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ブログ.歯根端切除術のウソホント 

 歯根端切除術のウソホント200 
1.術中と術後に痛くならないポイントとコツ
2.歯根端切除術で生命保険の手術給付金は出ますか?10万円出ました。出る会社と出ない会社。
3.歯根端切除術の成功の最大ポイントは、切断面の根管を完全封鎖できるかどうかです。
4.歯根端切除術の失敗の原因は解明されている。
5.根尖病変が歯根嚢胞だから根管治療では治らない。ウソホント
6.マイクロスコープを使用すると成功率が高まる、使用しないと成功率が低くなる? ウソホント
7.根管治療では治らない根尖病変があることを知る。どこが感染源?
8.再根管治療か歯根端切除術か、どちらを選択するのが良いのか?
9.歯根端切除術で根尖を一律に3mm切除する?ウソホン3mmルールは間違っている。
10.高額な自費の根管治療や歯根端切除術で治らなかった場合、どうなるの?
11.上7番の歯根端切除術はできますか?再植術できますか?
12.適切な根管治療をしているのに根管から膿汁や浸出液が止まらない。何が原因?
13.根尖病変は細菌感染で生じ、原因は根管内のみに存在する。ウソホント
14.歯根端切除術した後に人工骨を入れた方がいいのか、入れない方がいいのか?
15.手術成功するためには、どのようなことに注意をはらえば良いのでしょうか?
16.下顎4番5番の歯根端切除術はできますか?
17.歯科人生の中でいろいろなウソが沢山あった
18.逆根管充填材におけるMTAスーパーボンドの違い。適応症の広さが違う
19.医療にPDCAサイクルを
20.歯根端切除術において根尖切除のみで逆根管充填しなくても治るか?

21.「知らないものは見えていても見えない」という原則がある
22.ユーチューブでMTAを逆根管充填する歯根端切除術の動画を見た感想
23.歯根端切除術における職人技とは
24.大きい歯根嚢胞の根管排膿が止まらない理由と正しい治療法は?
25.私のめざすものは、「できないとされた難治性の歯根端切除術を成功させること」
26.CTやマイクロを使うと成功率が高まります。口腔外科より歯内療法科の方が成功率がいいです.ウソホント
27.
根管治療不良の原因パターンがある。エラーを起こしやすい根管の数と湾曲
28.歯根端切除術で開窓術をすることはありますか?
29.本屋さん「一万円選書」で外にネット発信して喜ばれる新しい道
30.今日はマイクロを使用して歯根端切除術をしてきました。でも
31.スーパーボンド歯根端切除術の他院失敗例を再手術で開けてみました。MTAを根管充填した歯根端切除術の他院失敗例を再手術で開けてみました。
32.壊死セメント質が、エンド不良や歯根端切除術失敗の原因になることを知っておく
33.上顎6番 根管治療不良の原因となる第4根管(MB2)の見つけ方
34.歯根端切除術は逆根管充填が完璧だと100%治癒するのか?
35.歯根端切除術をしましたが失敗、どうしたらいいですか?
36.歯根端切除術の失敗例から学ぶことは多い。失敗例から学んだ成功する歯根端切除術。
37.歯根端切除術を成功させるためには
38.歯根端切除術の非適応症(歯根端ができない場合、できても失敗する可能性が高い場合)
39.歯根端切除術は私にとって一つの作品です。
40.歯根端切除術、逆根管充填が失敗する理由は?

41.成功して欲しいので、どうしても言っておきたい事があります。
42.術者はなぜ逆根管充填をしないのだろうか?
43.歯根端切除術で根尖の切除量は何mmが適切だろうか?
44.5代目三遊亭円楽さんの入れ歯と 思い出
45.根管治療や歯根端切除術を行う際に、うづくような強い痛み(非定型歯痛)があったらどうする?
46.非定型歯痛の症状と診断について  非定型歯痛はどのように診断するの?
47.
歯根端切除術とインプラントの悲しい話
48.マイクロでなく拡大鏡を用いての歯根端切除術で90%を超える高い成功率を示す理由とは。
49.MTAでは成功しない歯根端切除術の難症例をSB接着性セメントが救う。その理由とは。
50.歯根端切除術の成功しなかった場合のリスクとは
51.根尖病変の原因は根管だが、治療は根管だけがターゲットと思えば治癒しないよ。
52.歯根端切除術には4つのポイントがあります。
53.歯根端切除術の3mmルールがあると聞きましたが何ですか?
54.私の長い歯根端切除術の歩み
55.歯根端切除術の切開はどれがいいの?
56.歯根端切除術と外科的歯内療法との違い
57.本当の成功率の高い歯根端切除術はどれがいいの?逆根管充填材は何がいいの?
58.私の歯根端切除術の完成までの道程を書き留めておきたい。次に続く若いDrが遠回りしないために。
59.松山の甘い料理が口に合わなくなってしまった。
60.なぜ術者は逆根管充填をしないのか?しなくなったのか? 

61.本当の成功率の高い術式はどれだろう? 成功率の高い逆根管充填材は何が良いのか?データ
62.成功率100%の歯根端切除術はあるのか?ある。
63.病院口腔外科でスーパーボンドを使った逆根管充填をするDrが少し増えているらしい
64.成功率の高い最強の歯根端切除術とは
65.適応症. MTAでは失敗してもSBなら成功する歯根端切除術
66.根管治療が不良の場合、抜歯してインプラントですか?
67.根管治療で治らない場合、抜歯してインプラントですか? あきらめないで歯を残す歯根端切除術があります.
68.歯根端切除術が失敗した理由とは? 今後どうしたらいいのだろうか?​
69.再発症例や難症例に対しても、成功率の高い術式があることを知って下さい。
70.大きい歯根嚢胞のため歯根端切除術は成功しないと抜歯を勧められた。ウソホント
71.私からのメッセージ:
72.マイクロを使えば成功率が高くなるのか?マイクロで何が見えるか?
73.歯科大学口腔外科における歯根端切除術の説明。ウソホント
74.歯根端切除術の成功を左右する優先すべき要因とは
75.逆根管充填をしないDrにしてもらえるためには、逆根管充填は何が良いだろうか?
76.マイクロを使わない成功率の高い(90%以上)歯根端切除術とは
77.レントゲンで歯槽硬線と硬化性骨炎を読影し、完治を知る。
78.こんな歯根端切除術は受けてはいけない.
79.マイクロスコープを使えば成功率が高くなり使わないと低くなるというデータ論文の信用性
80.歯根端切除術に関係する学会の術式ガイドラインはどうなっているか調べてみた.

81.マイクロ・MTAを使用した歯根端切除術の成功率は本当に90%以上なの?ウソホント
82.患者さんへのリスク説明と再発した場合の説明。私の反省
83.上顎側切歯の根管治療が著しく困難である理由
84.歯根端切除術は根管治療をしてからでないと補綴物マイクロリーケージが原因で再発する。ウソホント
     補綴物のマイクロリーケージが原因で根尖病変が生じる。ウソホント

85.歯根端切除術が失敗した場合のいろいろな理由。どれがウソホント?
86.歯根端切除術におけるMTAとSBの成功率の考え方の違いについて
87.これから歯根端切除術はどこへ向かって行くだろうか?
88.逆根管充填におけるMTAとSBの違いと再発との関係
89.誤診しないで適確な治療を行うためには.
90.MTAを使っているDrにも成功して欲しいのでアドバイスです。
91.マイクロ・MTA歯根端切除術をしたが、再発した場合どうするどうなるの?
92.歯を残してくれる歯科はどこに行けばいいの? インプラントに熱心な歯科は早くから抜歯を勧められる。
93.歯根先端を切るだけで歯根端切除術が成功すると思っているDrへ
94.感染歯質が歯根端切除術再発の原因であることを知る。歯根端切除術と外科的歯内療法どちらを呼ぶのがいいのか?
95.歯根端切除術についての私の素朴な疑問?
96.再発した場合の再歯根端切除術においてMTAは適応されない。なぜ?
97.なぜスーパーボンドを使った歯根端切除術は成功率が高いのか?
98.マイクロスコープ・MTAを使った歯根端切除術で、再発した場合の原因と治療法
99.MMA(メタクリル酸メチル)を知っている?
100.マイクロスコープは何のために使うのか?

101.歯根端切除術の将来はどうなるのだろうか?どうなるのが良いのか?
102.歯根端切除術において保険と自費とで成功率に差があるの?何が違うの?
103.グーグル・アイ(AI)ちゃんと友達になろう。
104.歯根端切除術は楽しい。歯が残って患者さんの笑顔が見れるから。
105.なぜ歯根端切除術が失敗したのですか?今後どうしたらいいですか?
106.人には黒いボタンと赤いボタンがある。
107.メール相談から、歯根端切除術をしてもらえる病院を探しています。
108.再発例を治療するには、敵を知り有効な武器を持つことが必要である。
109.今日の症例、MTAで再発しました。
110.今日のメール相談
111.歯内療法医の先生が困っていると思う歯根端切除術
112.なぜ失敗したの?
113.歯根端切除術を極めるためのキーワードは感染歯質と小亀裂です。
114.成功率の高い歯根端切除術にはマイクロ以上にこだわった職人技が求められる。
115.筆者は歯根端切除術の再発治療を専門としています。2018.2.6
116.マイクロスコープを使わない成功率90%以上の歯根端切除術. 2018.2.7 
117.歯根端切除術をするかしないかの判断で一番難しいのは「亀裂」。 2018.2.10. 
118.マイクロ・MTAを使って再発した場合の、検証と治療は重要。
119.某歯科大学口腔外科での歯根端切除術の説明に疑問?
120.たがが歯根端、されど歯根端。2018.4.21.

121.歯根端切除術をする上でのリスクとは?
122.マイクロスコープを使った歯根端切除術の成功率は高い、というのは事実ではない。
123.マイクロスコープを使えば本当に成功率が高まると言えるのか?高まっているのか?
124.正しい根尖病変の診断学と治療学が必要。今は筆者は足りないと思っている。
125.下顎臼歯に歯根端切除術をした場合の後遺症、知覚麻痺について。
126.成功率100%の歯根端切除術は可能。
127.マイクロスコープを使って歯根端切除術をしたが、再発した原因はこれだった。
128.「信じる」という功罪。何を信じるか?本当にMTAを信じて頼っていいのか?
129.マイクロスコープで見えているのに見えないものがある。知識がないと見えない。
130.歯根端切除術が再発した場合の対策を考えて手術をすることの大切さが必要。
131.自費で根管治療や歯根端切除術をしたが、再発した場合の治療費はどうしたらいいのか?
132.藁にもすがる想いで」沢山のメール相談でお気持ちが分かります。
133.気になるのは、歯根端切除術が進化でなく退化していること。2018.11.7.
134.再発例を治療するには、敵を知り有効な武器を持つことが必要。
135.歯根端切除術を極めるためのキーワードは感染歯質を微小亀裂である。
136.筆者は歯根端切除術の再発治療を専門にしています。
137.マイクロスコープ・MTAを使った歯根端切除術が失敗してもあきらめてはいけない。理由は?
138.歯根端切除術はリスクと成功率を説明し同意を得てから行う。リスクとは?2018.3.18.
139.MTA再発例の原因を検証する。そしてSBで再手術で治す。
140.マイクロスコープを使うと何がどう違うの?

141.長い金属コアを除去して根管治療で治る確率と、歯根端切除術で治る確率はどちらが高いか?ん~難しい。
142.歯根亀裂を防ぐために歯科医は、何を考え何をしなければいけないのか?
143.経済的に苦しいため歯根端切除術が受けられない方へ
144.歯根端切除術における私の役割と道程
145.歯根端切除術は戦いだ。敵は歯根の感染源。
146.口腔外科と歯内療法科のどちらで手術するのがいいですか?歯内療法科の先生が困っている歯根端切除術
147.保険と自費で成功率に違いがありますか?再発した場合、根管治療をしてから再歯根端切除術をするのですか?
148.再発した場合、根管治療をしてから再歯根端切除術しないとまた再発するのか?  
149.歯性上顎洞炎と言われ抜歯を勧められた。歯根端切除術で歯を残せますか? 2019.3.1.
150.強アルカリ性根管治療薬による化学火傷痛。MTA歯根端切除術の術後疼痛が続く原因は? 2019.3.3.
151.再発した場合、根管治療をしてから再手術しないとまた再発するのですか?
152.5代目三遊亭円楽さんの入れ歯と思い出
153.歯根端切除術には4つのポイントがあります。
154.歯根端切除術のリスクとは?
155.成功して欲しいのでどうしても言っておきたい事があります。
156.歯根端切除術の成功率を高めるポイント
157.マイクロスコープ・MTAを使用したが失敗しました。まだ治せますか?
158.歯根端切除術ができない場合とは?(非適応症)
159.再発例や難症例にも対応できる成功率の高い逆根管充填材とは?
160.Q11.歯根端切除術で失敗しないポイントは?

161.最近思うこと。バラバラ
162.根管治療をしているが痛みが取れず困っている。トラブル起きていませんか?非定型歯痛も含めて。
163.レントゲンで根尖病変と歯根肥大を認めた場合の治療方針について
164.逆根管だけが感染源なら、SBセメントを使えば歯根端切除術は100%成功する。
165.歯内療法専門医の自費治療で、患者さんが困ってトラブルが生じていること。
166.サホライドの新しい使い方 
167.根尖病変治療のガイドライン
168.人生って何?
169.感染歯質を知る、ついで感染歯質を見分ける、ついで感染歯質を治療する。
170.最近心配になること、MTA。
171.トップページの最初を変えてみました。
172.歯根端切除術の術後疼痛
173.根管治療で痛みが取れない場合、簡単に神経性疼痛(非定型歯痛)のせいにしないで!
174.不安と信頼
175.認知症が出てからの老人のための補聴器で良いのがない。大事な問題
176.どうしてこんなに患者さんが増えてしまったのか?
177.部位別の歯根端切除術の術式
178.歯根端切除術の成功率90%の壁
179.ストリップパーフォレーション(strip perforation)について
180.歯根端切除術における一番の問題点は、
181.歯根端切除術で歯を残す、このような方はどうぞ
182.歯根端切除術は楽しいが疲れる。
183.歯根端切除術の術後の注意事項と経過
184.「男はつらいよ50」山田監督の言葉
185.歯根嚢胞と他の病変との鑑別診断に注意しよう。でないと根管治療をしても治らない。2014.12.22
186.私の夢。2020.1.10.
187.レジン材料にビスフェノールAが含まれている問題点と、スーパーボンドについて
188.根尖病変と非定型歯痛について 
189.疑問、どうして術者は逆根管充填をしないと50%再発すると分かっていて続けられるのか?
190.歯内療法専門医の患者さんトラブルが気になります。2020.2.28
191.歯根端切除術が成功するための提案
192.歯根端切除術の失敗を考える。2種類ある。
193.根尖病変と非定型歯痛との鑑別診断。両方の病変があった場合どうしたらいいの?
194.手術成功を目指す上で何が大事か
195.この1週間の患者さんから教わったこと。2020.7.26.
196.止血剤、硫酸第二鉄(ビスコスタット®)を手術止血に使ってはならない。
197.病院口腔外科、歯内療法専門医での歯根端切除術で注意すること。1年後の経過を診て欲しい。
198.上顎6番の根尖病変の治療選択
199.歯内療法専門医における歯根端切除術の非適応症とは
200.その他のさまざまな質問がありました。

201.根管治療をして治らないのは、亀裂の可能性があるので抜歯するしかない。ウソホント
202.歯内療法専門医の治療で患者さんが困っていること。
203.人生一回しかない、何に気合を入れるかである。
204.嚢胞が大きく、隣在歯まで及んでいる場合の歯根端切除術
205.根尖病変の治療におけるセメント質肥大の臨床的意義
206.嚢胞だから根管治療では治らない。嚢胞を取り残すと治らない。ウソホント
207.抜歯と言われた多くの歯が歯根端切除術で残っている、現実。
208.歯性上顎洞炎で歯を残す。歯根端切除術と再植術の選択
209.抜歯してインプラントと言われて悩んでいます。(メール相談)
210.歯内療法専門医の強引な根管治療・根管充填についての疑問、その考え方とは。
211.急性歯根膜炎と非定型歯痛の鑑別診断について(歯内療法専門医のために)
212.母の手、母の紙パンツ
213.今日のマイクロスコープ・MTAを使ったが再発した原因 2020.12.24.
214.再発治療について
215.部位別の根管治療不良の原因を知って成功率を高める。

224.筆者が考える再発防止策の提言 2023.6.27.
225.根尖孔外感染というあやふや用語
227.歯根端切除術の自費治療料金表(国立スマイル歯科)

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 術中と術後に痛くならないポイントとコツ
歯根端切除術を受けた患者さんの体験談として「術後に痛みが強く、辛くて困った」というブログを目にすることがあります。私の術者としての経験からは、余程大きい病巣でない限り術後に強い痛みを訴える方はなく1~3回鎮痛剤を飲む程度です。だいぶ温度差があるので後輩Drへ臨床医として役立てて欲しいため、術中や術後に痛みを出させないポイントとコツを書いておきます。
<術中に痛くならない、痛くさせないコツ>
1.局所麻酔を十分効かせること。
多量に麻酔液を注入すれば良いということではなく、麻酔部位と深さが大事で大きくは2種類あり、①歯肉浸潤麻酔と②フラップ後の骨膜麻酔であり2回に分けて行うと良い。
 1回目。
麻酔軟膏を歯肉に塗って表面麻酔した後、手術歯の根尖部歯肉粘膜に浸潤麻酔、3分後に付着歯肉に、次いで歯間乳頭部近くに打ち舌側歯肉にも貧血帯が及ぶようにする。次に舌側の歯間乳頭付近そして舌側根尖部粘膜へ。こうすることで少しづつ麻酔部を広げて麻酔が効いた所へ針を刺入していく。刺入点は増すが刺入痛がほとんど抑えられる。一番痛いのは浸潤麻酔部を広げないで口蓋粘膜根尖部に刺入することです。
 2回目はフラップを剥離した後、根尖部の奥の
骨膜にゆっくり浸潤麻酔を行う。これで麻酔液が骨内に十分行き渡り術中に麻酔が切れることはない。最初の歯肉粘膜だけへの麻酔では骨内へ深く浸透してないため、手術途中で麻酔が切れて痛がらせ、追加麻酔を何回もしなければならないことになる。剥離した後の骨膜麻酔がコツです。
2.粘膜骨膜弁の剥離を雑にせず、骨膜を骨面からきれいに剥がす。骨膜が挫滅すると出血などで腫れて術後痛になったりする。嚢胞と骨膜が強く癒着している場合は、無理な剥離はしないで円刃刀で切離し最後はメスを骨面45°に当て骨膜を切り離すと良い。
3.根尖切断の際にエアータービンバーは使用しない方が良い。エアーが術野に吹きだし気腫になって痛みや腫れの原因になることがある。ストレートハンドピースを使ってカーバイド・フィッシャーバー(横目のないタイプ)で切除すると良い。
4.手術最後に骨腔の骨面をラウンドバーで一層削去するDrがいますが、腫瘍ではないのでこの処置は意味がなく、してはいけない。行うと術後に骨の痛みや骨からの出血で腫れて痛くなる。
5.フラップを戻し歯肉を縫合した後、骨膜と骨面が密着するように術者の指で歯肉を圧接し、内部に貯まっている血液や空気を抜いておく。これをするかしないかは術後不快症状に大きな差が出る。術後疼痛を軽減する口腔外科の基本術式コツである。
<術後に痛くならない、痛くさせないコツ>
6.1回目の鎮痛剤は痛くなってから飲むのではなく、麻酔が覚めてきたら飲んでもらう。2回目は痛くなったら飲んで、痛くならなかったら飲まなくて良い。
7.術後に1時間ぐらい冷やしてもらう。
8.前歯部であれば口唇に圧迫目的の弾性テープを貼るのも腫れや痛みの防止に役立つ。
9.手術翌日に術野の洗浄処置と経過チェックのため来院した際、血腫のため創部が盛り上がっていたならば、探針を切開部から骨腔内にそっと挿入して隙間を作ったうえで、ミラー先で腫れている歯肉を軽く圧して、内部の血腫や空気を抜いておく。血液とともに空気の泡がブクブクと出てくることもある。これで歯肉の腫れは一機に引っ込んで、腫れぼったい痛みは消失して楽になり、治癒を速める重要な術後処置です。
10.​術前に歯肉に腫れや痛み、フィステルから排膿が認められた場合は、手術の1~2日前から抗菌剤を飲んで炎症を抑えたうえで行うと、術後の痛みや腫れなどの不快症状が抑えられます。
11.逆根管充填をしないと切断面の根管に感染源が残っており、術後感染や術後痛が起きることが多い。
12.人工骨をいまだに病巣除去した後の骨腔内に入れるDrがいますが、まれに痛みや治癒不全の恐れがあり、私の4000例以上の長期経過観察の経験から必要ないというのが結論です。
13.切開部を縫合しないでガーゼを入れる開窓術をするDrがいますが、術後痛が強く治癒を遅らせるのでしてはいけない。逆根管充填をすれば開窓術は必要なく絶対的NGです。2015.7.24      


 歯根端切除術を受けて生命保険の手術給付金は出ますか?10万円出ました。出る会社と出ない会社。     2022.3.1.情報
<出た会社>プルデンシャル生命、アクサ生命、楽天生命、SBI生命、明治安田生命、大樹生命、で入院日額Ⅹ20倍が給付されている。(例えば入院日額5000円ならx20倍=10万円)。ジブラルタル生命、オリックス生命、第一生命歯根端切除術では出ないが、歯根嚢胞摘出手術で給付されたと患者さんから報告を受けています。住友生命は上限5万が出た。
<出ないと言われた会社>日本生命、東京海上あんしん生命、朝日生命、富士生命、かんぽ生命、損保ジャパンひまわり生命、は出ない。東京都民共済と神奈川県民共済は保険点数1400点以上でないと出ないとのこと(歯根端切除術は1350点)。
<約2015年以前に入ったのは出るが、以降に入ったのは出ないと言われた会社>:アフラック生命、メットライフ生命、ソニー生命、チューリッヒ生命、古いのは出るが新しいのは出なくなったとのこと。

 これをみると歯根端切除術の手術給付金が出る生命保険会社はバラバラで、約款でも明確でないです。出る出ないは営業所では分からないので必ず本社の「給付金センター」に電話すること。

2024.2.26.に手術をしていただきました。埼玉県○○と申します。
生命保険会社に診断書を提出しましたところ20万の保険金を受け取ることができました。メットライフ生命です。
2023.10.12.国立スマイル歯科、第一生命から10万円申請3日目に給付されたと報告ありました。
2018/1/22. 斎藤歯科で左上2番の歯根端切除術をした群馬県から来た患者さん。3/13定期検査で来院、ソニー生命入院日額8000円x20倍=16万円が請求後3日目に給付されたとのこと。
2018/1/23. 国立駅前歯科、2か月前に歯根端切除術をした患者さん。チューリッヒ生命保険で入院日額5000円x20倍=10万円が給付されたとのこと。
2018/1.の手術患者さんは生命保険に入っているが歯科手術で出ると思ってないので請求するつもりはなかった。手術給付金を申請したところソニー生命で20万円が出ることになった。
2018/3/26.東京都民共済保険から10万円出ましたと報告を受けました。これは2歯手術したから出た。1歯では出ない。​2018/4/6.明治安田生命から10万円出ましたとのこと。2018/4/28.三井生命から10万円出たとのこと。2018.5.18.メットライフ生命、10万円出ました。
2018.6.14.オリックス生命から10万円出ました。歯根端切除術では出ないが歯根嚢胞摘出手術とあるので出たとのことです。2018.11.17その後、オリックス生命では出なくなったと言われたとのこと。ジブラルタル生命は歯根嚢胞摘出摘出手術で10万出ました。
住友生命で5万円が出ました。群馬県からの患者さん、1年前に他院で歯根端切除術、再発し当院で2018.4月再手術、5x2回=10万円出ました。
2018.7.28.SBI生命から20万円が出ました、とメール報告がありました。
2018.7.30.エジソン生命から20万円が出ました。国立駅前歯科で笑顔で報告された。
2018.7.30.東京海上あんしん生命は申請したが出なかったとのこと。
アフラック生命は以前は出ていたが、給付コールセンターに電話したら今後2018.9~は手術Kコードに相当しないから歯根端切除術は出ないと言われた。2019.9変更あり出るようになった。その後、新しいのは出ないとのこと。

●保険会社のHPには「上記は、代表的な例を取り上げたものです。ご契約の保険種類やご加入時期によっては取扱が異なる場合がありますので、詳細は、重要事項説明書/ご契約のしおり・約款を必ずご確認ください。」と書いてある。しかし契約のしおりや約款を見ても、ほとんどの保険会社で歯根端切除術(J-004)が手術給付金の対象であるか否かの記載はない。
 厚生省が決めた手術コードがあるのだから生命保険会社は給付される対象か否かを約款やHPで明確にし、診断書を提出する前に契約者に判りやすく検索できるようにして欲しいものだ。「2歯を同時にしても1手術給付金となる。2か月経てば再手術も請求できる。3年前までさかのぼって請求できる」が一般的情報として入っている。


[患者さんからメールが来ました]
住友生命から手術給付金として5万円、アクサ生命から15万円給付されました。当初は対象外と思っていたのですが有難いです。2020.11.1.    
<三井生命から手術給付金出ました>
2018.4.28
千葉県〇〇市より国立駅前歯科へ通って歯根端切除術を受けた〇〇です。
H30.4月20日の術後1か月検診の際に三井生命の診断書を記入していただきましてありがとうございましした。
即日書類を提出したところ昨日担当の方より連絡があり、10万円が支給されました!!
ダメもとでも申請してみるものですね。本当にありがとうございます!!
お体に気をつけてこれからも頑張ってください。次は来年になりますがどうぞよろしくお願いいたします。

<S B I生命で保険金の支払いを受けることができました>2018.7.28
6月に立川病院で歯根端切除術の術後検診を受けたK○と申します。先日は大変お世話になりました。検診中先生から生命保険が適用できるとのお話を伺い保険会社(SBI生命保険)に問い合わせを行いました。結果、20万円の保険金の支払いを受けることができました。ご報告させて頂きたく思い連絡いたしました。今度ともよろしくお願い致します。
<アフラック生命では保険金が出なくなりました>2018.9.19
筆者が早速アフラック生命に問い合わせしたところ歯根端切除術や歯根嚢胞摘出手術は出なくなりましたと言われました。2018.6月までは約30人で出ていましたが7月から対象外とのこと。この会社は出る出ないが明確でなく良く分かりません。

<メットライフ生命>2018.1.26.歯根端切除術. 患者さんがコールセンターに問い合わせたところ、歯根端切除術では出ないが歯根嚢胞摘出術で25000円が出ると言われたとのこと。以前は10万出ていた。この会社も出る出ないを明確にしてない。


 歯根端切除術の成功の最大ポイントは、切断面の根管を完全封鎖できるかどうかです。
では逆根管充填材は何がいいの?   2014.12.21
逆根管充填材と根管壁との間の辺縁漏洩が非常に重要で、ここに隙間があると細菌感染源となって再発します。ですから接着しない詰める充填材であるアマルガムやEBAセメント、MTAセメントでは辺縁漏洩でやや劣り問題があります。
http://ci.nii.ac.jp/naid/110009674429 でも詰める充填材は全て駄目で失敗すると言っている訳ではなく、辺縁漏洩で問題なく充填された場合は成功すると思います。成功の確率の問題です。現在のところ、整形外科や脳外科で骨セメントとして使用している医療材料として安全な、歯質や金属と接着するスーパーボンド接着性セメントが良いと私は思っています。1992年から全症例にスーパーボンドを使用していますが非常に良好な結果(成功率96.6%)です。「再発症例の治療」症例  を見て下さい、その理由がわかると思います。歯に接着しないEBAやMTAセメントなどの充填材では決して治らない症例ですが、接着性セメントを使用することで治癒しました。

