筆者の歯根端切除術100症例
<歯根端切除術の治療100症例>
根管治療をして治らないからと、あきらめて抜歯しないで下さい。歯根先の病変であれば歯根端切除術を行うことで90%以上が成功し歯が残っています。高い成功率をなすためには、根管治療不良の原因解明、感染源の特定診断、良好な逆根管充填材の選択が重要です。そして手術1年後に経過をみることです。
以下筆者の実例で根尖病変の影は消失し骨再生は明らかです。同じ症状や同じ状況で困っている方は多いと思いますので、メール相談、レントゲンを写メール下さい。手術が可能で歯が残せるかお返事します。
レントゲンで向かって右が患者さんの左側の歯となります。言葉ではなくレントゲンが示す意味は大きく、一症例一症例が根尖病変の原因や治療、予後について教えてくれています。筆者の133症例を供覧します。
一番知って欲しいのは歯科医で、大きい嚢胞があっても、奥歯でも、歯根が短くても、歯性上顎洞炎でも、抜歯ではなく歯根端切除術で歯を残せることです。筆者の想いは「抜かずに済む歯が抜かれてインプラントになるのが気に食わない」で、こだわった診断とこだわった手術で歯を残してあげたいです。
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<歯を残す歯根端切除術>
上前歯の大きい嚢胞:71 72 1.2.3.4.5 27 29 33.34 39 46 49
上下の奥歯→歯根端切除術16症例
上4.5番: 18.53.77
下4.5番: 8.9.10
歯根が短い: 17 25
感染歯質が原因: 24.25 30 38 41 44
歯根外部吸収: 24.25
歯根内部吸収: 28
隣在歯の神経温存治療:71 70 3 39 46 58
再植術: 76.77 78
歯性上顎洞炎で歯を残す →歯根端切除術
長期経過: 症例19は術後6年4か月。症例12は術後4年10か月。
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症例:47歳女性【左上2番、大きい歯根嚢胞。原因は根尖破壊】411
約15年前に左上2番の根管治療を行った。1か月前に歯茎の腫れと鈍痛を認め近歯科受診、レントゲンで大きい歯根嚢胞を指摘され抜歯を提案された。歯を残したくネット検索し来院、根管充填は良好で再根管治療では治癒しないと判断し歯根端切除術を選択した。
術中所見として扁平根、扁平根管で切断面の根管においてGPポイント唇側および舌側はスカスカで根尖破壊を認め、根管充填は不良で感染源が残っていた。再根管治療では治せない。歯根端切除術、嚢胞摘出術、根尖1.5mm切除、SB逆根管充填を行った。1年後、症状なく根尖病変の陰影は消失し経過良好で、根尖には歯槽硬線が出現し完治となった。(患者さま了承のもと掲載)


術前 歯根端切除術 1年後
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症例71:33歳男性【左上1~5番の5歯に及ぶ巨大な歯根嚢胞】隣在歯の神経温存治療
巨大な歯根嚢胞があっても歯根端切除術で歯を残して治ることを知って欲しいです。
隣在歯の神経(歯髄)温存治療の術式としては、局所麻酔下で左上2番部の嚢胞だけを縦に切離して摘出し(歯の神経は縦に走行しているため)、左上1.および3.4.5番部の嚢胞は意図的に残存させた。次いで原因歯である左上2番の根尖を2mm切除、SB(スーパーボンド接着性セメント)逆根管充填し歯根端切除術を行った。病理検査は歯根嚢胞であった。
術後、病巣の骨空洞は大きいが人工骨やメンブレン(人工膜)を使用することなく骨再生は良好であった。再発することなく経過良好で、左上1.3.4.5番の電気神経検査は正常で神経は温存された。患者さまは歯科大学口腔外科での入院・全身麻酔下で2番抜歯、1.3番の歯根端切除術を提案されていたが回避できた。
5歯に及ぶ大きい嚢胞で、鼻腔底にも及んでいたが感染源は左上2番のみであり、1歯のみの治療で病変は消失し完治した。このようなケースは歯根端切除術が第一選択であり、治る見込みのない無意味な再根管治療をしてはならない。(患者さま了承のもと掲載)
術前
歯根端切除術
2年6か月後
左上1.3.4.5番の神経は温存された
<隣在歯の神経(歯髄)温存治療>について
歯根端切除術における嚢胞摘出術は基本的には全部摘出である。ただ嚢胞が非常に大きく隣在歯の歯根先まで及んでいる場合、嚢胞を全摘出してしまうと隣在歯の神経は死んでしまう。神経が死んでしまうと変色したり根管治療を必要としたり、歯質が弱くなって歯根の亀裂が危惧される。隣在歯の神経が生きていれば生かしたまま残してあげたい。そこで神経が生きている歯に対して、意図的に嚢胞を残す隣在歯の歯髄温存治療を考案し当院では積極的に実施している。2025.12.現在、70症例以上に行い非常に良好な結果である。
この治療法は有効で患者さんにとって非常に有益であり広まることを願っている。この術式で大事なのは長期に経過を診て電気神経検査(EPT)・再発チェックし、病変部の骨再生を確認して完治まで見届けることです。
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症例87:22歳男性【右上1番、非常に大きい嚢胞】隣在歯の神経温存治療
右上1番、歯茎の腫れと痛みがあり開業歯科で根管治療を3か月間行ったが、根管からの排膿が止まらず紹介され来院した。
レントゲンで右上1.2番の2本におよぶ大きい病変を認め、右上1番の歯根端切除術、嚢胞摘出を行う。歯根先を1.5mm切除しSB接着セメントを正・逆根管充填した。右上2番は電気神経検査で+反応・正常であり「隣在歯の神経温存治療」を行い、術後の検査でも+で神経は温存され経過良好であった。病理検査は歯根嚢胞。人工骨や人工膜メンブレンを使用することなく骨再生は良好で病変の影は消失した。
右上2番の歯軸が嚢胞による圧迫のために傾斜していたが、1年後、嚢胞が消失したため歯軸が自然に直立移動したのに注目してほしい。歯ってすごいな~。(患者さま了承のもと掲載)


術前 半年後 1年後. 症状なく経過良好
右上2番の神経は温存された。
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症例92:48歳男性【右上2番、大きい嚢胞。原因は根尖部の感染歯質と過剰根管充填】隣在歯の神経温存治療
右上2番の歯茎の腫れと痛みがあり近歯科を受診、4か月間 根管治療を行ったのち根管充填をする。その1か月後、歯茎の腫れと痛みが再発、紹介にて来院。レントゲンで右上1.2番の歯根先に大きい嚢胞と思われる陰影を認め、2番根管充填材の根管外への突出が見られ感染原因となっていると思われた。
右上2番に対して歯根端切除術、嚢胞摘出術を行う。根尖切除は、通常は水平に1~2mm切るが、根尖近心部に感染歯質(腐敗)を多く認めたため、斜めに切除し皿状形成をした上で切断面を広くSB逆根管充填した。これができるのはSB接着セメントだからこそで、MTAはできない。右上1番は電気神経検査(EPT)で+正常反応あり神経は生きていたため、意図的に1番部の嚢胞を残す、隣在歯の神経温存治療を行った。
術後1年、症状なく経過良好で、大きい根尖病変は消失し歯根周囲には歯槽硬線が出現、1番の神経は温存され完治した。2番近心側の歯根膜空隙が炎症のため広がっていたが、正常になっているのにも注目してほしい。(患者さま了承のもと掲載、2026.3)
<この症例から学ぶもの>:
根管治療の限界を知り次のステップに早期に入る必要性を教えている。根尖病変の原因は根管から起きたものだが、発症原因の根管を治しても、感染培地が移ってしまっていれば根尖病変は治らないことを示している。根管を治せば根尖病変が治ると未だに根管至上主義を唱えているDrがいるのは悲しい。このような大きい嚢胞に対して歯を残すのであれば、歯根端切除術が第一選択となる。
本症例は大きい嚢胞、根尖破壊、過剰根管充填が感染原因と言えるが、最も大きい原因は、根尖部の腐敗した感染歯質にあった。感染歯質を知らずして上記の治療ができなければ、SB接着性セメントを使用しなければ成功はなかった。マイクロスコープとMTAを使っても治せない症例である。SBの恩師である増原教授、真坂先生に感謝いたします。2026.4.5


751
術前 歯根端切除術 直後 1年後.症状なく経過良好
右上1番の神経は温存された
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症例:47歳女性【右上1.2番部の大きい歯根嚢胞。原因は副根管】 282
右上2番、開業歯科で9か月前に根管治療を行い冠をセットしたが、2週間前から歯肉の腫れ痛み圧痛、羊皮紙感を認めた。
同医院に相談するも抜歯と言われためネット検索し来院。レントゲンでは右上1.2番根尖部に大きい嚢胞と思われる陰影を認めた。右上1番は電気神経検査(EPT)で+反応で正常であった。
そこで右上2番の歯根端切除術、嚢胞摘出、SB逆根管充填、右上1番の神経温存治療を行った。感染原因は副根管であった。1週間後に抜糸、右上1番のEPTは正常で神経が温存された。1年後、根尖病変は消失、歯槽硬線が出現し完治した。


