▲ TOP

術式

TOP
歯根端切除術とは、根管治療では治らない歯根先の病巣に対して、外科的に ①歯根病巣の摘出 歯根端の切除 逆根管充填を行って抜歯しないで歯を残す方法です。術式で重要なのは感染源の特定診断と良好な逆根管充填材の選択です。
 成功と失敗の大きな分かれ目は逆根管充填にあり、術者は失敗率の高い、歯根先端を切るだけの逆根管充填をしない術式を行ってはならない。患者さんが失敗しないためには、逆根管充填をしない手術を受けてはいけない
 
そして何よりも重要なことは、術者は手術1年後の経過を診ることです。経過を診ていれば逆根管充填をしない術式は消えたし、感染源を残したままで縫合するのはあり得ないと思っている。2012.1.1.
これが歯根端切除術。根尖に感染歯質を認めたため、2mm斜め根尖切除、皿状逆根管形成、SB逆根管充填。そして隣在歯の神経温存治療を行った。マイクロスコープとMTAを使っても治せない症例です。右上1番の神経は温存(術後EPT+)された。
img_20260404-174257.jpg術前img_20260404-174311.jpg歯根端切除術img_20260404-174328.jpg1年後
術式:
img_20181102-154630.jpg
<成功するためのポイント>
●感染源のチェックで重要なのは切断面

切断面の何を見るのか?→ターゲットは根管と感染歯質で、マイクロミラーを使っで詳細にチェックする。まずは根管の状態で、スカスカ・ボロボロ、空隙や腐敗、根管の側壁や深さを見る。次いでその周囲の感染象牙質、壊死セメント質、微小亀裂をチェックする。根管だけが感染源ではないからである。
 歯根先端を切るだけの逆根管充填をしない簡単で雑な手術では、切断面の根管に感染源が残り多くが再発する。感染源のほとんどは逆根管だが、根管だけが感染源だと決めつけると再発した場合に原因不明となる。そこだけでなく感染歯質と微小亀裂を視診、触診、メチレンブルー1%染色液(ciクラック検知液は0.15%で薄くて使えない)などでチェックし、あれば治療(治療法は後記述)することで成功率は高くなる。マイクロスコープを使うのは有効だが、あくまでエラーを防ぐ見る道具であり治療する道具でないので、これで成功率が高まると頼ってはならない。
 根管治療を長期に行っても根尖病変が治らない場合、その理由を「根尖孔外感染(根管外感染)だから治らないのは仕方ない」と責任回避のようなあやふや用語でごまかしてはいけない。その説明は適切ではなく根尖孔外感染部を示すことが大切で、それを特定診断し治療することで成功率は高まる。根尖孔外感染部の主体は根尖部の壊死セメント質である。

逆根管充填材について:
条件としては、細胞毒性がなく安全である、歯質接着性があり根管封鎖性が良い、経年的に安定している、操作性が良い、成功率が高く適応症が広い、である。
 何を選択しどう使うか。MTAセメント、スーパーボンド(SB)、光重合レジン、EBAセメント、Bio-Cシーラー(MTA水硬性セメント、バイオセラミック系)、
BC-RRMパテ(MTA:ケイ酸カルシウム+水酸化カルシウム、未承認)、スーパーMTAペースト(未承認)、などが挙げられる。
 
 その選択について
筆者はSB接着セメントが良いと思っている。SBは成功率が高く適応症が広いためで、難治症例や再発例にも対応可能である。MTAとSBを比較するならば、MTAは逆根管だけを治すもので手術の適応範囲が狭いが、SBは逆根管以外にも歯根炎症性吸収、副根管、感染歯質、微小亀裂、根管穿孔、など適応治療対象は広い
 
MTAの弱点は、歯質接着性がないため歯質との間で辺縁漏洩が起きて逆根管を完全封鎖できないことである。また切断面の歯質を広く浅く皿状に被覆封鎖充填ができない。歯根端を斜目に切断しての充填ができない(そのため切除量が多いか適応外となる)。逆根管深さ3mm以上でないと脱離する(と言われている)。基本、再発例には適応外である。論文 第68回 日本口腔外科学会総会

最近(2022)逆根管充填が面倒だからと、術前にMTAを根管充填しておいて術中に歯根先端を3mm切るだけの術式を歯内療法専門医でみかける。その再発例を再手術したところ、逆根管の封鎖が不良(根管充填が緊密でなくボソボソ、イスムスやフィンにセメントが入ってない)で感染源が残っていた。成功率が劣るため私は勧められない。ちゃんと逆根管充填をした方が良いと思う。
2024.10. Bio-Cシーラー(ヨシダ)を逆根管充填したが再発した症例を3例経験した。逆根管を確認したところシーラーは硬化してなくドロドロで封鎖不良であった。逆根管充填材には適さないように感じる。メーカーは検証しているのかな~。

レントゲンやCTでの画像診断:
画像診断においては、デンタル・レントゲン写真が優先して重要で、その上で必要性があればパノラマやCTを撮影する。チェックすべき点は以下で、どの歯根のどこに、どんな原因があるのか、歯根端切除術の適応症であるか、手術リスク・再発リスクなどを診断する。
 歯根と根管の数、根管の閉鎖や
湾曲根管充填の状態、根尖病変の位置と範囲、根尖破壊、歯根の炎症性吸収、根管の穿孔、副根管、歯根の亀裂、歯根肥大、壊死セメント質、セメント質剥離、フェネストレーション、下顎7番の樋状根管、上顎2番の舌面縦溝、病変が隣在歯根に及んでいれば歯髄の生死、根尖病変と歯周ポケットとの交通、中心結節破折による未完成歯根、などをチェックする。
 CTは、上4.6.7番や下6.7番の複数根の位置や病巣の有無、上5.6.7番の根尖病巣と上顎洞との関係、歯性上顎洞炎のチェック、下5.6.7番の根尖病巣と下顎神経との距離、オトガイ孔の位置、の診断に有効です。特には上6番の第4根管、上6番口蓋根の病変、上4番の開大した舌側根、下7番の樋状根、上下6番近心根の中隔側への根管穿孔、下6番4根で開大した遠心舌側根、上1.2番の舌面溝の診断に有効です。
 根管数において、上4.5番は2根管、上6番は4根管、下1.2番は2根管、下6番は4根管、下7番は樋状根、と理解しておかねばならない。見誤れば治るものも治らないから。
 また筆者が強調したいのは、術者はデンタル・レントゲンで根尖病変内の
壊死セメント質の読影・診断ができなければ成功率は高くならないことです。Q.歯根端切除術はできますか? 