 歯根端切除術の失敗の原因は解明されている。
この10年間で歯根端切除術1742症例を検証し失敗症例から原因解明したこと。
1.根尖切除した後に逆根管充填してなかった。術中に切断面の根管がきれいに見えても、後から根管のセメントが溶解して腐敗が生じた。
2.逆根管充填材が不良で逆根管の完全封鎖ができていない。硬まってなかったり、歯質と接着してなく隙間があったりして(MTA.EBA)細菌感染源が残っていた。
3.壊死セメント質が残っていて感染源になっていた。
4.根尖切断面に感染象牙質が残っていた。
5.歯根に亀裂があった。
6.
歯周炎で歯根周囲の骨吸収著しいため、歯周ポケットと根尖病巣が交通し感染源となった。
7.手術によって隣在歯の歯髄が死んでしまい感染源となっていた。
これをチェックすることで失敗しない歯根端切除術に近づくと思います。失敗例の検証と良好な逆根管充填材のお陰で成功率90%の壁を突破でき、2007~2008の当科集計で成功率96.6%だった。スタッフや患者さんの協力で、遠回りしたが確実な結果が出たと思っている。

 根尖病変が歯根嚢胞だから根管治療では治らない.ウソホント、ウソ   2014.12.21 
適切な根管治療を長く行っても症状が消えない場合、その理由が解らず困りはて原因を歯根嚢胞のせいにするDrがいます。歯根嚢胞だから治らないというのはウソ。「根尖病巣が歯根嚢胞だから根管治療では治らない」と誰が言い始めたのだろうか? 治らない原因が解らないので仕方なく言い訳で何かのせいにして、担当医が楽になろうとしているだけです。治らない推測原因を説明できればウソを言わなくていいのに。
 根尖病変は病理学的には①根尖膿瘍 ②歯根肉芽腫 ③歯根嚢胞の3つに分類でき、Dr.Bhakarによると2308 例中 ②48% ③42% と報告している(口腔病理学石川梧朗)。嚢胞だから治らないと言うのが本当であれば根管治療の約42% が治らないことになってしまい理屈が合わない。治らないのは嚢胞のせいでなく細菌感染源が残っているためで、手術で開けて見ると、根尖破壊、根尖湾曲、穿孔、第4根管、副根管、小亀裂、壊死セメント質などと、原因はすぐに判明します。
 そして根管治療が効果ない場合に治すためには歯根端切除術が適応となります。歯内療法の進歩に伴い、近年この「嚢胞のせい説」は否定されているので、現代のDrは安易にこれを使ってはいけない。


 マイクロスコープを使用すると成功率が高まる。使用しないと成功率が低くなる? ウソホント
このような報告がネット上にあるが、歯根端切除術の成功率をマイクロにもっていくのはどうかと思う. ましてやそのデータは自院のではなく他院のを流用したあやふやなものであった。差別化して言いたい気持ちは分かるし歯内療法の発展のため目をつぶっていたのですが、「使用しないと成功率が低くなる」とまで言うDrが出てきたのであえて異論を唱えます。あれば有用ですぐらいでちょっと言い過ぎではないでしょうか。当院には数千万円の高性能のマイクロやCTがあり必要性によって使用するが、成功率に影響を及ぼすと言う程ではなく、上記 2. のことがずっとずっとずっと優先する。
 正直に言うとこの手術をマイクロサージェリー(手術手技)として行うには非常に手際が悪くなってしまう。歯根端切除術を手際良く行うにはマイクロの強拡大ではなくて、2~5倍の弱拡大ライト付き拡大鏡で行うのが最も適している。あくまでもマイクロはスコープとして切断面を強拡大で見るだけに有効で、歯根端切除術の研修や教育には役立ち、根管治療にはその功績は大きく歯科の進歩に役立っているとは思います。当科ではマイクロを希望する方には使用しておりマイクロを否定するつもりは全くないのだが、マイクロを使用しないと成功率が劣るという誤った考えを唱え高額な自費治療にもっていくのが気に食わない。
 当科では年間約240症例のほとんどをマイクロでなく拡大鏡下で手術して当院成功率90%以上の実績での発言で、術後経過のレントゲン写真がこれを証明している。
当科での治療症例 最近では自費のマイクロ使用下で手術したが予後不良の方が時々来院されるが、マイクロなしで拡大鏡を使用して治癒させている。マイクロでなく拡大鏡を使用して成功率90%以上の歯根端切除術はなぜ可能なのか? その理由はマイクロでも判らない失敗する原因があるからで、特に壊死セメント質や感染象牙質を見分ける目と知識がなければたとえマイクロがあっても成功しないだろう。またマイクロで見えても感染源かの診断は探針やエキスカで探って始めて判別できる。
 マイクロを使用することが目的ではなく、マイクロで何を見るか?拡大鏡では見えずマイクロで見えるものがあるか?歯根端切除術の予後に影響があるか?が問題です。マイクロを使用するDrでマイクロが必須と言っているにもかかわらず、壊死セメント質や感染象牙質のことを言っているDrはいないので見えていないのだろう。否見えていても知識がないため見えなくなっているか、MTAでは治せない感染歯質なので見えてないことにしているのだろう。何を見ているのだろうか?根管やイスムス、フィン、亀裂は拡大鏡で見えるが、マイクロでないと見えないものとは何だろう。切断面の根管を見るのにマイクロは必要ないが、あえていえばイスムス、フィン、亀裂の確認は拡大鏡よりマイクロでよく見える。
 成功率を高くするのはマイクロよりも優先することがたくさんあります。丁寧で注意深く1滴の血液も根管に入れないような繊細な手術をすることが成功へと導いてくれます。でも
否定する訳ではないので「マイクロを使って手術をして下さい」とおっしゃる患者さんには要望に従って使っています。歯根端切除術において最も重要なのは長期経過で成功という結果を残すこと。そのためにはCTやマイクロよりも「PDCAサイクル」という医療実行が重要視されます。PDCAサイクルの上に乗っていないCTやマイクロではただの補助道具になってしまうからです。ブログ17.へ      
  マイクロスコープは医科では眼科や脳外科などでの血管や神経の限られた微細組織の繊細な手術に、歯科では繊細な口腔外科手術や根管治療に有効です。歯根端切除術においては根尖切断面を強拡大で見るのに有用で便利です。しかしマイクロを使えば成功率が高くなる使わないと低くなると言うDrがいますが、それはちょっと言い過ぎです。差別化しアピールしたい何かに頼りたい気持ちは理解できますが、長い経験の中で歯根端切除術の成功はそう単純ではない。歯根端切除術の実際は10mm前後の手術野で行う作業になり、メスで歯茎を切開して剥離しエンジンバーで骨を削って穴を開け、エキスカと鋭匙で嚢胞を摘出、バーで根尖を切断、エキスカで根尖裏側の残存した病巣をガリガリと除去、超音波チップで逆根管を形成、出血部位を確認、止血用ガーゼを詰め込む、窩洞に血液が入らないよう注意して薬液処理と洗浄・乾燥、そして逆根管充填、術野の洗浄、歯茎をもどして縫合します。
   このような煩雑で細かい手作業を手際良く行うには、マイクロスコープよりもライト付き拡大鏡を使用した方が正確で繊細な手技が行えます。乾燥した窩洞に1滴の血液や水も入らないように息を止めて行うような作業です。正直に言えばマイクロは、スコープとして術前術後に切断面を強拡大で見て確認するのに良く、手術研修やビデオ撮影には有効ですが、逆根管充填や手技を伴うサージェリーには不向きなのです。マイクロ使用を否定しているのではなく、有効だが向き不向きがあり、頼るのでは成功率は高まらないと言っています。マイクロを使うことで成功率が高まる訳ではないのです。あくまで私見です。当科にはマイクロはあるのだが、ほとんどはマイクロに頼らない拡大鏡による精度の高い手術を行っていて、マイクロを使っても使わなくても成功率90%以上を維持していてます。マイクロを持っている先生の言いたい気持ちや自費で丁寧な治療をされていることには尊敬し理解しています。当科2000例以上の歯根端切除術の長期観察で成功率90%以上を維持できているからです。問題はマイクロを用いて何を見るかで、根管だけを見るのならマイクロは必要なく拡大鏡で十分である。
<歯根端切除術において何倍ぐらいの拡大率で手術するのがいいだろうか?>
経験的には、手術手技には 2~2.5倍の拡大鏡が向いている。3倍以上だと精度の高い煩雑な手技がやりにくい。そして根尖切断面のチェックには拡大率は高ければ高いほど良く、8倍のライト付き拡大鏡や20~30倍マイクロスコープが良いだろう。簡便にするなら2倍の拡大鏡に、ダイソーで買ってきた3.5倍のメガネをかけて7倍で切断面を確認するのもいいい。(ただし焦点距離が短いので12cmぐらいに近づいてしまうが)。でもすべてを2~2.5拡大鏡でできないわけだはなく、成功率が劣るということはない。あくまでも私見です。

マイクロスコープを使えば成功率が高まると単純に言えない。だが再発エラーを防ぐ有効な器械であり、特に切断面の感染歯質や微小亀裂の
チェック発見に有用で、あれば治療でき再発を防ぐことが可能となる。マイクロは見る器材で病気を治す道具ではないが、感染源を発見する有効な道具である。
他院で自費マイクロ歯根端切除術をして再発した患者さんが、月に1人は来院し再手術で治している。マイクロを使っても探究眼がないと見えないものがあり、それが感染歯質で再発の原因となる。つまり上記要因が優先的に成功を大きく左右する。

<マイクロスコープを使用しないと成功率は低いですか?>
 いいえ、マイクロを使わなくても90%以上の高い成功率は可能です。当院にはマイクロがありますが、ほんどはライト付き拡大鏡を使って精度の高い手術を行い成功率約95%である。高い成功率を出すのは良好な逆根管充填材と、感染歯質や小亀裂を見分ける診断力と治療法です。

マイクロなしで90%以上の成功率の高い歯根端切除術は可能である>
歯根端切除術はマイクロで左右されるほど単純ではなく、それよりも成功率を高めるための優先すべき要因として、逆根管充填材の選択と感染歯質の診断がある。でもマイクロが無用と言っているのではなく無いよりはあった方が良いが、「マイクロを使うと成功率が高くなる、使わないと低くなる」と成功の優先順位の高くないマイクロを成功率にからめるのを私は否定しています。他院マイクロを使って手術をしたが、再発来院した患者さんを大勢診て治療してきた経験からです。

 根管治療では治らない根尖病変があることを知る。ではどこが感染源なの?

適切な根管治療を長く続けているが、症状が消えなかったり根管から排膿が止まらない。このような難治症例を臨床医なら誰でも経験し対応に苦慮します。そして永遠と根管治療をすることになったり、原因理由が判らないまま抜歯しているのではないだろうか。原因は根管内にないから根管治療では治らないのです。最近の歯内療法学では、根管外の根尖部表面に住み着いた細菌バイオフィルムが原因ということになっているらしい。否定はしないが本当だろうか。このような症例を歯根端切除術で数多く治療した経験から、開窓して見るとバイオフィルムではなく壊死セメント質が原因だった。根尖部には茶褐色の汚い凸凹でいびつな、時には軟化し た、ひび割れのような小亀裂の入った、岩肌のような壊死セメント質を認めることがあり、これが細菌感染源である。根尖切断面をよく見ると年輪のように肥厚した壊死セメント質を認めることもある。術前のデンタルレントゲン写真をよく見ると肥大した不定形の壊死セメント質を思わせる像が見られる。バイオフィルムでなく根尖部の壊死セメント質に目を向けるべきです。壊死セメント質の表層にバイオフィルムが生じているのであって、壊死セメント質が細菌感染の原因なのです。ですから バイオフィルムを除去したところで、その下部の感染した壊死セメント質が残っていれば根管治療は効果なく根尖病変は治癒しない。
 いずれ歯内療法の教科書に「難治性根尖性歯周炎の原因としての壊死セメント質」と載ると思います。20年前にこのことを発表したが当時は根管内だけが感染源だとされ、誰も見向きもしなかった。近年やっと根管内だけが感染源ではないと言われだし根管外バイオフィルムにたどり着いたが、本質は壊死セメント質で結果としてバイオフィルムが生じているのであって、真実はもう一歩だ。症例は証明しているのだがこのことを理解してくれるDrはいるのかな~。症例20、21を参照してみてください。「根尖部の壊死セメント質」検索。


 再根管治療か歯根端切除術か、どちらを選択するのが良いのか?
まずは必ず再根管治療をして、それでも治癒しない場合のみが歯根端切除術の適応である、というDrがいる。ウソ。歯根端切除術が第一選択になる場合は多い。たとえば、根尖病変があるもすでに適切で緊密な根管充填がされている場合(症例1、7)、根管が屈曲や閉鎖していて治療器具が入らず根管治療できない場合(症 例13)、根管に穿孔や副根管がある場合(症例4)、根尖の根管に破壊や炎症性吸収がある場合(症例2)、根尖部に壊死セメント質や感染象牙質がある場合(症例7)などである。
 特に適切で緊密な根管充填がされている場合、苦労して高額なセラミックの冠やポストを除去して再根管治療しても治らず 、意味のない無駄な治療となって患者さんとトラブルの原因になるかもしれない。根管内のみに根尖病変の細菌感染源が存在するという古い誤った考え方を信じていると、誤った選択をしてしまう。歯根端切除術が第一選択になるのは、再根管治療ができない、しても治らない、すでに良好な根管充填がされている場合である。術前レントゲン写真できちんと見極め診断することが重要である。普通の当たり前のことを書いているだけなんだけど意見の異なるDr は多い。


 歯根端切除では根尖を一律に3mm切除する?3mmルールは間違っている。ウソホント
根尖を3mmも切る必要は全くない。マイクロを使用しての歯根端切除術は、一律に根尖を3mm切除し逆根管を3mm形成するとなっている(ペンシルバニア大学歯内療法科)。根尖から3mm以内に根管分岐や側枝の約95%があり、それを除去するためとのこと。本当だろうか、何かの間違いではないでしょうか。つまりこの報告データは有髄歯の場合であって、無髄歯になると根管分岐や側枝、象牙細管は、石灰化閉鎖していることがほとんどである。硬化性の透明セメント質や透明象牙質となって、きれいな琥珀色に透けて見えることさえあり感染源とは成り難い。大は小を兼ねるというけれど、小で治るのであれば大の切除し過ぎは象牙細管露出や動揺を増やすので避けたい。3000例以上の歯根端切除術を行ってきた中で、なかなか側枝に巡り合うことはない。
 根尖切除量が3mm より少ないと再発率が高くなるかというと否である。当科では年間200例以上の歯根端切除術をしているが、切除は1.5~2.0mmがほとんどであり長期経過で90%以上の成功率です。根尖切除3mmは壊死セメント質や感染象牙質、小亀裂が広い範囲にあった場合の例外的処置で、年間約10数例です。
 また古い教科書には歯根の裏側の嚢胞を取り残さないために、骨腔底まで歯根を大きく切除するべしと記載されているが、小スプーンエキスカベータを使用すれば裏側の嚢胞はきれいに取れるので、大きく切除する必要はない。当科での1.5~2.0mmの治療症例を見て下さい。一般的に3.0mm以上の切除は不要というのが長期経過観察でわかっていただけると思います。このように症例から学ぶことは多い。症例から学ばないで、検証しないで偏ったデータを信じて鵜のみにするとエラーを起こす、ことを学ぶ。「必要条件と十分条件を満たしたものが真実である」
 また欧米人歯根での3mm切除を日本人に当てはめてルールと言ってしまっていいのだろうか。アジア人の歯根は短いのだから。3mmルールに乗っ取らない手術で成功する症例が多過ぎる。つまり3mmルールは待ち待っていると言わざるを得ない。

10 高額な自費の根管治療や歯根端切除術で治らなかった場合、どうなるの?
高度な医療機器・技術を提供するため保険適応外となり、根管治療に高額な治療費(10~15万円)がかかる。治療の結果が良好の場合は患者さんは大満足である。しかし治らなかった場合は高すぎると不満になる。確かに医療は成功報酬ではなく、リスクのある根管治療なのでしかたないのだが・・・。
 歯内療法専門医によるマイクロ を使った高額な自費治療を行ったが治らず、当院を受診相談される方は時々いる。先日も上5番のマイクロ根管治療で10万円かかったが治らないため、追加5万円で歯根端切除術をしましょうと言われたが、不信感がでて当科で歯根端切除術を行った。患者さんから不満な話を聞くのは何とも心苦しい。レントゲン写真での診断とリスク説明が重要である。高額であるがゆえに治らなかった場合の患者さんの気持ちになると、保証期間や返金的なこと、専門学会で指標的なものがあれば良いがという思いだが、難しい。自費で治らなかった場合アメリカではどうなっているのかな~。

他の歯科相談サイトで根管治療の回答を見ていて、「保険治療でそこそこの治療をしていずれ不良となって抜歯になるかもしれない治療と、自費治療で高額(約10万円)だがマイクロを使用してずっと長くもつ治療があ りますが、あなたはどちらを選択しますか」というニュアンスの回答を最近たびたび目にする。患者さんは根管治療のトラブルをかかえて悩んで困って相談しているのにお金の話を持ち出されても困るし、高額な治療費を出さないと治らないような言い方をされると途方にくれると思う。
 では高額な治療費を払えば治るのかと言えばそんな保証はどこにもなく、治らない方が当科に来られることが多い。確かに保険での根管治療費は安いが、だからといって病気の相談に歯科医院の経営のためのお金の話を持ち出しからめるのはやめてほしい。情けないし見苦しい。ヒポクラテスが泣いている。辛口コメントです。

<先日の相談>:右上1番にきれいなセラミック冠が入っていたが歯茎にフィステルができたため根管治療専門医を受診。マイクロを使用して根管治療10万、現セラミックは壊して再製13万合計23万円の自費治療で契約し入金した。約3カ月間根管治療し根管充填したがフィステルは消失せず、歯根端切除術が必要で追加10万円と言われた。しかし患者さんはこの先、完治するのか治療費はまだかかるのか、説明に対して不安と不信感で転医したいと相談来院された。
 当科で歯根端の予約をしたが、「10万はあきらめてセラミック代13万は返金してもらったらどうですか?」と言ったところ、担当医からは「すでに歯型を取ってセラミックは完成しているので少しなら返却できる」と言われたとのことだが患者さんは憤慨し悔しい思いを訴えていた。
 根管治療が成功を確認してからのセラミック冠作成が普通であり全額13万返金が妥当だと思うが、高額自費治療で治らなかった場合の金銭トラブルは多い。トラブルの原因は治療方針と説明、根管治療で治らない場合の方針と手術費用を説明してないことが多い。自費マイクロ根管治療で治らなかった場合は+5~10万で歯根端切除術を行うというのを目にするが、それで治らなかった場合に一部返金ということもあるのかな~。
 2016/9/24 来院患者さんの話。自費で根管治療専門医で上顎右上1番の治療。根管治療12万円+ファイバーコア2万円、痛み取れず経過不良で歯根端切除術15万円とのこと。

11 上7番の歯根端切除術はできますか?再植術はできますか?
上7番(第二大臼歯、最後方歯)の歯根端切除術は手術視野が悪いため基本的にできない。その場合は再植術といって、一度抜歯して歯根処置した後に元に戻す治療法がある。

 例外的に上7番の歯根端切除術ができる場合がある。その条件とは
①口角を強く引っ張っても我慢できる場合(おちょぼ口はできない)。
②この歯は3歯根あり頬側2根は可能だが内側根は器具がとどかないので治せない。つまり頬側2根にのみ病巣がある場合には可能である。
この条件が厳しいため再植術で対応することが多い。


ただし再植術が成功するためには3つの関門がある。Q18.再植術
1.抜歯する際に歯根破折させないで上手く抜けるかどうかが大きい分かれ目。歯根が曲がっていたり、複数根が開いていたり、肥大根、歯根が骨を抱え込んでいたりすると、歯根が破折し再植は不可能となる。

2.抜歯後に目で歯根を確認して、う蝕や損傷、亀裂、感染歯質が著しいと再植できない。
3.再植後の経過で動揺や歯根吸収がなくちゃんと生着するかどうか。2019.12.29.

12 適切な根管治療をしているのに根管から膿汁や浸出液が止まらない。何が原因?2014.3.24

いつまでも根管治療をすることになって治らず対応に苦慮する。この原因は何で、患者さんにどう説明し、どうすれば抜歯せずに治せるのだろうか?
 歯内療法学では原因は根管内の汚染部の残存、最近では根管外バイオフィルムが関係していると教えている。そのため治療として、さらに大きく50~80号まで根管拡大したり、根管洗浄を長く繰り返したり、水酸化カルシウム剤を貼薬に使って排膿を止めるとされている。本当だろうか。本当にこれで浸出液は止まって治るのだろうか。根管拡大をして根管象牙質がきれいであれば、原因は根管内にはないと考えるのが当然である。現在のところ、本当の根尖病変の治療法は確立されていない。考えを根管に固執していては駄目で説明がつかず臨床歯科医は混乱している。根尖病変に目を向けるべきです。
 原因は根管内になく、活動性のある嚢胞そのものが独立した細菌感染の繁殖部として存在し、嚢胞壁や嚢胞内で膿汁や浸出液が作られているのです。細菌感染した含歯性嚢胞、術後性上顎嚢胞、歯原性角化嚢胞、鼻口蓋管嚢胞などと同じです。この場合の治療法は嚢胞摘出術です。長く根管治療を続けるも根管から排膿が止まらず、あきらめて抜歯している開業医の先生がいたら是非ご紹介ください。同じような症例を歯根端切除術で治した症例:4. 8. 24. 25.                                                             
13 根尖病変は細菌感染で生じ、原因は根管内のみに存在する。ウソホント2015.3.27
治らないのは根管内の細菌繁殖が抑えられていないためで、根管拡大をさらにすることで治っていく。これはウソ。もちろん原因のほとんどが根管内に存在するのは確かであるが、根管内だけではないことを理解しておかないと永遠に根管治療をするはめになってしまう。あげくのはてに理由がわからないまま抜歯していないだろうか。
 根管治療では治らない根尖病変があることも知っておかねばならない。解答は「難治性根尖性歯周炎への対応」で述べています。根尖病変を治療するための正しい病因論がまだ確立していないからだと思う。根管を治すのではなく根尖病変を治すという病因論のもと、歯内療法学は根管治療学ではなく
根尖病変治療学という考え方が必要ではないだろうか。まだまだ根管至上主義に固執しているDrは多いと感じている。

適切な根管治療を長期に続けているが、根管から排膿が止まらなかったり症状が消失しない場合の細菌の繁殖源は、根管内でなく①嚢胞そのものや②壊死セメント質や感染象牙質にあることを理解しておく必要がある。そしてレントゲン写真で診断してその疑いがあれば根管治療に入る前に、根管治療だけでは治らない可能性がある、リスクのある歯ですと患者さんに説明することが必要。これによって無用なトラブルが避けられる。特に壊死セメント質の読影をマスターしておくのは臨床医にとって重要です。

14 歯根端切除術した後に人工骨を入れた方がいいのか、入れない方がいいのか?  2015/12/1.
入れる目的は、大きい嚢胞を摘出した後の骨空洞を早期に骨で埋めてしまおうとするものです。欠点は感染と異物反応です。術者によりそれぞれ考えがあると思いますが、私は大学病院勤務時に研究のため約20例に人工骨を入れましたが、この20年間は入れたことはないです。それというのも「当科での治療例」の長期経過をみると、どの症例も人工骨を入れていないにもかかわらずきれいに骨は再生し補填されているからです。結論としては利点欠点を考慮して長い目でみれば人工骨を入れる意味はないようです。と長期経過症例は示しています。
 他院にて2015.6月に左上歯の歯根端切除術をしたが咬合痛と違和感が続いて困っている患者さんが9月に来院された。レントゲンでは根尖部に影はなく様子をみることにした。しかし6か月経っても消失せず、本日2015.12.1当科で歯根端切除術をした。歯茎を切開してめくってみると歯根の先の骨空洞には人工骨が埋められて感染していた。逆根管充填はMTAがされていた。人工骨とMTAを除去しスーパーボンドを逆根充した。つまり人工骨を入れていたのでレントゲンでは病変が写らなかった。症状の原因は人工骨の感染であった。ちなみに根管治療専門医マイクロ使用の自費診療でこの歯の根管治療は6万円、歯根端切除術は15万円支払ったとのことであった。ん~~~。結果は2~4週間後に出る。
 2016.2.24 本日、歯根端切除術をした2人の患者さんは、人工骨を入れて感染し痛みとフィステル、排膿を認めすべてを除去しスーパーボンド逆根充をした。人工骨を入れる必要はないのになー。歯根の周囲に人工骨を詰めると歯根膜の再生に障害となる。

15 手術成功するためには、どのようなことに注意をはらえば良いのでしょうか?   2015.3.31
この手術をするDrに私の経験を隠すことなく伝え、是非とも成功してほしい気持ちで述べたい。まずは鮮明に撮れたレントゲン写真が必要で、手術の適応を見極めるうえで読影と診断が重要、ここでは割愛する。手術では根管治療の不良の原因を探し出すことが最も大切。嚢胞や肉芽を掻爬除去した後に、根尖部の根管、穿孔、根尖破壊、根尖炎症性吸収、亀裂、副根管、壊死セメント質などを丹念にチェックし細菌感染部を探す。壊死セメント質については、まず歯根表面を見て、セメント質の全体的な肥厚や凸凹した肥厚や歯石様石灰化物、色(茶褐色、灰茶褐色、白色)小さい亀裂(少しエアーで乾燥させると見えてくる)や大きい亀裂、軟化度(探針でひっかいてみる)をチェックする。

そして根尖を1.5~2.0mm切断した後、切断面のチェックにはいる。まずは根管を探し汚れ状態を見るが、黒く腐敗していたり、中はスカスカ、ガッタパーチャポイントはボソボソ、のことはよくある。ついでセメント質肥厚の有無を見て、なければよし、あれば感染源とならない正常なセメント質か、感染源となる壊死セメント質かを診断する。後者であればさらに根尖切断量を増やしたり壊死セメント質だけをバーや超音波ダイヤモンドチップで削去する。バーの回転は歯冠側から根尖に向かうようにする。逆だとセメント象牙境で亀裂が歯冠側へ拡がって入ってしまい再発につながるので注意する。ついで切断面の象牙質をチェックし感染象牙質がないかを、色、汚れ、小亀裂、齲蝕状態、で見分ける。切断面にカリエスチェック液やピオクタニン液で染色して精査することも有用です。

根尖病変は根管内の細菌感染から生じるものだが、根管の治療だけで治ると思ってはいけない。歯内療法学が根管内のみの治療学になってしまい、根尖病変の治療学になってないため臨床医は戸惑っている。根尖病変の治療がうまくいかず当口腔外科を紹介受診される患者さんは多く、その根管治療や歯根端切除術を数多く行っている私には良くわかる。根尖病変が治らないのは適切な根管治療がされてないからとされ、無意味な根管拡大が行われることは多い。注意すべきは根尖病変の原因が根管だけと思い込んではいけないこと。だから外科的に歯内療法だけをするという根管内感染源の考えで対処しても高い成功率は期待できない。再発した時には想定外で理由がわからなくなる。そういう私も約20年前までは成書通りに根管を完璧に閉鎖することだけに目を奪われていて、根管閉鎖がうまくいって成功すると思っていた症例が失敗に終わった時にはショックを受けた。今は感染源が根管だけでないことが判り成功率90%の壁を突破した。

ついで切断面の根管形成と逆根管充填にうつる。超音波ダイヤモンドチップで1.5mmの深さで根管形成する。その際にチップ先がズルズルと根管深く入ったり(根充が不良のためである)、超音波をかけた時に根管内から黒い汚染物が出てきた場合には、チップ最大長さ分5mmの深さで根管内を清掃・形成する。2015.5.23に成城学園駅の近くの成城ホールで歯根端切除術の講演会します。


16 下顎4番5番の歯根端切除術はできますか?
下顎4.5番の歯根端切除術を行う上では注意事項がある。下4.5番の歯根先端の下方部に太い下顎神経が通っているため、手術の際に神経の位置や手技に慣れてないと神経損傷することがある。後遺症としては下唇やその下部にしびれ感(知覚麻痺)が生じる。そのため下顎4.5番の歯根端切除術は行わないというDrは多い。してもいいが歯根を4~5mm切除することになるので   再植術を勧めるというDrもいる。
 筆者は普通に行っているが、確かに下顎神経の開口部オトガイ孔に近いので手術を行う上で損傷しないように注意しなければならない。通常下顎4.5番の歯根先とオトガイ孔とは約10mmぐらい離れている。1.どんなことに注意するか、2.頻度や程度、予後、3.起きた場合にどう対処するか、を記載してみたい。


1.①手術は術野を確保するため粘膜骨膜鈎でフラップを引っ張るが、術者が手術に夢中になってオトガイ孔の神経を圧迫したり強く引っ張ってしまうと知覚麻痺が生じる。→まずオトガイ孔の位置をパントモ写真で確認する。助手が粘膜骨膜鈎で引っ張るので、Drは指示を出してオトガイ神経を鈎で損傷しないようにする。
②下顎4.5番の歯根嚢胞が大きい場合、鋭匙で骨面から嚢胞を掻き出すがその際に下顎神経を傷つけた。→嚢胞を摘出する際、神経に近い下方部は特に慎重にフックピンセットで引っ張りながら少しずつ行う。骨面を鋭匙でガリガリと掻把するのは神経損傷につながるので決して行ってはならない。
2.私の経験では下顎4.5番の歯根端切除術を行った場合、約5人に1人で下唇知覚麻痺の後遺症が生じている。徐々に回復し2~5か月後には全員が完治している。つまり約80%の方では起きてない。
3.術前に知覚麻痺の可能性、起きた場合には原因と治療、徐々に回復ことを説明する。治療として神経改善薬のメチコバールやアデホスを処方、湿布やマッサージを指示する。2019.8.14.