術前 歯根端切除術 直後 1年後
右上1番の神経は温存された
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症例72:42歳男性【左上1.2番、大きい歯根嚢胞。根尖部の感染歯質】
左上1.2.番、歯茎の腫れと痛みがあり近歯科で約6か月間、根管治療を続ける。しかし痛み腫れを繰り返し根管からの排膿は止まらず経過不良で抜歯するしかないと言われる。ネット検索し来院。レントゲンで左上1.2.3番の3歯に及ぶ大きい嚢胞と思われる病変の陰影を認めた。当院でも根管治療を行ったが根管仮封をすると急性症状が出現し不良を繰り返した。
そこで左上1.2番の歯根端切除術、嚢胞摘出術、術中でのSBセメント正根管充填・逆根管充填を行った。病理検査は歯根嚢胞。術後2年、症状なく経過良好で根尖病変は消失し完治となった。長期間の根管治療で根管内歯質の腐敗が進行しており早めの手術決断が求められると思われた。(患者さま了承のもと掲載)


術前 歯根端切除術 2年後.症状なく経過良好
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症例82:64歳女性【右上1.2.3番、3歯に渡る巨大な歯根嚢胞。感染歯質、根管の腐敗】
約3か月前に歯茎の腫れと痛みが出て近歯科を受診、抗生剤を処方され内服。大きい病変のため歯科大学病院を紹介され受診、右上2番の抜歯を提案されたが歯を残したくネット検索して来院した。当院にて右上1.2.3番、歯根端切除術、嚢胞摘出術、SB逆根管充填を行った。右上1.2番の根管は黒く腐敗、感染歯質は広範囲であった。
術式として、根尖2~3mm切除、超音波ダイヤモンドチップで深さ7mmの逆根管形成をした後、シリンジを使用して液状のSBセメントを注入、逆根管充填し完全封鎖した。このように深い逆根管でもSB逆根管充填は可能である。だから冠や土台を壊しての再根管治療は不要である、というのが筆者の考えである。病理検査は歯根嚢胞。
2年後 症状なくレントゲンで巨大な病変の影はほぼ消失し、歯根先の切断面には歯槽硬線が出現し経過良好であった。人工骨や人工膜メンブレンを使用しなくても骨再生は良好であった。


術前 歯根端切除術 直後 2年後.症状なく経過良好
7mmの逆根管充填
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症例88:64歳男性【左上1.2番。原因は、根尖部の感染歯質】
左上1.2番、開業歯科で根管治療・根管充填を行い2か月経ったが、歯茎の圧痛・フィステル・排膿が消失せず抜歯を提案された。歯を残したくネット検索して来院、左上1.2番 歯根端切除術、嚢胞摘出を行った。
根管治療不良の原因は、根管内だけでなく根尖部の感染歯質(感染象牙質と壊死セメント質)にあった。根尖を2mm切除し切断面を皿状形成したのち広くSB逆根管充填をした。本症例のように感染歯質があれば根管治療を行っても治癒しない。しかし歯根端切除術によって治癒し抜歯は避けられた。


術前 歯根端切除術 直後 2年後. 症状なく経過良好
歯槽硬線が出現し完治
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症例60:44歳男性【原因は、根管の遠心舌側湾曲、根管充填不良】
左上2番、歯茎の腫れと痛み、フィステルがあり近歯科受診、根管治療が必要でセラミック冠を壊すと言われた。冠は2年前に入れて気にいっているため、当院に歯根端切除術を紹介依頼された。左上2番 歯根端切除術、嚢胞摘出、SB逆根管充填を行い、1年4か月後には病変は完全消失し経過良好であった。


術前 歯根端切除術 直後 1年4か月後. 症状なく経過良好
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症例61:46歳女性【右上1番。原因は、根管湾曲と根管閉鎖、感染歯質】
約4年前に右上1番、根管治療をしてセラミック冠を入れた。1か月前から歯茎の腫れを認め近歯科受診、金属土台が深く根管治療は困難でこのままか抜歯を提案された。ネット検索して来院。右上1番の歯根端切除術、嚢胞摘出、SB逆根管充填を行った。1年後、根尖病変は消失し症状なく経過良好であった。


術前 歯根端切除術 直後 1年後. 症状なく経過良―――――――――――――――――
症例83:40歳男性【右上1番の歯根嚢胞。右上2番の舌面縦溝(斜切痕)からの感染】
右上1.2番の歯肉の腫れを主訴に来院。右上2番の電気神経検査は正常。右上1番の歯根端切除術を行ったが再発。右上2番の舌面縦溝からの感染を疑い以下の治療を行った。
舌面縦溝(斜切痕)の治療:右上2番、局所麻酔下で口蓋粘膜を剥離して肉芽組織を除去、舌面縦溝を確認した。次いで超音波チップで溝を清掃しペーパーポイントでエッチング・乾燥、SB接着セメントを溝に流し込み封鎖し、口蓋粘膜を戻して縫合した。1年後、症状なく経過良好であった。舌面縦溝の治療は困難であり、根管治療不良で抜歯に至ることも多いとされているが、SBを応用することで細菌感染ルートを遮断し、根管治療をすることなく歯を残すことができた。


術前 半年後 1年後. 症状なく経過良好
歯槽硬線の出現あり完治―――――――――――――――――
症例85:55歳女性【右上2番の根管は遠心舌側彎曲し穿孔、右上1番は穿孔と感染歯質】
右上2番、開業歯科で3か月間 根管治療・根管充填したがフィステルと痛みが消失せず来院した。レントゲンでを2歯に渡る大きい嚢胞と思われる病変の影を認めた。当院にて右上1.2番歯根端切除術、嚢胞摘出を行った。右上2番の根管治療不良の原因は、歯根が遠心舌側に彎曲し唇側に穿孔していたことによる。右上2番の根尖を2mm切除、根管内の腐敗は広範囲で超音波チップで深さ7mm形成し、シリンジでSB接着セメントを流し込み逆根管充填した。経過良好。


術前 半年後 1年後. 症状なく経過良好、完治
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症例92:47歳男性【下顎前歯部の4歯に渡る大きい嚢胞。隣在歯の神経温存治療】3430ばん
高校時にスポーツで下顎の打撲経験あり。約2か月前から左下2番に違和感あり近歯科受診、レントゲンで下前歯部に大きい根尖病変を指摘され当院紹介受診となった。当院にて根管治療をするも排膿は止まらず、左下2番の歯根端切除術、嚢胞摘出術、SB逆根管充填を行った。
下顎4歯に渡る大きい歯根嚢胞であったが、左下1番と右下1番については隣在歯の神経(歯髄)温存治療を行った。術後1週間の電気歯髄検査では術前と同様に+反応あり、神経は温存され2歯の根管治療は回避された。術後1年、根尖部の病巣骨空洞への骨再生は良好で、症状なく経過良好、完治した。患者さまの喜びは大きく、紹介医に感謝です。2025.11.28.(患者さま了解のもと掲載)


初診時 歯根端切除術 直後 1年後. 症状なく経過良好
左下1番、右下1番の神経は温存された。
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症例86:56歳女性【左下1~3番の3歯に渡る大きい嚢胞に対する歯根端切除術】
左下1.2番、歯茎に腫れ、フィステル、排膿あり近歯科を受診、約4か月間、根管治療を行ったが症状は改善せず抜歯を提案された。当院受診、レントゲンで左下1~3番の3歯に渡る大きい根尖病変を認めた。原因歯と思われる左下1.2番の歯根端切除術、嚢胞摘出術、SB逆根管充填を行った。経過良好で1年後の定期健診で完治していた。


術前 半年後 1年後. 症状なく経過良好
歯槽硬線の出現あり完治
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症例90:52歳女性【右上4番。原因は根管閉鎖】4115
約1か月前に右上4番歯茎と右頬部が腫れ、近歯科にて切開排膿、抗菌薬を処方された。紹介され来院、根管治療を行ったが根管は閉鎖していたため、歯根端切除術、嚢胞摘出術、SB逆根管充填を行った。1ヶ月後症状消失、1年後経過良好であった。


術前 歯根端切除術 直後 1年後. 症状なく経過良好
歯槽硬線の出現あり完治
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症例91:46歳男性【原因は、根尖部の根管穿孔】
左下4番、2年前にを歯内療法専門医にて根管治療を行ったが、1か月前から歯痛を認め、同医を受診したところ再根管治療か抜歯を勧められた。ネット検索をして当院を受診、打診痛を認めた。歯根端切除術、嚢胞摘出を行ったのち、根管治療不良の原因を探したところ、根尖1.5mmの舌側に根管穿孔を認めた。穿孔部を含め斜めに根尖部を切断しSB逆根管充填を行った。1年後症状なく経過している。


術前 歯根端切除術 直後 1年後. 症状なく経過良好
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症例81:64歳女性【左上5番。原因は壊死セメント質】
左上5番、歯茎の腫れとフィステルがあり近歯科を受診したが、病巣が大きく抜歯するしかないと言われた。ネット検索し来院。レントゲンでは根管充填は良好、歯根全体に大きい病変の影を認め、肥大根で壊死セメント質、セメント質剥離を推測できた。抜歯適応であるが患者の強い要望もあり歯根端切除術、嚢胞摘出、SB逆根管充填。さらには近心・遠心側面に壊死セメント質を認め、バーで削去後にSB充填した。術後1か月で症状は消失、術後1年では骨再生、経過は良好であった。


術前 歯根端切除術 直後 1年後.症状なく経過良好
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症例:約6年前に左上5番、根管治療を行って冠をセットした。2か月前に鈍痛と咬合時痛を認めネット検索して来院。当院にて歯根端切除術、嚢胞摘出を行った。歯根遠心側に縦亀裂を認め、根尖を斜めに切除しSB逆根管充填を行った。
また左上6番の近心根尖にも嚢胞が及んでいたため、隣在歯の神経温存治療を行った。術後の電気神経検査で正常反応を示し神経は温存された。1年後、根尖病変は消失し症状なく経過良好。