<若いDrへ>
術式以上に大事なのは、逆根管充填時に集中力を持って息を止めて絶対に治す心でして欲しい。充填時に血液を入れたらアウトです。止血処置やSB接着セメントの扱いは面倒だが、以下の術式で必ずや高い成功率となり歯が残る良い結果を生むでしょう。そして難症例、MTAでは治せない症例、MTA再発例にも対応できる適応症の広いこの術式が、患者さんに役立ち次の世代に残って欲しいと願っています。
 2024現在、数多くのMTA再発症例を再手術し成功へ導いています。成功率が高い術式とは、再発が少なく適応症の広い術式と理解しなければいけない。MTAはSBと比べて手術の適応範囲が狭く感染歯質や亀裂に対応できない。手術見学OKです。困っている症例、SB再発症例があればメール相談に乗ります。
<筆者の症例実績>
国立スマイル歯科で2021.10.1~2022.9.30.1年間で、歯根端切除術は392例(その内、再発例は約100症例)、再植術は56例で合計448例でした。2025年の1年間では500例を超えています。症例数ではなく成功率の高い手術が行えたと思ってます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
歯根端切除術の術式
筆者の術式を紹介します。成功して欲しいという願いを込めて、歯科医師のために書いたもので一般の方には難解なのをご了承下さい。
1.<局所麻酔と切開>
歯肉に局所麻酔をしたうえで切開し(切開線は下図の②か①が多い)、粘膜骨膜弁を剥離翻転して骨を露出させる。病巣と骨膜が癒着して剥離が挫滅しそうなら、最後は円刃刀を骨面45度に当て切離すると良い。
 次いで剥離した骨膜基部に浸潤麻酔を追加しておく。骨膜へ十分に麻酔を効かせるのがコツで、こうすることで術中に麻酔が効れて患者さんを痛がらせることはない。最初の歯肉浸潤麻酔だけでは骨内へ十分に麻酔液が達してないため、術中に痛くなって何度も追加麻酔することになってしまう。ブログ. 術中と術後に痛くならないポイントとコツ はこちら。
img_20230922-101939.jpg
2.根尖病巣の摘出>
探針を骨面に刺して病巣部の位置を確認する。すでに骨欠損があり開窓されていれば、エキスカベータを使い刃を上にして骨と病巣の間に1mm入れ、横に動かしながら病巣を骨面から剥がしていく。次いでエキスカベータや鋭匙を骨腔内にも刃を外に向けて操作し剥離、嚢胞や肉芽組織をできるだけ一塊として摘出する。     
 病巣がすべて骨で被われていたり開窓が小さければ、カーバイド・ラウンドバーHP#4で骨削除して広く開窓する。開窓部歯冠側の近心と遠心にアンダーカットがあって肉芽が上手く除去できないようなら、ラウンドバーでそこを少しだけ骨削除すると上手く取れる(コツ)。歯根裏側の肉芽は、根尖切除後に再度除去するので細部は取り残してもいい。次いで歯根の亀裂や歯根表面の壊死セメント質、副根管のチェックを行う。

大きい嚢胞が隣在歯まで及んでいて歯髄が生きている場合、隣在歯根尖部の嚢胞を意図的に残す、隣在歯の歯髄温存治療を行うのは有効である。隣在歯の歯髄温存治療:症例 71 
嚢胞や肉芽組織の摘出エキスカベータ: (Ciメディカル) エキスカ#36649.先径1.5mm、#36566.先径1.2mm、先がお椀になっているので肉芽の除去がし易い。

3.<歯根端の切除>
根管治療不良の原因は根尖部2mm以内に限局しているため、ストレートハンドピースを使ってカーバイド・フィッシャーバー(横溝のないタイプ、下部に器材一覧を記載)で、歯根軸に対してほぼ垂直に根尖を1.5~2mm切除する。切断バーとしては、タービン用ダイヤモンドバー、横溝のあるフィッシャーバー、超音波バーを使うDrがいるが、切断面が滑沢でなく感染歯質や微小亀裂のチェックができないので適さない。根尖切除3mmルールと言うのがあるらしいが私の4000例の長期経過観察からは否定的で、ほとんどは1.5~2mm切除で治癒する。
 また最初から一機に2mm切除するのではなく、切断面の根管と感染歯質を確認しながら少しずつ慎重に削去していく。原因のみを切除すれば良いので、無用に多量の3mm切除は断面の象牙細管が増すだけで不要と考えている。ただし例外として切断面に感染セメント質や感染象牙質を認めた場合には、切除量を多くする。切断面のセメント象牙境の割線・亀裂に注意をはらうこと。
 その後、上記の小さいお椀状のスプーンエキスカベータで肉芽組織を掻把摘出する。従来の成書には、取り残さないように骨腔面近くまで歯根を切断すると書いてあるが、その必要はなくこの小スプーンエキスカベータを用いることできれいに除去できる。裏の肉芽が取れれば余計な切断は必要ない。歯根膜部にこびり付いていれば、#36566.1.2mm.エキスカや超音波チップを使うと取れる。

4.<ここが成功率を高める重要ポイント>
術中に感染源を追求し特定診断する。歯根端切除術の成功率90%の壁はここにあり、知識を得て理解し実践すれば壁を突破できると確信している。根管だけが原因と思うならば壁は破れない。
 根尖切除後、ライト付き拡大鏡下で直視やマイクロミラー(ヨシダ:メガマイクロ3x6mm)で切断面をチェックして感染源を探し出す。ターゲットは根管と歯質である。
根管
においては、根管充填の緊密性や汚染、ガッタパーチャポイントやその周囲の腐敗、イスムスやフィンをチェックする。穿孔、副根管、歯根の亀裂も。メチレンブルー染色液(1%)で確認するのが良い。Ciクラック検知液は0.15%で使えない。

感染セメント質(肥大セメント質、壊死セメント質、セメント象牙境の亀裂や剥離)、
感染象牙質(灰白色の不透明感、黄褐色や白濁、軟化度、微小亀裂)、
 感染歯質は見ての判断だけでなく、小エキスカベータで引っ掻いて軟化を確認することが大事である。エキスカで歯根表面をガリガリと引っ搔いた時に軟化を感じれば感染セメント質である。切断面の感染象牙質が見分けられるようになって、再発例を高い成功率で治癒させることが可能となった。メチレンブルー染色液やカリエス検知液で染まらない感染象牙質や感染セメント質があり発見は困難であるが、視診・触診にて見極めることが重要となる。
 
根管が最大の感染源ではあるが、根管内だけでなく切断面の感染歯質(感染セメント質と感染象牙質)、微小亀裂、をチェックすることがさらなる成功率を高める切断面をマイクロスコープを用いて強拡大で見たとしても、知識がないと見えないものがある。「見えているのに見えないものがあり、知識があってはじめて病変(感染歯質)が見えてくる」。
 ただし
マイクロスコープで感染歯質や微小亀裂が発見できても、MTAでは完全封鎖できないので治せない。マイクロ・MTAを使って再発した場合、再手術しない理由や再手術しても成功しない理由である。アメリカではマイクロ・MTAの反省期(2017最新の成功率74.3%)に入っているとのことだが、高まらない理由はこれである。感染歯質のことを知らないで、根管だけの歯根端切除術をしたならば成功率は高まらない。

*失敗原因のほとんどは逆根管充填にある。歯根先端を切除しただけで逆根管充填をしてない、逆根管充填をしていても材料が不良であったり害がある、うまく詰まってない、充填材が歯質と接着してないため逆根管の完全封鎖ができず辺縁漏洩が起きて感染源となっていた、詰めたものが脱離していた、充填時に血液や水が混ざったなどの術式エラー、切断面の極細根管(イスムスやフィン)や根管側枝を見落とした、逆根管深く汚染していたが除去されてなかった(専用超音波チップを使えば深さ9mmまで形成可能)などです。このこだわった確認と診断力がないと高い成功率へ向かって進めない。

<感染源チェックポイント>
嚢胞・肉芽を除去した後に歯根面を観察して、亀裂、副根管、側枝、壊死セメント質、セメント質剥離を探しチェックする。
根尖を切除した後に切断面を観察して、根管、象牙質、セメント質、亀裂をチェックする。
➂特に亀裂チェックは重要で、舌側の骨吸収が著しい場合はプローブで歯肉ポケットからチェックする。嚢胞と交通して入れば舌側縦亀裂の可能性がある。