17 長い歯科人生の中でいろいろなウソが沢山あった。    2015.4.24
今後も出るであろうから疑いを持つことと、本質を見分ける目を養っておくことが必要です。どんなことがあったか反省を込めて書いてみたい。  
・ナソロジーのウソ:約40年前の歯科界で一世を風靡した咬合理論で、ナソロジーを知らずして、ナソロジストでなければ歯科医にあらず、とまで言わしめた。この時代の歯科医はみんな学び国家試験にも出るので学生は懸命に学ばさせられた。アメリカからのこの波は学会、研究、教育、咬合器の開発と世界の歯科補綴界を制覇した。その理論の基礎となるのは下顎骨の回転顎運動の支点は1か所でオトガイを後上方に指で押して回転支点を求め、その支点の回転で咬合したところを中心位とし、これを咬合器に再現して新しく全ての歯を治療して咬合を再編成するというものであった。数多くのナソロジー大学論文を作成した当時の大学教授は今はどんな思いだろう。患者さんへの実践で大きなトラブルとなり反省の言葉のないまま20年間ぐらいで消えていった。でもそのときは学会、書籍はナシロジーであふれ強い流れだった。今となってはウソで、間違った咬合理論によって多くの患者さんが犠牲となったのも事実である。もっと早くウソと気づき止められなかったかと悔やまれる。過去のことだけでなく、現在もこのような歯科界のウソは生まれているので注意が必要。

・ASC52アタッチメントのウソ:入れ歯には歯に引っ掛けるためのバネが付いている。それをなくし入れ歯の形を小さくするために、支台歯と入れ歯に精巧なアタッチメントを付けることを、日本の某大学教授が開発し商品化した。私が学生時の試験や国試に出題され、アタッチメントを述べよと言われれば、まずこのASC52アタッチメントを挙げなければいけなかった。特許のある画期的なアイデアのもとに、臨床研究では非常に良好な症例報告がされ、学会、研究、教育、多くの開業歯科や歯科大学病院で最新歯科医療として高額自費の入れ歯治療に使用され広まった。理論は良かったが実際に患者さんに用いたところ、アタッチメントを取り付けた支台歯が5~6年でぐらついて抜歯になることが続出し、トラブルとなったためこのアタッチメントは不良品として消えていった。失敗を検証し間違っていたと判った時、流れに逆らって撤退するのは勇気がいる。

・MTAのウソ2019年MTAセメントは万能のセメントとして1.直接覆罩材、2.根管充填材、3.逆根管充填材として歯科界においてもてはやされている。1.2.はともかく3.逆根管充填材としてはいずれ消えていくだろう。大きな理由として逆根管の完全封鎖ができないこと、適応症が狭いことである。現在筆者はマイクロ・MTA歯根端切除術の再発例をSBに交換、再手術が増えている。2019.12.9:左下6番、3年前に歯内療法専門医で自費15万マイクロ・MTA歯根端切除術を受ける。1年前から歯茎にフィステル出現し再発。今日、斎藤歯科でSB使って再歯根端切除術を行った。再発原因としてMTAは黒くボソボソで腐敗し、一部は窩洞から脱離し穴が開いていた。歯質接着しないこの充填材が今後、逆根管充填材として残っていくとは私には到底思えない。
 ペンシルバニア大学歯内療法科の研究論文で、EBAセメントでの歯根端切除術の成功率95%とがあるが、今やEBAは消え去りMTAに取り替わってしまった。あのデータの信頼性はどこにいってしまったのだろうか?間違っていたの?

18 逆根管充填材における MTAスーパーボンドの違い    2015.7.15
大きな違いは、MTAセメントは穴を埋める充填材で歯には接着しないが、スーパーボンドは歯質への接着充填材である点である。材質だけでなく術式や適応症の上で大きな違いがあるので述べてみたい。
 マイクロエンドで有名なペンシルバニア大学歯内療法科でのMTA基本術式は、根尖を3mm切除したのち根管を3mmの深さで窩洞形成してMTAを充填するとされている。根尖3mm以内に側枝が多くあるので一律に3mm切除する。そしてMTAは歯質に接着しないので深く掘らないと脱離してしまうから3mm根管を掘るとのこと。スーパーボンド基本術式は、根尖を1.5~2mm切除したのち根管を1.5の深さで窩洞形成、あるいは根管深く汚染していれば約10mm清掃して
接着充填する。また接着材であるため切断面を皿状に広く薄く被うことも可能である。MTAはできない。またMTAの開発者によれば根管が感染されていたものには応用できないとされているが、SBは可能である。
 さて10年後にはどちらが残っているだろうか? 臨床的とレントゲン写真で予後の良い方が残るだろう。あるいはさらなる良好な逆根管充填材がでてくるのだろうか? ペンシルバニア大学Dr.kimu教授が成功率が高いとデータ報告し推奨していたEBAセメントは、術後評価「Check」によって消えてしまった。理由は成分がネオダインと一緒で酸化亜鉛とユージノールのため細胞毒性があるうえに歯に接着しないから。あのEBAセメント成功率95%のデータの信頼性はどこにいってしまったのだろうか? 逆根管充填材としてMTAはなぜ認可を受けてないのだろうか? 現在アメリカで認可を受けているのは何だろうか?
 二次症例の歯根端切除術を行った。開けて見ると逆根管充填はきれいにされていたが、根尖切断面は白濁、灰色、小亀裂を見る感染象牙質を認めた。歯根端切除術の難症例で、対処法としては歯根を骨腔底まで切除、窩洞は根管と切断面をお皿状や杯状に形成しスーパーボンドで切断面をなるべく広く充填した。切断面に感染象牙質を認める場合や窩洞が深く掘れない場合の逆根充材は、MTAは適応外で接着性のスーパーボンドが適応となり成功する。「再発症例の治療」症例4.5. がこれに当たる。
 スーパーボンドは4META/TBBメチルメタアクリレートという歯質接着性セメントで、脳外科や整形外科では人工骨として使用する安全な医療材料と同じものです。また歯科臨床では認可を受けた正式の根管充填材でもあります。
スーパーボンド根充シーラーは、「スーパーボンド」の優れた口腔内組織親和性を活かし、従来の密着封鎖から接着封鎖を実現した根管充填材です。歯質に良質な樹脂含浸象牙質とレジンタグを形成し、高い接着強さを示します。2016.1.21
「歯科接着材料」東京医科歯科大学生体材料工学研究所.中林宣男。
http://www.tmd.ac.jp/artis-cms/cms-files/adher1.pdf

< 比較 >       MTA 逆根管充填                                 SB 逆根管充填    
根尖切除         基本3mm切除ルール         1.5~2 mm切除
逆根管充填窩洞の深さ   基本は約3mm、浅いと脱離する      基本は1.5~2mm~9mm
   辺縁漏洩        あり                                            なし            
歯根歯質との接着性    接着しない                                      接着する
辺縁漏洩         あり                        なし
硬化時間         約6時間                      約10分
安全性          良好(コンクリートと同成分)        良好 (スーパーボンド根充シーラー)
                                                                                         医療用の骨セメントと同成分
切断面を広く被覆     剥がれるのでできない            歯質と接着するのでできる
逆根管の完全封鎖     できない                できる
感染根管に対して     非適応とMTA開発Drが言っている.         歯質と接着するので適応
             たぶん完全封鎖が困難なためと思わ
             れる
操作性          ボソボソして充填しづらく悪い        酸処理と根管の乾燥が面倒で気を使う
                              硬化前に水・血液があると接着しない
成功率          良好?(85~95%というデータあるが、 良好(当院のデータ 96.2%。再発例や難症
                                                                                          例、
                                  再発例や難症例、大きい嚢胞症例 、   大きい嚢胞症例は省くなどの操作していな
                                                                                         い)   
              歯根短い例は適応症とせず省いている。
            2017年論文で74.3%)
                                                
適応症           適応範囲は狭い                             適応範囲は広い
                           逆根管だけに使う                      逆根管以外にも、切断面を広く浅く被覆接着
                 逆根管が浅いと使えない        充填できる
再発例や難症例に             使えない. 成功率が低い                     使える. 成功率が高い
切断面に金属コア露出       使えない                                         使える
副根管に                 脱離するので使えない                       使える
根尖を斜めに切断し逆根充。できない                   できる
歯根が1/2と短い            使えない              使える

感染源が逆根管だけの場合 成功する可能性が高い            成功率100%
感染歯質や小亀裂。            成功しない               成功する可能性が高い
穿孔部                  穴が小さければ成功するが、     成功する可能性が高い
                 大きければ封鎖不全で再発する。
根尖炎症性吸収、外部・内部吸収 治せない               治せない
フィンやイスムスなどの極小根管
                  大きく削らないと充填できない      細く削って充填できる
骨誘導能、           あると言われている         ない   

(水酸化カルシュウム溶出)                         

酸・アルカリ(中性pH7)   硬化過程で強アルカリ性(pH12)で
     ない
               化学火傷、術後に3~6か月鈍痛の原因?


MTA歯根端切除術は逆根管だけを治療対象としている。一方、SB歯根端切除術は逆根管以外に副根管、根管穿孔、根尖炎症性吸収、感染歯質、小亀裂など治療対象は広い。
<MTAの強アルカリ性による化学火傷と痛み>
他院MTAを逆根管充填した後に、数カ月間うずくような痛みが続き来院した患者さんを数人経験している。



MTAでは成功しない歯根端切除術の難症例をSB接着性セメントで救う。成功率90%以上の理由とは。
 歯根端切除術の成功・失敗を左右する最も大きな要因は、根尖切断面にあり細菌感染源が残っているか否かです。それは根管と歯根歯質に分類できる。再発の原因のほとんどは根管に細菌繁殖部が残っているためで、逆根管充填の有無と充填材の選択が重要である。切断面根管での細菌繁殖を断つには、安全で辺縁漏洩のない適切な逆根管充填材を使って根管を完全封鎖することが最優先する。 逆根管充填をしないという選択は論外の話で、私には成功を放棄したとしか思えない。この方法で80~90%ぐらいの成功率は達成できると思う。
 では根管を完全封鎖すれば全て治癒するかと言うとそうはいかず、その再発の場合の原因は根管だけでなく歯根歯質にある。つまり感染象牙質や感染セメント質が細菌繁殖部となって残っているからである。これを見分ける目と触診、対処法、経験が重要となる。このような難症例には、根尖切除量を多くし切断面を広く杯状に形成したうえで歯質接着性セメントで被覆充填することで成功の可能性が出てくる。従来はこの感染歯根歯質の考え方はなかったため再発原因不明で抜歯されていたと思う(知らないDrは今も)。
成功率90%を超えるためには細菌繁殖部が根管内だけでなく、切断面の感染象牙質や感染セメント質にあることを理解しなければならない。この理解なしでは90%を超えるのは困難だろう。
 また切断面に金属コアが露出する場合は、逆根管充填が不可能なため従来は適応外であったが、歯質金属接着性セメントを応用すれば成功するようになった。このように適確な診断と新しい考え方、接着性セメントを応用することで、従来よりも適応範囲が広がり手術の成功率も高くなっている。あきらめて抜歯していた歯が残せることを広く知って欲しいものです。残念ながら歯根歯質の問題や切断面が皿状窩洞であったり逆根管充填窩洞が浅い場合には、MTAセメント充填だと辺縁漏洩や脱離の問題で行っても成功しないだろう。この術式が追加されるならば成功率は90%を超え、95%ぐらいにはなるだろう。(2016.10.7.椛)    48.にも移動した。
MTAの欠点は、逆根管の完全封鎖ができない。歯質と接着しない。感染歯質には使えない(適応として非感染部に用いること、となっている)。再発例には使えない。ph12で強アルカリ性で化学火傷の可能性(鈍痛が続く)。


< MTAでは成功しない(適応外)がSB応用で成功する歯根端切除術の症例とは >
長い金属コアが入っているため、逆根管窩洞が深く形成できない場合。MTAが窩洞から脱離してしまう。
・感染歯根歯質があるため、切断面を皿状に広く被覆する必要がある場合。
MTAセメントは逆根管を充填し封鎖するものです。根管のみが感染原因で脱離せず根管封鎖できれば手術は成功するだろう。しかし根管だけでなく歯根歯質が感染源となっていれば、MTAでは封鎖できない。その理由は接着しないから。SBセメントであれば窩洞が浅くても、金属が露出しても、皿状に非常に薄く広くても、歯質や金属と接着するため封鎖は可能で手術は成功するだろう。MTAの理化学的・生物学的特性と臨床、
興地 隆史。https://www.jstage.jst.go.jp/article/jeajournal/33/1/33_3/_pdf/-char/ja
SBとMTAの違い
SB がMTAと比べて優れているのは歯質接着性があるところ。そのため適応範囲が広く成功率が高い。
1.逆根管充填において
 ①MTAは辺縁漏洩があるがSBはなく、再感染防止のための根管の完全封鎖が可能である。
 ②MTAは窩洞が浅いと脱離するため深くしないといけないが、SBは窩洞が浅くても脱離しない。
2.歯根端切除術において、MTAでは非適応とされる症例でもSBは適応される。
 ①根尖切除したら金属コアが露出した場合、通常は逆根管充填はできないがSBはできる。
 ②切断面に感染歯質があった場合、MTAは対応不可だがSBは皿状形成して被覆接着充填ができる。
 ③副根管や根尖部に限局する亀裂に対して、MTAは対応不可だがSBを流し込み封鎖して治療は可能。
 ④外部吸収や内部吸収などが原因の場合、充填材の面積が広くなって辺縁漏洩が起きやすいが、SB応用では封鎖は良好である。
 ⑤二次症例や大きい嚢胞を有する場合などの歯根端切除術難症例でも、SB応用で成功率が高い。
MTA逆根管充填が適応対象外で向かない症例は、①歯根1/3以上の大きい嚢胞がある場合 ②一度手術したが再発した二次症例の場合 ③逆根管が深く形成できない場合(3mm)④切断面に金属コアが露出するなど充填が浅くなる場合 ⑤歯根が短いため3mm根尖切除できない場合 ⑥充填面積が広い場合 などである。SB逆根管充填はいずれも適応である。違いは歯質への接着性があるかないか、それによって根管完全封鎖ができるかできないかである。

MTAの欠点は

1.逆根管を完全封鎖できない。
2.歯質と接着しない。
​3.
感染部、感染歯質があれば使えない。再発例に使えない。
4.MTAは硬化後、長期に渡ってpH12強アルカリ性で化学火傷を起こしている可能性があり痛みが続くことがある。


くMTAとSBの違いは手術適応症であり、前者は狭く後者は広い>
SBは可能だがMTAは適応症にならないケースとは。(その逆はない)
1.MTAは逆根管形成が3mm以内の浅い場合は、脱離するので非適応とされている。
2.歯根切断面に金属土台が露出して逆根管形成困難な場合。
3.根尖破壊や歯根の炎症性吸収の場合。切断面を広く接着被覆充填しないと治せない。
4.副根管、穿孔があれば、その部に穴を開けて充填できる。
5.感染歯質があれば除去して、広く浅く被覆接着充填しなければならない。
6.歯根尖の1/3以内の亀裂や切断面の微小亀裂。SBは液状なので亀裂に流して封鎖できる。
7.イスミスやフィンの溝形成が細く浅い場合。MTAでは脱離してしまうがSBなら接着充填できる。
8.一部に亀裂や感染歯質があれば、SB法はその部を含めて斜めに歯根尖を切除して逆根管を楕円形にして充填できる。しかしMTAは斜め切断は、MTAが直ぐに脱離してしまうのでできない。歯根の一側面に原因があれば、MTAは水平に多くの歯根先を切除しなければならないが、SBは原因部のみ最小限の切除が可能。

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19 医療にPDCAサイクルを     2015.7.16                  
現状に満足せず課題を設定し改良改善を繰り返したり、新しいことへ挑戦していく必要があります。新しいチャレンジを恐れ現状維持を選択することは後退を意味します。これは企業経営の本から抜粋したものです。仕事のなかで「PDCAサイクルをまわすように」という言葉が使われる。PDCAサイクルは多くは事業活動における生産管理や品質管理などの管理業務を円滑に進めるためのフレームワークとして使われます。PDCAとは、計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、修正(Act)の頭文字を取ったものです。このサイクルを何度もまわして繰り返すことで、継続的に改善をすることができるというものです。効果的な仕事の手順を言います。まずは、何を実施するかを計画(plan)します。どうすればそれが実施できるかを検討し実行に移します(Do)。実行したものについてきちんと成果でているか評価します(Check)。思うような成果に繋がってないものは軌道修正したり、上手くいったものは更に伸ばせるような課題を考えます(Act)。それを更に、計画し実行して・・と何度も何度も繰り返すことで、成長する戦略を実行することができます。
こう書くと簡単に見えますが、実際はなかなかうまくやれないのが現実でしょう。上手くまわらないのはパターンとして、計画しても実行(Do)ができないケース、実行しても効果測定(Check)をせずやりっぱなしになっているケースが多く見られます。またPDCAサイクルに入る前に「気付き」というステップがあり、どんなに素晴らしい実行管理のフレームワークがあったとしても、現状の課題への気付きがなければサイクルをまわすことすらできません。課題自体を認識することが必要で「気付き」を得るためには広い視野を持ち多くの情報の中から本質をつかんでいかなくてはいけません。(日本エイジェント、満室最前線2015.7月号より)
上記の文章を読んだ時に全く医療と通じるものがあり、この「PDCAサイクル」は医療実行の管理手法としても有効で解り易かった。医療において、手術をやりっぱなしで終えて効果評価してなかったり、えらい先生が良いと言っているから、昔からこの術式だから疑問はない、とされてしまって改良改善がされていないのではないだろうか。歯根端切除術がしかりで、こんな単純で古くからされていて、頻度の多い重要な手術なのに、口腔外科学会や歯内療法学会で成功率の高い術式が確立されてないのはなぜだろう と思ってしまう。否、確率されているよと反論するDrもいるかもしれないが、術式は確率されているが成功率が伴ったものではない。現状の歯根端切除術の成功率が高くないという「気付き」がないのと、誰が手術しても成功率はこんなもんじゃないのという不満のない「悪い満足感」があるのではないだろうか。私の努力不足も感じています。はからずも私は今日までPDCAサイクルという言葉は知らなかった。しかし私の歯根端切除術への対応として、知らないままに自分がこれと同じ考えでやってきたように思われ、正しかったんだと共感できた。

20 歯根端切除術において根尖切除のみで逆根管充填しなくても治るか? 2015.7.25
 切断面の根管で細菌が繁殖しなければ治ります。しかし例外的なことでほとんどは再発します。歯科臨床で歯根端切除術は歯を残すために行う頻度の高い重要な手術です。しかし根尖を切断するだけで手術を終えてしまう病院歯科、歯科大学病院はまだ多く、成功率が高くなく残念でなりません。関係する口腔外科学会や歯内療学会は協力して、この頻度の高い手術を検証し、従来の成書に引きずられない本当の成功率の高い術式を決めて啓発する必要があると思います。残念なことに日本口腔外科学会のHP検索で、歯根端切除術のところを見ると逆根管充填が記載されていない。なぜ記載されていないのだろう、単なるミスではなく意図的だと思うが担当した先生は是非修正してほしい。小さなことのように見えるが、このことが逆根管充填をしなくても良いとお墨付きを与えていないだろうか。
 古い成書ではあるが東京医科歯科大学口腔外科中村平蔵教授の名著で、口腔外科学のバイブルとされている「口腔外科学の総論」には、逆根管充填について非常に詳しく記載され重要とされているが、先人の教訓は生かされていない。歯科大学病院口腔外科で手術をして再発した患者さんが当院を受信し、原因が逆根管充填してないと判った時には、本来は発展させなければならないのに後退していると感じ残念でならない。私も口腔外科学会の会員であり逆根管充填の記載要望はしましたが修正されるでしょうか。それとも無関心、無視されてしまうのだろうか。
歯科大学病院の口腔外科で左上1番の歯根端切除術をしたが、3か月後に歯肉腫脹とフィステルが出現再発した患者さんが今日来院した。レントゲン写真で根尖切断のみで逆根充してなかったため、再歯根端切除術切除の予約をした。まだまだ続くのだろうか?jsoms.or.jp/public/disease/setumei_syujyutu/#c02

21「知らないものは見えない」という原則がある。「知っていると見えてくる」 2015.7.26
 画像診断の基本中の基本として「知らないものは見えない」という、ある意味恐ろしい原則がある。目で見ているのに、レントゲン写真に写っているのに見えないとはどういうことか。はじめ見えなかった病変を、誰かに指摘してもらった後は、先ほどまで見えなかったことがまるで嘘のようにはっきりと病変を認識できるようになる。ものが見えるとは知識経験で見るということなのである。明日の診療からすぐに役立つ知識として、臨床医ならぜひ知っておいてもらいたいものは多い。以上は「 Emergenncy Radiology 知らないものは見えない 」 山下大吾.放射線診断医:共済医報2012.Vol.61の序文である。
 これを読んで歯科レントゲン画像診断にも当てはまると思った。レントゲン写真で大きい根尖病変内の歯根をよく見てほしい。知らないと見えないものがある。時に肥大した壊死セメント質が写っていることを知ってほしい。これが細菌感染源となって治らない根管治療を延々としなければならないかもしれないことを知ってほしい。根尖部の壊死セメント質のことを知らないとこの画像は見えない。教科書にも書いてないことなので何を分からないことを言っているんだというDrもいると思うが、難治性の症例で注意して見てみてほしい、写っているから。「
根尖部の壊死セメント質」を見て。
 歯根端切除術においては根尖切断面で知らないと見えないものがある。知らないとマイクロスコープを使用しても見えないのである。根尖病変の細菌繁殖部は根管だけと思い込んでいれば見えない。壊死セメント質、剥離セメント質、セメント象牙境の亀裂、感染象牙質における齲蝕初期の白濁・灰白色・茶褐色・小亀裂にも細菌繁殖部があることを知ってほしい。知ると見えてくる。知らないと見えず、再発の原因がわからないということになってしまう。このことを約20年前に書いたがまだ賛同してもらえないことが多い。いずれ根尖病変の治療としてエンド難治性の原因・病因論となることでしょう。

22 ユーチューブでMTAを逆根管充填する歯根端切除術の動画を見た感想。     2015.7.27
術野の止血がうまくいかず、根管に血液が入ったままMTAを詰めているのが見られた。また硬化は約6時間とされているため、詰めた表面はジュルジュルで、これで本当に根管は封鎖できて、予後は大丈夫なのかな~と心配になってしまった。手術中の動画は沢山あったがこの内どれぐらいが再発しないで治癒するのだろう。歯根端切除術はもっともっと繊細で厳密な手術なんだけど。大事なのは手術を見せることではなく1年後のレントゲン写真で病変が消えているのが見たいものです。

23 歯根端切除術における職人技とは    
 テレビで「カンナ鍛冶職人の神様」と言われた方がつくったカンナで柱を削っているところが写っていた。素晴らしい職人技と思い入れを見せてもらった。ところで私の実家は家具屋で製造と販売をしていた。小学生の時に木工所に行くと、職人さんがカンナの刃を研いでいるのをよく見かけ、それを見るのが好きだった。良い仕事をするためには良い道具とその手入れが大切だと子供心に思った、ことを想い出した。歯根端切除術においても職人技が必要で、技術を磨き経験を重ねばならない。成功率は90%を超えたがさらに上をめざしたいとテレビを見てあらためて感じた。2015.8.28
 ビフォーアフターも好きなテレビ番組の1つだ。出てくる建築家は素晴らしい匠たちで本当に感心させられる。造られるのは家だが人に感動を与えている。そのためにはしっかりした知識と経験、アイディア、住む人の心を考えた建築家の創造力があってのことで、良く分かる。変な話だがこれは歯根端切除術を行う歯科医にも通じることで、この匠に近づけるように研鑽しなければと思った。2016.2.7