術前 歯根端切除術 直後 1年後、症状なく経過良好
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症例1:24歳女性 [大きい歯根嚢胞。根管充填は良好なのになぜ歯茎の腫れと痛みがあるの?]
左上2番の歯茎に腫れと痛みがあり、近歯科で約2か月半、8回の根管治療をした後、症状が消失したので根管充填をした。しかし、その4か月後に歯茎の腫れと強い痛みが出て再発、同医の紹介で来院。レントゲン写真で左上2番に約17x15mm2歯に渡る大きい歯根嚢胞と思われる陰影を認めた。
良好な根管充填がされているのに根尖病変が治らない。これは何を表しているだろうか?このような難治性の根尖病変において、原因の感染源は根管内だけではないことを示している。歯内療法専門医は根管外感染という用語を使い、根尖病変が根管治療をしても治らないことを説明するが、筆者は不適切であると思っている。根管外感染(根尖孔外感染)というあやふや用語ではなく、根管外感染部はどこにありその正体は何で、どう治療するかの説明が重要であると考えている。
当院で左上2番の嚢胞摘出術と歯根端切除術を行い、SB接着セメント(スーパーボンド・ラジオぺーク)で逆根管充填をした。病理検査は歯根嚢胞。
3週間後には症状消失、1年後・2年後も安定して経過良好。このような大きい歯根嚢胞があっても歯根端切除術で治るので抜歯してはいけない。人工骨を入れなくても開窓術にしなくても、感染源がなくなれば骨はどんどん再生し骨空洞を埋めて治癒へ向い完治した。
<症例から学ぶ>
Q:なぜ良好な根管治療・根管充填がされているのに根尖病変が治らないのか?
A:本ケースにおいてそれは原因が根管にないからです。根管以外の感染源は大きい歯根嚢胞そのものと根尖部の壊死セメント質にあった。治すためには歯根端切除術が有効です。
術前 歯根端切除術 直後 2年後、症状なく経過良好
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症例2:36歳男性【著しく大きい歯根嚢胞. 根管治療では治らない症例】
左上1. 2 番の歯茎に腫れと自発痛があり近歯科を受診。約4か月間 根管治療をした後に根管充填をしたが、その直後から歯茎の腫れ、痛み、発赤、打診痛が出現、症状著しいため紹介来院。レントゲン写真で根尖病変は著しく大きく3歯に渡り、奥行きはトンネル状に口蓋まで及ぶスルー&スルー骨欠損で難治性である。根管充填は適切で緊密にされていた。
当院にて左上1.2番の歯根端切除術、嚢胞摘出術、SB逆根管充填を行った。この症例の治癒レントゲンが示す通り、大きい歯根嚢胞だからと言って人工骨を入れたり開窓術にする必要は全くない。ましてや抜歯も。病理検査は歯根嚢胞であった。
<症例から学ぶ>
原因の感染源は根管ではなく、厚い嚢胞壁を有する活動性のある大きい歯根嚢胞そのものと、根尖部の壊死セメント質にあった。根管だけが感染源だと決めつける根管至上主義を唱えると治るものも治らない。根尖病変の正しい病因論と、感染源の診断(根管、嚢胞、歯根歯質)と治療法を理解しておかないと説明がつかないし治せない。
術前 歯根端切除術 直後 2年後(症状なく経過良好)―――――――――――――――――――――
症例3:49歳女性【4歯におよぶ巨大な歯根嚢胞に対する歯根端切除術】
左上前歯の歯茎の腫れと痛みがあり近歯科から当院紹介される。レントゲンで左上1.2.3.番、右上1番の4歯に及ぶ大きい歯根嚢胞と思われる陰影を認めた。左上1番の再根管治療をするが根管からの排膿は多量で止まらず、左上1.2番の歯根端切除術と嚢胞摘出術、SB逆根管充填を行った。
根管治療不良の原因(感染源)は、巨大な歯根嚢胞そのものと、左上2番の根尖部は遠心口蓋側湾曲しており歯根の先まで根管治療ができなかったことにあった。嚢胞摘出手術においては、左上3番の神経は生きており、意図的に根尖部の一部嚢胞を残す隣在歯の神経(歯髄)温存治療を行い神経を生かすことができた。病理検査は歯根嚢胞。
人工骨を入れなくても、原因が除去され感染源がなくなれば骨再生は良好であり治癒した。歯根端切除術は大きい嚢胞があると成功しないとするDrがいるが、成功・失敗は嚢胞の大きさには関係ないことをこの症例が示している。ポイントは感染源を断つです。
術前(来院時) 歯根端切除術後5日目 2年後(症状なく経過良好)
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症例4:46歳女性【大きい歯根嚢胞。原因は、右上2番は根尖の根管湾曲、両側上1番は壊死セメント質】
右上1.2番、歯茎の腫れと疼痛のため近歯科受診。約3か月間 根管治療を行った後に根管充填。その8か月後に再発して歯肉膿瘍ができたため切開排膿、これ以上の保存治療はでききないと言われ紹介されて来院。
当科にて右上1.2番、左上1番の歯根端切除術・嚢胞摘出術を行った。原因は右上2番の根尖が舌側に弯曲していて歯根先の根管治療ができなかったこと、両側上1番の根尖に壊死セメント質があり細菌感染の繁殖部が残っていたことであった。結果から言えば再根管治療を選択しても治癒せず、歯根端切除術の選択が適切であったと言える。
術前 歯根端切除術 直後 2年後(症状なく経過良好)
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症例5:46歳女性【根管治療不良の原因は、根尖部の壊死セメント質】
10年前に右上2番の歯茎が腫脹し近歯科で切開排膿した。6か月前から違和感、2か月前から根尖部歯茎と右鼻翼部に圧痛を認めた。根管充填はほぼ良好である。太い金属土台を除去すれば歯根破折の危険性があるため、歯根端切除術を行った。
根尖部には歯石様の壊死セメント質を認め細菌感染源であった。根尖は1.5mm切除しSB接着セメントで逆根管充填を行った。多くを切除する必要はなく感染原因部のみを切除すれば良い。感染源は根管だけでなく壊死セメント質にあったので再根管治療しても治らない症例である。壊死セメント質
術前 歯根端切除術 直後 3年後(症状なく経過良好) ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
症例6:47歳女性【MTAセメントが根管外へ過剰に漏れて感染した】
右上1.2 番の歯茎の腫脹と痛みがあり、歯内療法専門医でマイクロスコープを使用した自費の根管治療を5か月間行った後、MTAセメントで根管充填をした。しかしその後、右上1.2 番の歯茎の腫脹、発赤、うずくような強い自発痛を認め再発したため同歯科を受診したが、MTAは固く硬化して除去できないため様子を見ましょうと言われる。しかし痛みがひどくなり心配で当科受診、消炎後に歯根端切除術を行った。
原因は根管外へ漏れた過剰根管充填材と根尖破壊で、根尖部根管のMTAセメントはドロドロで硬化してなく感染源となっていた。根尖孔が開大して浸出液が貯まっている所にMTAを根管充填してもその部分は硬化しない。MTAセメントは建築で使うポートランド・コンクリートセメントと全く同じ成分で同じ特性を持っている。
水を混ぜることで5~6時間後に硬化するが、水が貯まっている所にそのセメントを流し込むと水と接する所は薄まって硬化せずボロボロです。MTAは良い材料らしいが特性や欠点を理解し適応を選んで使用しなければ失敗する。MTAで失敗してもSB逆根管充填でこのようにきれいに治癒した。
術前 歯根端切除術 直後 2年5か月後(症状なく経過良好) ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
症例7:29歳女性【根管弯曲のため横に穴が開いて(穿孔)、先端まで根管治療ができなかった】
左上3番の歯茎の腫脹と痛みを訴えて紹介来院した。レントゲン写真で左上3番の根管充填材は不十分で金属の土台は長く除去は困難と思われた。左上2番は根尖にファイル(針金)が破折し残存していた。
当科にて左上2.3 番を歯根端切除術したところ、3番の根管は根尖部で口蓋湾曲していて、3mmのところで唇側に穿孔し人工的に穴が開いていた。これが症状の原因で、結果から言うと冠や土台を壊して再根管治療を行っても、曲がった先の根管の治療ができず治癒は望めなかった。また左上2番の破折ファイルはその際に除去した。
術前 歯根端切除術 直後 1年後. 症状および根尖病変の影は消失
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症例8:49歳女性【根管の弯曲のため、先端まで根管治療ができなかった】
近歯科で左下4番の根管治療を20回約6か月間の長期に渡って行ったが、歯茎の腫脹、排膿、打診痛は消失せず予後不良。紹介され当科にて歯根端切除術を行った。原因は歯根が後内方に曲がっていたため根管の横に穴を開けてしまい(穿孔)、適切な根管治療が行えなかったためである。
穿孔部を含めて曲った根尖を2mm切除し、SB逆根管充填をして細菌繁殖部を閉鎖した。1年後、根尖病変は消失し歯槽硬線が出現して完治した。手術3年後、根尖病変の周辺に慢性炎症が原因で生じた硬化性骨炎を示す白い不透過像は、消失して正常骨となっていた。
術前. 歯根周囲に硬化性骨炎を 歯根端切除術 直後 3年1か月後(症状なく経過良好)
示す不透過像を認める 根尖病変と硬化性骨炎像は消失した
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症例9:51歳女性【副根管が原因で根管治療が不良】
3年前から右下4番の歯茎の腫脹・フィステル・排膿があり、紹介にて来院。レントゲン写真で右下4番の歯根中央部までおよぶ大きい根尖病変を認めた。根管の閉鎖が疑われ再根管治療は不適応と判断、当科にて歯根端切除術を行った。
原因は根尖から4mmの所に認められた副根管であった。副根管を含めて歯根を斜めに2mm切除した後、逆根管充填した。このように原因を探し出すことが成功への第一歩である。
術前 歯根端切除術 直後 1年後(症状なく経過良好)
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症例10:63歳男性【1根だが2根管あり、舌側根管が治療不良であった症例】
約1週間前から左下4番の疼痛、咬合痛、歯肉の腫脹、フィステル、排膿を認めた。左下4、5番は金属冠で連結されていた。レントゲン写真で根管充填は良好なため、当科にて歯根端切除術を行った。
根尖を2mm切断したところ、単根ではあるが2根管で舌側根管は根管治療されてなく、黒く変色し腐敗していた。下顎4番は通常単根で1根管であるが、非常にまれに2根管や2根があり、根管治療は著しく困難なため注意しなければばならない。
術前 歯根端切除術 直後 2年後(症状なく経過良好)
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症例11:55歳女性【下6番の難しい歯根端切除術. 根管の湾曲のため根管治療不良】
右下6番(奥から2番目の歯、第一大臼歯)の歯茎に腫れとフィステル、排膿を認めた。近歯科を受診したところ根管治療は不可能と言われ紹介来院した。レントゲン写真で前方歯根の先は後方に湾曲し根尖病変を認めた。
下6番の根管治療不良の原因は、この症例のごとく近心根の後方湾曲がほとんどで、治療器具の針金ファイルが根管の先まで入らず根管治療できないためである。当科にて近心根のみの歯根端切除術、嚢胞摘出術、SB逆根管充填を行った。
2週間後には症状は消失し経過良好で、1年後には根尖病変の陰影は消え3年後も安定していた。病変周囲に見られた硬化性骨炎の不透過像が消失し正常骨像になって完治しているのが興味深い。
硬化性骨炎(condensing osteitis):骨内病変によって慢性炎症が生じると、その周囲は骨炎となり生体の防衛反応として骨梁が増加し骨硬化が起きる。レントゲンでは不透過性の限局びまん性の骨硬化像として見られ、病変が治癒し慢性炎症がなくなると、骨梁は減少し正常骨像となるため骨病変の完治を示す。
術前 硬化性骨炎の不透過像 歯根端切除術 直後 3年後(症状なく経過良好)
