苦労し目や腰が疲れて大変です。でも患者さんにとって奥歯が残った場合の価値は非常に大きく、満足度は高く喜びも大きい。→歯性上顎洞炎で歯を残す治療。症例集
Q.歯性上顎洞炎になったらどこの病院に行けば良いですか?
A:かかりつけ歯科で紹介状を貰って、耳鼻科のある総合病院や大学病院の口腔外科を受診するのが良いと思います。「口腔外科ではCT検査して、?抜歯、?歯を残す治療、?耳鼻科依頼、を判断してマネージメントしてくれると思います。」
と筆者は回答している。一方で複数の耳鼻科医から逆クレームがきた。「耳鼻科から病院口腔外科に依頼すると、原因歯のほとんどが抜歯されてしまう。抜歯後デメリットを考えるに何とか抜歯以外の選択肢はないのですか?」と。筆者は歯性上顎洞炎の原因歯を根管治療や歯根端切除術、再植術で残す選択が多いが意外だった。歯科で上顎洞を一番良く知っている口腔外科医が、抜歯一辺倒ではなく歯を残す治療の選択やマネージメントをしてあげて欲しいものです。
*上顎洞内の病巣を摘出する場合は口腔外科医に任せた方が良いでしょう。上顎洞自然孔のチェック、術後に上顎洞炎を継発した場合の治療、細菌検査、病理検査などが必要となるので。筆者は40年間、公的病院で口腔外科医とし勤務しており、歯性上顎洞炎の治療や全身麻酔下での手術を約100症例以上経験しているので、お役に立てると思っています。
ブログ208.歯性上顎洞炎で歯を残す 149.歯性上顎洞炎と言われ抜歯を勧められた に詳しく載せました。
Q30 再根管治療でなく、歯根端切除術が第一選択となる場合とは?
<歯根端切除術が第一選択となるのは>
A:再度、根管治療をしても治る可能性がない場合で、レントゲンで画像診断する。
1.根管の弯曲や閉鎖のため、再根管治療をしても根尖まで穿通しないと判断した場合。穿通しなければ根管治療する意味はない。
2.冠や土台を除去して根管治療を行おうとすれば、歯根の亀裂や穿孔の危険性が高い場合。
3.根管充填が良好なのに症状や根尖病変がある(原因が根管になく再根管治療をしても治らない)
4.根尖でなく歯根の側面に病変の影がある。(副根管、亀裂、壊死セメント質、根管穿孔、歯周嚢胞が考えられ根管治療では治せない)
5.根尖孔破壊、歯根の外部吸収や内部吸収がある。(根管治療は適応外)
6.肥大根のある根尖病変ケース。肥大部を取り囲むように病変があれば壊死セメント質の可能性が高く、同部が感染源となっているので根管治療では治癒しない、根管治療は意味がない。
7.歯根部に感染歯質がある場合。(壊死セメント質や感染象牙質があれば感染源となり、根管治療では治らない。レントゲンで壊死セメント質 の画像診断が重要)
8.たとえ根管の深くに汚染があっても、逆根管形成が深くできて緊密な逆根管充填が可能な場合は、歯根端切除術が第一選択となる。逆根管形成専用の6~9mmスプラソン超音波チップを使い、SB接着セメントをシリンジ使って流し込む術式で、逆根管深さ最大9mmまで適切に逆根管充填が可能です。MTAは使えない。再発症例7
■上記は筆者における第一選択です。術者によって考え方や、術式、器材、逆根管充填材が異なるため一律的なものではないです。
シリンジを使ってSB接着セメントを深さ7mm逆根管充填した。
Q31 歯根端切除術ができず抜歯となった場合、親知らずの移植ができますか?