5.逆根管形成>
逆根管形成専用の超音波チップで、切断面の根管の窩洞形成をする。チップにはダイヤモンドをコーティングしてあるため、根管の象牙質削去やガッタパーチャポイント除去がし易く、象牙質の亀裂を防止できる。各メーカーが専用チップを出している。
•スプラソンP-MAX:前歯用AS3D
(3mm)、AS6D(6mm)、臼歯用ASLD(左上、右下用)、ASRD(右上、左下用)がお勧め。
•マルチピエゾ、東京歯科産業:前歯用 RD3、  臼歯用 RD4 ・ RD5。
ナカニシ、バリオス970 E32D. E30LD. E30RD。
オブチュラスパルタン社、ホリコ:Kis-1D  (ネックが長過ぎで折れやすい)
松風EMS用とスプラソン用がある。
従来のコントラ・ラウンドバーを使う方法では、根尖を大きく斜めに切断しないと窩洞形成できなかったが、この逆根管専用の超音波チップを使うことで歯軸に沿って根管形成できるように改善された。
 
 
スプラソンP-MAX用チップ

AS3:特徴
・ユニバーサルタイプの逆根充用チップ
・ダイヤモンド:30μm
・チップの作業長:3mm


 

深さ:根管の汚染がなければ通常は逆根管形成の深さ1~2mm。根管内が汚染されていたりスカスカ・空洞があれば3~9mm形成する(スプラソンのチップ長さは3.6.9mmと3種類ある)。根管充填が不良で汚染していれば超音波チップで全てを除去すること。汚染を残したまま臭い物に蓋をする方法は取らない。イスムスやフィンも見落としなく形成する。スーパーボンドは液状なのでシリンジを使えば深さ9mmでもきれいに入る。

●切断面に感染歯質(感染象牙質、壊死セメント質)があれば
切除量を多くして切断面を皿状に形成し広くSB接着充填する。マイクロを使ってもMTAでは治せない。MTAは広く浅くは充填できないが、SB接着セメントを使用すれば完全封鎖ができ治癒する可能性は高い。切断面に小亀裂があれば切除量を増やし辺縁部に亀裂が無くなるまで切断する。そして小亀裂に延びるようにオタマジャクシ状に(フィン状)に根管形成する。


<歯根端切除術における感染歯質に対する治療法>(kasazaki法オリジナル図)  
img_20190824-014840.jpg
この術式を考案したことで多くの再発例を成功へ導くことができた。症例に合わせてアレンジして治療する。

これが壊死セメント質だ。
壊死セメント質を知ること、そしてこれをを治す知識と逆根管充填材が重要である。MTAでは治せずSBが適応となる。
img_20220215-145712.jpgimg_20220215-150635.jpg

歯根端切除術における壊死セメント質←詳しくは
<Googl AI による概要>
歯根端切除術における壊死セメント質とは、歯根の先端部分でセメント質が細菌感染や炎症で死んでしまった状態で、通常の根管治療では治りにくい難治性根尖性歯周炎の原因となり、歯根端切除術が必要とされる場合がある重要な要因です。これは歯根の根尖病変内で細菌が繁殖し、セメント質が肥大・剥離して感染源となり、治療を困難にするため、手術時に汚染された壊死セメント質を徹底的に除去・清掃することが成功の鍵となる。
😊この解説は筆者のHPからAIが引用したもので、私が書いたオリジナル文章です。ありがとう😊

6.<止血>
ボスミン液を浸した小ガーゼを骨腔内に詰めて止血する。止血目的に浸潤麻酔を周囲に追加することも有効。止血できないと逆根管充填の成功はない。逆根管充填時に血液が極わずかでも根管に入ったらアウト。小綿球を使っても良いが取り残しには十分注意する。他病院で歯根端切除術をしたがうずく痛みが続き経過不良なため当科で再手術をしたところ、骨腔内から小綿球が出てきて感染原因となっていたことがあった。

7.逆根管充填>
50号ペーパーポイントを4mm長さに切って準備する。窩洞内を生理食塩水で洗浄した後、この小ペーパーポイントで吸水、表面処理剤グリーンでエッチング(歯面処理)、洗浄、吸水、エアーで乾燥する。そして筆積み法や混和法で、スーパーボンド・ラジオペークの粉末とクイック液を混合し逆根管充填を行う。筆積み法で深さ1.5mm以内ならそのまま、2mm以上で気泡が入る恐れがある時は、細ペーパーポイントに液を付け窩洞内をジャボジャボして気泡を取り除くと良い。特に逆根管内の唇側部に気泡が残りやすい。
 混和注入法は、クイック液4滴に対して混和ラジオペーク粉1.3カップで混和ペーストを作り、25Gあるいは23Gフラット針1m注射シリンジの中に入れてから逆根管に注入する。(25G:ci19247.23G:19243)約10分後に探針で完全硬化を確認した後、表面の未重合部を一層削去する。2021年スーパーボンドEXが発売されたが、混和流し込み法としてシリンジに入れて使ってみたところ流れが悪く使えず駄目だった。シリンジ流し込み法としては、やはり従来の混和粉が良い。
 SB充填して約30秒間以上経てば血液や水がついても物性や接着性に問題はないという井上教授(東歯大)
研究論文データがあり心配ない。ユーチューブでMTAやSBの逆根管充填時に血液が付いて根管に入るのを見ると背筋が寒くなる。​術者は息を止め脇を閉め集中して充填すること。細い口腔外科用吸引管(:アデント)は有効です。
 
逆根管充填材としてはMTAセメント、スーパーボンド、光重合レジン、EBAセメント、アイオノマー、アマルガム、などが挙げられる。私の経験からは、長期予後観察してみると臨床症状や根尖部の透過像の消失、歯槽硬線の出現など、SB応用例がはるかに優れていた。また適応症は他に比べ非常に広く、再発例や難治症例、金属コアが切断面に出ていても逆根管形成困難症例、感染歯質症例でも対応可能で成功率は高い。
 
骨欠損部に対して早期の骨補填を考えるなら、人工骨ではなく吸収性メンブレンの、バイオメンド(:白鵬)、サイトフレックス(:Unicare Biomedical)、ジーシーメンブレン(GC)、そして吸収性コラーゲンのテルプラグ(:モリタ)を使用するのは有効である。

Cytoflex RESORB 12x24mm

吸収性メンブレン
内容:1枚入
吸収時間:約4~6ヶ月

■ポリラクチド(Polylactide)とポリグリコリド(Polyglycolide)による高分子物質
■発熱性や免疫性は一切なし
■高い透過性
■多次元での安定感

メーカー Unicare Biomedical
商品名 Cytoflex RESORB 12x24mm

8.​縫合>
術野をよく洗浄した後、フラップを戻して完全縫合し手術を終える。縫合は針付き縫合糸を使うと便利である。Ciメディカル#7075.14mm弱弯角針5-0絹糸。クラウンジュンNBX035A(河野製作所):弱弯針15mm​. 5-0青ナイロン糸が筆者お勧め。ソフトレッチ(ジーシー)も良いが高価。縫合終了後に創部を術者の指で圧し、骨腔内の血液と空気を抜いて骨膜と骨を密接にしておく。術後の腫れや痛みを軽減するのに重要です。

*NG:ラウンドバーで骨面を一層削った方がいいですかという質問を受ける事があるが、腫瘍ではないのでしてはいけない。すれば出血で腫れたり痛みが増すだけ。人工骨を入れるのは感染と長引く疼痛の問題から勧められない。長期経過で入れる入れないの差はない。ましてや逆根管充填しないで人工骨を入れることは論外な話だが、何故か人工骨経過不良例に逆根管充填されてないことがほとんど。
 開窓術は全く必要ない。開窓にするDrは逆根管充填をしないDrが多いが、逆根管充填をすれば開窓にしなくて良いのに勘違いしている。通常は拡大鏡を使って行い手術時間は約1時間~1時間半である。マイクロスコープを使って切断面の確認をするのは有効だが、これに頼ってはいけない。

