▲ TOP

HP管理者

       img_20140604-205747.jpg
                    マリメッコ、自作のファブリックパネル(37×37cm)
名前:笠崎真悟
略歴(職歴)
東京都国立市出身。
2010.東京歯科大学卒業
慶應義塾大学医学部 歯科・口腔外科学教室に入局
国立病院機構 栃木医療センター歯科口腔外科
日野市立病院 歯科口腔外科
国家公務員共済連合会 立川病院歯科口腔外科
慶應義塾大学病院 歯科・口腔外科に帰任
多摩北部医療センター 歯科口腔外科
渋谷マークシティ酒井歯科室
国立スマイル歯科を開設、院長。
現在に至る。

 

               
予後の良い歯根端切除術
                               立川病院 歯科口腔外科  
                                  [親知らず(智歯)の抜歯]は こちらから
                           [歯根端切除術の相談コーナー]は こちらから
 当科では年間約140例の歯根端切除術を専門的に行っていて、手術成功率は90%以上で良好です.インターネットで歯根端切除術を検索すると悩んでいる方が非常に多くいらっしゃると知り、 治療の上でお役に立てると確信していますので、是非ご相談下さい。
歯根の先に膿の袋ができて、歯ぐきが腫れたり痛みがある場合、 治療法として根管治療(歯の根管の中の腐った神経や汚れた象牙質を除去し、消毒薬を入れる)を行うことで治癒に向かいます.しかし、かぶせた冠や根管のつめものが除去できない、根管が曲がっているなどで根管治療ができなかったり、 予後が不良な場合には歯根の手術をすることで抜歯せずに助けることができます。
この手術は歯根端切除術と言って歯肉を切開し、骨に小さな穴を開けて膿の袋を取り除き、マイクロミラーで原因を究明し、原因である歯根の端を1から2mm切断します.そして超音波ダイヤモンドチップで逆根管充填窩洞を形成した後、安全性の高い接着性セメントを流し込み細菌の繁殖部を閉鎖、歯肉をもどして縫合します. 必要によって、歯根の亀裂などを確認するために、マイクロスコープを使って手術をする場合もあります。手術時間は約1時間です。
予後について、当科の手術成功率は90%以上で良好です. 再発はまれにありますが、その原因は歯根そのものが腐っている場合や、歯根に亀裂や破折がある場合などです. 予後をチェックして抜歯にならないために、手術の1、2、3年後に経過観察のため来院していただきます。病巣の再発がないか、歯根のまわりに正常の骨が再生されているかなどをチェックします。
当科では可能な限り根管治療を優先し、不可能や予後不良の場合にのみ歯根端切除術を行います。手術した症例を紹介しますが、ほとんどの患者さんはこのように良好な経過をたどります。
  注意 : 一部、手術中の画像がございます。

症例1

 女性20才 左上2番の歯痛、歯肉の腫れと痛みは著しい

術中
歯根嚢胞は大きく骨欠損の範囲は広い.原因は歯根が屈曲していて根管治療が適確に行えなかったためである.マイクロミラーで根尖を精査したのち、2㎜切断しスーパーボンド・ラジオペークで逆根充を行う.
術前 術直後
1年後.根尖病巣は消失し症状は全くない
2年後.感染の細菌培地をなくすことで、どんどん骨は再生される.
3年後.病巣部は正常骨で満たされ再発もなく安定している.根尖部には歯槽硬線が出現している.人工膜や人工骨は使っていない.

症例2

女性37才 15年前にブリッジを装着したが2年後に歯肉の腫れや痛みがあり、大学病院口腔外科で右下4番の歯根端切除術を受けるが再発した.

 

 
右下4番の歯肉から膿がでる. 術前.根尖病巣は大きい. 歯根嚢胞を摘出し根尖をミラーで確認するとアマルガムで逆根充されていた.
アマルガムを除去した後、超音波ダイヤモンドチップで窩洞形成し、スーパーボンド・ラジオペークで逆根充した.
   
術直後 1年後 2年後.根尖病巣は全く消失し、正常な骨が再生している.歯肉の腫れや排膿はなく経過良好である.
 

症例3

女性45才 左上1番の歯肉の腫れと排膿、圧痛、打診痛がある.
術前.左上1番の歯肉に腫脹と排膿.
きれいに根管充填されているように見えるが根尖病巣が認められる
術中.根尖1㎜の場所に副根管がみつかり、これが原因と思われた.
術直後.根尖を1.5㎜切断し、超音波ダイヤモンドチップで窩洞形成した後、スーパーボンドで逆根充をした.
1年後.歯肉の腫れや痛みは消失している.
1年後.X線写真でも根尖病巣は消失し、※歯槽硬線もみられて経過良好である.

症例4

女性27才 左上2番の歯肉に腫れと痛みがある
術前.左上2番の歯肉に腫脹と痛み.
根管充填はきれいにされているが、根尖病巣は大きい.根管治療不良の原因は何だろう?
歯根嚢胞を摘出し、根尖を1.5㎜切断したのち切断面をマイクロミラーで見たところ、亀裂を認めた.
超音波ダイヤモンドチップで形成し接着性セメント(スーパーボンド・ラジオペーク)を逆根充した
術直後
1年後.根尖病巣は消失し、正常な骨で再生されている.歯槽硬線も出現し経過良好である.