A:歯根の破折などで歯根端切除術ができず抜歯となった場合、欠損部に対して?入れ歯、?ブリッジ、?インプラント治療が選択されます。それ以外の選択として、もし親知らずが残っていて条件が合えば移植(6番.7番に)できる場合があります。つまり上記が回避されます。メール相談ください。
メリット:自分の不要となっている親知らずを有効利用し、新しい歯が生えたように使えることになる。
デメリット:手術であり一時的ではあるが痛みや腫れがある。経過を診る中で歯根吸収や炎症・感染が生じて予後不良となれば、移植した親知らずが生着せず抜歯となる。
条件:親知らずが残っている。親知らずの歯根を破折・損傷することなく上手く抜歯できるか。歯根の大きさが欠損部に適合するか。歯根長さが十分にあるか。移植床が適切に形成できるか。術後に根管治療や冠を被せることが必要となる。筆者の親知らず移植症例
Q32 歯根端切除術を受けた場合、生命保険の手術給付金は出ますか?
A:生命保険会社の医療保険で手術給付金が出ることがあります。生命保険会社、保険種類、入った時期によって出る出ないが決まるようです。2017/11.歯根端切除術をした患者さんから、生命保険の診断書を依頼された。2か月後の定期検診時に聞いたところ手術給付金10万円が出たと喜んでいました。
SBI生命、楽天生命、プルデンシャル生命、明治安田生命などで入院日額x20倍が給付されたと報告を受けています。アフラック生命、メットライフ生命、ソニー生命は以前は出ていたが、約2015年以降に入ったのは出ないようです。調べてみるとほとんどの保険会社で手術給付金が出る出ないを、約款でも明確にしてないので各自で問い合わせ下さい。
担当営業マンや支店に問い合わせるのは無意味で分からないので、本社の「保険金コールセンター」に電話して以下の内容とコード番号を言うことが大事です。
「病名は歯根嚢胞(しこんのうほう)で、手術名は J-004 歯根端切除術と J-003 歯根嚢胞摘出手術です。顎の骨を削っています。観血手術です。手術給付金は出ますか?」と。
出ますと言われたら書類を送ってもらいます。歯根端切除術では出ないが歯根嚢胞摘出手術で出るという保険会社もあります。「出る会社、出ない会社一覧表」を参考にして下さい。
___________________
*当サイトに来られる方は、?根管治療を行ったが腫れや痛みが治らないので抜歯するしかない、?歯根端切除術を受けたが再発したので抜歯するしかない、と言われて困っている方々です。
歯を残すために「予後の良い結果が出せる歯根端切除術」の最新情報、正しい情報を発信していきたいと思っています。疑問や不安に元.公的病院口腔外科医が回答します。質問以外にも感想やご意見を「お問い合わせ」でお聞かせ下さい。
*このサイトのもう一つの目的。歯科大学や病院歯科の口腔外科の多くで逆根管充填がされていません。再発するのは逆根管充填をしないのが原因だと気付き、逆根管充填をして下さいというお願いです。
歯根端切除術における一番の問題点は、再発の術者が「再発原因は逆根管充填をしなかったため」と認識してないか、あるいは認識していても面倒臭いと成功を目指してないことです。そのため次々と歯根先端を切るだけの再発率の高い術式が行われ、抜歯されインプラントになっています。毎日のように再発相談メールを受けていますが、患者さんが失敗しないためには「歯根端切除術で逆根管充填をしない手術は受けてはいけない」です。
*この度 「親知らず抜歯・ドライソケットの相談コーナー」 を立ち上げました。?これから親知らずを抜歯しようとしているが心配な方、?ドライソケットになって痛みで困っている方のためのサイトです。抜歯本「智歯の抜歯ナビゲーション」クインテッセンス出版、9か国語の著者が回答します。
2016年.1年間で356歯の歯根端切除術を行った。
<手術をした全患者さんの資料を残し長期に経過をみています>
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プロフィール

- 笠崎安則:略歴
- 愛媛県松山市出身.1976年東京歯科大学卒業.慶応大学病院歯科口腔外科(13年間). 立川病院歯科口腔外科部長(27年間). 慶応大学医学部歯科・口腔外科(非常勤講師). 現在: 国立スマイル歯科,斎藤歯科にて歯根端切除術と再植術に特化した専門治療をしています.
- 笠崎真悟:略歴
- 東京都国立市出身.2010年東京歯科大学卒業.慶応大学病院,国立栃木医療センター,日野市立病院,都立多摩北部医療センター歯科口腔外科. 現在:2021.10/1から国立スマイル歯科、歯根端切除術とインプラント、親知らずの専門病院を開設しました.
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