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症例12:49歳女性【下6番、根管の弯曲のため根管治療不良】
2か月前から右下6番、奥から2番目の歯(前から6番目、第一大臼歯)の歯茎に痛みと腫れ、フィステルから膿が出ている。近歯科受診するが再根管治療をしても治る見込みはないからと抜歯を勧められた。本人はセカンドオピニオンを希望して紹介来院、レントゲン写真では前方の歯根に根尖病変を認めた。
当科にて歯根端切除術を行い、3週間後にはすべての症状は消失し経過良好であった。長期経過観察で根尖病変は消失し、術前に見られた歯根周辺の硬化性骨炎を示す白く見える不透過像も改善している。骨病変の完治を示すレントゲン画像にも注目してほしい。
術前 歯根端切除術 直後 4年10か月後(症状なく経過良好)
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症例13:57歳女性【下6番、著しく大きい歯根嚢胞】
左下6番の鈍痛を認め近歯科を受診、パントモレントゲン写真を撮影したところ左下5、6番部の顎骨に15×15mmの大きい陰影を認めたため当科に精査依頼される。根尖病変の摘出と左下6番の近心根と遠心根の歯根端切除術を行った。
原因は根管閉鎖で、病理検査は歯根嚢胞であった。このように数歯にわたる著しく大きい嚢胞であっても、感染源は歯根にあるので、歯根端切除術を行うことで原因除去されれば治癒する。大きさには関係はない。
術前 歯根端切除術 直後 2年後(症状なく経過良好)
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症例14:43歳女性【下6番、歯根は肥大し壊死セメント質があり、切断面の根管は腐敗していた】
左下6番、歯茎の腫れと痛みがあり近歯科を受診、これ以上の治療はできず抜歯してインプラントを勧められた。歯の保存を望んでネット検索し来院。レントゲンで歯根先に大きい歯根嚢胞と思われる陰影を認め、前方歯根先は肥大していた。この部が感染源の壊死セメント質である可能性が高く、根管治療では治癒しないと考えられ、歯根端切除術と嚢胞摘出術を行った。
術中所見として前方根の根尖部は肥大し壊死セメント質を認めたため、根尖を3mm切除、切断面を皿状形成し根管を含めてSB逆根管充填をした。壊死セメント質の知識がないと歯根端切除術や根管治療の成功率は高くならない。本症例は根尖病変の治療を考える上で重要で、根尖孔外感染という枠で説明できるものではないことを示している。1か月後には全ての症状は消失、3年後のレントゲンで骨再生は良好で完治した。
術前 壊死セメント質 歯根端切除術 直後 3年後. 症状なく経過良好。完治
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症例15:34歳女性【上6番、奥歯の難しい歯根端切除術。前方根の湾曲と根管狭窄が原因の根管治療不良】
左上6番、歯茎の腫れ・フィステル・排膿を認め近歯科受診、紹介され来院。レントゲンで前方歯根の周囲に陰影を認めた。当院にて歯根端切除術と嚢胞摘出術、SB逆根管充填を行った。2週間後には症状消失し、2年後には歯根病変は消失し完治した。
術前 歯根端切除術 直後 2年後(症状なく経過良好)――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
症例16:52歳女性【上6番、根管の湾曲と閉鎖のため根管治療不良】
約3か月前から左上6番(前から数えて6番目)の自発痛と歯茎の腫脹を認め、近歯科で切開排膿。ブリッジを壊して根管治療しても治る可能性は少なく抜歯と言われたため紹介で来院。当科にて左上6番の頬側前方根と後方根の歯根端切除術、嚢胞摘出術、SB逆根管充填を行った。
原因は不十分な根管充填と根尖の壊死セメント質によるもので、根管湾曲や根管閉鎖があって適切な根管治療ができなかったと思われる。3週間後全ての症状は消失し2年後も経過良好であった。
上6番は3歯根あり、内側根の歯根端切除術はできないが本症例のように頬側の2歯根は可能である。
術前 歯根端切除術 直後 2年後(症状なく経過良好)
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症例17:63歳女性【炎症による吸収で歯根は短く、金属ポストが露出している難治症例】
右上1番、歯茎の腫れ・フィステル・咬合痛があり歯科大学病院を受診、歯根が短く金属ポストが長く歯根端切除術はできず抜歯するしかないと言われた。紹介され来院、レントゲンで右上1番に大きい歯根嚢胞と思われる陰影を認め、歯根は長期間の病巣による炎症性吸収のため短くなっていた。
歯根端切除術、嚢胞摘出、SB逆根管充填を行う。術中所見で金属の土台は根尖から露出し歯質と接する部分は黒くなって腐敗していた。根管先に金属土台が出ているため逆根管充填が困難な症例でも、工夫して金属を一層削去し歯質金属接着性SBセメントを応用すればこのように予後は良好である。
歯に接着しない充填用のMTAセメントやEBAセメントでは脱離したり根管封鎖できないため適応外で、手術しても成功しない。SBはMTAに比べて手術適応範囲が広く成功率は高いと言える。
↑ 術前 右上1番 歯根端切除術 直後. 3年後(症状なく経過良好)
SB接着セメントを逆根管充填した 歯槽硬線が出現し完治
MTAは脱離するので使えない
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症例18:33歳男性【根尖根管が大きく破壊された根管治療不良例】
約1年前から右上4番の歯茎の腫脹あり近歯科受診。6か月間約20回の根管治療をするも根管から排膿が止まらず、歯茎の腫脹、圧痛、フィステルも消失せず抜歯と言われたが来院した。当科でも根管治療をしたが根管から多量の排膿は止まらず、歯根端切除術と同時根管充填を行った。根尖孔は大きく破壊されていた。このような長期に根管治療を行うも症状が消えない経過不良例に歯根端切除術は有効である。
術前 歯根端切除術 直後 2年後(症状なく経過良好)
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症例19:46歳女性【大きい根尖病変と、金属ポストが長く除去困難で根管治療が難しい症例。術後6年4か月】
1か月前から、右上2番、左上1番の歯茎の腫脹、圧痛を認め、近歯科にて被せものを壊して根管治療を勧められたが、除去時に歯が割れると抜歯になるかもしれないと言われ、紹介来院した。当科にて歯根端切除術を行った。
↑ 術前 ↑ 歯根端切除術 直後 6年4か月後(症状なく経過良好)
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症例20:44歳女性【金属土台が長いため根管からの治療が難しい、ブリッジの支台症例】
20年前に上前歯の5本ブリッジを装着。約2年前から右上2番の歯茎の疼痛、腫脹、圧痛を認めた。左上1番の症状はなかった。近歯科を受診したが、ブリッジ除去は困難で再根管治療をしても治るかどうかわからないと言われたため紹介で来院し、当科で右上2番と左上1番の歯根端切除術を行った。
術前 歯根端切除術 直後 2年4か月後(症状なく経過良好)
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症例21:34歳女性【歯根の炎症性吸収が著しく、再根管治療では治らない症例】
約6年前から右上1番の違和感・フィステル・排膿・打診痛があり、近歯科を受診するも抜歯するしかないと言われたため来院。レントゲンで根尖部に直径7mmの陰影と、炎症性吸収、根尖破壊を認め、再根管治療では治癒しないと判断し当科で歯根端切除術を行った。
歯根尖には広範囲に炎症性吸収が生じていて、いびつに凸凹、壊死セメント質と感染象牙質を認めた。根尖2mm切除し切断面を皿状に形成した上で、SBを広く接着被覆・逆根管充填を行った。約1か月後には症状消失し、3年後にはきれいな歯槽硬線が出現し完治していた。
このような切断面を広く封鎖するためには、EBAやMTAでなく接着性セメントが必須である。炎症性吸収に対してSB接着セメントは適応となり治療に有効であると言える。
術前 歯根端切除術 直後 3年後(症状なく経過良好)
根尖切断面に歯槽硬線が出現し完治
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症例22:51歳女性【歯根先の根管破壊と過剰な根管充填材の感染】
近歯科で右下1.2番と 左下1番の根管治療を4か月間した後に根管充填したが、経過不良で歯茎の腫脹を認めた。転医しさらに3か月間の再根管治療をした後に根管充填を行ったが、その1か月後に再再発、歯痛+フィステル+排膿+となったため紹介来院、当科にて歯根端切除術を行った。原因は根尖破壊と過剰な根管充填材による感染であった。
術前 歯根端切除術 直後 3年後(症状なく経過良好)
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症例23:51歳女性【根管の先まで適切に根管治療がされなかった症例】
約1年前からブリッジの支台である右上1番の歯茎に圧痛・フィステル・排膿があり、紹介来院。患者さんはこの6本ブリッジを壊しての根管治療は望まず当科にて歯根端切除術を行った。原因は根管充填の不備(根管充填不足)であった。根管治療で治せる歯だと思われるが、6本のブリッジを壊さなければならないため仕方なく歯根端切除術を選んだ。
術前 歯根端切除術 直後 1年5か月後(症状なく経過良好)
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症例24:47歳男性【感染歯質と炎症性吸収が原因の難治症例】
10年前に右上1番の根管治療、3年前に歯肉腫脹と圧痛を認めた。約1ヶ月前に歯肉の腫脹、圧痛が著しくなり歯科大学病院を紹介受診したが抜歯と言われた。その後、歯肉膿瘍を形成しフィステル+、排膿を認め当院紹介された。レントゲン写真で右上1番の根尖部に大きい陰影と、歯根にいびつな炎症性吸収と肥大セメント質を認めた。
根管治療の適応ではないと診断し、消炎後に当科にて歯根端切除術を行った。歯根全体は茶褐色、軟化、茶褐色の沈着物を呈した壊死セメント質と感染象牙質を認め、セメント象牙境の亀裂もみられた。歯根を斜めに3mm切除し接着性セメントで切断面を広く逆根管充填した。
壊死セメント質と感染象牙質が多く歯根端切除術でもかなり難しいケースだが経過は良好であった。接着しない充填用のMTAセメントなどではこうはいかなかったと思われる。あきらめないで歯を残すことにチャレンジできたことをうれしく思い患者さんとともに喜んだ。
術前 歯根端切除術 直後 3年後(症状なく経過良好)
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症例25:34歳女性【歯根が短い。炎症性吸収と壊死セメント質が原因の難治症例】
1年前に右上1番の歯肉腫脹、フィステル、排膿を認め、近歯科受診し根管治療、根管充填をした。約2週間前にフィステル+で再発し紹介来院。レントゲンで根尖部に大きな陰影を認め、歯根は著しい炎症性吸収のため短く、根尖は凸凹でいびつに不定形で感染歯質の画像であった。歯根端切除術、嚢胞摘出術、SB逆根管充填を行った。
このような歯根に異常吸収や腐敗がある場合には、従来は根管治療では治らず抜歯されていたが、SB接着性セメントを使用する歯根端切除術で歯を残すことができた。歯の保存の限界は拡がっているので、安易に抜歯してはならないことをこの症例は示している。
術前 歯根端切除術 直後 2年後(症状なく経過良好)
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症例26:54歳女性【根管弯曲が原因で、適切な根管治療ができなかった症例】
2日前から右上2番(2.3.4は連結)の疼痛を訴えて近歯科を受診。根尖病変を認め根管治療が必要だが、金属コアは長く、除去時の根管穿孔の危険性があり当科紹介される。当科にて右上2番の歯根端切除術を行った。原因は右上2番の不十分な根管充填で根尖は遠心舌側に曲がり、根管内は黒く汚れて腐敗していた。