9.<経過>
手術翌日に歯肉創部がプーと膨れているようなら、切開部から探針を2~3mm入れ軽く横にゆすって、ミラー先や指先で圧し貯まった血種を抜いておく。一機に腫れが引いて痛みが楽になり治癒が早まる。大事な術後処置である。手術7日後に抜糸。筆者は2か月、6か月、1.2.3年後に定期検査のため来院してもらい、臨床症状と、レントゲン写真で骨再生による病変の消失、歯槽硬線の出現、再発の有無をチェックしている。
 1年後の定期検診が最も大切。再発があるとすれば手術約1か月前後。大きい歯根嚢胞を摘出した場合は、隣在歯の電気歯髄検査を行い神経の生死を確認しておくことは大切です。

__________________

当院(国立スマイル歯科)での、SBを応用した歯根端切除術の特徴
1.
歯根病巣の除去、歯根先の切除、逆根管充填をセットとして全例に行っている。
2.逆根管充填材は医療用接着性セメントであるスーパーボンド(SB)を使用している。
3.根尖切除はほとんどが1.5~2mmで、できる限り歯根を短くしない。
4.逆根管形成には専用の超音波ダイヤモンドチップを使用し、深さ約9mmまで可能である。深い根管にはシリンジを使ってSB液を注入する。
5.逆根管だけでなく感染歯質や小亀裂に対しても治療を行っている。
6.奥歯(上下6番)でも手術は可能である。
7.難治症例や再発例にも対応できる適応症の広い術式である。大きい嚢胞、歯根が短い、根管穿孔、副根管、亀裂、切断面に金属ポストが露出し逆根管形成が困難、歯根炎症性吸収、MTAでは対応できない症例、MTA再発例にも対応可能である。
8.歯性上顎洞炎で抜歯と言われた歯を残す治療を積極的に行っている。
9.接着性セメントを使用するため、切断面の皿状形成や根尖斜め切断ができ必要最小限の切除ですむ。(MTAはできない)
10.隣在歯の歯髄温存治療。大きい嚢胞が隣在歯まで及んでいて歯髄が生きている場合、隣在歯根尖部の嚢胞を意図的に残す、歯髄温存治療を行っている。症例71
11.年間約500症例の歯根端切除術や再植術を行っていて、長期経過で成功率は96.6%である。(2026.1.1.kasazaki)
__________________

緊急速報:止血剤による激痛>2020.7.23
歯根端切除術の止血剤として、硫酸第二鉄液(ビスコスタット®)を綿球に浸け、骨内や粘膜内に留置して使うDrがいるがNGです。本品は強酸性液(ph1)であり重篤な組織壊死を起こして長期にうずくような激痛を訴えるので使ってはならない。某歯内療法専門医が骨内使用を推奨しているためと思われるが、この薬剤は歯肉圧排の止血時に少量数分使用するものであり、添付書をチェックし収れん腐食劇薬ですので用途目的外に使用してはいけない。
 他院で歯根端切除術に使用し、広範囲の歯肉壊死、骨壊死、骨露出、長期の激痛が生じた症例に筆者は遭遇し、治療に苦慮した経験がある。マイクロ・MTAを使って歯根端切除術を行った後に、うずくような長期の疼痛が起きていれば、この強酸性化学熱傷の可能性がある。
__________________ 
歯根端切除術の難易度は?難易度が高いのは?
1.部位による難易度:前歯の手術は視野良く容易だが、臼歯は視野悪く困難。特に上下6番は歯根への器具の到達が困難な場合があり難易度は高い。上6番の口蓋根(できない)、下顎6番4根管で遠心舌側根が開大している場合、上4番の口蓋根が開大している場合。
2.手術リスクによる難易度:下顎4.5.6 番の手術は下顎神経の損傷の可能性があり、上顎6番の手術は歯性上顎洞炎を継発する可能性があり、難易度は高い。
3.病巣の大きさ:歯根病変が大きく2歯以上に及んでいたり、約10mm以上あれば術後症状は著しく、隣在歯の歯髄損傷の可能性がある。
4.病巣の位置:レントゲンで歯根側面に病変がある場合は、副根管、亀裂、穿孔、壊死セメント質、歯周嚢胞が疑われ、治療法は困難で難易度が高い。
5.根管の穿孔:上下6番の中隔側への穿孔症例の治療は難易度が高い。
6.歯根の亀裂:亀裂の部位と長さによって治療の難易度が異なる。特に診断が困難な舌側の亀裂は問題視される。
7.歯根の感染歯質(壊死セメントや感染象牙質):歯根外側面に壊死セメント質や剥離セメント質を認めた。根尖切除後の切断面に感染象牙質を認めた。根尖切除後の切断面の舌側に嚢胞が多く壊死セメント質を触知した。歯根肥大を認めその部の感染歯質が強く推測できる。これらの治療の難易度は高い。
8.切断面に金属ポストが露出し逆根管形成が困難、歯根炎症性吸収がある、場合の治療難易度は高い。
9.イスムスやフィンがあれば逆根管形成や充填は困難で難易度は高い。専用超音波チップや接着性充填材が必要となる。
__________________

歯根端切除術のNGとは?
1.逆根管充填をしないのは絶対的NG。しないと切断面根管に感染源が残ったままで、再発原因第一位。探針で根管を触ればスカスカ・ボロボロはすぐに分かる。論外。成功率50%を目標にしてはならない。
2.逆根管充填する際に、根管に水分や血液が少しでも残っていたらNG。小さく4mmに切ったペーパーポイントで逆根管内を吸水する。
3.逆根管充填の際、充填セメントに血液が少しでも付いたのに充填するのはNG。根管に入った血液は腐敗して感染源のもとであり、やり直すこと。
4.逆根管形成をラウンドバーで行うのはNG。根管を深く形成できず腐敗物を残してしまったり、削る方向を間違ったりイスムスやフィンを削れない。専用の超音波チップを使う。
5.逆根管内に腐敗物を残したまま逆根管充填するのはNG。専用チップは最長9mmまである。
6.逆根管だけを治療すれば治ると思うのはNG。切断面の感染歯質をチェックしないのはNG感染歯質があれば感染源となり再発する。
7.タービンバーで骨削除するのはNG。気腫が生じて腫れることがある。誤って歯根を傷つけることがある。ストレートハンドピースを使用してカーバイド・ラウンドバー#4が良い。
8.根尖切除を一気に3mm切断するのはNG。切断面の根管と歯質をチェックしながら少しずつ必要最小量で削る。基本2mm以内で十分。歯根の裏側の嚢胞を取り残さないようにと、骨腔底まで切断するのはNG。小スプーンエキスカできれいに取れるから。
9.タービンバーで根尖切除するのはNG。削り過ぎる。気腫になる可能性あり腫れる。
10.ダイヤモンドバー、横溝入りフィッシャーバー、超音波チップで根尖切断するのはNG。切断面が滑沢にならず感染歯質や微小亀裂の正確なチェックができない。横溝なしのカーバイド・フィッシャーバーが良好。
11.人工骨を入れるのはNG。役立つメリットより長く続く鈍痛と感染のデメリットが大きい。
12.骨腔の骨面を一層ラウンドバーで削るのはNG。腫瘍ではないので削る意味がない。出血で腫れたり痛みが増すだけ。
13.開窓術にするのは絶対的NG。意味がない。逆根管充填をすれは開窓にしなくて良い。術式の勘違いです。
14.手術1年後の経過を診ないのはNG。成功率を高めるのを放棄することで、再発していれば原因を検証し次に活かす。
15.逆根管充填をしないで人工骨を入れたり開窓術にするのは絶対的NG
16.止血剤として、硫酸第二鉄(ビスコスタット®)を骨内や粘膜内に使用するのは絶対的NGで、決して使用してはならない。重篤な組織壊死と長期の疼痛を招く恐れがある。他院での歯根端切除術で使用し、広範囲の歯肉壊死、骨露出、長期の激痛を生じた症例に遭遇し、治療に難儀した経験がある。歯肉圧排時に少量使用するものであり、使用目的外に応用してはいけない。2020.7.23
____________________________________________
<スーパーポンド歯根端切除術>
逆根管充填にスーパーボンドを応用するのは、術野の止血処置根管内の乾燥などに注意が必要で大変です。しかし経過レントゲン写真筆者の治療症例61を見れば、他逆根管充填材応用との病変消失と歯槽硬線出現の違いに驚くと思います。また従来は根尖切断時に金属コアが露出するような難症例は非適応であったが、手術できるようになった。
 