24 大きい歯根嚢胞の根管排膿が止まらない理由と正しい治療法は?   ブログ1の続き。
 排膿が止まらないのは根管内に細菌感染部が残っているためでさらに根管拡大する。また排膿を促すため根尖孔を大きく開けることも必要と学生時代に歯内療法学で教わった。これは本当だろうか? 今となって経験上はnonウソと言わざるをえない。そうされても治癒しない多数の難症例が歯内療法専門医から当院に紹介され歯根端切除術で治癒している。つまりそのようなケースは、原因は根管内にないのです。根尖病変の原因説明を根管内至上主義病因論でかたずけるのは間違っていると昔から思っている。感染源をバイオフィルムに押しつけるのも楽観すぎる。根尖病変の治療にもとずく病因論が確立していないため、治らないのはバイオフィルムのせいにしてしまっている。バイオフィルムが可哀そう。
 大きい歯根嚢胞があって適切な根管治療を長期間行っても症状や根管から排膿が止まらない場合の治療法について、歯根端切除術、意図的再植術、歯根端掻把術、抜歯が挙げられる。私の提案: ①根管治療は通常法を行い、排膿を促すための根尖破壊を起こさせるような無理な大きな根管拡大はしない。貼薬には水酸化カルシュウム製剤を使用するがそれでも排膿が止まらない場合、原因は根管内になく消炎しない活性化した嚢胞にある。そのため5~8回で根管治療に見切りをつけ、歯肉根尖部に約5mmの切開を加え嚢胞全体の1/2~2/3を掻把摘出する。その上で通常の根治・根充をすれば治癒へ向かうだろう。嚢胞の一部は残ってもかまわない、いずれ吸収消失する。根尖破壊させてしまうと掻把術では治らず歯根端切除術が適応になってしまう。
あるいは、②根尖破壊してなければ通常の歯根端掻把術と同時根管充填を行い治癒へ向かわさせる。②は完全に手術だが①は15分ぐらいの簡単な掻把ですむので簡便。嚢胞は手術で取り残しなく全て摘出しなければならないという呪縛、ウソにとらわれる必要はないと思っている。

25 私のめざすものは、「非適応、できないとされた難治性の歯根端切除術を成功させること」   
<私のめざすもの>
歯根端切除術の成功率に関していろいろな論文を調べたところ、60~95%と病院によってさまざまで差が大きかった。レントゲンで影はあるが症状がないから成功としたり、症状はあるが抜歯してないから生存率で評価したりなどひどいものもあった。アメリカ、ペンシルバニア歯科大学のマイクロスコープを使用したEBAやMTAの成功率94~95%の論文を調べたところ、二次症例(再発症例の手術2回目以降)や歯根長の1/3以上や直径10mm以上の大きい歯根嚢胞の症例は省いて統計処理し適応症を狭くしていた。これらは再発率の高い難治症例であり、これを適応症分母に入れると成功率が下がってしまうからだと思う。
 当院の成功率96.6%は除外してない。逆に考えれば除外する症例というのは予後が
非常に悪く難治で、これらを治癒させる術式や逆根管充填材が本当の最強の歯根端切除術と言えるのではないだろうかと思った。つまり適応症の広さである。 「再発症例の治療」に載せた二次症例や歯根1/3以上の大きい歯根のう胞症例は、もしかしたら他病院では成功率から除外されるか手術適応外かもしれないが、当院における手術で病変は消失しきれいに治っている。レントゲン写真はウソをつかない。
 他病院で成功率の分母から除外される難症例を治癒させることに目標をおこう。他の論文を調べたことで、
はからずも当院では歯根端切除術の難治例を治していたことが判った。そうだ私はこれをめざそう。はからずも他の論文を見たことで、逆に私の手術法の自信となり勇気づけられてしまった。(2015.12.14赤穂浪士討ち入りの日、S君の誕生日) kasazakki

26 CTやマイクロを使うと成功率が高まります。口腔外科より歯内療法科の方が成功率がいいです。ウソ   
 2015.12.17
他ネット相談の回答に「このような統計報告があります」「歯根端切除術が想定されるのでしたら、私だったら、口腔外科ではなく、自費での受診になるかとは思いますが、歯内療法の専門医にご相談になってみてはと思います。口腔外科の専門医と、歯内療法の専門医とでは、歯根端切除の成功率に有意差があるという統計もあるようです。」と言うDrがいる。笑ってしまったが本当に正しい評価できる統計ですか?こうも軽々しく科学的根拠もなく「マイクロを使えば成功率が高まる、使わないと低くなる」なんて言えるのか。当科ではマイクロをほとんど使わないで成功率90~95%を維持している。回答者が自費の歯内療法専門医のため自分たちが優れていることをアピールしたい自画自賛の気持ちは解らなくはないですが客観的なデーターが必要です。調べてみましたが独善的で怪しくないですか?まるで市議会議員の人数や給与を市議会で決めるようなものでした。上記は間違った統計情報と思うしそれで自費の医院へ誘導するのもどうかと思う。統計を発表した歯科大学もこんな使われ方をされるとは思ってなかったのでは。自分が優れていると思ってアピールするのは良いが、他者をけなすのは恥ずかしいことで慎まなければならない。ちゃんとしたデータ分析しないで自分に都合の良いようにデータを使う人はいるので、本質を探しウソを見抜く目と心を持っていないと情報過多の中で振り回されることになるので注意が必要。そのデータは信頼おけるのか、裏はないのか目的は何?、必要十分条件を満たしているのか、どう分析しどう使うのか、そして結果の評価は 。
 当院には歯内療法専門医でCTとマイクロを使用し自費での歯根端切除術を行ったが再発し紹介来院、CTもマイクロも使用しないで再手術し治癒した患者さんは数多くいる。顔のほくろの切除術を行うのに、皮膚科が良いか形成外科が良いかみたいなもの。患者さんにとって大切なのは、口腔外科と歯内療法科のどちらが良い悪いではなくて、手術1年後に経過をみてくれて、成功という結果を出す病院・医院が良いと言うべきでしょう。協力して本当に成功率の高い根尖病変の治療に立ち向かうべきだと考えます。またどこか他病院のマイクロ使用した成功率統計を鵜呑みにして患者さんに説明するのもいただけない。成功率は予後を診ているその病院のみが言えることで、あやふやな誘導するような情報は間違った結果を生む。自分の病院の成功率をもとに患者さんに説明すべきです。


27 根管治療不良の原因パターンがある. 特にエラーを起こしやすい根管の数と湾曲   2015.12.19
開業歯科の先生から根管治療を長期に行っているが症状が消失せず、原因が解らず困っていると治療依頼されることは多い。実際に歯根端切除術で開けてみると、レントゲン写真での想像通りであったり想定外のこともある。数多くの歯根端切除術を経験した中で歯根を直接見て不良原因を確認した結果、さまざまな原因が判ったので述べてみたい。基本中の基本だがおろそかにするとエラーを起こす。パターンを理解しておけば読影や根管治療がスムーズに行えたり偶発事故を防止できるので参考にしてみてください。難治原因の多いパターンは
1. レントゲン写真で上顎2番の歯根は真っすぐだが、開けてみると根尖は口蓋湾曲して穿孔していた。
2. 上顎6番のエンド不良は近心根に限られる。その原因は遠心湾曲あるいは第4根管(MB2)にあった。
3. 下顎6番のエンド不良は近心根に限られる。その原因は遠心湾曲。そのため閉鎖か穿孔
4. 上顎4.5番は2根管で口蓋根の根治がされていない。
5. 下顎4.5 番 において根尖が舌側湾曲して根管閉鎖や穿孔が生じていた。
6. 下顎7番のエンド不良の原因は樋状根。
7. 下顎2番のエンド不良の原因は1根2根管。
 8. 壊死セメント質や亀裂があった.
<エラーを起こしやすい根管数について>それぞれの歯には歯根があり1~4個の根管がある。根管治療を行う際は汚染しているすべての根管を治療しなければならない。根管数を少なく見積もってしまえば治るものも治らない。上顎6番の不良原因は第4根管が治療されてないことが多い。上下顎の6番は3根管と思って治療に入り、追加してもう1根管が見つかったということではエラーを起こしやすい。6番は4根管が基本と思ってトライし、その上で4根管治療であったり3根管治療であったりするのが正しい対処法である。3 根管と思い込んでいれば4根管目を探す心はどこかに行って見つからない。上顎5番は2根管と思って根管治療に入るのは当然である。下顎2番は唇舌的に2根管として治療することが必要である。大は小を兼ねる。
<エラーを起こしやすい根管湾曲について> ①上顎2番の29.5%に根尖部の口蓋湾曲があり30号以上の根管拡大をすればエラーを起こしやすい。上顎側切歯の根管治療不良の原因第1位はこれで、丁寧な根管拡大が求められる。②上下顎6番の近心根のほとんどは遠心湾曲がある。③下顎4.5番の根尖にまれに舌側湾曲がありまっすぐと思い込んでいると穿孔エラーする。
知らない歯科医は困っていて知っている歯科医は治せる可能性があるというマニアックな世界です。
 その他の原因には根尖孔破壊、根管閉鎖、副根管・側枝、炎症性吸収、穿孔、壊死セメント質や感染象牙質、活動性のある大きい歯根嚢胞などが挙げられる。

28 歯根端切除術で開窓術をすることはありますか?  2015.12.21
無しです。50年ぐらい前なら良い抗生剤がないためそういうことがあったかもしれません。現在、歯根端切除術で開窓療法にする理由は全くなく、私の歯科口腔外科診療の中では一度も行ったことはありません。開窓にすれば痛みや感染が生じ易く治癒不全になることさえあり患者さんを苦しめるだけです。以前に他病院で開窓療法をされた患者さんが1ヵ月以上も痛みが続くため来院されたことがあった。憶測ですが、開窓するDrは逆根管充填をしないため予後が悪く理由が解らず困ってしまい、早期に再発して膿瘍にならないようにフィステル代わりに開けているのかもしれません。治らなければ開窓すればいいと短絡的に考えては駄目で、治る嚢胞摘出術があるのだからそれを目指さなければいけません。逆根管充填をして完全縫合が必須です。開窓にするDrは逆根管充填していない場合です。

29 本屋さん「一万円選書」で外にネット発信して喜ばれる新しい道  2015.12.22.
(テレビから) 本を買って読む人が少なくなり町の本屋さんが減っているそうです。その中で北海道の小さな町の本屋さんが誰も考え付かないことをして本が売れているとのこと。それはお客がアンケートに答えてこんなことが知りたい、こんな悩みがあるんだけど、役に立つ本を私に代わって本屋さんが選んで一万円で約10冊ぐらい送ってあげるというシステムです。その本屋さんは本が大好きで依頼者に役に立って喜んでもらおうと一生懸命に悩みながら選書していた。そうしたことで会員は徐々に増えているとのこと。女性が8割。お客さんの来店を待つのではなく、外に発信することで喜ばれる新しい道ができている。
 ところで私の病院は400床ベッドを有する大きい公的総合病院で、その中の歯科口腔外科を担当していて、一日十数名の新患者さん
が来科され一日40~45名の診療や手術をして普通に忙しく働いていた。ある日ネット検索で「河田歯科医院の歯根端切除術」「歯チャンネルの歯根端切除術」を見て、私の知っている行っている歯根端切除術の予後・成功率・相談回答との間に大きな差があることが解り驚いてしまった。それは歯根端切除術を受けた方の再発が非常に多いということ。当科での歯根端切除術は普通に成功率90%以上で予後は良好だったから、他院も同じだと思っていた。世の中には歯根端切除術で困って悩んでいる方が多いとわかった以上、これは患者さんの来院を待っているだけでなく、外に発信しなければと2012.1.1 にこのHP相談コーナーを立ち上げた。多くの方に見てもらい役に立っているようで、全国から手術を受けに来院され抜歯が避けられている。外に発信することで喜ばれる新しい道ができたのではないかと思っている。でも忙しくなった。

30 今日はマイクロを使用して歯根端切除術をしてきました。でも    2016.1.16
2件の歯科で症状著しく根尖病変が大きく冠が除去困難なため抜歯しか方法はない、と言われた左上2番をマイクロスコープを使用して歯根端切除術を行った。と言ってもマイクロで見ながら手術をしてみたはいいが手際が悪く正確にできない。そこで拡大鏡に替えると正確に手際良く手術をすることができた。たぶんこれで成功するだろう。マイクロで根尖切断面の亀裂と壊死セメント質のチェックを行ったが異常はなかった。正直に言えばマイクロは歯根端切除術という手術を行うのには適さず不向きで、強拡大で見てチェックすることのみに適している。使っているDrは判っていると思う。マイクロを使わないと成功率が低くなるというのは間違いです。成功するため何かに頼りたい気持ちは判りますが、頼るのはマイクロではないのです。この側切歯の根管治療不良の原因は、ワンパターンだが歯根尖が口蓋側に屈曲していたことで、唇側に穿孔して屈曲している先の根管が汚染していたためだった。ライト付き拡大鏡で容易に確認できた。


31 スーパーボンドを逆根管充填した歯根端切除術の他院失敗例を再手術で開けてみました。 2016.1.21.
今日の歯根端切除術の患者さんは大阪から来られました。大阪の歯科医院で右上1番の歯根端切除術を行いスーパーボンドを逆根充したが3か月後に歯茎の腫れと痛み、フィステルが出て失敗したとのこと。当科で再歯根端切除術をしました。開けてみると根尖切断面にスーパーボンドはなく剥がれて嚢胞の中に迷入していた。そして根尖は切断したのみで逆根管充填窩洞は形成されてなかった。つまりスーパーボンド逆根管充填ではなくて、窩洞を掘ることなく切断面に一層のスーパーボンドを流したシーリングにすぎなかった。スーパーボンドは切断面根管のゴム質ポイントやセメントとは接着しないため剥がれてしまい、根管に細菌感染が生じて再発失敗したと推測した。スーパーボンドのシーリング法(root-end sealing)は北海道大学歯学部歯内療法科で発表されたものだが、このように剥がれやすいので私は勧められない。長期に経過観察すれば判ることだが、普通に逆根充窩洞あるいはお皿状に窩洞形成すれば成功するのにな~。
MTAを根管充填した歯根端切除術の他院失敗例を再手術で開けてみました。2016.8.1.記
他歯科医院で2016.1月に右上1番の歯根端切除術をしたが、1か月後に歯肉腫脹して再発した。同医では術前にMTAで根管充填したので歯根先端を切断だけをして逆根管充填はしなかったとのこと。8月1日に当科で再歯根端切除術をしたところ、切断面根管のMTAは完全硬化してなく表面はボソボソで黒く汚れていて、根管内のMTAはスカスカで硬化は不完全であった。やはり逆根管充填しないのは駄目で、歯根切断後に根管を良く観察し探針で探ればボソボソ・スカスカで感染源になると分かったはずなのに。MTAは万能なセメントのようにネットで言われているが、欠点として硬化に問題があり検証の必要がある。

32 壊死セメント質が、エンド不良や歯根端切除術失敗の原因になることを知っておく        2016.1.22.
根尖病変があり適切な根管治療を長く続けているが症状が消えず治らない。原因がわからず永遠と根管治療を続けることになり困りはてる。臨床医なら誰でも経験するが、原因は何だろう?原因は根管内だけではないことに気づかなければならない。当院ではこのような難治性根尖病変の症例を数多く歯根端切除術で保存している。手術で開けて根尖を見たところ壊死セメント質が細菌感染源と認めることが多だある。このことを約20年前に報告したが誰も関心を示さなかった。その後、根管治療で難知性の場合の原因に、根尖孔外のバイオフィルムと言われるようになった。実はその下に壊死セメント質があり細菌培地になっていることが多い。そのためたとえバイオフィルムを拭い去っても壊死セメント質がある限りは再発する。

33 上顎6番根管治療不良の原因となる第4根管(MB2)の見つけ方     2016.1.24
上顎6番の根管治療不良の原因は第4根管が治療されてないことが多い。近心頬側第2根管あるいはMB2とも言われる。上顎6番の根管治療をするに当たり3根管でなく4根管と思って入ることが大切。まず近心頬側根管(MB1)を見つけ、ついで遠心根と口蓋根を開ける。MB1が通常位置よりも頬側よりにあればMB2存在の可能性が高く、MB1の口蓋より2~3mmのところを探針でガリガリとひっかいて探すとMB2の根管口が見つかる。MB2の根管は細いので拡大し過ぎると穿孔するため#25号ぐらいにとどめのが良い。これで上顎6番の根管治療不良が少なくなると思う。

34 歯根端切除術は逆根管充填が完璧だと100%治癒するのか?   2016.1.28
当科では逆根管充填材にスーパーボンドラジオペークを応用し逆根管の封鎖は完璧なものと思っていた。しかし失敗症例がでたため再歯根端切除術を行った。再手術で開けて見るとスーパーボンド逆根管充填にまったく問題はなく、原因は壊死セメント質と感染象牙質であった。再手術で除去し広い面積でスーパーボンドを充填し根管と切断面を封鎖することで治癒する症例が増加していった。これを見分ける目、つまり切除するか残すかの判断と対処法は難しく知識経験が必要である。歯根端切除術で逆根管の閉鎖が完璧に行われたとしても、まれなことだが壊死セメント質と感染象牙質が残っていれば再発する。このことを知って手術しないと成功率を高めることはできない、と思っている。逆根管だけが感染源であればSB逆根管充填によって100%成功すると言える。

35 歯根端切除術をしましたが失敗、どうしたらいいですか? 
 まず原因を究明することである。失敗原因はまだ歯根のどこかに細菌が繁殖する感染源が残っているためです。そのほとんどは①切断部根管にあり、根尖切除のみで逆根管充填をしてなかったり充填不良によるものである。であれば再歯根端切除術で適切な逆根管充填をすることで治癒し成功する可能性は高い。その他の原因としては、②壊死セメント質や感染象牙質 ③亀裂 ④根尖病巣と歯周ポケットとの大きい交通、が挙げられる。②の治療法は困難だが接着性セメントの応用や術者が経験を積むことで成功する可能性はある。残念ながら③亀裂が大きい場合や④の場合は成功しないので抜歯が適応される。
 患者さんの選択肢としては、①このまま何もせず症状がひどくなったら抜歯する ②ひどくなる前にこの時点で抜歯する ③再歯根端切除術をする と説明している。

36 歯根端切除術の失敗例から学ぶことは多い。失敗例から学んだ成功する歯根端切除術。2016.2.17
最近、他院で歯根端切除術をしたが再発失敗した方の来院が増加している。2016/2/16は1人1歯、2/17は2人5歯の再歯根端切除術を行った。
一人は病院歯科で、根尖の切断のみで逆根充されてなく根管内が腐敗していた。
一人は歯科大学口腔外科で、上顎の中切歯と側切歯の4歯で、1歯は逆根充されてなかった、1歯は逆根充にCRレジンだったが探針ですぐに脱離し接着してなかった、1歯はCRレジンと歯質の境界部が剥がれてギャップが生じて感染源となっていた、1歯はCRレジンだったが根管内は黒く汚染されていた。つまり原因は逆根充の不備によるものであった。
一人は病院口腔外科で、スーパーボンドがきれいに逆根充されていたが、灰褐色で小亀裂を認める感染象牙質があった。
失敗原因が解明できれば治療法がみつかる。その治療法が正しいかどうかは経過結果のレントゲン写真が証明してくれる。失敗原因を考えないまま闇雲に再歯根端切除術をしても対応できず治る可能性はない。だから多くの病院では再発したら抜歯してしまうのだろうか。歯根端切除術の失敗症例は正しい情報を我々に教えてくれて学ぶことは多い。
2.18.開業歯科へ出張し左上2番の歯根端切除術をした。他院で4か月前に手術をしたが歯肉の疼痛と腫れが出現、根尖切断のみで逆根充してなかった。3日連続で再発例の再手術をしたが何ということだ。

37 歯根端切除術を成功させるためには 
1.逆根管充填を封鎖性の良い材料で確実に行う。根尖切断だけで終われば良い結果は望めない。
2.レントゲン写真で壊死セメント質などの画像診断ができる。
3.根管治療不良の、歯根の感染原因部を徹底的に探し見つけ出す。その際、根管内だけが原因でないことを認識することが大切。根管だけと思い込むと成功率は80%ぐらいで終わる。目で見て、根管、セメント質、象牙質を拡大鏡やマイクロを使って強拡大で探す。
4.見るだけでは駄目で、探針やエキスカで触って引っ掻いて探し、軟化度をみて感染源になるか削るかどうかを決める。根管が主原因だが、根管だけでなく壊死セメント質や感染象牙質や小亀裂をチェックする。
5.成功させるという執念を持って丹精を込めた手術を行う。そして1年後のレントゲンで根尖の陰影が消失していることをイメージし1年後に確認する。不成功例を検証し次に生かす。

38 歯根端切除術の非適応症(歯根端ができない場合、できても失敗する可能性が高い場合) 
1.歯根の亀裂、破折:XP判断で歯根全体に歯頚部まで及ぶX線透過像があれば亀裂の可能性大。歯頚部近くにフィステルがあったり、歯肉縁を下げたら亀裂が見えたり、歯髄腔から亀裂が見えたりで判断できることもある。
2.歯根の全体の腐敗。壊死セメント質や感染象牙質:XP判断で歯根肥大、歯根外形がいびつ、凸凹、粗造があれば壊死セメント質の可能性大
3.部位としては下顎7、上顎6.7の口蓋根はできない。口角が引っ張れる患者は上6.7の頬側根は可能.2016.4.3。


39 歯根端切除術は私にとって一つの作品です。
このへんでいいだろうという想いではやってない。リスクある歯だから全例成功させることはできないが、治せるものは全て治したいと思っている。自信を持ってこれだけ長く科学的に予後を追った手術なので、なんとしても1年後には影が消え完治成功ゴールにたどり着きたいと思っている。2016.4.18

40 歯根端切除術、逆根管充填が失敗する理由は?
①逆根充せず失敗した場合・・切断の根管で細菌感染源が残っていたため
②逆根充材がアマルガム、EBAセメントで失敗・・細胞毒性があるためと接着せず封鎖性に劣る
③逆根充材がMTAで失敗・・歯質と接着しないため封鎖性に問題あり
④逆根充材がSBで失敗・・他院からの失敗例をみるとSBがくっついてなく遊離していた。乾燥が上手くいっていなかったからと思う。
⑤逆根充材が光重合レジンで失敗・・ボンディング材を使わないと封鎖性に劣る。
⑥逆根管だけが感染源でなく、その周囲の感染象牙質や壊死セメント質が感染源となっている。
歯根端切除術はどうしたら成功するのか、どうしたら失敗しないのか。この両方の目線で取り組んで、必要十分条件を満たすようにしないと高い成功率を維持できない。片一方では、単なる思い込みで終わってしまう。片目では物事は立体的に見えない。2016.5.1.


41 成功してほしいので、どうしても言っておきたい事がありますQ26が長いのでここに移しました。
歯根端切除術を行う以上、高い成功率を目指すのは当たり前です。そのためには失敗症例を検証し失敗する原因を解明することが重要です。こうしたら失敗するというのが分かりました。それは来院した失敗症例のほとんどで、歯根先を切除しただけで逆根管充填(切断面につめ物をする)をしてなかった。再発原因は切断面の根管に細菌感染源が残っているからです。そこで当院で逆根管充填をする再歯根端切除術を行ったところほとんどが治癒してしまった。サイドメニュー「再発例の原因と治療」を見て下さい。レントゲン写真がそれを証明しています。これは何を意味するか。
 
「歯根端切除術で切断面の根管につめ物をしない手術は受けてはいけない」です。つめ物をしない手術は失敗する可能性が高く成功率は約50%です。このことは手術する担当医は分かっていて手術しています。予後は悪いことが分かっているため1年後の経過は多分診てくれないと思います。成功率を聞いてみれば分かります。他の病院のことを言うのは本当に心苦しく胸に閉まっていたのだが、患者さんの失敗した顔を見たくないし、毎日のように来る失敗メールを受けたくないので敢えて上記を書きます。主旨は歯科大学病院や病院歯科の口腔外科の先生には、逆根管充填しないと失敗し、すれば成功する可能性が高いので是非行って下さいというお願いです。これで多くの手術再発と抜歯が防げるからです。患者さんには病院を選ぶ権利、成功率の低い手術を拒否する権利があります。古い教科書にも載っていることなのに、どうして、いつから逆根管充填をしなくなったのだろうか?。切断面の根管を探針で探れば根管がスカスカ、根充材がボロボロであったり、根管充填用ポイントの周囲は黒く変色し汚染していたり、そのままだと失敗するのは目に見えている。どうして高い成功率を目指すのをやめてしまったのだろうか、面倒だから?切断根管はきれいに見えたから触らなかった?周りのDrはしてないから?収入にならないから?口腔外科学会の術式説明に記載されてないから??。私の残念な悲しい疑問です。若いDrは逆根管充填しない、1年後の予後を診ない先輩Drの真似はしないで下さい。この項は若いDrへの強いメッセージでもあり、歯を残すために必要なこの頻度の高い手術を、あきらめないで成功率の高い手術へ早急にもっていくためでもあります。2016.5.9  

再発して来院する患者さんから、現在多くの歯科大学や病院歯科の口腔外科で逆根管充填をしない術式がされているのが分かった。担当術者もしかたなく手術しているようで、患者さんへは再発率は約50%とリスク説明しているようである。日本口腔外科学会と日本歯内療法学会が協力して、歯科臨床の上でこの頻度の高い歯根端切除術を成功率の高い術式に高めるためには、エビデンス(証拠)に基づく治療が必要です。逆根管充填しないでも成功するというエビデンスが検証されているとは到底考えられない。逆根管充填をしてもしなくても良しとしたり、逆根管充填材はこれが良いと推奨してない以上、いつまでも成功率は高まらない。成功率を低くしている問題点は、①逆根管充填をしをするかしないか、②逆根管充填材になにを使えば良いか、である。成功する歯根端切除術のガイドラインでを至急に作成しなければいけない。マイクロやCTを使えば成功率が高くなると言う前にしなければならないことがある。「歯を残すため歯根端切除術の適応患者さんが増える中、適切な新しい治療の指針を広めることが重要です」

42 術者はなぜ逆根管充填をしないのだろうか?しなくなったのだろうか?
他院で歯根端切除術をしたが再発し来院する患者さんが増加している。歯科大学や病院の口腔外科で手術して失敗する場合も多く、その原因のほとんどは根尖切断のみで逆根管充填をしてないことに起因していた。術者はどうして逆根管充填しなかったのか、そのDrになったつもりで考察してみたい。
1.歯根端切除術に逆根管充填という術式があるのを知らない。学生、研修医の時にも先輩から習っていない。
2.その術式は知っているが、周りのDrは誰も行っていないのでそれにならって行ってない。意図的にしない。
3.自分は逆根充をしたいが先輩Drがしてないので、違う治療法はできない。
4.口腔外科において歯根端切除術はマイナーな手術で、取りあえずしているが1年後の予後や成功には関心はない。
5.逆根管充填しなくても自分の手術では治っているからしない。ほとんど治癒していると信じているので予後は数か月間は診るが1年後は診ない。
6.根尖を切断した後、根管を見たら根充材はきれいに充填されていたので、逆根充は必要ないと思ったのでしなかった。探針で探ることはしない。
7.自分の歯根端切除術の成功率は50~60%でフィステルなどの症状が出て再発し、悪いのは分かっているが、この原因は良くわからない。患者さんが希望すれば再手術でさらに根尖切除するが治癒するかどうかはわからない。このまま様子を見て症状が強く出たら抗生剤を飲んで、繰り返すなら抜歯を勧める。
8.逆根管充填をすれば成功率が高まるのは分かっているが、出血創の中で面倒だし、どの逆根充材がいいのか分からない。
9.手術保険点数は1350+800÷2=約2000点前後で、逆根管充填の煩雑さや手術時間を考えると見合わない.
10.所属医局の教授や部長などチーフの考えや治療方針や関心度で左右され、逆根管充填の必要性がテーマになってない可能性がある。それに従って所属Drは手術している。歯根端切除術の治療班があるわけではなく、成功率を集計するほど長期に経過を診るほどの関心はない。研究テーマになりにくいから。
11.日本口腔外科学会<手術手技に関して>の説明文に「歯根端切除術とは外科的に根尖病巣の除去と同時に歯根の尖端の切除を行う方法で、歯としての機能を残すことができます。」とあり、逆根管充填という単語が抜け落ちている。古い教科書には重要事項として必ず記載してあり、これは意図的に学会として外したものと思われる。たぶん逆根充しなくても治癒する症例だってあるのだから省こうと。でも専門学会のこの記載が原因で逆根充をしないくてもいいと研修医が解釈すれば、成功率はいつまでも高まらないことになる。リンク:口腔外科学会 https://www.jsoms.or.jp/public/disease/setumei_syujyutu/#c02
*さてあなたはどれでしょう。歯を残すための頻度の高い重要な手術だと思うのですが。私にできることはここに愚痴を書くことぐらいでしょうか。この愚痴がどこかで生きて動くことを期待します。今は神戸と岡山で歯根端切除術再発、逆根管充填なしの方とメール相談しています。2016.5.10 