術前(来院時) 歯根端切除術 直後 2年後(症状なく経過良好)
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症例27:57歳女性【根管治療を長く続けたが根管から排膿が止まらず治らない】
開業歯科で右上2番の根管治療を約5か月間行うが、根管からの排膿は止まらず治療不良のため紹介来科。当科にて歯根端切除術と歯根嚢胞摘出術を行う。排膿が止まらない原因は大きい歯根嚢胞そのものが細菌培地となり繁殖が活発であったためであった。また右上2番の歯根先端が裏側へ湾曲していたため拡大し過ぎて穿孔、根尖破壊され、そのため歯根の先まで根管治療できていなかった。
術前(来院時) 歯根端切除術 直後 2年後(症状なく経過良好)
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症例28:58歳女性【根管感染から内部吸収を起こした難治症例】
左上3番の歯肉に腫脹、フィステル、排膿を認めて近歯科受診。根管治療による歯の保存は不可能と言われ、抜歯を勧められたがあきらめきれず当科を受診した。レントゲン写真では、根尖部に針金ファイルが折れて残存し、著しい内部吸収を認めた。
当科にてファイルを除去し歯根端切除術を行った。原因は根管内の細菌感染による腐敗から生じた内部吸収であった。非常に広い面積の逆根管充填であったが、害のない接着性セメントを使用することで根管封鎖が可能となり、このような良好な結果となった。歯質に接着しない充填用のMTAセメントではこうはいかないと思われる。
術前(来院時) 歯根端切除術 直後 3年後(症状なく経過良好)
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症例29:46歳女性【根管充填の不良と根尖部の壊死セメント質が原因であった症例】
約20年前に左上2番冠装着、3か月前から歯茎の違和感があり近歯科受診、根尖病変が大きいため紹介にて来院。患者さんはきれいなセラミック冠のため除去を希望せず、当科にて歯根端切除術を行った。
根管治療不良の原因は、根尖部の根管が遠心口蓋側へ屈曲していたためで、根尖の根管は治療不良で黒く汚染されていた。このケースは再根管治療しても穿孔して治らなかったと思われる。根尖を1.5mm切断し逆根管充填した。3週間後には症状はなくなり、1年後大きい根尖病変は完全消失していた。このケースからも根尖切除3mmルールは否定される。
術前(来院時) 歯根端切除術 直後 3年後(症状なく経過良好)
歯槽硬線が出現し完治した
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症例30:55歳男性【右上1番:壊死セメント質とセメント質剥離、左上1番:根管充填が不良が原因だった】
15年前から左上1番の歯肉にフィステルを認め、放置していたが心配で来院した。レントゲンで両側1番に大きい根尖病変を認めた。左上1番は未根管充填の量が多く根管が閉鎖していると思われた。当科にて歯根端切除術を行った。右上1番は歯根表面に広範囲の壊死セメント質を認め、遠心に向けて3mm斜めに歯根切除した。左上1番は2mm切断し根管内部に深さ5mmの範囲で逆根管充填をした。
<症例から学ぶ>
感染原因がセメント質剥離であっても、適切な治療で完治するので抜歯してはならない。
術前(来院時) 歯根端切除術 直後 1年半後(症状なく経過良好)
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症例31:65歳女性【右上1:根管充填不足、右上2:壊死セメント質が原因であった症例】
約30年前に右上1.2 番セラミック冠を装着。4か月前に歯茎腫脹あり近歯科受診、金属土台の除去が困難なため紹介来科。レントゲンで右上1番は根管充填が不良、右上2番はジャスト根管充填、根尖病変は大きい。当科にて歯根端切除術をしたところ、2歯ともに根尖部に壊死セメント質を認め、根管治療では治らないケースであった。
術前(来院時) 歯根端切除術 直後 2年後(症状なく経過良好)
歯根切断面に歯槽硬線が出現し完治。
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症例32:65歳女性【右上1は根管充填不良. 右上2は根管の湾曲が原因だった】
10年前に上前歯部のブリッジ治療を行った。1年前より右上1.2 番歯茎の腫れと痛みを繰り返していた。1か月前より症状が強くなり来院し当科にて歯根端切除術を行った。根管治療不良の原因は、右上1番は根管充填の不足と壊死セメント質、右上2番は根管弯曲と根管閉鎖であった。
術前(来院時) 歯根端切除術 直後 1年後(症状なく経過良好)
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症例33:20歳女性【大きい歯根嚢胞。歯根湾曲のため適切な根管治療ができない】
左上2番、歯茎の腫れと痛みが著しく近歯科を受診、紹介来院。レントゲンで左上2番、非常に大きい歯根嚢胞と思われる根尖病変を認めた。歯根尖は左弯曲していて再根管治療は不可能と判断し、当科にて歯根端切除術と嚢胞摘出術、SB逆根管充填を行った。病理検査は歯根嚢胞。1か月後には全ての症状は消失し経過良好。大きい骨欠損だが人工骨やメンブレンは使用していない。
術前 歯根端切除術 直後 3年後. 症状なく経過良好
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症例34:45歳女性【副根管が原因の根管治療不良】
2か月前から左上1番、歯茎に痛み、フィステル、排膿を認め紹介来院。レントゲンでは適切に根管充填されているように見えるが原因は何だろうか?歯根端切除術を行ったところ根尖1mmの位置で副根管を認めた。1.5mm根尖切除しSB逆根管充填を行った。2週間後にはフィステル消失、経過良好。
術前 歯根端切除術 直後 1年後. 症状なく経過良好
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症例35:27歳女性【大きい歯根嚢胞。歯根先の亀裂が感染源だった】
左上2番、歯茎の腫れ痛みは著しく近歯科受診、抗菌剤を処方され紹介来院。レントゲンでは根管充填は良好であった。当科にて歯根端切除術と嚢胞摘出術を行った。感染原因は根尖から1.5mmの遠心側に小亀裂を認めた。亀裂を含めて根尖2mm切除しスーパーボンド逆根管充填を行った。
術前 歯根端切除術 直後 1年後. 症状なく経過良好
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症例36:39歳男性【根尖の遠心湾曲が根管治療不良の原因】
右下2番、フィステルと排膿あり。レントゲンで歯根先2mm部で遠心方向に弯曲して、これが根管治療の不良であった。2mm根尖切除し歯根端切除術、SB逆根管充填を行った。
術前 歯根端切除術 直後 1年後(症状なく経過良好)――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
症例37:43歳女性【左下1番は根管腐敗、左下2番は根管閉鎖】
左下1.2番、歯茎の腫れとフィステル。根尖病変は大きい。当科にて歯根端切除術と嚢胞摘出術、SB逆根管充填を行った。
術前 歯根端切除術 直後 3年後(症状なく経過良好)――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
症例38:歳女性【根管治療不良の原因は、感染歯質と根管湾曲】
左上1番、歯茎にフィステルあり、レントゲンで大きい根尖病変を認め、歯根は遠心弯曲し病変は近心側面に延びている。当科にて歯根端切除術と嚢胞摘出術を行った。歯根先は遠心舌側に湾曲し、感染歯質を認めた。歯根端を斜めに2mm切除して、切断面を皿状形成と逆根管形成しSB逆根管充填した。症例なく経過良好。
術前 歯根端切除術 直後 2年後(症状なく経過良好)――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
症例39:47歳女性【根管治療不良の原因は、歯根先の口蓋湾曲。大きい嚢胞における隣在歯の歯髄温存法】
左上2番、根尖病変は非常に大きく左上3番の歯根にも及んでいる。根管治療不良の原因は、2番の根尖部根管が舌側に弯曲していたことにあった。
電気歯髄検査で隣在歯の3番神経は正常反応で生きていたので、神経温存を目的に3番の嚢胞1/4を残したまま嚢胞摘出を行った。意図的に一部の嚢胞を残す、隣在歯の歯髄温存法。症状なく経過良好。根尖部には骨が再生され、離れたところの陰影は病変ではなく問題ない。
術前 歯根端切除術 直後 2年後
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症例40:52歳男性【過剰根管充填と根管腐敗が、根管治療不良の原因】
左上1番、フィステルと排膿あり。根管充填は良好に見え、ブリッジであることから当科にて歯根端切除術を行う。根尖部では根管は舌側弯曲し、根管充填材は過剰に露出し根管はグレーに腐敗していた。経過良好。
術前 歯根端切除術 直後 3年後(症状なく経過良好)―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
症例41:歳男性【根管閉鎖と壊死セメント質が原因】
右上2番、歯根は遠心湾曲していて肥大している。根管は閉鎖し、根管治療は不可能。当科にて歯根端切除術を行った。壊死セメント質を認めたため、切除量は2.5mmで斜めに切除し、切断面の皿状形成を行った後、SB逆根管充填を行った。症状なく経過良好である。壊死セメント質が著しいと根管治療では治らないので注意が必要です。
術前 歯根端切除術 直後 2年後(症状なく経過良好)
術中. セメント質は肥大し凸凹。壊死セメント質を認めた ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
症例42:歳男性【根尖は舌側湾曲し穿孔していた】
右下5番、歯茎にフィステル、排膿を認めた。長期の根管治療を行うもフィステルは消失せず不良。レントゲン大きな根尖病変を認め、根尖はやや肥大し舌側湾曲し、そのため湾曲したところで穿孔していた。当科にて歯根端切除術を行った。症状なく経過良好であった。下顎5番の根管治療不良の原因として、根尖舌側湾曲は多いパターンであるので注意が必要。
術前 歯根端切除術 直後 3年後. 症状なく経過良好
歯槽硬線が出現し完治
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症例43:歳男性【右下3番、歯根は2本で2根管あった】
右下3番、根管治療を長期に行うもフィステル消失せず、また破折ファイルが残存していたため、紹介来院。当科にて歯根端切除術を行った。初診時のレントゲンでは単根に見えたが、術中に歯根先を2mm切除したところ舌側にもう1根あり、計2根であった。かかりつけ医での根管治療ではその中隔部で穿孔していた。2週間後、症状は消失し経過良好。下顎3番において、例外的に2根2根管の場合があり注意が必要。
術前 歯根端切除術 直後 1年後(症状なく経過良好)
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症例44:歳男性【根尖部の壊死セメント質と根管充填不良が原因】
左上1番、歯茎の腫れと痛みがあり紹介にて来院。レントゲンで大きい根尖病変を認めた。歯根の外形はいびつで凸凹・粗造を呈し、根尖部には石灰化物を認め、壊死セメント質と考えられた。そのため根管治療での治癒は困難と判断し、歯根端切除術を行った。歯根の壊死セメント質は著しく削除し、切断面を皿状形成しSB逆根管充填した。3週間後、症状消失し経過は良好であった。
術前 歯根端切除術 直後 3年後(症状なく経過良好)
●茶褐色の壊死セメント質。セメント象牙境に亀裂を認める。SB逆充填した。