スーパーボンドは4META/MMA・TBBという歯質金属接着性セメントで、医科の脳外科や整形外科で用いられる骨セメントと同種の物であり、医療用材料として骨の中に入れておいても良い安全なものである。また歯科臨床では「スーパーボンド根管充填シーラー」として正式に認可を受けた根管充填材であり、根管充填材を逆根管充填材として応用するとも言える。このサイトを見て関心を持たれたDrがいればどうぞ見学に来てください。「予後の良い歯根端切除術」をお見せしますので、患者さんに還元してもらえれば幸いです。
 
スーパーボンド逆根管充填したが失敗した症例に会うことがある。再手術で開けてみるとSBは歯根歯質と接着してなく剥がれていた。原因はエッチンッグして水洗後の乾燥が不十分だったり、逆根管充填窩洞を形成せず切断面に一層シーラーとして流しただけで終えていた。MTA逆根充したが失敗した症例に会うことがある。開けてみると、MTAは窩洞から脱離していたり、探針で探るとボソボソであったり、硬化してなかったり、辺縁漏洩あり根管封鎖不良だった。
 MTAは再発症例には適応外とのこと。理由は逆根管の完全封鎖ができないから。沢山のポイントやコツがあるので講演依頼があれば行きます。インプラントが発展したがために抜歯のハードルが低くなった今の時代にこそ、この成功率の高い術式が生かされるを後世に残したいと思っている。筆者の成功率は96.6%(2007年114症例)であった。

マイクロスコープを使用するのは有効だが、マイクロを使えば成功率が高まり、使わないと低くなるというのは事実ではない。マイクロ歯根端切除術の再発例を数多く診てきたが、マイクロを過信してはいけない。マイクロ・MTAを使っても感染歯質や小亀裂があれば治せないが、SBなら治せる可能性が高い。当科ではマイクロでなくライト付き拡大鏡を使い精度の高い手術を行うことで成功率90%以上です。
 2017.4現在、筆者は複数の病院でマイクロや拡大鏡を使ったりの手術を行っているが、マイクロを使えば確かにエラー防止に役立つが、マイクロを使わなかったために失敗した、使ったから成功したという経験はしたことはない。マイクロに頼らないこだわった職人技の手術をすることで成功率95%は可能である。マイクロ・MTA歯根端切除術は逆根管だけを治療対象としている。一方、SB歯根端切除術は逆根管以外に副根管、根管穿孔、根尖炎症性吸収、感染歯質、小亀裂など治療対象は広い。
 手術は成功をイメージして行う。そして次を見据えた、万一再発した場合には原因はここだと予測し、次の再発治療を考えた手術を行う必要がある。再発した場合の準備をしておくこと。そうすることで徐々に再発が少なくなっていき成功率は高い。
_____________________________
注意、一部手術中の写真があります。
img_20120102-051141.jpg


img_20230922-101939.jpgimg_20260629-133040.jpgimg_20260629-133127.jpgimg_20260629-133145.jpgimg_20260629-133206.jpgimg_20260629-133217.jpgimg_20260629-133226.jpgimg_20260629-133234.jpgimg_20260629-133242.jpgimg_20260629-133251.jpgimg_20260629-133301.jpgimg_20190824-014727.jpgimg_20190824-014759.jpg
img_20190824-014811.jpgimg_20190824-014825.jpg
img_20120102-050816.jpgimg_20120102-050658.jpg
___________________
MTAでは成功しない難症例をSB接着セメントで救う。成功率90%以上の理由とは。
歯根端切除術の成功・失敗を左右する最も大きな要因は、根尖切断面にあり細菌感染源が残っているか否かです。それは根管と歯根歯質に分類できる。再発の原因のほとんどは根管に細菌繁殖部が残っているためで、逆根管充填の有無と充填材の選択が重要である。
 つまり切断面根管での細菌繁殖を断つには、安全で辺縁漏洩のない適切な逆根管充填材を使って根管を完全封鎖することである。 逆根管充填をしないという選択は論外の話で、私には成功を放棄したとしか思えない。この方法で80~90%ぐらいの成功率は達成できると思う。
 
では根管を完全封鎖すれば全て治癒するかと言うとそうはいかず、その場合の再発原因は根管だけでなく歯根歯質にある。つまり感染象牙質や感染セメント質が細菌繁殖部となって残っているからである。これを見分ける視診と触診、経験が重要となる。このような難症例には、根尖切除量を多くし切断面を広く杯状に形成したうえで歯質接着性セメントで被覆充填することで成功の可能性が出てくる。従来はこの感染歯根歯質の考え方はなかったため再発原因不明で抜歯されていたと思う(知らないDrは今も)。
 術者は成功率90%を超えるためには細菌繁殖部が根管内だけでなく、切断面の感染象牙質や感染セメント質にあることを理解しなければならない。この理解なしではたとえマイクロを使用しても90%を超えるのは困難だろう。また切断面に金属コアが露出する場合は、逆根管充填が不可能なため従来は適応外であったが、歯質金属接着性セメントを応用すれば成功するようになった。
 マイクロ、MTA逆根充の成功率は
90%以上と報告されているがこれは二次症例や大きい嚢胞症例は成功率が低いので除外されている。この成功率が低いのは上記の理由であると思っている。
 このように適確な診断と新しい考え方、接着性セメントを応用することで、従来よりも適応範囲が広がり手術の成功率も高くなっている。あきらめて抜歯していた歯が残せることを広く知って欲しいものです。残念ながらMTAセメント逆根管充填だと、窩洞が浅かったり皿状で広く薄かったり感染歯質の問題がある場合には、脱離や辺縁漏洩の問題で行っても成功しないだろう。この術式が追加されるならば成功率は90%を超え、95%ぐらいにはなるだろう。(2016.10.7.椛)  

マイクロスコープを使うのは有用だが、逆根管だけを見るのに使うなら「宝の持ち腐れ」です。マイクロを使っても知識がなければ見えているのに見えないものがある。それが感染歯質です。切断面に感染歯質や微小亀裂、セメント象牙境白線(亀裂)があればマイクロで見えているはずだがMTAでは対処できず治せない。だから治せないものはマイクロでは見えないことになる。マイクロ・MTAを使えば成功率が90%以上というDrがいるが、これらの難治原因症例は意図的に分母に入れてないと思う。MTAでは治せない、再発例や逆根管形成困難な難症例、3㎜ルールができない難症例にも対応できるのが以上の術式とご理解ください。