43 歯根端切除術で根尖の切除は何mmが適切だろうか?
筆者は 根尖切除量は2mm以内が適切だと考えている。
根管治療不良の原因のほとんどは、根尖3mm以内の根管や側枝、歯根歯質にある。では3mmの間で何mmが適切だろうか?1.5mmで治癒するのに3mm切除するのは適切ではない。 少ないと感染源が残り、多いと動揺や象牙細管の露出が多くなり経過不良の原因となる。回答は長期経過観察の症例検討の中にある。根尖分岐や副根管があったり、根管内が広範囲に汚染されていたり、壊死セメント質や感染象牙質が広範囲にあれば、多くの根尖切除が必要だが例外的のものであり、ほとんどは1.5~2.0mmの範囲で十分で1.5mmの場合が多い。2016.5.27 


44 5代目三遊亭円楽さんの入れ歯と 思い出 
某テレビ局診療室に週1回約7年間勤務した。2007年ある朝、出勤前にテレビを見ていると、5代目三遊亭円楽さんが引退するとのこと。その理由として脳梗塞の後遺症と入れ歯が合わないために、上手くしゃべれなくなった。しゃべる商売でお客様に満足してもらえる話ができないので引退するしかないとのこと。潔い決断で驚きをもってリポートされていた。それを見ていた落語好きの私は、「えー引退、でも入れ歯が合わないのを引退の理由にされるとは、担当の歯医者は何をしているんだ。しゃべる商売だからちゃんとしたいい入れ歯を作ってあげないと」と口に出していた。確かに「笑点」を見ていると、口元がもごもごして入れ歯が合ってないのは分かっていたが引退とは。そしてテレビ局の歯科診療室へ。その日の患者さんの一人はテレビプロデューサーで、治療が終わって円楽さん引退の話、その理由が入れ歯なら自分は自信があるので作ってあげたい、というようなことを言った。そうしたらプロデューサーは円楽さんとは面識があり、すぐに連絡を取り私の情報をFAXで送ることになった。
 「突然で失礼します。私は○○というもので○○病院の勤務歯科医です。落語が好きで圓楽さんの一ファンですが、もし入れ歯でお困りなら私に治療させてくれませんか?・・・」と一方的な押し売りのような話。翌日の夕方に円楽さんから直接携帯に電話が入り、やはり現在も困っているとのことで、通院しやすい慶応病院で私が入れ歯を作ることとなった。初対面は大柄の礼儀正しい、職業がらか大きい声の良く通る方という印象で、ご病気のせいか杖をついての来院でした。口腔内はやはり顎堤吸収著しい難症例で、装着していた入れ歯は外れやすく、咬合採得が合ってないため噛むと動いたり、声はこもって滑舌は良くなかった。まずは2か月間 治療用義歯で苦労しながら改造修正したうえで、咬座印象法で一生懸命新義歯を作成セットした。その結果、入れ歯は吸着し動かず滑舌良く話やすくなり、円楽さんに満足して喜んでもらえた。引退して6か月後にNHKに出演されていたが、会話はスムーズで私も安心した。早く知っていれば引退理由に入れ歯のせいとは言われなかったのだが。円楽さんとは面識もなかったが、押しかけで作った入れ歯に少しは喜んでもらえたのではないかと思っている。私は口腔外科が専門だが、無痛デンチャーで有名な桜井唯次先生から教わった義歯作成が役立ったと思っている。一期一会。その後、円楽さんが言ったのか入れ歯のことでNHKから取材を受けたが、私は個人情報ということでお断りした。
 入れ歯は調子良く何事もなかったが、1年後のある日「下の入れ歯はよく噛めて良かったが、昨日真っ二つに割れてしまった。3日後に広島で6代目三遊亭円楽襲名の口上を述べなくてはならないが、痛くて上手く話しができず困っている。至急診てもらえないか」と、私は全身麻酔で手術室にいたので携帯留守電に円楽さんからメッセージが入っていた。そこで至急で来てもらい1日で修理し広島へ、後日に割れないよう下顎を金属床の入れ歯に作り替えた。その1年後、ご病気の悪化でお亡くなりになりました。最後はいい入れ歯を作ってあげれたと思っています。短いお付き合いでしたが落語やお弟子さんの話を楽しく聞かせてもらいました。
手元には入れ歯完成記念に一緒に撮った写真と、滑舌の良い生声が入った留守電が残っている。円楽さんとの思い出を書かせてもらいました。K 2016.6.19  
リンク : http://a19750601.exblog.jp/12802126/

45 根管治療や歯根端切除術を行う際に、うづくような強い痛み(非定型歯痛)があったらどうする?(8.の続き)
まずは炎症による痛みなのか、神経性の痛みなのかを鑑別する必要があります。
 
歯が原因でない歯痛を非歯原性歯痛と言い、非常にまれに発現するもので非定型歯痛が挙げられます。非定型歯痛は脳・中枢性の病気です。歯にうずくような痛みがあって、適切な根管治療を長期に行っても痛みが消失しないため対応に苦慮する。この疾患のことを知っていないと永遠に根管治療することになりかねない。抜歯しても痛みが消失しないこともある。非定型歯痛は歯の奥の方にジーンあるいはジンジンと、一日中あるうずくような強い持続性の痛みで、歯茎の表面や歯肉ポケットをそっと触れても痛いアロディニアという異常疼痛部を認めることもあり、鎮痛剤や抗生剤で効果なく痛みが消えません。当該の歯や歯茎だけでなく隣在歯にも痛みが移ったり、顎、ひどい場合は顔面痛が出ることもあります。歯髄、歯根膜、骨膜、歯槽骨などの末梢神経に対する刺激や侵襲がきっかけで生じるとされているが、詳細は不明です。
 歯根端切除術にも関係する。歯肉の腫脹や圧痛、フィステル、排膿があり、レントゲンで根尖病変を示す陰影を認め、根管治療ができず歯根端切除術が適応とされたとする。ここですぐに歯根端切除術へ向かってはいけない。うずくような一日中ある持続性疼痛やアロディニア異常疼痛があるかないかをチェックし、あれば非定型歯痛を伴っている可能性があり、慎重に対応しなければならない。患者さんは歯根端切除術をすれば痛みが取れると思っているので、丁寧な説明が必要。根尖病変と非定型歯痛を認めた場合の治療方針は、文献的にこうだとするものはないが、私見としてはまず非定型歯痛の薬物療法を行った上で痛みが軽減・消失を待ってから、歯根端切除術を行う。そして術後にも薬物療法を継続するのが良いと思っている。炎症所見はなくて歯肉の圧痛とうずくような持続痛、根尖病変を認める場合には非定型歯痛を頭に置いた慎重な痛み対応が必要です。
 鑑別診断目的に浸潤麻酔検査をすることは良いことで、知覚麻酔効果が得られなければ非定型歯痛の可能性が高い。しかし麻酔効果が得られたからといって否定はできない。特徴として心理的要因(ストレス)に関係するため、精神的に興奮したり不快なことがあると痛みが強くなり、逆に眠りにつけば痛みで目が覚めることはない。歯茎が腫れるなどの炎症でなく中枢性の病気であり、特殊な薬物療法(トリプタノール)で長期に治療する必要があります。またこの病気の丁寧な説明と精神的なケアをすることも大切な治療です。当科には現在約10人の非定型歯痛の患者さんが治療に通院されています。「口腔顔面痛」という病気分野に当たっては、鑑別診断学と経験が重要です。詳しくは 
http://orofacialpain.info/index.htm 。 歯根端切除術から見た非定型歯痛を考える。非定型歯痛から見た歯根端切除術を考える。この両方が必要だろう。2016.6.27   
歯や歯茎にうずくような強い痛みが一日中あるため、確定診断できぬまま抜髄したが痛みは止まらず、長期間 根管治療をするが 痛みは止まらず。そこで歯根端切除術を行うが痛みは止まらず非定型歯痛を疑う。抜髄や歯根端切除術をしたから非定型歯痛になったのではなくて、それ以前に非定型歯痛が発症し痛みが出現して続くように なったのが真実と思われる。特にはカリエスや破折・亀裂がないのに一日中続く痛みがあれば、非定型歯痛を鑑別診断の一つに挙げて精査する習慣をマスターしておかなければならない。ガイドラインが必要です。2016.9.5

46 非定型歯痛の症状と診断について<非定型歯痛はどのように診断するの?>
非定型歯痛の症状
 
歯やその周りの歯茎にジーンあるいはジンジンとしたうずくような強い痛みや圧迫感が一日中続くのが特徴で、ひどくなると痛みは隣の歯や歯茎、骨の中、顔面に拡がったり、反対側に移ったりすることもある。指で歯根先の歯茎を押すとうずくような強い痛みがあったり、その歯をたたくと打診痛があったり隣の歯に及んでいる場合もある。歯茎の表面や歯肉ポケットをそっと触れても痛いアロディニアという異常疼痛を認めることもある。鎮痛剤や抗生剤で効果なく痛みが消えない。歯茎が腫れるなどの炎症でなく脳・中枢神経性の病気であり、脳に作用する特殊な薬物療法(トリプタノール)で治療する必要があります。
 根管治療だけでなく歯根端切除術にも関係あるのが非定型歯痛です。根尖病変の影があって根管治療をしたが痛みが消えない。そこで歯根端切除術を行ったがそれでも痛みが消えない。経過レントゲン写真で根尖病変の影は消失し完全治癒したが痛みは消えない。実は痛みの原因は「非定型歯痛」にあり、適確な診断のもと早期にこの治療に入ることが必要です。


非定型歯痛チェックリスト
( 歯や歯茎の痛みが続き、以下に当てはまる方は非定型歯痛の可能性があります )
①歯やその周りの歯茎、歯の奥の方に、ジーンあるいはジンジンとうずくような強い痛みや圧迫感が一日中続いている。
②痛みがひどくなると隣の歯や歯茎、顎、顔面に拡がったり、反対側に移ったりする。痛みは耐えがたく日常生活に支障が出ている。
③痛みは一時的でなく毎日あり、数か月~数年と長期間に渡っている。

④痛みは軽くなったりひどくなったり、治ったと思ってもまたすぐに痛くなる。

⑤痛みがある歯茎を触るだけでうずくような痛みが出たり、唇を動かしても痛みが出ることがある。

⑥痛みは日中の起きている時にあり寝てしまうと痛くない。痛みで目が覚めることはなく目が覚めると痛くなってくる。

⑦痛みを感じる歯に虫歯などのはっきりとした原因がない。
⑧冷水、温水などで刺激しても痛くない。また歯茎の腫れや膿が出るなどの炎症の症状はない。

⑨鎮痛剤や抗生剤を飲んでも効果なくあるいはほとんど効果なく、痛みは取れない。

⑩歯科医院で歯の神経を取ったり、根管治療をしたり、抜歯しても痛みは消えない。

 

原因不明の歯痛、顔面痛を訴える非定型歯痛はこんな病気(特徴)
1. 歯やその周りの歯茎・骨の中に「ジーン、ジンジン、じわじわ」する強い痛みが一日中続いている。ひどくなると隣の歯や歯茎、顎、顔面に拡がったり、痛みは反対側にも移ったりする。指で歯根先の歯茎を押すとうずくような強い痛みがある。その歯を軽くたたくと打診痛があることが多い。何カ月もあるいは何年も持続している。抜髄しても、根管治療を長期間に渡って行っても、抜歯して歯がなくなっても痛みは止まらない。眠ってしまうと痛みは収まっているが目を覚ますと痛みが起きる。歯茎が腫れたり膿が出ているなどの症状(炎症性)はなく神経性の病気である。

2. 痛みは耐えがたく日常生活に支障が出ている。
3. 痛みの例:根管治療をしているが痛みが毎日絶え間なくあり、終わらせることができない。多数の歯を針金でぎりぎり締めあげられるような痛み。目の下や鼻にぐうっと押されるような痛みが持続している。顔が割れそうに痛むなど。
4. 鎮痛剤や抗生剤は効果なく痛みは取れない。
5. 診断目的に局所麻酔検査で痛みが消える場合と消えない場合がある。知覚麻酔効果が得られなければ非定型歯痛の可能性が高い。しかし麻酔効果が得られたからといって否定はできない。特徴として交感神経系に関係するため、精神的に興奮したりストレスが大きくなると痛みが強くなり、逆に眠りにつけば痛みで目が覚めることはない。
6. 患者の9割が女性で閉経後に多く、平均発症年齢は55歳。
7.きっかけ
* 特にきっかけはないが、ある時期を境に激しい持続性の顔面痛が生じた。
* 歯科処置(神経を取る、抜歯、差し歯、インプラント)後、持続性の痛みが発現。しかし歯科処置前から痛みがあった可  能性もある。
* 精神的ストレスが大きく睡眠があまり取れていない。
私見としては、抜髄や歯根端切除術、抜歯などの歯科処置がきっかけで非定型歯痛になったのではなく、その処置前に非定型歯痛の痛みが発症し治らないので歯科処置をしたが結局痛みは取れなかった、のではないかと思っている。多くの患者さんの問診から。原因不明。k

8. 痛みの治療のため「抜歯」「歯根端切除術」「上顎洞炎の手術」「骨の生検」など、外科手術を受けてみたが治らない。
9.レントゲンや CT、MRI、骨シンチグラムなどの検査で「脳や体には異常がない」と言われた。
10.三叉神経痛の疑いで、治療薬(テグレトール)を服用したが効果がなかった。精神安定剤も効果がない。
11.うつ病ではないと言われている。


<Drへ>

非定型歯痛の原因としていくつかのメカニズムが指摘されていますが、良く分かってはいません。有力なものは神経障害性疼痛によるものと中枢性の疼痛でしょう。
 神経障害性疼痛は外傷や慢性炎症や長期間の過剰な刺激などにより末梢神経の感受性が変化しておきると言われています。中枢性疼痛は、中枢神経系の反応異常(痛み関連脳領域の過剰活動)によるものです。中枢性感作が原因の疾患には顎関節症、筋緊張性頭痛、筋筋膜性の腰痛、五十肩などがあります。また中枢性の非定型歯痛に抜髄などの虫歯の処置や抜歯を行うと、処置の傷跡の神経が局所感作を起こして神経障害性の疼痛を引き起こし、それが中枢神経の感作と相互に増強し合って脳がより興奮して頑固な慢性痛を作りだすことがあります。


<非定型歯痛はどのように診断するの?>

非定型歯痛と診断するポイント    kasazakiによる
非定型歯痛と診断をする上では問診が最も重要で臨床的に行う。そのうえで以下を参考に総合的判断をする。

①患者さんの話を良く聞き、上記の痛み症状の特徴を把握する。1回の問診や触診で決めつけて診断することなく、数回にかけて何度も同じ検査や症状、所見をチェックし確定診断をする。鑑別すべき疾患は多くはないが、不確かな症状なため慎重に。確かに知識だけでなく治療経験が必要な病気である。通常はあり得ないようなうずく痛みを訴えている。
鑑別として特に注意するのは、根尖病変の急性歯根膜炎、水酸化カルシュウム剤やMTAセメントの強アルカリ性による歯根膜炎、亀裂による歯根膜炎痛、クレンチングである。

②根尖部歯肉の圧痛や歯の打診痛を認める。
や当該歯だけでなく隣の歯や歯肉にも症状があることは多い。
③ストッパーの丸い部分で歯肉表面をそっとなでるだけでヒリヒリした異常疼痛(アロディニア)や、特定の歯肉溝を軽く刺激するだけで顔をしかめるほどの異常疼痛を認めることがある。
④歯肉の腫脹、発赤、排膿などの炎症所見はないのに、うずくような強い痛みを訴える。
⑤三叉神経などの知覚神経系でなく中枢性の病気であるため、通常の痛みの概念と異なると理解しておかねばならない。そのため局所麻酔が効かないことがある。

局所麻酔検査:歯痛部の歯肉や歯根膜に局所麻酔を行ってみる。ほとんどの疾患は歯原性であり麻酔効果があって痛みは消える。しかし麻酔効果なく痛みが消えなければ非歯原性の非定型歯痛の可能性が高いと診断する。でも非定型歯痛は、局所麻酔に対する反応は不明瞭で、麻酔効果が得られたからといって非定型歯痛を否定することはできない。麻酔効果がある場合もあればない場合もある。鑑別診断に役立てる。

⑥うずくような強い自発通は急性歯根膜炎の症状に類似している。そのためレントゲン写真で根尖病変を認める場合には、鑑別に注意を要する。さらに歯根の亀裂・破折が原因の歯髄炎や歯根膜炎にも類似いている。
⑦鎮痛剤や抗生剤、テグレトールは効果なく痛みは取れない。
鑑別のため、鎮痛剤で効果あるか試してみたり、炎症による疼痛を疑い消炎目的に4~7日間 抗生剤を処方して症状をチェックし参考とする。抗生剤で除痛されれば炎症、されなければ非定型歯痛の可能性あり。そのうえで、試しにトリプタノール10mg処方内服してみて、効果あれば増量し除痛されれば非定型歯痛と診断し治療に入る。
⑨非定型歯痛は炎症ではないため、テクネシウム骨シンチグラム検査をすることで鑑別診断できる。歯槽炎や根尖性歯周炎、嚢胞による炎症などがあれば異常集積を認めるため、炎症を否定するためにも。ただし手術後であれが3~4か月後でないと術後骨炎として検査結果になる。
⑩鎮痛剤はあまり効果はない。私の経験では発症から約1年以内、あるいは痛みが中等度以内なら鎮痛剤は効果はあるようだ。長期経過や非常に強い痛みの場合は効果はない。炎症ではないので抗生剤は全く除痛には効果ない。

<注意すべき鑑別診断を要する疾患>
1.  急性歯髄炎
2.  歯の亀裂・破折による歯髄炎や歯根膜炎
3.  根尖性歯周炎、歯根膜炎 
4.  水酸化カルシュウム剤やMTAセメントの強アルカリ性(pH12)による化学熱傷
5.クレンチングによる歯根膜炎
6.三叉神経痛
7.精神的な緊張(強いストレスや睡眠不良)

非定型歯痛の治療
非定型歯痛と診断されれば薬物治療が主となる。第一選択はトリプタノールで10mg/日から開始し順次増量していく。治療していく上で、主治医および患者さんが知るべき薬剤に対する多くの注意事項がある。すぐに効果が出るとは限らず治療は長期間に及ぶので、主治医は粘り強い対応が必要で患者さんとの信頼関係が重要。非定型歯痛の全ての患者さんにトリプタノールが効果がある訳ではなく、経験的には5~7人に1人は効果がないように感じている。
予後は様々で予測は困難である。

*非可逆的な治療はできるだけ避け、確定診断が付いた後に行う。特に抜髄や抜歯しても痛みが取れないことがあるので注意。

*数か所の歯科医院や病院にかかっても痛みが治らない、原因不明と言われている可能性あり。非定型歯痛の疑いがあると説明してもほとんどの患者さんは否定することが多いので、回数をかけて説明をしたり、セカンドオピニオンのため他病院口腔顔面痛専門医に紹介するのもいい。

神経障害性疼痛のサイト http://merckmanual.jp/mmpej/sec16/ch209/ch209c.html

2016.7.13

47 歯根端切除術とインプラントの悲しい話
ある日、ネットを見て紹介状なく新患として40歳前後の女性患者さんが来院された。歯根端切除術の希望で問診と口腔内の症状を確認しレントゲン写真でチェック。「歯根端切除術はできますか?」。「はい歯根端切除術はできます」と言ったところ、患者さんは急にボロボロと目から涙で泣きだしてしまった。あまりにも急変で何が起こったのか私が何かまずいことを言ったのかと驚き困惑した。「どうしましたか?」と問うと

「取り乱して失礼しました。実はこの病院に来る前に歯を残したくて5件の歯科医院に行って相談しました。全ての歯科で抜歯するしかないと言われ、私が何とか残せないか言ったところ、5件の歯科医全員に抜歯するしかないと怖い口調で言われ怒鳴られました。歯を残したくてネット検索し、ホームページが良くできている歯科医院、そうするとインプラントもしている歯科にたどり着きました。どうしてインプラントをする先生はあんなに怖いんですか。もう歯根端切除術はできないとあきらめていましたが、藁をもつかめと今日来ました。先生があまりにも簡単に歯根端切除術はできますと言ったもので嬉しさと感激で涙が止まらなく出てしまったのです。」それまでの苦しいいきさつがどっと湧き出たようでした。
 「確かに膿の袋は大きいので、インプラントをする先生は骨が溶けてしまうとインプラントができなくなるので早く抜歯を勧めたのでしょう。」とフォローしたが、そんなに困難な歯根端切除術の予測ではなかった。3が月後に歯根端切除術を行い1年後の定期検査で骨は再生し根尖病変はすべて消失し完治していた。患者さんの喜びは大きくめでたしめでたし。しかし思うことは「歯科医にこのHPで予後の良い歯根端切除術があることを知って欲しい」「インプラントをする歯科医院はホームページは綺麗でも歯根端切除術で歯を残すのには熱心でないかもしれない。歯を残すにはインプラントに熱心でない医院の方がいいのかもしれないが判断は難しい」。2016.7.14
 「根管治療を行っても治らないから、膿の袋が大きいから、抜歯・インプラントにしましょう」と言われても患者さんはあきらめないで下さい。そう言われた歯のほとんどが歯根端切除術を行うことで残っています。レントゲンで根尖の病変であればどんなに大きくても歯根端切除術は可能である。


48 マイクロを使用することなく、拡大鏡を用いての歯根端切除術で90%を超える高い成功率を示すのは何故?。その理由とは。
「マイクロスコープを用いての歯根端切除術は、90%を超える高い成功率を示すといわれている。肉眼下で行われてきた歯根端切除術(従来法)と比較して格段に成功率は上がっている。歯根端切除術は、マイクロスコープ、CT、歯内療法専門医、の有無で成功率が60%以下か、80%以上かと、非常に差が大きいのも事実です。成功率にこだわるのであれば歯内療法専門医にかかることをお勧めします。歯根端切除術で成功を望むなら、歯内療法専門医でマイクロを使用した保険外の自費治療がいいです。」と最近では歯内療法専門医が自己アピールしているネット相談の回答が見受けられるようになった。
 本当だろうか?これはウソ。当院歯科口腔外科では2015の1年間で316症例、過去10年間で1974症例のほとんどをマイクロでなくライト付き拡大鏡を用いて精度の高い歯根端切除術を行い、長期経過データ分析で90~95%の高い成功率を維持している。当科の成功率が高いのは、失敗する原因が検証、分析されているからです。最近ではマイクロを使用し自費のてMTA歯根端切除術をしたが失敗し、当科で再歯根端切除術のケースも散見される。これは何を意味するだろうか?事実は、マイクロ使用は有効で役立つものだが成功率に影響を与えるものではない。成功率に影響を与えているのは他にあるのです。回答はQ19.Q26です。
 マイクロスコープがないと成功率が高まらないと思っている若いDrがいたらそれは事実ではないので、マイクロがなくても安心して「予後のよい歯根端切除術」にトライして下さい。必ずや良い結果を生むでしょう。マイクロを歯根端術に使うことは良いことです。しかし「使わないと成功率が劣るので、保険でなく高額な自費治療となるマイクロ使用の手術を勧めます。」という言葉は間違いですので惑わされてはいけない。


49 MTAでは成功しない歯根端切除術の難症例をSB接着性セメントが救う。その理由とは。
歯根端切除術の成功・失敗を左右する最も大きな要因は、根尖切断面にあり細菌感染源が残っているか否かです。それは根管と歯根歯質に分類できる。再発の原因のほとんどは根管に細菌繁殖部が残っているためで、逆根管充填の有無と充填材の選択が重要である。つまり切断面根管での細菌繁殖を断つには、安全で辺縁漏洩のない適切な逆根管充填材を使って根管を完全封鎖することである。 逆根管充填をしないという選択は論外の話で、私には成功を放棄したとしか思えない。この方法で80~90%ぐらいの成功率は達成できると思う。
 では根管を完全封鎖すれば全て治癒するかと言うとそうはいかず、その場合の再発原因は根管だけでなく歯根歯質にある。つまり感染象牙質や感染セメント質が細菌繁殖部となって残っているからである。これを見分ける視診と触診、経験が重要となる。このような難症例には、根尖切除量を多くし切断面を広く杯状に形成したうえで歯質接着性セメントで被覆充填することで成功の可能性が出てくる。従来はこの感染歯根歯質の考え方はなかったため再発原因不明で抜歯されていたと思う(知らないDrは今も)。
術者は成功率90%を超えるためには細菌繁殖部が根管内だけでなく、切断面の感染象牙質や感染セメント質にあることを理解しなければならない。この理解なしでは90%を超えるのは困難だろう。また切断面に金属コアが露出する場合は、逆根管充填が不可能なため従来は適応外であったが、歯質金属接着性セメントを応用すれば成功するようになった。
 このように適確な診断と新しい考え方、接着性セメントを応用することで、従来よりも適応範囲が広がり手術の成功率も高くなっている。あきらめて抜歯していた歯が残せることを広く知って欲しいものです。残念ながら
MTAセメント逆根管充填だと、窩洞が浅かったり皿状で広く薄かったり感染歯質の問題がある場合には、脱離や辺縁漏洩の問題で行っても成功しないだろう。この術式が追加されるならば成功率は90%を超え、95%ぐらいにはなるだろう。(2016.10.7.椛)    