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症例45:25歳女性【根管充填が不良】
7年前に近歯科にて右下1番.左下1番の根管治療、根管充填を行った。1年後に歯茎の腫れとフィステルが出現し、レントゲンで右1、2番左1番の大きい根尖病変を認めた。右下2番の根管治療をするもフィステル消失せず、紹介来院した。当院でも根管治療を続けたがフィステル消失せず、歯根端切除術と嚢胞摘出術、SB逆根管充填を行った。症状は消失し経過良好。
術前 歯根端切除術 直後 1年後(症状なく経過良好)――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
症例46:47歳女性【4歯に渡る巨大な歯根嚢胞、鼻腔底にも及ぶ。隣在歯の歯髄温存治療】
2年前に上前歯部の歯茎の腫脹が著しく、近歯科にて切開排膿を行い、症状は治まったため放置した。2週間前から再発し歯茎腫脹が著しく紹介来院した。レントゲンで上前4歯に渡る巨大な根尖病変を認め、鼻腔底の骨も吸収していた。
当院にて右上1番、左上1.2番、3歯の歯根端切除術と嚢胞摘出術、SB逆根管充填を行った。右上2番は電気歯髄検査+反応で神経は生きており、神経損傷を避けるため根尖部の嚢胞を意図的に残す、隣在歯の歯髄温存治療を行い、歯髄は温存できた。2年2ヶ月後、骨欠損の陰影は残っているが4歯の根尖部には骨が再生され、症状は全くなく経過良好であった。
術前 歯根端切除術 直後 2年2ヶ月後(症状なく経過良好)――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
症例47:46歳男性【壊死セメント質が原因】
1か月前に左上1の歯肉腫脹があり、近歯科受診。右上1番、左上1番、根尖病変が大きいため、某歯科大学口腔外科へ紹介され受診したところ、抜歯と言われたがネット検索で当科受診。初診時には左上1の歯茎の腫脹、フィステル、排膿を認め、レントゲンでは、右上1、左上1の根尖病変を認め、当科にて歯根端切除術と嚢胞摘出術を行った。特に右上1の根尖部には壊死セメント質が著しく斜めに3mm根尖切除し、切断面は皿状形成、SB逆根管充填した。1年後、症状なく病変の影は消失し、歯槽硬線が出現し完治した。
術前 歯根端切除術 直後 1年後(症状なく経過良好)――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
症例48:49歳女性【原因は、左上2番根管の遠心口蓋湾曲】
左上1.2番、4か月前に左顔面の腫脹と自発痛があり、近歯科を受診。症状著しいため某大学病院口腔外科へ紹介受診、消炎後に抜歯と言われたが、歯の保存を希望しネット検索して当科来院した。左上1.2番の歯肉圧痛あり根尖病変を認めた。左上2歯根尖の湾曲が認められ再根管治療は不良と判断し、歯根端切除術と嚢胞摘出術、SB逆根管充填を行った。2年後、症状なく経過良好、レントゲンでは歯槽硬線が出現し完治していた。
術前 歯根端切除術 直後 2年後(症状なく経過良好)――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
症例49:39歳男性【非常に大きい歯根嚢胞、根管腐敗と壊死セメント質が感染源】
左上1.2番、近歯科で根管治療をしているが根管からの排膿は止まらず、歯茎の腫れとフィステルあり抜歯と言われた。当科にて歯根端切除術と嚢胞摘出術、SB逆根管充填を行った。症状なく経過良好、3年後には根尖部に歯槽硬線が出現し完治。
術前 歯根端切除術 直後 3年後(症状なく経過良好)――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
症例50:38歳女性【上2番、根尖の遠心口蓋弯曲が原因で根管治療不良】
近歯科で右上1.2番の根管治療をしたが、歯茎の腫れとフィステルが消失せず紹介来院。当院にて歯根端切除術と嚢胞摘出術、SB逆根管充填を行った。2番の根尖は遠心口蓋弯曲していた。症状は消失し経過良好。
術前 歯根端切除術 直後 2年後(症状なく経過良好)――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
症例51:47歳女性【根尖破壊と壊死セメント質が原因】
左上2番、歯茎の腫れとフィステルがあり近歯科を受診、抜歯するしかないと言われた。ネット検索し来院、前歯部は6歯に渡るブリッジが装着されており、レントゲンで左上2番の歯根先には大きい根尖病巣を認めた。歯根端切除術と嚢胞摘出術、SB逆根管充填を行った。2週間後には症状消失し、3年後には歯根先に歯槽硬線が出現し経過良好。
術前 歯根端切除術 直後 3年後(症状なく経過良好)――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
症例52:79歳男性【感染歯質が原因で、根管治療不良】
右下5番、歯根端切除術と嚢胞摘出術、SB逆根管充填を行った。2週間後には症状消失し経過良好、3年後には根尖病変の影は消失し歯槽硬線が出現し完治した。
術前 歯根端切除術 直後 3年後(症状なく経過良好)
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症例53:38歳女性【根管充填不良と壊死セメントが原因】
左上5番、歯茎の腫れとフィステルがあり近歯科を受診し紹介され来院した。歯根端切除術と嚢胞摘出術、SB逆根管充填を行った。2週間後には症状消失し経過良好、2年後には根尖病変は消失し完治。
術前 歯根端切除術 直後 2年後(症状なく経過良好)――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
症例54:33歳女性【前方根の歯根湾曲と治療器具の破折残存が原因】
左下6番、歯茎に痛みとフィステルがあり紹介にて来院、レントゲンで近心根尖に病変を認めた。根尖は後方へ湾曲し根管内には針金状の治療器具破折片を認め、根管治療不良の原因と考えられた。前方根の歯根端切除術と嚢胞摘出術、SB逆根管充填を行った。2週間後には症状はなく経過良好、3年後には根尖病変は消失し完治していた。
術前 歯根端切除術 直後 3年後(症状なく経過良好)――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
症例55:歳女性【根尖部の遠心口蓋湾曲が原因で、根管治療不良】
左上2番、歯茎の腫れと痛み、フィステルがあり近歯科を受診したが、抜歯してインプラントを勧められた。ネット検索して来院。レントゲンで根尖部は遠心湾曲し根管穿孔しているため、再根管治療では治癒しないと判断した。歯根端切除術と嚢胞摘出術、SB逆根管充填を行った。術中所見として2番根尖部は遠心・口蓋方向にに湾曲していた。
2週間後にフィステルは消失し経過良好、2年後には歯根先に歯槽硬線が出現し完治。根尖部上方には骨再生あり、その上方の陰影は瘢痕部であり病変ではない。
術前 歯根端切除術 直後 2年後(症状なく経過良好)――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
症例56:40歳女性【上2番は歯根湾曲による穿孔、上1番は歯根湾曲が原因】
左上1.2番、歯茎の腫れが著しく近歯科を受診して根管治療、根管充填を行う。しかし1か月後、歯茎は再度腫れたため紹介にて来院した。レントゲンで2歯に渡る大きい嚢胞と思われる根尖病変を認めた。2歯の歯根端切除術と嚢胞摘出術、SB逆根管充填を行った。術中所見として、2番の根尖部は遠心・口蓋方向に湾曲し根管穿孔していた。1番の根尖は口蓋湾曲し根管穿孔を起こしていた。
術前 歯根端切除術 直後 2年後(症状なく経過良好)
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症例57:68歳女性【 歯根弯曲があって根管の横に穴を開けてしまっていた 】
約8年前に上顎前歯のブリッジを入れる。約3か月前から左上1番、歯茎の腫れと痛みが続く。近歯科を受診し紹介にて来院。レントゲンで左上1番、歯根の根尖から3.5mmの前方側面に穴が開いていて、その部を中心に大きい病変の陰影を認めた。歯根端切除術と嚢胞摘出術、根尖を斜めに切除し切断面を広くSB逆根管充填を行った。1か月後症状消失、経過良好。
術前 歯根端切除術 直後 3年後. 症状なく経過良好
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症例58:53歳男性【 3歯に及ぶ大きい嚢胞。下2番は1根2根管が、根管治療不良の原因 】
左下2番、近歯科で約3か月間の根管治療を行ったが、歯茎の腫れと痛みを何度も繰り返し治療が進まない。3日前から歯肉膿瘍が出現したため心配で来院、レントゲンで3歯に及ぶ大きい病変の影を認めた。再根管治療での治癒は困難と判断し、歯根端切除術・嚢胞摘出・SB逆根管充填を行った。
下2番は1根2根管で根管治療は困難であった。嚢胞は左下3番根尖部にも及んでいたが電気歯髄検査で+正常反応であったため、その部の嚢胞を残す[隣在歯の神経温存治療]を行った。3週間後には症状消失し経過良好、1年4か月後のレントゲンで完治していた。
術前 歯根端切除術 直後 1年4か月後. 症状なく経過良好
―――――――――――――――――――――
<再植術で歯を残す>
再植術とは、一旦歯を抜去し抜歯窩から根尖病巣を摘出、次いで根尖部に歯根端切除術(根尖切除と逆根管充填)をしてから歯を元に戻し植立させるという方法です。歯根端切除術が不可能な、上下7番や、歯根舌側や根間中隔に穿孔や亀裂がある場合に行われる。
症例76:37歳女性【再植術。左下7番の樋状根管が原因で根管治療不良】
開業歯科で3か月間 左下7番を根管治療をしたが、根管から排膿と出血が続いて不良にて紹介来院。当院でも根管治療するが不良で意図的再植術を行った。7番を抜歯後にその穴から嚢胞を摘出、歯根端を2mm切除、SB接着セメントを正根管充填と逆根管充填したのち、再植した。不良の原因は樋状根(水平断面で根管が樋状C形になっている)で、近心根と遠心根とを繋げるイスムス根管は灰色に汚染し感染していた。また遠心根管は中隔側でストリップス穿孔し細菌感染源となっていた。下7番の根管治療不良の原因として樋状根(断面が雨どいの形)の頻度は高い。術後経過は良好で1年後完治していた。
術前(来院時) 再植術 直後 1年後(症状なく経過良好)
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症例77:48歳男性。【再植術。右上4番、原因は壊死セメント質】
開業歯科で1か月間 右上4番を根管治療し根管充填をしたが、歯肉の腫れとフィステルが消えず紹介来院。レントゲンでは根管充填は良好、根尖と歯根後方側面の大きい病変の影を認めた。側面での病変のため再植術を選択した。右上4番を抜去したのち嚢胞摘出、SB逆根管充填。さらには遠心側面には壊死セメント質を認め、バーで削去後にSB充填したのち再植した。術後1か月で症状は消失、術後1年では骨再生は良好であった。