<切断面に感染歯質​が発見した場合>
1.診断法
2.カーバイドバーで切断面をさらに削去する。切断面をお皿状に削去する。メチレンブルーで確認する。まだしたことはないがサホライド(フッ化ジアミン銀)を塗布する。接着セメントで切断面を広く被覆し根管を完全封鎖する。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−
くどうしてSB歯根端切除術は成功率が高く、適応症が広いのか?
MTAとSBの適応症の違いは狭い・広い。
SB接着セメントは可能だがMTA充填セメントは適応症にならないケースとは。
1.歯根切断面に金属土台が露出して逆根管形成困難な場合。逆根管窩洞が浅い場合。
2.副根管、穿孔。その部に穴を開けてSB充填するか、その部を含めて斜めに根尖を切除して楕円形の窩洞形成をする場合。
3.根尖破壊や歯根の炎症性吸収の場合。切断面を広く接着被覆充填しないと治せない。
4.感染歯質があれば除去して接着被覆充填する。
5.歯根尖の1/3以内の亀裂や切断面の微小亀裂。SBは液状なので亀裂に流して封鎖できる。
6.イスミスやフィンの溝形成が細く浅い場合。MTAでは脱離してしまうがSBなら接着充填できる。
●大きい違いは、SBは接着性セメントであり充填後に完全硬化する。そのため逆根管を完全封鎖できること。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
接着性レジンの逆根管充填への応用 

 

菅谷 勉  北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助教授 

根管が汚染されたまま逆根管充填する場合、根管内の汚染物質が根尖歯周組織に漏洩しないように封鎖することが必要である。そこで、まず4-META/MMA-TBBレジンとセメント質の接着を検討した結果、セメント質にも象牙質と同様に接着し、接着耐久性も象牙質より優れていることが明らかとなった。次に、根管内に色素を注入して根尖周囲に漏洩する色素量を定量した結果、アマルガムや強化型ユージノールセメントによる逆根管充填では色素が漏洩したが、4-META/MMA-TBBレジンによるroot-end sealingでは漏洩がなかった。さらに、ラットを用いて4-META/MMA-TBBレジンの重合条件と生体親和性を検討した結果、空気中で硬化したレジンは炎症を誘発するが、空気を遮断したり硬化後に表面を研磨した場合には炎症がほとんど生じなかった。また、ビーグル犬を用いて実験的根尖性歯周炎を作製し、根管を汚染したままアマルガム、強化型ユージノールで逆根管充填、4-META/MMA-TBBレジンでroot-end sealingを再植法で行って、根尖歯周組織の治癒状態を検討した。その結果、アマルガムによる逆根管充填では根尖歯周組織に骨吸収が認められ、強化型ユージノールによる逆根管充填や4-META/MMA-TBBレジンによるroot-end sealingでは骨の再生が認められ、とくに術後4週では4-META/MMA-TBBレジンの方が骨再生量が多く治癒が早いと考えられた。また、さらにニホンザルに同様に根尖性歯周炎を惹起し、歯根端切除術で4-META/MMA-TBBレジンによるroot-end sealingを行った結果、骨が再生してほぼ正常な歯根膜幅に回復した。以上の結果から、4-META/MMA-TBBレジンによるroot-end sealingの有効性が明らかとなった。
 

[PDF]4-META/TBB MMAレジンによる歯根の接着治療 - HUSCAP - 北海道大学

eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/57059/1/35-01-2tokusyu.pdf
川浪雅光 著 - ‎2014 - ‎被引用数: 1 - ‎関連記事
合力にたいして十分耐える接着力とはならず,短期間で再. 破折を起こすので不適切と考えている. イヌを用いた破折歯の口腔外接着・再植治療では,炎症. やポケット深さの減少が確実であるが,口腔内(根管内か. らの破折線の)接着治療は破折間隙の接着封鎖が不確実で,. 炎症の改善の見られない場合が多いが(図11,12),これ. 手術方法. 完全治癒 瘢痕治癒 不確定治癒 失敗. 歯根端切除(45歯). 66.7(%) 22.2. 6.6. 4.4. 再植(26 歯). 69.2. 23.1. 3.8. 3.8. スーパーボンドC&Bによる. Root-end Sealingの臨床 ...

 


歯根端切除術の実際は10mm前後の手術野で行う作業になり、メスで歯茎を切開して剥離しエンジンバーで骨を削って穴を開け、エキスカと鋭匙で嚢胞を摘出、バーで根尖を切断、エキスカで根尖裏側の残存した病巣をガリガリと除去、超音波チップで逆根管を形成、出血部位を確認、止血用ガーゼを詰め込む、窩洞に血液が入らないよう注意して薬液処理と洗浄・乾燥、そして逆根管充填、術野の洗浄、をし歯茎をもどして縫合します。このような煩雑で細かい手作業を手際良く行うには、マイクロスコープ下では困難で、ライト付き拡大鏡を使用した方が正確な手技が行えます。

149.歯性上顎洞炎の治療は原因歯の抜歯だが、歯根端切除術で歯を残す。 
この術式はブログ149.に詳しく書きました。
______________________


<歯根端切除術の器材>                 笠崎お勧め器材 2023.3.

(歯科:KOデンタル)(医科:※イノメディックス042-577-1088

・ • 骨削除バー    (松風)JETカーバイドバー HP.4ラウンドバー

    • 根尖切除バー (松風)JETカーバイドバー HP.1172(太目横目なし)フィッシャーバー 

  • 研磨用バー  (エメスコカーバイドバー  HP.171.HP.57 (細目横目なし)フィッシャーバー 

       切断面を皿状に削るのは上記のHP.4ラウンド、
    切断面の金属ポスト削除はFG#440SS

• 亀裂溝形成バー (Ci) TC-11EF#5653.エクストラファインを5倍速コントラで使用する。イスムス、フィンにも使う。        

・ • 骨膜剥離子 (YDM)が良い。Ciメディカルのは似ているが雑で駄目。
  • 嚢胞剥離    (KOデンタル)エキスカベータ#1(YDM) エキスカベータ#1.  3400円。大き目が良い

・ • 歯根の肉芽除去  (Ci)エキスカ#36567.先直径1.8mm.1138円 #36566.先1.2mm.1138円。お椀状が良い。
  
(ヒューフレディ) EXC186.4300円。(日本歯科工業)エキスカRE-015.1.5mm3700円(Ci)エキスカ#36649.先直径1.5mm.1360円これも使い易いが持ち手のシリコンがヌルヌルになってダメ。
 #13854.先1.6mm2560。#13853.1.3mm2560円。

・ • マイクロミラー (ヨシダ)メガマイクロ 3×6mm長方形 +ホルダーはCi:アトリアミラーホルダー、インターナショナル青。
     (ci)マイクロミラーDen 3x9mm長方形 2760円

• ダイヤモンド付き超音波チップ(逆根管形成用)

   (スプラソン、白水貿易)アピカルサージェリーチップがお勧め。
     
AS3D(前歯用先3mm). ASLD(臼歯用左上右下). ASRD(臼歯用右上左下). AS6D(前歯用先6mm)この4本あればOK.