< MTAでは成功しない(適応外)がSB応用で成功する歯根端切除術の症例とは >
① 長い金属コアが入っているため逆根管窩洞が深く形成できない場合で、MTAが窩洞から脱離してしまう。
② 感染歯質があるため、切断面を皿状に広く被覆する必要がある場合。
MTAセメントは逆根管内に充填し封鎖するものです。根管のみが感染原因で脱離せず根管封鎖できれば手術は成功するだろう。しかし根管だけでなく歯根歯質が感染源となっていれば、MTAでは封鎖できない。その理由は接着しないから。SBセメントであれば窩洞が浅くても、金属が露出しても、皿状に広く薄くても、歯質や金属と接着するため封鎖は可能で手術は成功するだろう。
<逆根管充填材としてMTA、EBAセメントの評価>
MTAはその発売元であるデンツプライ社のパンフレットに、充填した場合のフクシン液に浸すサーマルサイクル辺縁漏洩性試験で、漏洩なし良好が 62.5% 、窩壁の1/4まで漏洩あり37.5%で、歯質との間の辺縁封鎖は良好ですと載っている。一般的には漏洩あり37.5%は不良の分類に入るのだがどうしてだろう、本当にこのデータで良好と言っていいのだろうか私には疑問です。もちろん操作性のやや悪いスーパーボンドが完璧なものとは思っていないが、今のところこれ以上に予後の良い材料がないのが現状です。何をもって良しとするか。それは1.細胞毒性がなく安全である 、2.辺縁漏洩がない、3.経年劣化がない、4.操作性が良い、そして臨床的に長期経過で成功率が高い材料が良いと考えます。
 根管治療にマイクロ使用が広まったのはアメリカ、ペンシルバニア大学のキム教授の功績が大きく歯内療法の成功率が高まったと思います。そして歯根端切除術にも応用を勧め、逆根管充填にEBAセメントを使用し高い成功率91.5%を報告しています。論文はチェックしましたがこれは本当なのでしょうか。EBAセメントの成分は1.酸化亜鉛セメント、2.ユージノール液、3.強化アルミナで、前1.2者はいずれも細胞に害があり「培養歯根膜細胞に対する実験」で細胞は死滅してしまいます。日本の歯科大学病院歯内療法科での保険を使った歯根端切除術においては、逆根管充填材にEBAセメントを使用することが多いと聞いています。キム先生の論文が正しく臨床結果が良ければずっと使われていくはずです。しかし残念ながら、歯内療法学会であれほどEBAセメントの優越性の論文報告がされていたにもかかわらず、その後の実験研究で細胞毒性があることがわかり使われなくなっています。成分を検証していれば最初から逆根管充填には向かないと判っていたはずなのですが。キム先生へ、逆根管充填材にEBAセメント使用は、成分での細胞毒性や辺縁漏洩の上で最初から問題があったのではないでしょうか? 論文では二次症例や歯根の1/3以上の大きい嚢胞症例を統計処理から省いていますが、成功率を高めるためでしょうか?。私の疑問です。
 今は保険適応外のMTAセメントが良いとされているが、将来に否あれも良くなかったで終わらないようにしなくてはいけない。あるDrが進歩とは後ろを振り返らず前々を向いて進むことだよと言ったが、私は過去も検証し間違ったなら反省しておかないと同じ過ちを繰り返すと思っている。温故知新。最近、歯内療法専門医でマイクロを使用し自費でのMTA歯根端切除術を行ったが再発した患者さんが来院するようになった。再手術してみると、MTAはジュルジュルした泥状態で硬化してなかったり、脱離していたりボソボソで根管封鎖が完全でなく感染源が残っていたのが原因であった。。MTAの適応を検討する必要があるのではないだろうか。MTAは骨誘導効果があり良い材料と思いますが、今のところさらに良いのがスーパーボンドだと私は思っていて症例がそれを証明しています。MTAで失敗した症例をスーパーボンドに交換することで治癒しています。でもそれを言えばMTAを推奨しているDrに逆もあるよと言われるかもしれないが。ブログでの私見です。
 MTAが逆根管充填材として多くの病院で応用されているようだが、本当に検証し適していると判断して使用しているのだろうか?今後、残っていくのだろうか?私見として、不成功例を再手術で開けて切断面を見る限りはMTAは適してないように感じているが。


<MTAを使って再発した場合、またマイクロ・MTAで再手術しても成功しないだろう。でもSBなら救ってくれる
MTAの弱点は接着性で、逆根管の完全封鎖や、切断面を広く被覆封鎖ができないこと。封鎖が不完全だと感染源を残してしまうことになる。MTAを使用しているDrはMTAに固執し最高の材料と思っているので、再発した場合には原因が判らず困っていると思う。MTAでは辺縁漏洩が起きて細菌感染したり、充填が浅いと脱離したり、切断面を広く被覆したくても薄いと剥がれたりする。そのためMTAを再発例の治療に使用するのは無理がある。MTAが駄目でもSB接着セメントを使用するならば成功する可能性は高い。
MTAとSBの大きな違いは、接着性があるか否か、再発例にも使える適応症の広い材料か否かである。「再発した場合の治療:MTA再発例の治癒 ⑫」を見て下さい。MTAは初回の手術で感染源が逆根管に限定されたものには良いが、再発例には適さないと思っている。
*マイクロスコープを使用すれば成功率が高まるというDrがいる。しかしマイクロを使っても感染歯質や微小亀裂があれば成功しない。マイクロを使って失敗した場合の原因を検証することが重要である。マイクロスコープで見えているのに見えないものがある。それが感染歯質で、知識が無かったり見ようとする心、治そうとする心が無ければ見えない。

50 歯根端切除術の成功しなかった場合のリスクとは
成功せず再発した場合には、歯根のどこかに細菌感染源が残っているためで歯根嚢胞が再形成される。もし炎症が広がって歯頚部まで骨吸収が及ぶと、将来に抜歯となった場合、インプラント植立は困難になるだろう。嚢胞が大きくなって隣在歯まで及ぶと歯髄が壊死し治療が必要になったりする。

51 根尖病変の原因は根管だが、治療は根管だけがターゲットと思えば治癒しないよ。
根尖病変ができた原因は感染根管によるもので、根管治療によって根管の腐敗物を除去し消毒することで治癒する。しかし効果がない場合に外科的治療として歯根端切除術と意図的再植術がある。つまり外科的な根管治療を行い逆からの根管充填をする。そのため歯根端切除術は外科的歯内療法とも言われこの考え方はシンプルで解り易い。では逆根管充填が完璧にされたら100%治1癒するのかというと違う。ここに落とし穴がある。数千例の歯根端切除術を行って長期経過を診てきた中で、逆根管充填が完璧にもかかわらず再発症例がある。その原因は根管だけではなく、感染セメント質と感染象牙質であった。これに対する治療がされたことでやっと成功率90%を超え約95%となった。
 
根尖病変は根管が腐敗し感染根管から生じたものあるのは間違いない。しかし根尖病変の治療は根管だけだと思っていればすべての症例を治癒させることはできない。根管の腐敗が長期間に及んでいたり、歯根が根尖病巣の中に長期間に浸かっていると、細菌は歯根歯質に入り込み感染セメント質や感染象牙質になっている可能性がある。その場合、発症原因である根管をターゲットとして正根治、逆根治すればすべての症例で治癒する、というのは間違いです。根尖病変の治療は感染根管に対する逆根管充填と感染歯質の治療を考えないておかないとエラーを起こす。2016.11.24  

52 歯根端切除術には4つのポイントがあります。
1.手術適応の症例を画像診断にて選択する。
難治性根尖病変に対する治療であり歯根亀裂や歯周炎は適応とならない。

2.適切な術式であること。
    逆根管充填をしないという術式は論外であり、特に逆根管充填材の選択は重要である。

3.再発の感染原因は逆根管だけでなく感染歯質にもあることを理解し対応できること。
4.術後の治癒評価を行い成功率の検証をする。
    特に失敗例を検証することが大切で原因分析する。


53 歯根端切除術の3mmルールがあると聞きましたが何ですか?
アメリカでのマイクロ、MTAを使用した歯根端切除術の術式で、根尖切除は根尖から3mm切断が原則とする。根尖3mm以内に根管側枝が多いのでどのケースでも一律に原則3mm根尖切除するのがルールです。またMTAは詰める充填材で逆根管の穴が浅いと脱離してしまうので、脱離しないように3mmの深さで根管形成しましょうとのこと。再発しないために守るべきルールとのことです。ペンシルバニア大学歯内療法科のDrキム先生が言っているのだからそうなんだろうと納得してしまうが、正しいのだろうか?
 根尖切除3mmに関して、私の数千例の検証からは1.5~2mmでほとんどが治癒している。人種や歯根長のせいかもしれない。日本人の歯根はアメリカ人に比べ短いのでそのままのデータを鵜呑みにしないで検証した方が良いと思う。逆根管の深さに関しては、確かにMTAは接着性のない充填材だからしかたないのだろう。しかし接着性セメントを使用すれば、3mmは必要なく1~1.5mmで脱離しません。私の日本人の歯根端切除術をした治療検証からは3mmルールは間違いだと症例は示している。2016.11.29

54 私の長い歯根端切除術の歩み
40年前、歯科大学を卒業して慶応大学病院歯科口腔外科に入局した。欧米でもそうであったが、当時の歯根端切除術の逆根管充填はアマルガムという銀と水銀の混合物を充填していた。しかし材料は扱いづらく成功率は50~60%で満足いくものではなかった。そこで私はアイオノマーやCRレジンを試すことで予後は良くなった。さらに改良をかさねスーパーボンドにたどり着き飛躍的に経過良好となった。27年前、私は立川病院歯科口腔外科として年間約50症例の歯根端切除術を行っていた。手術は普通の術式で逆根管充填材は光硬化レジンや接着レジンを使用し成功率は約85%ぐらいであった。ある日、ネットで「歯根端切除術」と検索したところ一番目に「歯科治療Q&A根尖部の手術」河田歯科医院(兵庫県明石市)が載っていて、歯根端切除術で失敗した患者さんの苦悩の相談で溢れているのを見てしまった。河田先生は尊敬できるDrで丁寧に相談に乗っていたが、歯根端術の成功率は10%以下で患者さんには勧められない手術と記載されていた。確かに日本中から失敗した方が集まる相談サイトであるから仕方ないのだろう、当科での成功率とはずい分に差があり何とか困っている方の役に立てないかと思った。河田先生に当方の手術を認めてもらうためには経過症例のレントゲンを見せることだと思い資料を残すようにした。しかし2年後、連絡メールを入れようとしたが残念ながらそのサイトは閉鎖されてしまっていた。河田先生には先生のHPがきっかけでこのHPを作ることができましたとお礼申し上げます。
 ある日、yahoo.「歯根端切除術」を検索したところ、一番目に「歯チャンネル88」という相談室が見られた。歯根端切除術の相談も多く、また失敗した患者さんの投稿も多かった。それに対して複数の開業歯科医から回答がされ患者さんの相談に乗っていたが、「年間10例ぐらい手術をしているがこの術式が良い」「失敗する原因は良くわからない」「一度手術をして失敗すれば抜歯するしかない」「マイクロを使えば成功率が高まる。使わないと低い」「口腔外科医より自費で受ける歯内療法専門医の方が成功率が高い」など私の考える歯根端切除術とはだいぶ差があると思われた。誤った回答を正すため歯根端専門医としてメンバーに入ろうかとも考えたが、かえって混乱を招くと思われたので私のHP「歯根端切除術の相談コーナーあきらめないで」を2012.1/1に立ち上げた。反響は大きく歯根端切除術で困っている多くの方々から相談メールが入って来るようになった。
 特に注意した点は、歯根端切除術の予後である。ネットでの歯根端切除術の情報は非常に多いが、予後レントゲン写真を供覧しているサイトはあまりなく説得力に欠ける。口では何とでも言えるがレントゲン写真は嘘をつかない。治った症例を見せないで自分の術式や考えや成功率が優れていると言っても人は認めてくれない。威張るつもりは全くないが誤った情報が流れるのは、患者さんのため歯根端術の進歩のために不幸と言わざるをえない。しかし当院のことを「歯チャンネル88」サイトで怪しいT総合病院口腔外科とけなされたこともあった。理由は、年間に100症例を超える歯根端切除術を行って、成功率が90%を超えるなんてありえない。経過を診てないで他病院のデータを引用して言っているのではないか。HPをすみずみまで見ればそうではないとわかるのだが。口腔外科医による手術が歯内療法専門医以上の成功率を出しているのに悔しかったのだろうか?長期経過の3000例以上のレントゲン写真ファイルがその治癒と成功率を証明しているので、私の信念は揺るがない。歯根端切除術の発展のためレントゲン資料を残し掲示したいと思っている。

<どうして逆根管充填材にスーパーボンドを使うようになったのか?>
歯科大学を卒業して慶応大学病院歯科口腔外科での診療では、逆根管充填材はアマルガム逆根充、あるいはガッタパーチャ正根充を多目にして術中に突出した部分を切断していた。アマルガムの欠点は銀のため歯肉が黒ずみ、水銀のため安全性に問題があると思われ2年間でやめた。次いでアイオノマー、光重合アイオノマーを使ったが、再発時に開けて材料を探針で触ってみたところボソボソでやめた。次いで光重合レジン、デュアルキュア型コンポジットレジンを使った。経過は良好で良い感想を持っている。しかしこの時代に、コンポジットレジンが生体ホルモン異常を招くというデータが出され(後に否定されたが)歯科界に問題が提示され、逆根管充填には避けるようになった。
 この流れの中で、真坂先生が歯根縦破折にスーパーボンドを応用した再植術を報告した。私はそのころSBも含めてあれやこれやと模索していたころで、その論文を見てから全ての逆根管充填材はSBにすることに決めた。SBは整形外科や脳外科で使用する医療用骨セメントと成分は全く同じ物で安全性に優れている。しかし欠点としてそのころのSBはレントゲン造影性がなく、せっかく逆根充してもレントゲンでちゃんと充填されたかどうかの確認ができず困っていた。その1年後、SBに造影性のラジオペークが発売され喜んだ。今まで試行錯誤した充填材の中で、SBの経過は群を抜いて良好であった。しかし操作性は非常に悪く、特に硬化時間が15分以上かかり、その間、材料に血液や水分が着かないように注意していなければならなかった。これは本当に大変だった。これが約7年ぐらい続いた。この煩雑さにどうしても我慢できなく、SBメーカーのサンメディカル社に連絡を取り来てもらい、歯根端切除術にSB応用がどんなに優れているかを説明した。そして硬化時間の速いSBを開発・発売してもらえないかと頼んだ。3カ月後に試薬ができ試しに使ってみたところ非常に良好であった。それがスーパーボンド・クイック液である。術式と逆根管充填材は完成し、そして私の意思を引き継いで多くの若い歯科医が学びに来て育っていて、患者さんに「予後の良い歯根端切除術」を提供できているのではないかと嬉しく思っている。2017.1.12.

<仕事の進め方>
1.今、足元の足りないこと欠けていることに目を向け、補足・改善する。満足しては進歩はない。
2.エラーや失敗から学んで、修正・改善する。
3.新しいアイデアを出し、計画をもってチャレンジする。足を使う。何度失敗してもかまわない。

55 歯根端切除術の切開はどれがいいの?
一般的に基本切開は②で、歯根先の病巣の近くで小さい切開線(約15mm)ですむからです。この切開の欠点は横に傷跡が白く残ることです。しかし笑って見える訳ではないのでこの切開をすることが多いです。
 ①の切開は、大きい歯根嚢胞が歯肉縁近くまで及んでいる場合(取り残さないため)や、歯根全体を見て亀裂の有無を確認したい場合や、②のような傷跡を残したくない場合です。ただしこの切開の欠点は、歯茎がすこし下がる可能性があることです。歯根端切除術をする歯は差し歯になっている場合が多いので②が多い。差し歯でなく歯茎が下がる恐れがない場合は①を選択する。私は最近5~6年前から②の弧状切開を少し形を変えた、正中部よりを縦にしたナイキのロゴマーク形が多い。この利点は②より横の切開線が約3mm短いからで傷跡を小さく見せるためです。
 傷跡を少しでも目立たさせないコツは細い5−0ソフトナイロンを使うと良い。また付着歯肉よりも歯肉歯槽粘膜やその境界部の切開の方が傷跡は目立たない。①切開で歯茎を下げないコツは切開の順番でまず歯茎部を先に縫合すると良い。またマットレス縫合で歯茎を吊り上げることもある。一時期③の切開をしたが切開痕が少ないが、部位の上で笑うと少なからず見えるので今は行っていない。

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56 歯根端切除術と外科的歯内療法との違い
 一般的には歯根端切除術あるいは根尖切除術とも言う。手術であるので口腔外科の分野に入ることが多いが、根管治療を行うのは歯内療法科の分野で、歯内療法専門医は専門性を高めるために区別して外科的歯内療法と言っている。
 歯根端切除術の術式は嚢胞摘出、根尖切除、逆根管充填である。再発する場合は逆根管に細菌感染が残っていることがほとんどであるため逆根管充填は重要である。そのため逆根管を重視する意味で外科的歯内療法と呼んでいる。当科で再発例を検証したところ原因は逆根管充填に問題があった。しかしそれでもさらに再発例があり、その原因部は切断面の感染セメント質や感染象牙質にあった。その場合の対処法は、歯根をさらに切除し切断面を広く浅く削去した上で、根管も含めて接着セメントを接着被覆充填することで感染源は無くなり根尖病変は治癒した経験を数多く持っている。これが適応症を広げる新しい治療法であるならば、外科的歯内療法という言い方は当たらなくなってしまう。根管だけが感染源と考え、根管だけを治療する外科的歯内療法では成功しない症例があることを忘れないでほしい。根管だけをターゲットとする外科的歯内療法の考えでは治らない症例を、新しい考えのもと接着セメントを応用した歯根端切除術で治癒できる可能性が大いにある。だから歯根端切除術と呼ぶ方が適切ではないだろうか。(争う気は全くないです)2017.2.9


57 本当の成功率の高い歯根端切除術はどれがいいの?逆根管充填材は何がいいの?
 歯根端切除術において成功率の高い術式を選択するのは当然である。しかし成功率が高いと言ってもほぼ同じ条件でなければ、どの術式が優れているかを比較判断するのは困難である。リスク症例を除外して成功が見込める軽症を対象症例にすれば、当然成功率の数字は高くなる。つまり適応症例を狭めた成功率の高い表面成功率と、そうでない実質成功率がある。
 マイクロ・MTA 歯根端切除術の成功率(ペンシルバニア大学歯内療法科)は、当科とほぼ同じで90%以上で良好であるが、文献を良く調べてみると対象症例・統計母体に違いがあることが分かった。つまりMTA歯根端切除術の成功率を出すにあたり、①一度手術し再発した二次症例の場合、②嚢胞が歯根1/3以上の大きい場合、③逆根管が深く形成できない場合、④歯根が短いため3mm根尖切除できない場合、などは適応対象外としていた。これらの症例を統計母体に入れると成功率が低くなってしまう。SB歯根端切除術はこれらの難症例にも対応できるので、特に気にかけることなく省かず当科では母体に含めて成功率を出していた。図らずもMTA歯根端切除術の適応外の成功が困難な症例でも、SB歯根端切除術によって成功の可能性が高く、適応症が広いことが分かったしだいです。
 歯根端切除術の成功率の数字を大きく左右するのは、逆根管充填材の種類と適応症例の選択である。(2017.2.19)「失敗から学んだ、成功する歯根端切除術」


58 私の歯根端切除術の完成までの道程を書き留めておきたい。次に続く若いDrが遠回りしないために。未完成
どうして逆根管充填材にスーパーボンドを使うようになったのか?
どうして逆根管充填材はMTAよりSBの方が予後が良い、適応症が広いと言えるのか? 
どうして歯根端掻把術ではなく全例に歯根端切除術をするようになったのか?
どうして切断面の根管充填がきれいなのに逆根管充填をするのか?
どうして逆根管充填をしない術式がされ続いているのか?
どうして根尖切除は3mmでなくて1.5~2mmで治るのか?
どうして逆根管充填が完璧でも再発するのか?
どうして歯根端切除術の再発の原因が壊死セメント質や感染象牙質にあると言えるのか?
どうして再発した場合に再手術の成功が困難なの?
どうして予後の良い歯根端切除術を求めて全国から多くの患者さんが当院に来るの?
どうしてマイクロを使用しなくても90%以上の高い成功率なのか?
どうしてマイクロスコープを使ったのに再発したのか?
どうして人工骨を入れる必要はないのか?
どうして外科的歯内療法や逆根管治療法でなく歯根端切除術と呼ぶ方がいいのか?→それは根管だけを治療したのでは成功率が90%を超えないから。


59 松山の甘い料理が口に合わなくなってしまった。
関東から松山に来た方を食事に案内する場合、連れて行ってはいけないお店。「なんじゃこの砂糖甘さは」と言われてしまうので。1.甘い鍋焼きうどん「あさひ」湊町 2.甘いスパゲッティー「デュエット」市駅前 3.甘いラーメンと甘いおでん「瓢太」三番町 4.甘いカレー「ライオン」千舟町 5.松地下タウンの甘いカレー、6.「甘い陳麻婆豆腐」高島屋、横浜の本店の味ではなく松山人に合わせて砂糖を強くしているとのこと(聞いた)。7.スーパーフジのコロッケ、ポテトサラダ、砂糖が多めに入っている。松山人は感じないが食べ慣れてない関東人はすぐに違いが分かりマズイと感じてしまう。でも一度は食べさせて反応した顔を見たいお店です。2017.8.12


60 なぜ術者は逆根管充填をしないのか? 
どうして病院歯科や歯科大学・医科大学の口腔外科の多くで逆根管充填をしないのだろうか?この術式は教科書にも書いてあることなのに。全国から歯根端切除術で失敗した患者さんが来院されるが、再発原因第一位がこれである。面倒だから、切断面の根管がきれいに見えたからなどが理由に挙げられる。しかし数か月~数年で約50%が再発することになる。いつ頃から、何がきっかけで、どの病院から広まったの?。逆根管充填すれば再発率が低くなることは分かっていると思うのだが、なぜだろう?もしかしたら分かってないのだろうか。逆根管充填をしないで感染源を残したまま、人工骨を入れたりメンブレンを使ったり開窓術にするのは意味がない。開業歯科医の中では、歯根端切除術の認識は予後が悪いというのが一般的なようで、不確実な治療ではなく抜歯インプラントを勧めるようだ。「病院歯科や歯科大学に歯根端切除術を依頼しても再発することが多く紹介しなくなってしまった。紹介先では逆根管充填はしてない」とのこと。私は全例にすべきと考えて行っている。
 最近危惧するのは、若い口腔外科医(一部の歯科大学?)の中で逆根管充填をしないのが普通の歯根端切除術で、するのは例外と思っていたり、逆根管充填のテクニックを良く知らないDrが出てきている。そしてその研修をうけたDrが指導医になっていくのが心配、否もうなっているのが怖い。逆根管充填してないがために失敗した症例を、当院で逆根管充填して治して歯を残すだけでいいのだろうか?溢れ出る失敗例の対応に追われるより、元を断つことの方が大事。そのためのアプローチはしたが、力不足で私の力ではそう簡単にこの洪水は止められません。スタディーグループや歯科大学で講演会に呼んで下さい。
 歯科臨床の中で歯根端切除術は歯を残すための、頻度の高い適応症の広い重要な手術だが、結果として成功率の面から確立された術式になっているとは言いがたい。なぜ我々歯科医は歯根端切除術の失敗が多いことを認識しているのに、教訓として学び修正して次へ生かせないのだろうか? 推測理由は、1年以上の経過を集計してみていない、失敗原因を検証分析していない、逆根管充填をしない術式が普通になってしまい関心がない、逆根管充填をしないのが再発原因の第一位ということを理解してない、逆根管充填に問題があるのは分かっているが良好な充填材の研究が未熟、インプラントの成功率が高まったので歯を残すことに重きを置かなくなった。患者さんには申し訳ない。
​ 口腔外科で逆根管充填をしなくなった本当の理由は、日本口腔外科学会 歯根端切除術の術式に逆根管充填が記載されてないことに関係がある。このように歯科専門学会が逆根管充填をしなくても構わないと容認していたり、いまだに逆根管充填材はこれがベストだと決定し推奨してないからだと思います。口腔外科学会はリードできないのだろうか?(2017.3.1)


61 本当の成功率の高い術式はどれだろう? 成功率の高い逆根管充填材は何が良いのか?
 歯根端切除術において成功率の高い術式を選択するのは当然である。しかし成功率が高いと言ってもほぼ同じ条件でなければ、エビデンスとして受け入れられずどの術式が優れているかを比較判断するのは難しい。リスク症例は除外して成功が見込める軽症例だけを対象にすれば、当然成功率の数字は高くなる。つまり適応症例を絞って狭くした成功率の高い表面成功率と、適応症例を狭くしない実質成功率がある。
 マイクロ・MTA 歯根端切除術の成功率(ペンシルバニア大学歯内療法科)は、当科とほぼ同じで90%以上で良好であるが、論文を良く調べてみると対象症例・統計母体に違いがあることが分かった。つまりMTA歯根端切除術の成功率を出すにあたり、①歯根1/3以上の大きい嚢胞がある場合、②一度手術し再発した二次症例の場合、③逆根管が深く形成できない場合、④歯根が短いため3mm根尖切除できない場合、④充填面が広く浅い場合などは適応対象外であった。これらの症例を統計母体に入れると成功率が低くなってしまう。SB歯根端切除術はこれらの難症例にも対応できるので、特に気にかけることなく省かず当科では母体に含めて成功率を出していた。
   図らずも文献を調べることで、MTA歯根端切除術の適応外の治癒が困難な症例でも、SB歯根端切除術で成功の可能性が高いことが分かった。歯根端切除術の成功率の数字を大きく左右するのは、逆根管充填材の種類と適応対象症例の選択である。マイクロ使用が成功率を高めているというDrが多いが、適応症例を絞ったので高くなったのではないだろうか?入れたらどれぐらい下がる?というより経験上失敗するのが分かったので対象外にしたと思う。マイクロは強拡大で亀裂の発見などエラーを防ぐのには大いに役立っている。(2017.2.19)
 マイクロを使わないと54.2%、CT・マイクロ・MTA併用で成功率92.1%というデータがありますと、東京医科歯科大学吉岡隆知論文(日歯保誌55.2010)から引用し、マイクロの優越性を成功率にぶつけてマイクロを使用しないと成功率が低くなると言うDrがいます。このデータから言えますか?ましてや術後6か月の比較ですよ。ましてやMTA非適応症例は省いたデータですよ?成功率をマイクロにもっていくのは無理がある。今はマイクロ普及のため目をつぶっています。むしろMTAに目を向けるべきだ。もしかしたらMTAでは成功率が90に届かないのでマイクロに目が行ったのかもしれない。
「マイクロを使用することで高い成功率92.1%の報告があります」と。「- -報告があります」という言い方は情けない。他Drの報告でなく自分の結果データを示せば良い。


*2010年のSetzer FCらの論文では、
マイクロスコープを使用しない歯根端切除術(12歯)の成功率と、
マイクロスコープを使用した歯根端切除術(9歯)の成功率を比較した結果、
前者が59%、後者が94%という驚愕のデータがあります。https://www3.dental-plaza.com/archives/6840
このデータもマイクロの優越性を言うのに良く使われるが、12歯と9歯の合計21歯の少ない比較で言えることだろうか。


 この25年間、もしかしてSB法より成功率の高い術式があるかもと、論文を調べたが見つからない。マイクロ・MTA法がより優れているかと思ったが、来院したその失敗例を再手術してみるとMTA逆根管充填による根管封鎖が不良で、SBを使って再逆根管充填で治しているのが現状である。さらなる上の術式があるかもと思ったが、インプラントの発展とともに歯を残すこの重要な手術が後ろ向きに考えられているのは、気がかりで残念だ。上を目指して難症例に対応しているうちに、望んでもないがいつしか筆者が上に押し挙げられてしまったようだ。というより私は普通で、逆根管充填をしないなど他医が成功を目指さなくなってしまったように感じている。
私の目指すものは、適応症の広い成功率の高い歯根端切除術です。そのためには長期経過のレントゲン写真の提示と治癒評価である。MTA法の基本は根尖切除3mm逆根管充填深さ3mm、SB法の基本は根尖切除1.5mm逆根管充填深さ1.5mmである。予後のレントゲンから治癒評価し淘汰されてどちらの術式が残っていくだろうか? MTA逆根管充填で失敗した場合、SB逆根管充填で治せる可能性がある。逆のSB法で失敗したらMTA法で治せる可能性はまずない。理由は逆根管の完全封鎖ができるかできないかだ。
 マイクロに頼らないマイクロよりも成功率の高いマイクロで失敗した症例を治せる、職人技の歯根端切除術を提供したい。そしてレントゲン写真がそれを証明します。マイクロ・MTAで再発した症例をライト付き拡大鏡とSBでどんどん治していきたいと思います。(2017.2.27)
どうしたら成功率の高い歯根端切除術ができるのか?をずっと探し求めてきた。それは失敗例から見た歯根端切除術だった。そして失敗を成功に向けるアイデアと逆根管充填材と器材の開発を重ねることで、totalとして成功率が高まった。マイクロを使えば成功率が高まるというDrがいるが、成功例から見ただけの歯根端切除術で、辺縁漏洩のあるMTAを使っている限りは無理だと思う。