考察

 根尖病変が生じて歯肉に腫脹や痛みが出現した場合の治療は、適確な根管治療と緊密な根管充填であることは言うまでもありません.この治療によってほとんどの根尖病変が治癒に向かうが、数%の歯においては根管が閉鎖していたり、曲がっていたり、根尖が破壊していて根管治療が行えず、歯を助けるために歯根端切除術が適応となる.
 他医院で歯根端切除術を行い予後不良で来院される患者さんを検討してみると、失敗の原因のほとんどは逆根管充填の不備であることが分かった.逆根充材に求められる条件とは、1)細胞毒性がない、つまり安全であること、2)根管を封鎖するために象牙質との接着性があること、3)経年的に材質が安定していることである.現在、多くの歯科医院や病院歯科口腔外科では逆根充材にアマルガムやEBAセメントを用いているが、1)2)の点で劣る.これらの材料では根尖部における異物反応や根管封鎖不良による細菌感染のため炎症が生じ、歯肉の腫脹や疼痛が出現してしまっている.
 1)2)3)の条件を満たすものとして4META/MMA・TBB接着性セメント(スーパーボンド)が挙げられる.この材料は脳外科や整形外科で用いられる骨セメントと同種の物であり、医療用材料として安全なものである.しかしながら手術中の止血処置や硬化時間が長いなど、操作性が悪く歯根端切除術への応用が困難であった.困難ではあるがさまざまな工夫や器具を改良して手術を行い、長期に経過観察することでやっと予後の良い歯根端切除術を完成することができた.当科では1992年から歯根端切除術の逆根充材としてこのスーパーボンドを応用し、年間約140例の手術を行っていて、長期予後経過観察で90%以上の成功を収めている.
 供覧した症例1から4は特に成功例を選んだものではなく、ほとんどの患者さんがこのような良好な経過をたどる.症例4のような歯根の亀裂の治療は非常に困難で、再根管治療では治すことはできず歯根端切除術が適応です.また逆根管充填材として従来のアマルガム、EBAセメント、MTAセメントなどは亀裂に対して流し込めず細菌の培地を閉鎖することはできない.その点で安全性が高く、接着性に優れたスーパーボンド・ラジオペークが良いと考えている.
 マイクロミラー、手術用マイクロスコープ、超音波ダイヤモンドチップ、スーパーボンド・ラジオペーク、私の考案でこの手術のために開発したスーパーボンドクイックなど、器具や材料を駆使しての最新の歯根端切除術を行い、長期に経過観察することで予知性の高い治療が行えると確信しています.当科では歯根端切除術のプロトコールを作成して全症例の資料を残し、長期に経過観察を行っています.一人でも多くの患者さんの1本の歯を抜去することなく助けることができれば幸いです.
 

歯根端切除術の失敗で困っている方へ

 失敗の原因のほとんどは逆根管充填の不備によるものです.従来のアマルガムやEBAセメントは細胞毒性が少なからずあったり、細菌の繁殖を防ぐための根管封鎖の点で劣り、炎症が生じて歯肉の腫脹や痛みが出現し予後不良になったと考えられます.また歯根切除のみで終わっている場合も同様です。
 治療としては、根尖が切断され逆根管充填窩洞が形成されているため、通常の根管治療や緊密な根管充填は行えず、そのため歯を助けるには残念ながら再手術を行うしかありません.再手術をしてアマルガムなどを除去し、マイクロミラーで根尖を確認して原因を究明、スーパーボンドを逆根充して細菌が繁殖しないように根管を完全に封鎖することで治癒へ向かいます(症例2参照).ただし再手術で全ての歯を助けられるわけではありません.数%は歯の破折や歯根そのものが腐敗していて、再再発し抜歯になる場合もあります.インターネット検索で歯根端切除術の予後不良で苦しみ悩んでいる方が多いと知り、根管治療を行えない歯については、予知性の高い、予後の良い歯根端切除術を行えるよう努力していきたいと思っています.
 

プロフィール

プロフィール画像
笠崎安則:略歴
愛媛県松山市出身.1976年東京歯科大学卒業.慶応大学病院歯科口腔外科(13年間). 立川病院歯科口腔外科部長(27年間). 慶応大学医学部歯科・口腔外科(非常勤講師). 現在: 国立スマイル歯科,斎藤歯科にて歯根端切除術と再植術に特化した専門治療をしています.
笠崎真悟:略歴
東京都国立市出身.2010年東京歯科大学卒業.慶応大学病院,国立栃木医療センター,日野市立病院,都立多摩北部医療センター歯科口腔外科. 現在:2021.10/1から国立スマイル歯科、歯根端切除術とインプラント、親知らずの専門病院を開設しました.

アーカイブ

2016年
2015年
QRコード
携帯用QRコード
アクセス数
ページビュー数