   (ナカニシ、バリオス970)E32D 。E30RD.臼歯用右上。E30LD.臼歯用左上。前歯用は良いが臼歯用は先細過ぎてダメ
       (
マルチピエゾ、東京歯科産業):前歯用 RD3、  臼歯用 RD4 ・ RD5。太さパワーが良い。
   (オブチュラスパルタン社. 茂久田商会KIS-1D。臼歯用あり。EMS用とスプラソン用がある。
               ネックが長いので使いづらく折れやすい。ダメ
       (
オサダエナック)ST37-90DDはダイヤモンド付きで特注、 発注して3か月)ダメ。
       
(ピエゾ、松風EMS): ベロッティチップ。細いブローチタイプで先端に力が入らず上手く形成できないのでダメ
               

• ハサミ  Ciハサミ曲#16503. 343円 イノメディックス)眼科用ハサミS-211  ※(イシズカ)眼科用ハサミ#6

• 有鈎ピンセット   (楽天市場先細外科用有鈎ピンセット13cm(先幅1.4mm1233円お勧め。Ciのは先が大きくてダメ。
   アドソンピンセット#16131:12.2cm.1720円。 

• 持針器ヘガール型14cmが良い。Ci.#16154.長さ14cm 2980円安いが先が雑な場合があれば交換する。 
      
エースクラップ)ヘガール:BM065R 15cm.15000円。
(ヒューフレデイー)NH5038. 15cm.24500円。
 
• メス:15番円刃刀 ci108865 No.15C   湾刃刀 108863 No.12    止血ボスミン液:第一製薬  

• 鈎:(YDM)L鈎.先端が滑りやすいので薄くしてギザ加工する。良いのがないので自家製

• 針付縫合糸 (Ci)シルカム#117688.16mm角弱弯針5-0絹糸36本9380円(前歯小臼歯用)。(Ci)エルプ#7068.18mm角弱弯針4-0.10本.2880円(大臼歯用)。針付きソフロン縫合糸#15764.14mm角弱弯5-0.10本.3890円。
Ci     
※(河野製作所)クラウンジュンNBX035A
  ( GC )ソフトレッチ
5-0(ソフトナイロンで良いが価格高い)
      
(ベアー)SP17V05N-455-0黒絹糸、弱弯針) スパチェラ針15mm弱弯針 5-0ナイロン糸。

 • 糸のみ (秋山製作所)ソフトナイロン5-010本入り。
        
(エチコン、ジョンソン&ジョンソン)5-0黒絹糸         

 • 口腔外科三角穴ドレープ:  (竹虎)三角穴ドレープEX.10枚入り
•       KOデンタル. リブドゥコーポレション)SB-6070-12、滅菌5枚入り×40袋=20028000円ぐらい
     (イノメディックス. リブドゥコーポレション)滅菌5枚入り計200枚
22500円.

• サクションチップ外科用(細タイプ)
Ci外科用サクションチップ細:#37567.1210円。中#37566が良い:#37566のチップ先にCR黒シリンジ先を
付けると細かい出血を吸引できる。(アデント)
3本入り定価10500円(細:ヨシダ用)も良い。          

• 洗浄シリンジ  :CRシリンジ先が余っているので流用。20mlディスポ注射器に付ける。
         (エムエス)パイロゾン針ルアロック21G
• ピンセット  Ci#31472.1100円(ダイヤモンド付きでペーパーポイントをつかみやすい)。

• ペーパーポイント 50号を4mmに切っておき、逆根管窩洞のエッチングや吸水に使う

• 窩洞乾燥用スプレー 電気店のカメラ部でカメラレンズクリーナーと、21G注射針を改良して作る

• スーパーボンド: (サンメディカル)粉はラジオぺーク(筆積み用と混和用). クイック液、SB筆はLが使い易い。
   EXは流れが悪くシリンジでは使えない硬化が遅いのでダメ。エッチングは液状グリーン

 
• SB逆根管充填注入用:
    ・ディスポ注射器
1mlCi)#44192 が良い。空気が入りにくい。
        ・ciフラットエンドニードル 25G:19247. 23G:19243  
   ・セントリック社CRシリンジ・マークⅡ+ノズル:(サンメディカル)スーパーMTAペーストの透明ノズル先を
    曲げて使うのもいい。
 
• 拡大鏡:(テラサキ、アマゾン通販)メガビュースリムN。メガビュープロ、LED-N

LEDライト:(Ci#100411. 21800円。クリップで取り付けるタイプ. 明るく調整可.
         拡大鏡(キクタニ)スコープライトはお勧め、ライト付きは暗いからダメ。アマゾン:LEDセンサー付きヘッドライト。
   
• ゴム手袋 CiラテックスS#13356      • ガーゼ Ci#15338は4層。患者さんに咬んでもらうと楽。
   • メチレンブルー染色液(1%武藤化学)。ciクラック検知液は0.15%で薄くて使えない。0.75%がいい。

    _______________________


このページは、私が考える成功を目指す歯根端切除術の術式を書きました。特に診断や術式には分析が重要であり、
4000人を超える手術の30年間の検証から学んだことをもとに詳しく述べました。
それを何年も続け経験することで、分析でなく本能で成功する手術ができるようになると思います。
kasazaki.2023.3.1.

<根尖孔が大きい場合のGP根管充填法>
ガッタパーチャを試適して、適合が甘かったり、アピカルシートが適切にできなかったり、タッグバックが得られない場合があると思う。この場合に根尖孔を適切・緊密に根管充填する方法を記載します。
 GPを試適した後、右手ピンセットでGPをつかみ、左手ストッパーをつかみ先をバーナーで熱し、GP先に熱したストッパー先を0.5mmまで近づけ1秒間。こうしてGP先だけを温め軟化した後、根管に試適しグーと圧してから2回トントンと叩いて根管孔の型を取る。そして根管から引き抜いて、右手ピンセットを離すことなく方向を変えることなく、根充材ペーストをGPに付けて根管充填する。こうすることで緊密な根管充填ができます。2020.9.28.

<上顎6番の歯根端切除術について>
上6番について(前から数えて6番目、奥から2番目、第一大臼歯)
上6番の歯には3本の歯根があり、頬側に前方根と後方根、そして裏側舌側に口蓋根がある。歯根端切除術は頬側からアプローチするので頬側の2根は可能だが、口蓋根は骨奥深く歯根先が見えないのでできない。言い換えると口蓋根に病巣がなければ上6番の歯根端切除術は可能で成功率は高い。そのためには歯科レントゲンとCT画像で、どの歯根のどの場所にどんな原因があるかを診断することが重要となる。

<頻度多いパターンを知る>
上6番の根管治療の不良は頬側前方根の場合が多く、その3大原因は以下で画像診断と術中解明が求められる。
根管の湾曲や閉鎖:歯根(根管)が後方へ湾曲、あるいは閉鎖し治療器具が根管先端まで入らない、湾曲部で穴を開けてしまう(穿孔)、根管ステップを作ってしまうことがある。その場合、根管先に汚染部が残って適切な根管治療ができない。
第4根管(MB2):頬側前方根は通常1根管だが2根管ある場合がある(約50%)。近心舌側根管(第4根管、MB2)と言い、根管が非常に狭窄しているため発見は困難で根管治療は難しく、それが原因で根管治療不良が起きる。
歯根間の中隔への根管穿孔:頬側前方根の中央部を水平断面で見た時、歯根がソラマメ型に陥凹(中隔側に向けて)している場合がある。根管壁が薄いため根管形成時に穿孔やストリップ穿孔を起こし易く、根管治療は不良となる。
 
上6番の歯根端切除術は口内後方のため術野は狭く、歯根も複数あり止血処置や逆根管充填は大変で、上6番の手術は行わないとするDrは多い。他病院で上6番の歯根端切除術はできない、抜歯するしかないと言われたがあきらめ切れずに受診される患者さんは多い。Q.歯性上顎洞炎で抜歯と言われたが、上6番.歯を残すことは可能ですか?
上6番の手術を行う場合は、CT画像チェックして歯根や根尖病巣が上顎洞に及んでないか、そして術前・術後の歯性上顎洞炎に注意しなければならない。上顎洞自然孔チェックや上顎洞陰陽圧試験などの口腔外科耳鼻科的知識、歯性上顎洞炎の治療経験が必要である。症例14 ブログ208.
 