62 成功率100%の歯根端切除術はあるのか?ある。
原因が切断面の逆根管だけなら、SB接着セメントを使えば歯根端切除術は100%成功する。つまり
適応症を狭くして条件をつければ100%は可能である。しかし実際は100%にならない訳で、その理由は原因が逆根管だけではないからである。感染源が逆根管だけならSB接着セメントを接着充填することで逆根管の封鎖は完璧であり、根管の問題はすべてクリアーされ、その治癒結果を確認できている。

 100%にならない再発例の検証は重要であり、筆者の再発例はすべて根管の問題ではなくて、①感染歯質、②亀裂、③著しい歯周炎を伴っていた。根尖病変に対して逆根管だけの歯根端切除術を行うならば、成功率は90%には届かないだろう。マイクロスコープを使えば90%以上というデータがあるというが、文献を調べてみるとそれは適応症を従来データより故意に狭くして成功率を上げていた。
 筆者は歯根端切除術に長く関わってきたなかで、①や②に対しても診断と治療ができるようになり、SB接着セメントを使用することで適応症を狭くすることなく成功率は約95%に上がった。歯根端切除術の限界を探ることで、まだまだ多くの歯は残せると思う。
 言いたいことは、根管だけの問題なら適切な診断とSBセメント使用で100%治せる。しかし根管だけでなく特に感染歯質の問題に注目しないと再発する。根管内のみが感染源だという考えではなく、感染セメント質や感染象牙質も根尖病変の感染源で治療対象と気付けば、手術の適応範囲も広がり成功率も高くなる。


63 病院口腔外科でスーパーボンドを使った逆根管充填法が少しだが増えているらしい.
多くの大学病院や病院の口腔外科では、歯根端切除術に逆根管充填をしないこと、そして成功率は50%と言われること、再発したら次は抜歯と言われること、経過は約2か月ぐらいまでしか診ないことが、失敗来院した患者さん情報から分かった。私としてはがっかりしていたが、最近、某(To)歯科大学口腔外科や某(Ke.Na.)大学医学部口腔外科、某(都Ta)病院口腔外科で
スーパーボンドを使った逆根管充填法をしているという情報が耳に入ってきた。MTAよりも適応症が広く成功率の高いこのSB 術式が広まり、抜歯が減ることを心から願っている。ただしスーパーボンドの操作性において止血やエッチングなど面倒なテクニックが必要なので、私の今までの経験が役に立てるなら助言したい。
 今の流れ。歯根端切除術を必要としている患者さんのほとんどは、開業歯科でのむし歯治療からスタートし、根管治療が不良の場合に、歯を残すために歯根端切除術が選択される。しかし開業歯科では成功率や手間がかかる割に保険点数が少ないなどで行うDrは少ない。そこで病院歯科や大学病院口腔外科へ紹介することが多い。しかし紹介して手術しても逆根管充填しないため成功率は高くなく、やむなく50%が抜歯になっているのが現状である。あるいは紹介するのは無駄と考え抜歯してインプラントにもっていく流れがあるのは心配だ。紹介される側の病院口腔外科医もあまり成功しないのは分かっているようで、といって面倒な逆根管充填をするほど気乗りはしないようだ。この流れを変えるにはどうしたらいいのだろうか?大学病院口腔外科の研修が非常に重要だが、教授はこの流れに気付いているだろうか?
今後は歯根端切除術において、成功率が高く症例数が多い病院と、成功率が低く症例数が少ない病院とに二極化していくだろう。そして患者さんがネット検索して病院を選択すると思う。患者自分自身が失敗しないために。このHPは歯根端切除術における成功へのチャレンジを求めたものです。今の流れは成功を目指さない、逆根管充填をしないDrが多過ぎます。
 歯科医師会としても、逆根管充填してくれて成功率が高い病院やDrをリストアップして情報交換するのが、患者トラブル防止のために良いと思う。でないと紹介する開業歯科自院の信用性が疑われてしまう。逆根管充填しない、1
年後の経過を診てくれない病院は、歯根端切除術に関しては紹介できる病院リストに入れない方が良いと思う。成功失敗を議論する前に成功を目指してない成功率が出せない病院だから。歯科大学病院で逆根管充填しない成功率50%の医療を患者さんに提供する訳にはいかないだろう。苦言。(2017.3.24)

64 成功率の高い最強の歯根端切除術とは?
歯根端切除術において大事なことは、適応範囲広く治癒させるということ。歯根端切除術で最も成功率が高く適応症が広い最強の術式は何だろう。それは再発症例を治せる術式と逆根管充填材が最強ではないかと思っている。抗菌剤で言うと、抗菌力が強く、抗菌範囲・適応範囲が広く、耐性菌にも強いニューキノロン系が最強である。一般的に再発例は治癒させるための条件が厳しく、セメント質や象牙質まで感染部が及んでいる場合もあるため難治性である。再発例においてMTAでは歯質との接着性がないため辺縁漏洩が生じて再感染するため治せない。そのためMTAは新鮮例には適応だか再発症例には非適応とされている。(MTAの開発者が感染部には非適応と報告している)しかしSB逆根管充填は再発例でも治癒可能である。
最強の逆根管充填材とは
​①歯質接着性があって逆根管を完全封鎖できること。(辺縁漏洩があっては感染源となり再発する)
②再発症例にも応用できて成功させれること。(再発の原因は逆根管封鎖不良と感染歯質と小亀裂であり、対応できる材料であること。再発症例に対しては、MTAでは対応できず成功率が低いため非適応とされている。)

 成功からだけで物事を見ると本質が逃げて行って分からなくなってしまうことがある。逆に失敗から見ることで本質が見えることがある。歯根端切除術にも言えそうで成功する術式を推奨するのは良いが、その術式をもってしても失敗した場合の原因は何かを突き止め、治癒させる術式を確立する必要がある。また根尖病変の原因である細菌感染源を特定できる診断力がないと成功しない。(根管内だけでなく感染歯質や小亀裂を見極める眼力が必要)(2017.5.20)
 <理想的な逆根管充填とは?>2015.大阪大学大学院歯学研究科 歯科理工学教室 今里 聡教授
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjoms/61/7/61_360/_pdf


65 適応症. MTAでは失敗してもSBなら成功する歯根端切除術
最近、自費でMTA逆根管充填したが失敗した症例をSB接着充填することで治したのを数例経験した。原因はMTAが脱離していたりボソボソであったりして根管封鎖不良だった。そこでMTA充填材のことを文献で調べてみるといろいろ分かった。逆根管充填材として応用するに当たり、SBセメントと比較するとMTAの適応症は限られていること。MTA逆根管充填が適応対象外で向かない症例は、①歯根1/3以上の大きい嚢胞がある場合 ②一度手術したが再発した二次症例の場合 ③逆根管が深く形成できない場合(3mm)④切断面に金属コアが露出するなど充填が浅くなる場合 ⑤歯根が短いため3mm根尖切除できない場合 ⑥充填面積が広い場合 などである。SB逆根管充填はいずれも適応である。違いは歯質への接着性があるかないか、それによって根管完全封鎖ができるかできないかである。MTA充填の一部では脱離したり辺縁漏洩が生じて再感染し失敗してしまう可能性がある。
 マイクロ・MTAの成功率は約90%良好と言われているが、実際は90%に届かず80台だと思います。データ上90の壁を超えているのは上記のようなMTAでは治せない難治症例はデータから省いて処理しているためで、成功率92.1%が出ていると思います。「井の中の蛙」にならないように注意しよう。


66 根管治療が不良の場合、抜歯してインプラントですか?
 
日本の歯科医療はアメリカの影響を強く受けている。アメリカにおける根管治療、歯根端切除術、インプラント治療の関係はどうなっているだろうか。留学経験のあるDrに聞いてみた。アメリカにおいて根管治療が難治性に至った歯は、あきらめ早く抜歯してインプラントを薦めることが多いという。理由はアメリカでの根管治療は保険診療でないため高額で、根管治療を続けた場合の治療効果の不確実性に対して、インプラントの治療結果の確実性やトータルで考え費用的に安くすむからとされている。では歯根端切除術の選択はと言うと、成功率の観点から高額な歯根端切除術を積極的に薦めることにはなってなく、成功するであろう症例に限って適応しているようだ。白か黒かを短期間で選択し絶対的成功結果を求められるアメリカでは、今の段階で歯根端切除術の選択は困難かもしれない。歯根端切除術が高い成功率の術式が確立する前に、インプラントの波が押し寄せて来たため、歯根端切除術の発展が覆い隠されようとしている
 日本の開業歯科でも根管治療が不良の場合、歯根端切除術でなく抜歯してインプラント治療の流れが強くなっている。紹介依頼できる、きちんと逆根管充填をしてくれる成功率の高い病院歯科や歯科大学が少ないため、歯根端切除術が信頼をなくしている。しかしMTAでなくSBなら成功率も高くなるので、歯根端切除術の選択は増加すると私は思っている。適応範囲が広い成功率90%以上の歯根端切除術があるので、アメリカに追従することなく、この術式を広め患者さんの歯を残したいという期待に応えてあげたいと思っている。適応とされる患者さんは非常に多い。


67 根管治療で治らない場合、抜歯してインプラントですか? あきらめないで歯を残す歯根端切除術があります.
歯根端切除術を希望され来院する患者情報から。インプラントに熱心で数多くの症例を行っている医院は、あまり根管治療には熱心でなく早く見切りをつけ、ハードル低く抜歯・インプラントを勧めているかもしれない。
 2017.4.13初診の患者さんはインプラントで有名なN歯科で左上4番の根管治療を4回行った後、打診痛が取れないから次回に抜歯しインプラントと言われたが、心配で私が勤務する国立駅前歯科を受診。根管治療ををしてみると根管にはまだ汚染物が残っており適切な治療がされてなかった。いずれにしろ抜歯は全く必要ないケースで、根管治療か必要なら歯根端切除術で治療可能な歯であった。そのため患者さんは当院での治療を希望され転医することになり、私は歯根端切除術のみ担当なため院長に治療してもらうことにした。(後日、根管治療で治ってしまった)この例を考えるに、根管治療の経過が悪く抜歯してインプラントを勧められた患者さんは、セカンドオピニオンとして他歯科で判断を求めた方が良いと思った。また担当医はこのように根管治療が適切でなく安易に抜歯を告げると、患者さんは他歯科へ転医し評判を落とすことを認識しておかねばならない。
​ 「セカンドオピニオンが大切です」このような場合のポイントは、治療は適切か、根管治療、歯根端切除術、抜歯のどれを選択するのが良いかである。この診断だけを正しくしてくれる公的な歯科があっても良さそうな気もする。そのためにはレントゲン写真をスマホで撮影しておくのは非常に良い。ネット情報が氾濫している現在、どの病院にかかれば適切な診療を受けられるかに関係する。このマネージメントは難しい問題を抱えているが、患者さんは強く望んでいるに違いない。


68 なぜ歯根端切除術が失敗したのだろうか? 今後どうしたらいいのだろうか?​        
     歯根端切除術が失敗した理由とは.

​歯根端切除術を受けて失敗した場合、何が原因で今後どうすれば良いかを考えてみたい。当科には年間に約60~80例の歯根端切除術で失敗した患者さんが来院する。失敗の原因はまだ歯根のどこかに細菌感染源が残っているからである。サイドメニュー「再発した場合の原因と治療法」に詳しく記載したが、失敗の原因第一位は圧倒的に逆根管充填の不備である。
①逆根管充填をしてなかった。
​   根尖切除のみ行い切断面の根管の封鎖をしなかったため細菌感染が生じた。特に歯科大学や医科大学の口
​ 腔外科、病院歯科の多くの施設で逆根管充填をしてないのが分かった時は、口腔外科を専攻している私自
​   身がショックであった。→ 再手術を行い逆根管充填をすることでほとんどが治癒する。なぜしないの?
②逆根管充填材に不備があった。
​   逆根管充填はされていたが充填材そのものがボソボソであったり、歯質と充填材に隙間があり黒く汚染し
​   ていたり、充填材が脱離していた。→ 再手術で逆根管を完全封鎖できる適切な材料を選択すれば治癒す
 る。   
③逆根管だけでなく感染歯質が残っていて再発した。
   主原因は切断面の逆根管にあるが、感染源は根管だけと決めつけてはいけない。長期に腐敗・感染が生じ
​   ていると歯質そのもの、つまりセメント質や象牙質に細菌繁殖部が残っていることを見逃してはならな
​   い。診断力が重要。→ 根尖切除量を多くして、接着性セメントで根管と切断面を広く被覆充填することで 
​   成功の可能性がある。
④亀裂→ブログ61へ
⑤著しい歯周炎
歯根端切除術において成功することだけに目を向けていては成功率は高まらない。マイクロを使用すれば、MTA逆充填すれば成功率が高まると言うDrがいるが、それで失敗したら「何が原因なの?どうしたら成功するの?」に対しても回答を持ってなければならない。「最後の手段で抜歯するしかない」で終わってはならない。失敗例に目を向けることで原因を解明し、再手術で解決できれば成功する。失敗メール相談は多く力になってあげたい思いです。2017.5.5


69 再発症例や難症例に対しても、成功率の高い術式があることを知って下さい。
①歯根端切除術を受けて再発した場合、他病院では抜歯と言われることが多いが、筆者の再手術で成功させ歯を残してあげたい。再発した場合、MTAを逆根管充填材として使用するのは非適応とされているので、他院では再手術は断られ抜歯と言われると思います。たとえCT、マイクロ、MTAを使っても完全な根管封鎖ができず成功する可能性が低いからだと思う。また再発例を成功させた経験が乏しいと、再発原因の解明ができていないため成功が不確実で、再手術はしないで抜歯を勧められると思う。逆根管だけが感染源だと思い込んでいれば高い成功率は望めない。筆者のSB接着セメントを使う術式なら、再発症例でも成功率90%以上です。
②他病院では歯根端切除術はできないといわれた歯を、当術式で成功させ歯を残してあげたいから。Q27のレントゲン症例を見れば分かるように、逆根管充填するのが困難な症例です。接着セメントを逆根管充填材に使わない限りこの歯根端切除術は成功しないと思います。歯科大学病院を受診し相談しましたが抜歯を言われています。MTAと比べてSBの歯根端切除術への応用は広い適応範囲があり、このように多くの歯を抜歯から救済できます。

歯根端切除術が失敗した場合の再生工房を目指します. あきらめないで!
歯根端切除術をして再発した場合、ほとんどの病院では「あきらめて抜歯するしかない。もう一度手術してもいいけど成功率は低いので、どうするかは自分で決めてください」と言われると思います。CT・マイクロ・MTAを使って再発した場合でも同じです。なぜならばその術者は再発した原因が良く分からないからです。当科には年間に約60~80例の歯根端切除術で失敗した患者さんが来院するが、再手術でも90%以上の成功率です。なぜ成功率が高いのかは失敗例の検証で原因分析と治療法が分かっているからです。これには診断力と適切な術式、良好な逆根管充填材が不可欠です。失敗の原因はまだ歯根のどこかに細菌感染源が残っているからです。確かに探し出し処置をするのは面倒だが、患者さんが望むのなら90%以上成功する、歯を残す再生工房を立ち上げたいと思います。


70 大きい歯根嚢胞のため歯根端切除術は成功しないと抜歯を勧められた。
歯根端切除術の適応症を決める上で、非常に大きい歯根嚢胞だからできないとするDrもいるが、根尖病変の大きさは関係ない。根尖部の病変ならどんなに大きくても、たとえ10mmでも20mmでも3~4歯に及ぼうとも歯根端切除術は可能で成功の可能性は高い。サイドメニュー大きい根尖病巣の手術症例の経過がそれを示している。大きい根尖病巣でも摘出してしまえばそこには感染源はない。再発に関係するのは歯根のどこかに感染源が残った場合で、大きさに関係はない。根管治療を行う上では、大きい歯根嚢胞であれば難治性であったり治療不可能ということはあるが、歯根端切除術と一緒にしてはいけない。根尖部の影ならどんなに大きい病変でも歯根端切除術は可能で成功するチャンスは大いにある。2017.5.11


71 私からのメッセージ:    2017.3.5
 インプラントの発展とともに、残念なことだが歯を残すことのあきらめが早くなっている。症例発表された抜歯インプラント前のレントゲンを見て、「もったいないな~歯が簡単に抜かれて可哀そう。まだ歯根端切除術で残せるのにな~」と思うことが多い。「根管治療で治らないから、膿の袋が大きいから、抜歯してインプラントにするしかない」と言われた歯のほとんどが、歯根の先の病変であれば歯根端切除術で残っている。また手術を受けたが再発したため来院し再歯根端切除術を行った場合でも成功率90%以上です。高い成功率に対して疑いを持つDrもいますが、レントゲン写真は嘘をつかないので、サイドメニューで筆者の再発治療症例を見て下さい。歯根端切除術も発展しているので、歯を残せる限界が拡がっていることを知って欲しいのです。患者さんと担当歯科医に言いたいのは
「抜歯してインプラントですか?  あきらめないで歯を残す歯根端切除術があります」。詳しく言えば「あきらめないで歯を残す成功率の高い歯根端切除術があります」ということです。
 マイクロ・MTA充填セメントで成功しない症例でも、SB接着セメントを応用すれば適応範囲が広く成功率は高いです。あきらめない患者さんがいれば、私もあきらめないでそれに応える診断力と技術で歯を残してあげたいと思っています。そして喜んでもらえることが私の喜びです。初診で「手術はできますよ」と言っただけで涙ぐむ患者さん、1年後の定期検査で「レントゲンで病気の影が消え治りました。抜歯しなくて良かったですね」と言っただけで涙ぐむ患者さんを大勢見てきた。どうしたのですかと問えば、「何件もの開業歯科や歯科大学病院で抜歯するしかないと言われたので、その時の悩み苦しんだ想いが湧き上がり嬉しさで感情的になってしまった」とのこと。この患者さんの想いが心の底にあるので私も何とかしようと使命感を持って頑張り、その期待に応えられた時は本当に嬉しい限りです。ここで言うのも変ですが現在、立川病院では無給で勤務し手術をしています。しかしそれ以上に定期検査で来院する患者さんの喜びの笑顔が見れるだけで十分満足です。
 全国から多数のメール相談が来ますが歯根端切除術の失敗の多さに驚いている。来院患者さんの情報から、その原因として病院歯科や歯科大学・医科大学の口腔外科の多くで、逆根管充填がほとんどされてないことに由来するのが判った。どうしてしないの? 術後に再発し抜歯するしかないと言われた1本の歯を、私の歯根端切除術で何とか助けてあげたい。私の理想の仕事は、患者さんに感動してもらえるような成功する歯根端切除術を提供することです。インプラントが発展したことで逆に抜歯のハードルが低くなり、安易に抜歯が勧められている可能性があり、そのため患者さんは
「歯が残る治療の有難み」に喜び感動していると思われる。若い時は医療に感動はいらないと思っていたが、1年後のレントゲンで完治を確認した時には、良かったね良かったねと患者さんと一緒に感動して喜んでいる今の自分がいる。この手術は病院経営にはメリットが少ないかもしれないが、困っている患者さんの満足度は高く病院評判は非常に良くなった。私は術式を磨くことだけを長年コツコツとやってきたが、医療は医術だけではないことを改めて患者さんから教わっている。
 遠地の方はスマホでレントゲンを撮影し写メールご相談下さい。歯根端切除術ができて歯が残せるかどうかお返事します。2017年3月現在、笠崎は歯根端切除術のみを専門的に行っています。
 

72 マイクロを使えば成功率が高くなるのか?マイクロで何が見えるか?

本当にマイクロを使えば歯根端切除術の成功率が高くなるのか?マイクロは物を強拡大で見るためのもの。マイクロを使って歯根端切除術をしているDrは、具体的に何を見ているのか?拡大鏡では見えなくてもマイクロを使えば見えて成功率に影響するものが見えるのか?でもマイクロを使っているDrは、文献ではマイクロを使えば、使わないよりもここが見えて成功率に影響があるとは誰も言ってないのは不思議だ。
​歯根端切除術の成功・失敗を左右するのは、根尖切除した後の切断面である。マイクロミラーを使って切断面をみると、根管と象牙質とセメント質が見え、さらにフィン、イスムス、亀裂をチェックする。ライト付き拡大鏡で良く見える。逆根管充填をマイクロを使って行えばひどく汚い不正確な術式となる。
​マイクロを使用すれば成功率が高まると単純に思っていると再発するだろう。再発しないためには、マイクロで何を見つけるか目的を持って見なければ意味がない。たとえマイクロでも、
見えていても知らないと見えない物がある。それは感染セメント質と感染象牙質。

73 歯科大学口腔外科における歯根端切除術の説明
 2017.3.16.今日、20歳代女性の左上2番の歯根端切除術をした。開業歯科で根管治療をしたが経過が悪く抜歯を薦められた。歯を残す歯根端切除術があると聞き東京の某歯科大学口腔外科を受診。
「歯根端切除術はできる、逆根管充填はしない、成功率は約50%、積極的には勧めないが患者さん自身で手術を受けるかどうか決めて下さい」と説明された。歯科大学や病院歯科の口腔外科では、このような説明がされると患者さんから聞いている。成功率50%と言うのは正直で良いが、担当医は自分で自分の術式を信じてなく、紹介を受けたのでしかたないができればしたくないのが本音だろう。それで上記の説明となるのだろう。結局、成功率50%が不安となり私の勤務する国立駅前歯科を受診し成功率90%以上と説明され、本日 接着セメントを逆根管充填する「予後の良い歯根端切除術」を行った。→1か月後、症状は消え良好。1年経過へ。
 2017.3.18.今日は神奈川県、南林間ひまわり歯科で診療し新患者さんが来院。約1年前に横浜某総合病院歯科口腔外科で左上1.2番の歯根端切除術を受けたが、2か月前から歯茎の腫れがあり再発した。根尖切除のみで逆根管充填はなし、創面は縫合しない開窓術、術後に再発するかもしれないと説明を受ける、経過は術後2か月間で終了、とのこと。レントゲンで逆根管充填はしてないのが分かった。再発する最も多いパターンがこれで、その総合病院では逆根管充填しない術式を今も毎日続けていると思うと悲しくなる。神奈川県下には歯根端切除術を受けて再発した患者さんが本当に多い。次回手術へ。→術後経過良好、1年後のレントゲンが楽しみ。

開業歯科から歯根端切除術の紹介状をもらって歯科大学や病院の口腔外科を受診した場合、
患者さん側は手術を受ければ治ると信じて受診している。しかし依頼された逆根管充填しないDr側は、50%失敗すると分かっていて手術している。Drの本音は失敗する手術はしたくないのですが、依頼されるのでしかたなく受けていると思う。理由は成功失敗の有無の結果を確認しないことからも分かると思います。術者も経過を診て失敗している結果を確認するのは辛いのです。ですから初診時に成功率の説明はしないで、手術直後に「手術は成功しました。きれいに膿の袋や歯根先の悪い所は全部取り切りしました。でも再発することもあり、その際は紹介医で診てもらって抜歯してもらって下さい」と言われることが多いと聞きます。(多くの患者情報から)患者さんはこれでやっと治ると思っていたのに、手術直後に再発するかも分からないと言われショックを受けたと言っています。そして言われた通り50%は再発しあきらめて抜歯に至るか、あきらめきれずネット検索することになる。 


74 歯根端切除術の成功を左右する優先すべき要因とは
1.逆根管充填を行うこと。(行わなければ約50%は失敗する)
​2.根管を完全封鎖できる逆根管充填材を選択する。
​3.切断面において感染歯質の有無を診断できること。あれば適切な治療ができること。
​4.感染源がどの歯根のどの部位にあるか診断できること。
マイクロの使用が優先する要因ではない。


75 逆根管充填をしないDrにしてもらえるためには、逆根管充填は何が良いだろうか?
術者にとって、逆根管充填をしないと失敗しすれば成功する可能性が高いのは分かっていると思う。ではなぜしてくれないのだろう。しないDrに聞くと、充填材の操作性が悪かったり止血処置が面倒臭いとのこと。
①スーパーボンドは、粉と液が混和されてから硬化時間が約10~15分間、窩洞のエッチングや乾燥、窩洞内に空気を入れないようにする、に気を遣う。
②MTAは、粉と水との混合泥がボソボソで濡れがあまりなく、窩洞内に空気を入れないように詰めていくのは難しい。なお硬化時間が5~6時間かかるので、水分量が多いと表面はざらざらで辺縁漏洩が起きてしまう。
​ 歯根端切除術は歯を残すための頻度の高い重要な手術です。しかし患者さんにこの歯科医療を提供するうえで総論として成功率が低過ぎる。原因は多くの病院歯科や歯科大学の口腔外科で逆根管充填をしない術式がされているためだと思う。口腔外科医にとって逆根管充填は面倒な処置なんだろう。。病院歯科や歯科大学の口腔外科で、逆根管充填をしてもらえるにはどうしたらよいのか?それは上記よりも操作性の良い逆根管充填材の選択だと思う。面倒臭くない逆根管充填はないか。そこで​私が思うに、注入式の低粘性光重合レジンセメント、窩洞が深い場合はデュアルキュア型レジンセメントが良いのではと思っている。すでにこれを使っている病院はあるが歯科学会としては推奨してない。逆根管充填に特化して光重合レジンセメントの研究をして欲しい。2017.6.2.


76 マイクロを使わない成功率の高い(90%以上)歯根端切除術とは
敢えてこの題名にしました。90%以上の成功率を出すのは、マイクロ使用によって成されるのではなく他の要因(逆根管充填材と感染原因の診断)であることを言いたいためです。マイクロは有効でないと言っているのではないです。当科での歯根端切除術のほとんどはマイクロでなくライト付き拡大鏡を使って精度の高い手術を行い、90%以上の成功率を出している。では何が高い成功率を維持させるのか?そのポイントは①逆根管充填材として接着性セメントを使用し根管の完全封鎖ができること、②切断面の感染歯質や小亀裂をチェックしあれば対処できること、である。
​マイクロを使わないと成功率は低くなるというのは間違いです。マイクロを使って再発した症例を、マイクロでなくライト付き拡大鏡を使って治癒させている。「拡大鏡を使用した
成功率の高い(90%以上)歯根端切除術」
 マイクロを使用しているDrはほぼMTA逆根管充填をしていると思います。成功率に影響しているのはマイクロではなくて、MTAです。「MTA使用は前提として成功率に影響を与えるのはマイクロ使用であった」というのが正しいデータの読み方であろう。つまり成功・失敗を左右するのは逆根管の完全封鎖がされたかどうかが優先されるべきなのに、無理やりマイクロにもっていくのは駄目でしょう。
​再発例をMTA逆根管充填して治した症例というのはあるのだろうか?