術前(来院時) 再植術 直後 1年後(症状なく経過良好)
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症例78:34歳女性【再植術。左下6番、3歯に渡る非常に大きい嚢胞】
左下6番、歯茎の腫れと痛みがあり近歯科を受診、レントゲンで左下5.6.7番の3歯に渡る非常に大きい嚢胞と思われる陰影を認め、紹介にて来院。歯根先の病変であれば歯根端切除術が適応だが、歯根の中隔病変を含んだ大きい嚢胞であるため再植術を選択した。一度抜歯した後、抜歯窩と頬側骨開窓部から嚢胞を摘出した後、歯根端を2mm切除、SB逆根管充填したのち抜去歯を元に戻し再植した。病理検査は歯根嚢胞であった。
嚢胞を意図的に一部残す、隣在歯の神経(歯髄)温存治療を行った。術中に注意したことは、術前検査にて隣在歯の5番と7番の神経は生きており、嚢胞を全部摘出すると神経は死んでしまうので、温存するために同根尖部の嚢胞は摘出せず意図的に残存させた。
また嚢胞の下方には下顎神経が走行しており、損傷しないようにこの部の嚢胞も意図的に残存させた。(神経損傷すると後遺症として下唇やその下方皮膚に知覚麻痺が出現する。)術後5.7番は電気歯髄検査にて正常で温存され、また下顎神経は損傷なく経過良好であった。2年後には病変の陰影は消失し完治した。
術前 再植術2年後(症状なく経過良好)
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症例78:55歳男性【一般的には抜歯適応の、著しい歯根吸収がある歯を再植術で救う】
左上2番、歯肉の腫脹を主訴に来院。レントゲンで根尖部に大きい嚢胞と思われる病変を認めた。また歯根中央部に著しい炎症性吸収を認め一度は抜歯適応と診断した。しかし幸いに歯根は長いため再植術を選択した。いったん抜歯した後に嚢胞を摘出、根管治療・根管充填した後に歯根端切除術を行い、根管にフャイバーポストを立て、歯根を7mm挺出させた状態で隣在歯と接着セメントで固定、6か月後にセラミック冠をセットした。経過として、歯根先の病巣部および歯頚部に骨が再生し良好であった。