根管治療が不良な原因:近心根が多い。
①根管が弯曲している。
②根管が閉鎖している
③第4根管(MB2)が存在するが治療されていない。上6番は3根管が多いが、第4根管が近心根管の口蓋側に約50%の確率で存在し感染源となっている場合がある。
④近心根根管の中隔側で穿孔やストリップ穿孔が生じている。
⑤歯根肥大があり、肥大部に一致して根尖病変があれば壊死(感染)セメント質の可能性が高い。
⑥口蓋根はできないが近心頬側根と遠心頬側根は可能。つまり口蓋根尖に病変がなければ可能でありCT検査が有効である。
⑦いずれにしろ上顎6番においてはCT検査は非常に有効で、根尖病変、第4根管、穿孔、6番根尖と上顎洞との関係、上顎洞病変、自然孔をチェックする。

上6番の歯根端切除術の特徴:
①切開線。A:基本はワズムント切開線。5番遠心歯肉と7番近心歯肉に縦切開、歯肉縁切開。B:歯根が長く根尖にのみ病変がある場合は、例外的にパルチⅡ切開線。
②上6番のオペ患者さんの体位は背板は120°、顔を横にする。術者は9時位置。
③エンジン切削バーを使って骨削除開窓、根尖切除、嚢胞摘出。
④切断面のチェックが重要。根管だけでなく感染歯質(壊死セメント質、感染象牙質)、微小亀裂、イスムスをチェックする。逆根管専用のダイヤモンド付き超音波チップで、根管内の汚染部を全て除去する。SB接着性セメントを筆積み法や、混和法で専用シリンジで根管に流し込む。
⑤第4根管があればMB1とMB2をつなげてイスムスとして治療する。
⑥上顎洞病変があれば摘出。必要性あれば細菌検査や病理検査を行う。

上顎6番の歯根端切除術はできますか?はい。
当院では2022年度、上顎6番の歯根端切除術が非常に増加している。上顎6番であっても適確なCT診断のもと積極的に手術を行っていて、そのネット情報が広まった結果かもしれない。上顎6番の歯根端切除術は口腔内後方のため術野は狭く、歯根も複数あり、止血は困難、逆根管充填も大変で、さらに上顎洞炎のリスクもある。そのため上顎6番の手術は行わないとするDrは多い。どういった場合に上顎6番の歯根端切除術はできるのか、できないのかを詳しく述べてみたい。

<上顎6番の歯根端切除術について>
1.上顎6番の歯には3本の歯根があり、頬側の前方根と後方根、そして内側根である。手術は頬側から行うので頬側2本はできるが、内側根は骨深過ぎて歯根先が見えないので不可能。つまり上顎6番は、内側根に病巣がなければ歯根端切除術は可能ということです。デンタルレントゲンに加えてCT画像での確認が有効となります。
2.上顎6番の根管治療が不良な3大原因とは、
①頬側の2根、特に前方根の歯根先1/4の根管において湾曲や閉鎖があって、治療器具が根尖孔まで入っていかず、感染源が残ってしまう。
②頬側前方根の根管は通常1つだが、その約1mm内側にもう1つ存在することがある。通称、第4根管と呼ばれている。第4根管は非常に狭窄しているため発見や治療は困難で、感染源となっている。
③頬側前方根の形態において、①で述べたが後方へ湾曲していて、さらに歯根の中央付近でそら豆状に窪んでいる場合がある。こういった根管は治療器具で拡大時に窪んでいる部の根管歯質が薄いため穿孔(横に穴を開けてしまう)あるいはストリップ穿孔を起こしてしまうことがあり、感染源となる。

<下顎6番の歯根端切除術について>
②下6番について
(前から数えて6番目、後ろから2番目)
3本の歯根があり、前方頬側根と前方舌側根、後方根です。後方に2根あって全体で4根の場合もある。下6番は術野が狭く歯根先が良く見えず、止血処置は大変ですがきちんと逆根管充填することが大切です。CT画像で歯根数、根尖の位置、下顎管の位置をチェックする。根尖病巣が下顎神経と近接している場合は、神経損傷による知覚麻痺に注意しなければならない。
 下6番の根管治療不良は前方歯根の場合が多く、原因は●根管の湾曲や閉鎖 ●歯根肥大し根管閉鎖や感染歯質を認める ●歯根間中隔への根管穿孔、と筆者は経験している。根管穿孔は術者のテクニックエラー(根管深く切削バーを使ってはいけない)で起きることが多いので注意が必要。詳しくはこちら
 4根の場合、例外的に後方舌側根が舌側へ開大して根尖が骨深くに位置していることがある。その場合は後方舌側根の歯根端切除術はできない。そのためCTチェックが重要。その場合は3根は歯根端切除術をして後方舌側根は切除抜歯して歯を残すこともある。 
 大臼歯の手術において患者さんは唇を強く引っ張られて、術者は腰・肩・目が引きつって大変です。でも苦労してでもこの歯が残った場合にはその価値は非常に大きく、患者さんの満足と喜びは大きい。筆者は積極的に奥歯の手術を行っている。

<下6番の歯根端切除術について>
根管治療が不良な原因:
近心根が多い。
①根管が弯曲している。そのため器具が根尖まで入らず根管治療できない。弯曲部でステップを作ったり根管穿孔している。
②根管が閉鎖している。根尖まで穿通できず根管治療できない。レントゲンで肥大根を呈していれば根管内が石灰化して閉鎖している場合が多い。
③根管の中隔側で穿孔やストリップ穿孔が生じている。フャイルや根管形成バーで根管を拡大し過ぎると穿孔の偶発症が起きる。下6番の歯根をCT水平断で見るとコンケイブタイプ「凹そら豆型」が多く、中隔測への根管側壁は薄く穿孔し易い。
④歯根肥大があり、肥大部に一致して根尖病変があれば壊死(感染)セメント質の可能性が高い。根管が感染源ではないので根管治療では治らない。
⑤根管数を少なく見誤ったエラー。下6番は3根管が多いが、4根管と思って治療に入っていかないと見つかる根管も見つからないで根尖病変が治らないことになる。

下6番の歯根端切除術の特徴:
①切開線。A:基本はワズムント切開線。5番遠心歯肉と7番近心歯肉に縦切開、歯肉縁切開。B:歯根が長く根尖にのみ病変がある場合はパルチ変法笠崎切開線。228参照
②術者は9時の位置、カーバイド・ラウンドバーNo4.で骨削除し開窓、嚢胞摘出。
③下6番のオペで重要なのは体位。患者さんを水平体位、顔を横向きにして、12時の位置からストレートエンジン切削バーを使って根尖切除。
④切断面のチェックが重要。根尖を覗き込むように、マイクロミラー(ヨシダ:7x4mm)を使って詳細に確認し、根管だけでなく感染歯質(壊死セメント質、感染象牙質)、微小亀裂、イスムスをメチレンブルー染色液でチェックする。専用のダイヤモンド付き超音波チップで、逆根管内の汚染部を全て除去する。必要なら切断面に皿状形成する。SB接着性セメントを筆積み法や、混和法で専用シリンジを使って根管に流し込む。
⑤歯根端切除術が成功するには、1.画像診断 2.術中に感染源を探し出す 3.逆根管充填材にSBを使用する、が重要だと思っている。

プロフィール

プロフィール画像
笠崎安則:略歴
愛媛県松山市出身.1976年東京歯科大学卒業.慶応大学病院歯科口腔外科(13年間). 立川病院歯科口腔外科部長(27年間). 慶応大学医学部歯科・口腔外科(非常勤講師). 現在: 国立スマイル歯科,斎藤歯科にて歯根端切除術と再植術に特化した専門治療をしています.
笠崎真悟:略歴
東京都国立市出身.2010年東京歯科大学卒業.慶応大学病院,国立栃木医療センター,日野市立病院,都立多摩北部医療センター歯科口腔外科. 現在:2021.10/1から国立スマイル歯科、歯根端切除術とインプラント、親知らずの専門病院を開設しました.

アーカイブ

2016年
2015年
QRコード
携帯用QRコード
アクセス数
ページビュー数