術前 再植術. 7mm挺出させて固定 1年後. 症状なく経過良好
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症例79:45歳男性【上顎前歯部に太くて長い金属ポストがある歯根嚢胞】
右上1.2番、左上1.2番、歯茎にフィステルが見られレントゲンで根尖病変を認める。長い根管ポストが入っており、4歯の歯根端切除術、嚢胞摘出、SB逆根管充填を行った。術後3年のレントゲンで根尖病変の陰影は消え、症状なく経過良好であった。逆根管がこんなに深くても(6~7mm)、シリンジを使ってSBセメントを流し込めば、良好な逆根管充填が可能である。


術前 歯根端切除術 術直後
3年後、症状なく経過良好・完治
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<歯槽硬線は治癒を判断する上で重要です>
→
術前 術後. 歯槽硬線が出現
<歯槽硬線とは(lamina dura)>
歯槽窩の内壁を形成し歯根の周囲を取り巻く歯槽骨の緻密な薄い層。歯槽硬板または白線ともいう。エックス線写真では、歯根と平行した0.2~0.5mm幅の線状の不透過像として現れる。加齢による幅の減少など生理的な変動のほか、病的な原因によって変動を起こす。根尖病変や辺縁性歯肉炎などの歯周組織の病変が起こると当該部分の歯槽硬線は消失し、病変が消退すると出現するため、とくに歯周疾患のエックス線診断の際の指標とされる。クイントデンタルガイドから。
歯根の周囲に歯槽硬線が出現したら成功の証し
私の考える歯根端切除術の成功と治癒を示すキーワードは歯根周囲の*歯槽硬線の出現です。歯槽硬線とはレントゲン写真で歯根周囲を取り囲む連続して写っている白線を言い、実際は固有歯槽骨と言う硬く薄い骨です。根尖病変があれば骨吸収しその部分は不連続で写っていませんが、治癒すれば骨が再生し白線は連続して写ってきます。
根尖病変の影が薄くなったり残っていても、症状がなければ成功としている治癒評価の甘い病院もありますが、歯槽硬線の出現を成功のキーワードにするのは非常に高いハードルです。手術症例の経過レントゲンを見れば分かってもらえると思います。kasazaki
予後に関して「歯根端切除術の予後に関する臨床的検討」新潟大学歯学部口腔外科からの論文があるが、レントゲンで根尖部の陰影は残っているが臨床症状は特に問題なかったものは成功としたと報告している。こんな甘い成功という治癒評価に私は満足できない。
_______________________________
<考察>
供覧した症例はいずれも再根管治療では治癒しない、あるいは非常に困難な症例です。細菌感染の繁殖部をなくし安全性の高い接着性セメントで逆根管充填する「予後の良い歯根端切除術」を行うことで抜歯を避けることができた。手術にあたり注意すべき点は根管治療不良の原因解明と分析で、レントゲン写真で読影、診断、原因予測する。具体的には歯根や根管の数と形態、歯根のどこが(根尖孔、副根管、穿孔)、亀裂や破折、壊死セメント質などです。
歯根端切除術で最も大事なことは、予後が良いという結果を残してあげることだと思っている。そのためには1症例1症例を大切に、1本の歯にこだわった心を込めた治療を行い、長期に経過をみて症例を積み上げていくことだと思っている。成功するシュミレーションを描くことは大切だが、失敗するのならこれが原因だと分析しカルテに記載しておくことが重要。そうすることで再発した場合に活かし失敗例が少なくなっていき、適応症も広がっていく。前者だけだと成功率は頭打ちで高い成功率は望めない。
予後観察でレントゲンで影があっても臨床症状がないから成功とするDrもいるが、それは甘過ぎで完治と言えず感染源が残って再発の可能性がある。私は症状なく影なく歯槽硬線の出現が完治・成功と治癒評価する。
<症例から学ぶことは多い>
長期の経過を診ることで、従来歯根端手切除術においての難知性と言われていた症例でも治癒するのがわかった。歯根嚢胞が著しく大きく2~4歯に及んでいても、口蓋まで骨吸収が及んでスルー&スルーになっていても、人工骨を骨空洞に入れなくても、治癒すること。根尖切除は1.5~2mmでほとんどが治ることなどが判明した。
では従来法とどこが違うのか?結論としては、切断部の逆根管における完全封鎖である。これが最優先されるべき成功への条件であったのに、勘違いしてさまざまな研究や、人工骨を入れるや開窓術などの術式が生み出されてしまった。
適切な根尖切除量は何mmが適切だろうか?アメリカをはじめ多くの病院では根尖切除は3mmが多いらしい。元々はペンシルベニア大学Kimu教授が根尖部の側枝を除去する目的で3mm切除を提案しマイクロと供に広まったと文献で目にする。当科では1.5~2mmが多く供覧症例のようにほとんどが治癒していて、3mm以上は例外的で壊死セメント質や感染セメント質がある場合にのみ行っている。
根管側枝が3mm以内にあるからと一律に3mm切断するのではなく、原因分析できて経過をみれば自ずと少ない切除量になると思う。原因分析できていないと、大は小を兼ねるからと言って根尖を多く切断してしまう。原因だけの小切除ですむと証明できるなら小の方が良いのは当然だろう。当科約3000例の検証で根尖3mm以上もの切除は、ほとんど必要ないと症例は証明し教えている。
アメリカ情報の3mmルールを信じて、3mm根尖切除をしているマイクロ・MTAを行っているDrへ。ここに供覧した症例を見てもらえればほとんどが1.5~2mm切除で治癒するのが分かってもらえると思います。欧米人での長い歯の3mmは日本人ならせめて2mmで良いのではないでしょうか?3mmルールと言って一律に日本人も根尖3mm切除するのはやめて欲しいと症例が訴えています。それって本当にルールですか?日本人での歯の検証と研究が必要なのではないでしょうか。(2017.3.10) K
<喜び>
抜かれようとした歯が、歯根端切除術によって蘇り一生使えるようになる。その歯、患者、私術者も嬉しくなる。単なる1本の歯に施される医療術以上に、患者と歯医者の繋がりの喜びを感じます。今は誰のためという訳では無く、私が納得できる歯科医術を提供したいだけかもしれないが、患者さんの喜びの笑顔を見てしまうと使命感を感じて引退できないでいる。
今日も術後3か月の患者さんが来院し全ての症状が消え、涙を浮かべて喜んで帰って行った。私にとって私が歯根端切除術をした歯は、1本1本が私の子供のような存在で経過は心配でなりません。大事に病気が治って元気に育って一生を終えて欲しいと願っています。学術的な文章ではないですが、後に続く若い歯科医への強い想いの強いメッセージとします。成功という結果を出すことに的を絞って、適応症の広い本物の歯根端切除術を患者さんに届けたいと思っています。
<隣在歯の歯髄温存治療>
嚢胞が非常に大きくて隣在歯に及んでいる場合、嚢胞を全摘出してしまうと、隣在歯の歯髄(術前に生きていれば)は死んでしまいます。そこで隣在歯の歯髄を温存するために、隣在歯の歯髄温存治療があります。。
歯根端切除術における嚢胞摘出術は基本的には全部摘出です。 根尖病変が非常に大きく、隣の歯根先まで及んでいる場合にも、基本的には取り残さず全摘出をする。隣在歯の神経が生存してなく根管充填されていれば同歯も歯根端切除術をする。しかし隣在歯の神経が生きていれば生かしたまま残してあげたい。でないと術後に根管治療が必要となるから。
その場合に応用するのが、隣在歯の歯髄温存治療です。それには①開窓術を行って嚢胞を縮小してから摘出する場合と、②開窓術をしないで摘出する場合があります。後者では嚢胞摘出時に全摘出しないで、神経の生きている隣在歯の根尖部の嚢胞を意図的に一部残すことです。神経の走行を考慮してメスで嚢胞を切離して残します。術前後に電気歯髄検査を行い適切にされたかの判定が重要となる。リスクとしては嚢胞を残すことで感染・再発の可能性があり、その場合は基本通り嚢胞を全摘出に移行し根管治療を行う。
筆者は年間220症例中で約8症例(2023.10で50症例)ぐらい行って長期に経過観察を行っていますが、全く問題なく再発なく経過は良好です。これから何を学ぶか?嚢胞を一部取り残すのは問題ないで、再発には関係はないということです。
大事なのは「歯根の感染源を断つ」であり、嚢胞を残さないために、無理やり歯髄が生きている隣在歯の根尖部の嚢胞を全摘しなければいけないとか、嚢胞組織を残したくないと鋭匙やバーで骨面をガリガリと削ったりするのは意味がないということです。「隣在歯の歯髄温存治療」という言い方は、分かりやすくするため笠崎が命名しました(調べた限りではない)。すでに記載があれば修正しますので誰か教えて下さい。2021.1.29.
歯槽硬線(しそうこうせん)とは
レントゲンで正常な歯には歯根の周囲に白い帯状の線が見られます。これを「歯槽硬線」と言います。歯根に病変があればこの白線は消失し、病変が治れば白線が出現してきます。
歯根端切除術を行った後に、この白線が見られれば経過は良好で完治したと言えます。
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プロフィール

- 笠崎安則:略歴
- 愛媛県松山市出身.1976年東京歯科大学卒業.慶応大学病院歯科口腔外科(13年間). 立川病院歯科口腔外科部長(27年間). 慶応大学医学部歯科・口腔外科(非常勤講師). 現在: 国立スマイル歯科,斎藤歯科にて歯根端切除術と再植術に特化した専門治療をしています.
- 笠崎真悟:略歴
- 東京都国立市出身.2010年東京歯科大学卒業.慶応大学病院,国立栃木医療センター,日野市立病院,都立多摩北部医療センター歯科口腔外科. 現在:2021.10/1から国立スマイル歯科、歯根端切除術とインプラント、親知らずの専門病院を開設しました.
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