77 レントゲンで歯槽硬線と硬化性骨炎を読影し、完治を知る。
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硬化性骨炎​とは、
骨内に慢性的な炎症性病変が生じていると、その病変を取り囲むように緻密骨が増加して広い範囲でレントゲン硬化像を呈する。顎骨においては歯牙疾患による慢性の根尖病変(炎症)の周囲骨に認めることがあり、根管治療や抜歯によって炎症が消失すれば、徐々に緻密骨成分は正常骨状態へもどる。そのためレントゲン画像を比較することで、炎症が消失し病変が完治したことを示すため重要です。
img_20140722-191621.jpgimg_20140722-191640.jpgimg_20140722-191657.jpg
術前  6番歯根周囲に約15x15mm      歯根端切除術 直後   4年10か月後
​     びまん的にレントゲン不透過として             治療によって根尖病変・炎症が消失.
       硬化性骨炎像を認める                                                        硬化性骨炎は消失し完治を示している


78 こんな歯根端切除術は受けてはいけない. 2017.6.26
1.歯根先を切るだけで逆根管充填をしない。(切断面の根管に感染源が残っているから再発する)
2.成功率を質問して約50%と言われた。(担当医は成功を目指していない)
​3.手術の経過を3か月以上診ない。そして1年後の定期検査で成功を確認しない(経過を診ないDrは成功を目指してない。経過を診るDrは成功を目指している)
4.自費高額のマイクロやMTAを使用しても成功すれば良いが、失敗した場合の返金はどうするのか。
5.再発例に対してMTA使用では成功率は高くない。だからマイクロ・MTA使用Drは再手術はしないことが多い。
6.人工骨を入れる。切開部を縫合しないで開窓術にする。これをするDrは逆根管充填をしないことが多い。逆根管充填をすればこれをしないで済むのに勘違いしている。


79 「マイクロスコープを使えば成功率が高くなり使わないと低くなる」という、データ論文の信用性? ウソホント
「マイクロスコープを使用した歯根端切除術は成功率が高いという報告があります」と、マイクロを使用して歯根端切除術をするDrの根拠とされるのが下記論文で、信用性があるのか調べてみた。この論文はメタ分析で、発表者本人が手術した症例の検討ではなく、他人の21研究論文(マイクロを使わなかった12論文と使った9論文。1966~2009の古い論文)を文献上で集め、成功率を比較統計処理したものであった。
1. Setzer FCの論文(J Endod 2010年)「マイクロスコープを使った場合と肉眼での歯根端切除術の成功率の違い」https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20951283 
①マイクロスコープを使用しない歯根端切除術(12論文)の成功率59%(1966~)
②マイクロスコープを使用した歯根端切除術(9論文)の成功率94%(2009)
とマイクロスコープを使った場合には成功率が高くなると結論づけている。

 しかし詳しく読んでみるとデータ処理で大きな間違いを起こしていた。それは①と②の逆根管充填材が違っており、①は全てアマルガム充填データで②は
EBA・IRM・MTAだった。アマルガム逆根管充填の症例は成功率が低いというのは知られており、そのデータと比較するのは意味がない。成功率を大きく左右する最優先要因は逆根管充填材であり、同じ充填症例でなければこの比較は無意味で、切り口をマイクロスコープにもっていってデータ処理するのは誤りである。例えば新薬の効果を検証する場合には、二重盲検法という方法で条件を同じにして比較検証・データ処理をして客観的に効果率を出す。成功率が低いと分かっているアマルガム充填症例をマイクロの切り口で比較したのは、意図的と言わざるを得ない。どうしてこの結論になったのか疑問である。統計解析の専門家であればこの結論は科学的根拠のないものと言うだろう。

 この論文の題名は「アマルガム逆根管充填の症例群とマイクロ下でのEBA・IRM・MTA逆根管充填の症例群との成功率を比較した研究」と変えるべきで、マイクロスコープ比較研究ではないです。マイクロ使わない59%、使う94%の違いは、マイクロでなく充填材の違いで高くなったと思う。このデータがマイクロの優越性を言うのに良く使われるが、信頼に値しないと筆者は判断した。興味がある方は調べて見て下さい。他人論文を引用する場合は誤解釈に注意する必要である。

2. 吉岡隆知の論文、2010年(日歯保誌55.2010)東京医科歯科大学では、
マイクロを使わないと成功率54.2%、
CT・マイクロ・MTA併用で成功率92.1%
とデータ報告しています。
マイクロの優越性を成功率にぶつけてマイクロを使用しないと成功率が低くなると言うDrがいます。ましてや術後6か月の比較です。


筆者の感想「マイクロを使用すれが成功率が高くなり、使わないと低くなるというデータがあります」とマイクロの有効性を言うDrの根拠となっているのがこれらの1.2.論文である。本当にこのデータから言えるでしょうか?エビデンスあるの?成功率はマイクロ要因で左右されるほど簡単ではなく他要因の方がはるかに影響は大きいので、怪しいと言わざるを得ない。
 また適応症の異なる症例の手術結果を比較するのは意味がない。マイクロスコープを歯根端切除術に使用するのは有効なのは言うまでもないが、成功率に結び付け上位の優先要因だとするのは間違いだと筆者は言っている。


 その後のマイクロスコープ最新論文2017年では、マイクロスコープ・MTAセメントを使用した歯根端切除術の成功率74.3 %(17.2か月)98歯 (Wang. J.Endod 43(5):694~698.)の論文報告があり成功率は下がってしまった。

<論文について>
歯内療法専門医の一部で、「マイクロを使えば歯根端切除術の成功率が高くなり使わないと低いというデータがある」と言うDrがいるが、その基となるSetzer FC論文  J Endod 2010,Nov;36(11) を調べてみた。https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/ メタ分析であり、発表者は他人の21論文を集計し数字だけで比較統計処理したもので、術者、術式、逆根管充填材、適応症は異なっていた。このデータからどうしてマイクロ使用が成功率が高くなると言えるのか分からない。
 ①裸眼アマルガム逆根管充填の症例(12論文)と②マイクロ使用のEBA・IRM・MTA逆根管充填の症例(9論文)を比較したところ、成功率は①59%②94%と後者の方が高く、マイクロ使用が原因と結論づけている。しかし逆根管充填材が全く違うので比較するのは無理があり、エビデンスなく誤解釈したものと判断せざるを得ない。逆根管充填の材質によって成功率は大きく異なり、成功率で大きく劣るアマルガム症例を比較対象にして、マイクロを使えば成功率が高くなると言うのは間違っている。何か(マイクロ)に頼って差別化したい気持ちや、自費で丁寧な治療をしていることは理解している。
80 歯根端切除術に関係する学会の術式ガイドラインはどうなっているか調べてみた.

<日本口腔外科学会の術式ガイドライン>コピー
歯根端切除術とは歯根の先に歯根嚢胞(しこんのうほう)や歯根肉芽腫(しこんにくげしゅ)などの根尖病巣があり、根管(こんかん:歯根の部分で神経や血管が存在する部)の処置だけでは治癒が期待できない場合や、すでに支台や支柱が根の中に入っていて再度の根管治療が困難な場合に、外科的に根尖病巣の除去と同時に歯根の尖端の切除
を行う方法で、歯としての機能を残すことができます。
術後は抜歯後と同様の注意をし、予防的に抗菌薬、消炎鎮痛薬、うがい薬を投与します。なお、根尖病変が治癒するまでは約3か月ごとに診査を行います。通常、骨は約6~9か月で修復されます。

https://www.jsoms.or.jp/public/disease/setumei_syujyutu/#c02 

<日本歯内療法学会の術式ガイドライン>コピー
根尖切除術: 粘膜骨膜弁を外科的に剥離し、必要ならば直視し病変部に到達できるように骨を除去する。感染した根尖部や目的となる組織あるいは異物を全て除去する。逆根管充填用窩洞を形成し、生体親和性の修復材料を充填する。手術部位の一次治癒による閉鎖が望まれる。 1)逆根管充填は根尖切除に続いて行われる処置である。生体親和性の修復材料を逆根管充填用窩洞に充填する。 2)外科的歯根修復は生体親和性の充填材料で歯根表面を修復する処置であり、根管系を含むこともあれば、含まないこともある。
http://www.jea.gr.jp/guide/image/guideline.pdf

筆者口腔外科には逆根管充填が載ってないが、これで本当に良いのかな~。「外科的に根尖病巣の除去と同時に歯根の尖端の切除および逆根管充填を行う方法で」とここに逆根管充填を記載すべきだと思う。ガイドラインに書いてないから逆根管充填をしなくても良い、しなくても治ると若い口腔外科医は勘違いしてしまう。歯科大学病院や病院の口腔外科で逆根管充填をほとんど行わない理由がここにあったとは驚きだ。「逆根管充填をしなくて良い」とお墨付けを与えてしまっているのではないだろうか?
 このガイドラインを基に口腔外科医のあいだで逆根管充填をしない術式が広まった可能性がある。このガイドライン作成に関係した教授はこの影響を理解しているだろうか?
歯根端切除術において逆根管充填をしない、つまり成功を目指さないとあきらめてしまったのだろうか?あるいは逆根管充填をしなくても問題なく、成功率は低くならないと思っている教授がいたのだろうか?いつから歯科大学口腔外科で逆根管充填をしない歯根端切除術が行われるようになったのだろうか?何がきっかけなのか?どこの歯科大学から?と疑問がでてくる。
 他病院で歯根端切除術をして再発した患者さんの再手術をして、原因が逆根管充填してないと分かった時は気分が暗くなる。再発して当院を受診した患者さんで、再発原因の90%以上が逆根管充填をしてないことによる。逆根管充填をしなければ成功率50%、医者が患者に成功率50%の手術を勧めることはできない。50%成功のガイドラインに満足するのではなく、50%も失敗する術式を小さくするガイドラインが至急に欲しい。それは簡単で「
および逆根管充填」この8文字を入れれば、日本の歯根端切除術の失敗は急激に減少する。

81 マイクロ・MTAを使用した歯根端切除術の成功率は本当に90%以上なの?ウソホント
​ウソとは言わないがホントではない。この論文を調べてみると、一般的な歯根端切除術の適応症に対する成功率と違い、適応症を絞った、MTAセメントでは成功がおぼつかない症例は適応症に入れず成功率が低くならないように統計処理されていた。言うなればリスクを除外した条件下での成功率で、MTAに適応させた成功率と言える。(手術適応症にMTAを使っての成功率ではなくて、MTAに適応した成功するであろう症例を選んだうえでの成功率)もし一般的な適応症に対しMTAを使用して分母に入れると成功率はかなり下がってしまう。MTAありきのMTAのための手術成功率ではなくて、根尖病変に対する成功率の高い逆根管充填材を選択しなければならないと思っている。再発例を治せないMTAが成功率が高く良好と言えるだろうか?疑問だ?
MTA逆根管充填が適応されない省いた症例とは、
①再発症例 (根管の完全封鎖が困難であったり、原因が感染歯質であったりするからだと思う)
②歯根1/3以上の大きい嚢胞がある場合(なぜ非適応にするのか筆者には分からない。MTAでは治癒しないという経験値からだろうか)
③逆根管が深く(3mm以上と書いている)形成できない場合(脱離するから)
④切断面に金属コアが露出するなど充填が浅くなる場合(脱離するから) 
⑤歯根が短いため3mm根尖切除できない場合(3mm切断しなければ良いと思うが、ルールで決まっているらしい)
⑥充填面積が広くなる場合(炎症性吸収や感染歯質がある場合。辺縁が長くなると漏洩リスクが高くなる) 
これらの症例にMTA逆根管充填すれは脱離したり辺縁漏洩が生じて再感染する可能性があるため、基本的に適応外とされ手術されないだろう。すれば成功率は下がる。しかしMTA非適応でもSBは歯質への接着性があるためいずれも適応である。言い方を変えると、MTAは逆根管を治す詰め物で、感染歯質が原因の場合は治せないので、それは適応例に入れず成功率の分母に入らないことになる。MTAが適応される症例を選んだうえでの成功率90%以上ということである。
統計処理マジック

成功率90%の壁 2017.717.
「壁は人の心を跳ね返すためにある。壁は強い想いを持ち続ければ壊れるためにある。人に助けてもらう為には、自分も人を助ける、誠実でいる、真面目に生きる、失敗したら謝る、人の気持ちを一番に考える」ランディ・パウシュ。最後の講義より。感銘を受けたテレビ番組でした。2017.7.15
歯根端切除術で90%の壁を超えるには本当に長年かかり苦労した。強い想いを持ち続けたのと、多くの患者さんが長期に経過観察で来てくれたことで、壁は突破できたと思っている。
 書きたくはないのだが、マイクロMTA法で本当に成功率90%以上なのかな~。論文をみると手術の適応をかなり絞った症例を対象にしており、成功率を意図的に高くしているエビデンスに乏しいデータである。来院患者さんの再発症例を開けて見るとMTAはボソボソで充填材と歯質の境目は段差があり今後が心配だ。MTAをSBに取り替えるだけで成功することも多い。
マイクロMTA​を使って再発したら次は抜歯と言われ、再手術をしないと思います。それは根管だけがターゲットだと思ったり、MTAでは逆根管や切断面歯質を完全封鎖ができないからで、成功率が高くないからです。辺縁漏洩試験データが示しています。特に再発例にはこだわりと有効な武器を持って戦いを挑まないと勝てない。再発例の治療にMTAは適応されないが、完全封鎖できるSB接着セメントだと成功の可能性は高い。マイクロ・MTAを使って再発した場合でも治せる可能性は高いので相談下さい。歯根端切除術のサイトは多くありますが、「再発した場合の治療」を記載したサイトはこのHPだけだと思います。
「再発した場合の原因と治療法」で症例を見て下さい。

82 患者さんへのリスク説明と再発した場合の説明。私の反省
今日は反省している。2か月前に左上1番の歯根端切除術を行った。ただしこの症例は、根尖病変と歯根遠心部で大きく穿孔した難症例であった。術前の説明で、「根尖病変は通常の歯根端切除術で治るが、穿孔部は穴が大きいためリスクあり成功の可能性は少ない」と説明はしたうえで歯根端切除術、SBで逆根管充填と穿孔部閉鎖を行った。穿孔穴は1.5mmと大きくさらに穴周囲にう蝕もあるが削るとさらに穴が大きく開くことになり閉鎖が困難であった。
 2か月後やはりフィステルが出現し再発。今日は患者さんに現状を説明し残念ながら抜歯するしかないことを説明したが、「手術は失敗なのですね」と言われてしまった。術前にリスク説明を十分にしたのだが理解されず非難の口調であった。私もその口調に合わせてしまい「失敗ではなく再発です。穴が開いているという大きなリスクで仕方ない」と言ってしまい、患者さんはじゃーいいですと次の予約なく帰って行った。夜になって冷静に考えたのだが、再発した場合にもう少し違う言い方があったのではないかと反省している。「そうですね。成功するように手は尽くしたが穴が大きいためリスクが高く、残念ながら成功には至りませんでした」と言えば良かった。
 リスク説明に対する患者さんの理解には幅があり、成功した場合は感謝されるが再発した場合には苦情やクレームや恨まれることがあるため、手術しないという選択や術後の説明の仕方に注意が必要であると思った。難しい。2017.10.24
<手術リスクとは>
手術が100%成功するならリスクはないと言えるがそんな手術はない。成功を妨げるリスクには3種類あり、1つは直接的な手術法に関する成功の可能性のリスク。2つ目は
著しい術後症状や術後後遺症が出る可能性のリスク。3つ目は患者さんの全身疾患に関するものである。
 患者さんは成功すると信じて手術を受けるし、術者も100%成功させたいと手術する。成功すれば何も問題ないがリスクがあるがために再発や失敗した場合に、どう納得できどう説明しどう対処できるかである。患者さんは術前にリスクは了解しましたと言うが、再発した場合には患者さんによって了解してなく術者へのクレームを訴えることも稀にある。リスクが高い場合に手術に踏み切るかは難しい問題だ。2018.4.2


83 上顎側切歯の根管治療が著しく困難である理由。
「上顎側切歯の根管治療は非常に困難、難治性である」歯根の遠心湾曲があるものの根管は1根管でそんなに困難とは思えないが、なぜ根管治療が成功しづらいのか考えてみたい。レントゲンで適切な根管充填がされているにも拘わらず、根尖病変や症状は消失しない。この理由は何だろう?当院での歯根端切除術の頻度は中切歯と共に1.2位を占めている。歯根端切除術を行い根尖を観察してみるとその原因は明確であった。
1.根尖が口蓋弯曲がしていた。
根管治療の難治の主原因はこれである。レントゲンで歯根は真っすぐあるいは軽度遠心湾曲に見えていても、実際は根尖が口蓋に曲がっている場合が多く難治性である。治療器具ファイルは15号 や20号はスムーズに根尖孔まで入るが25号以上で根管拡大をすれば穿孔やステップなどが生じてエラーを起こす可能性がある。開けて見て多いのは、口蓋弯曲のため根尖1.0mmの唇側で穿孔していた。根尖孔は唇舌的に大きく拡大され楕円形に開いていた。根尖を少しずつ切断したところ弯曲している根尖2mm内の根管に根管充填材は入ってなかった。
2.根管は扁平根管で緊密な根管充填は困難。
3.根尖3mm内で根管側枝や根尖分岐が多い


84 歯根端切除術は再根管治療をしてから行わないと、補綴物マイクロリーケージが原因で再発する。根管充填が良好でも補綴物マイクロリーケージが原因で根尖病変が生じる。ウソホント、ウソ。
「歯根端切除術は、根管充填が良好でも必ず再根管治療をしてから行わなければいけない。理由として
補綴物の辺縁漏洩からマイクロリーケージが起きて細菌が侵入し、コアや根管充填材の隙間を通って、さらに逆根管充填材を通って根尖外に達し、感染して再発する可能性があるから」という意見が歯内療法専門医の中で多くを占めていると聞く。そのため他院でされた良好な根管充填でも信用せず、冠とコアを除去し再根管治療を行ったうえで歯根端切除術をするとのこと。この話を聞いて根管充填が不良であれば再根管治療の必要性は分かるが、限りなく0に近い再発確率の奇想天外な発想に驚いてしまった。数十年前ならまだしも、現在は接着性レジンセメントで補綴物合着や根管充填、逆根管充填などが行われており、補綴物マイクロリーケージを歯根端切除術再発や根管治療不良の原因にするのは、論理的に苦しく無理があると思う。ウソホント?ウソ。
​ レントゲンで根管充填が良好であれば、再根管治療しなくても適応症であれば歯根端切除術は成功する。マイクロリーケージが原因ので歯根端切除術が再発したという症例を私は経験していないが、あれば症例発表を見てみたいので誰か教えて下さい。根管至上主義に陥っていると根尖病変の原因と治療法が見えなくなってしまうので気を付けなければならない。2018.5.4.
1.根管充填が良好なのに根尖病変が治らないのはマイクロリーケージのせい?
2.歯根端切除術をしたが再発するのはマイクロリーケージのせい?
これは無理がある。ウソ。
​必要十分条件の検証。根管充填が良好な症例を再根管治療をしないで歯根端切除術をした場合、成功率が劣るかというと全く関係性はないと断言できる。再発原因が良く分からないからと、根管マイクロリーケージにするのは苦しい言い訳と思うのだが。科学的検証はできているのかな~。

以下文献を抜粋しましたが、
コロナルリーケージとは根管充填後に歯冠側から根管内へ入った微小漏洩感染とのことだが、私の見解は:根管治療時に象牙質感染が残ったまま根管充填がされたもので、不良根管充填と思っています。ですからマイクロリーケージ、コロナルリーケージとは言わない。歯根端切除術の再発が歯冠側からの感染であるマイクロリーケージにあることは現在ではあり得ない。よほどひどい低レベルの根管治療が行われたのなら当てはまるが。

 

【英語】:coronal leakage 

【書籍】: QDT2008年4月号 クイントデンタルゲイト

「歯冠側の漏洩」であり、歯内療法が終了した歯の歯冠側から何らかの原因で口腔内細菌やその産生物が根管内を再汚染することをさす。漏洩が起こる原因としては、(1)歯内療法期間中の不確実な仮封、(2)根管封鎖の不備、(3)支台築造・補綴・修復における境界面の不適合や結合の緩みなどが挙げられる。コロナルリーケージを防止するためには、歯内療法を始める前にう蝕部分は完全に除去し、歯内療法中においては根管内を十分に清掃し、仮封材は適切な厚みとし安定した位置に設置する、また、歯内療法終了後は速やかに支台築造を行い、速やかに歯冠修復を行う、支台築造体や補綴物は適合の高いものとする、といった点に留意すべきである。


85 歯根端切除術が失敗した場合のいろいろな理由。どれがウソホント?
歯内療法医:「失敗したのは、術前に根管治療をしなかったので感染源が根管に残っていて、それが感染源となって再発したと思う。だから成功するためには、レントゲンで根管充填がきれいに見えても必ず術前に再根管治療をしておかねばならない。補綴物の辺縁漏洩からの感染が根尖孔までつながっている場合も考えられるので」「MTAで再発した原因は分からない」
口腔外科医:「根管充填が不良でなければ再根管治療は必要ない。また根尖根管の約5mm以内の不良は根尖切除や逆根管形成を行うことで治療可能である。現在は接着性レジンセメントを合着に使っているので、補綴物からの辺縁漏洩が根尖孔までつながり根尖病変が感染・再発したという考えはない」。
筆者:「逆根管充填材が良好でないため根管の完全封鎖がされてないためと、感染歯質が残っていたために再発したと言っています」
​どちらが正しいかは歯根端切除術の長期経過の成功・失敗のレントゲン写真が証明してくれるだろう。2017.11.23.



86 歯根端切除術におけるMTAとSBの成功率の考え方の違いについて
成功率を考える上で何を優先するかである。歯根端切除術の目的は根尖病変を治療すること。MTAのための根尖病変を選択するのは変だ。
​ MTA逆根管充填の症例の成功率を検証してみるに、何か変だ。根尖病変をMTA法で治すという目的になってなく、MTAで治せる根尖病変の症例はこれですという紹介でしかないように感じる。適応症において再発症例には使わない、歯根1/3以上の大きな根尖病変があれば使わない、逆根管形成の深さは3mmないと脱離しやすいので使えない、逆根管にのみ使い根管切断面は広くは被えない。適応症を絞って症例を選んで歯根端切除術の成功率を出している。MTAのために適応された歯根端切除術を行い、高い成功率になるようにしている。適応とされない症例が多過ぎる。他の逆根管充填材の適応範囲は普通に広い。
​ 難治性根尖病変を治すためにを歯根端切除術が必要であり、歯根端切除術の成功率を高めるために〇〇の逆根管充填材が優れているという見方が重要と私は考える。
​歯根端切除術は成功を目指して目的を持って手術しなければならない。失敗例を分析し成功率を高めるために何が必要なのか、パワーアップしなければならない。逆根管充填をしなくて良いとする考えはどこから出てくるのだろうか。接着性なく逆根管完全封鎖できないMTAセメントが、将来本当に逆根管充填材として残っていけるだろうか?マイクロを歯内療法に取り入れたDr.Kimは、EBAセメントで成功率95%と推奨していたが今は消えてしまった。2017.11.23.
​倉島歯科から

KAKEN — 研究課題をさがす | 接着性レジンの逆根管充填への応用 ...

https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-13470401/

その結果、アマルガムによる逆根管充填では根尖歯周組織に骨吸収が認められ、強化型ユージノールによる逆根管充填や4-META/MMA-TBBレジンによるroot-end sealingでは骨の再生が認められ、とくに術後4週では4-META/MMA-TBBレジンの方が骨再生量が多く治癒が早いと考えられた。また、さらにニホンザルに同様に根尖性歯周炎を惹起し、歯根端切除術で4-META/MMA-TBBレジンによるroot-end sealingを行った結果、骨が再生してほぼ正常な歯根膜幅に回復した。以上の結果から、4-META/MMA-TBB ...

87 これから歯根端切除術はどこへ向かって行くだろうか?
成功率が50%のため行う意味がなく見放され消えていくか、成功率の高い特定の病院歯科や歯科医院に患者さんが押し寄せるかだろう。それにはネット情報の病院選択の影響が大きいだろう。残念ながら現在のところ歯根端切除術に関しては患者自身で情報収集しないと自分の歯が守れない。患者さんが歯を残すことを強く望むならば、正しい選択をするのに当HPが役立てば嬉しい限りです。
 私の今の仕事は、抜歯・インプラントと言われた歯を、予後の良いSB歯根端切除術で助けて歯を残してあげることです。インプラントが発展したことで、逆に抜歯のハードルが低くなり簡単に抜歯と宣告されているようだ。しかし患者さんは抜歯を望んでなく、「何とか歯を残すための治療法はないか」と必死でネット検索したり何件もの歯科医院を回っている。患者さんの歯を残したいという想いは非常に強く、それに応えられる成功率の高い歯根端切除術がガイドラインとして完成されてないと感じている。あふれ出る症例に私一人ではとても追いつかないが、幸い私の周りには同じ考え同じ術式を引き継ぐDrが息子を含めて沢山育ってくれたので後を任せられると安心している。しかし気になるのは歯根端切除術を抜歯前のセレモニーと考えているDrがまだいるのも事実である。嘆。2017.7.18

どうしてこんなに歯根端切除術の失敗が多いのだろうか?30年前自分の周りに失敗した患者さんはあまりいないから不思議に思っていた。ネットを見ると失敗で苦しんでいる方の多さに驚愕した。そこで「歯根端切除術の相談コーナー」を立ち上げたところ沢山の再発した患者さんが成功を求めて来院された。再歯根端切除術をしたら失敗した理由が判明した。何とほとんどが逆根管充填をしてなかった。それも歯科大学や医学部大学病院、総合病院の口腔外科での手術はその多くで逆根管充填がされてなかった。
 5年前には「病院口腔外科へは逆根管充填をしないと約50%は失敗するので是非にやって下さい」というお願いの文章をブログに書いた。しかし患者さんからの情報として分かった事は、2019.3.現在も術者は逆根管充填をしないで、成功率は50%ですと説明して歯根端切除術を行っているのが分かった・・・・・・。2019.3.9

 

88 逆根管充填におけるMTAとSBの違いと再発との関係
歯根端切除術の再発原因は当HPのQ11に書いた通り大きく4つに分類できて、逆根管が感染源の主である。もし感染源が逆根管だけとするならば、どの逆根管充填材が最も成功率が高いのか?再発原因は症例ごとにさまざまあるので逆根管だげが感染源と決めつけるのは難しいが、敢えて仮定する。
​ 私はSBセメントと回答する。2000例以上のSB逆根管充填を行い長期経過を診てきた経験から、逆根管だけが感染源ならばSB接着セメントで根管は完全封鎖され100%成功すると言い切れる。もちろん今まで私の失敗例は数多くあり再手術で開けて確認したところ、SB逆根管充填に問題はなく完璧で、再発原因は感染歯質や亀裂にあった。
​ MTAはどうだろう。MTAの弱点は歯質と接着しないことで、そのため辺縁漏洩や脱離が起きてしまう。だから逆根管の完全封鎖は無理で、材料メーカーの基礎実験データからも明らかです。私はMTA充填の経験はないが、今更患者さんにSBより劣ると思っている材料を試しに使う訳にもいかないので、他院でのMTA再発症例から検証している。私のスタンスはより成功率の高い逆根管充填材を探し求めることで、SBよりMTAが成功率が高いなら乗り換えるつもりでいる。しかし残念ながら最近ではマイクロMTAを使ったが再発し当科受診、MTAを除去しSBに替えることで成功する例を多く経験するようになり、MTAへの期待は消えてしまった。2017.7.18
成功する側からだけで物事を見れば成功しない。その失敗例を検証し成功へ導くものが成功率を高める。  

<マイクロスコープを使わない成功率90%以上の歯根端切除術>
<MTAでは成功率が低い非適応症例に対して、SBを使用して成功した歯根端切除術>
MTAとSBの成功率の違い。MTAとSBの適応症の違い。インプラントが歯を残す歯科治療の発展をダメにする。


89 誤診しないで適確な治療を行うためには
診断とは疑うこと。ありとあらゆることを疑う。疑う推測範囲が狭いと犯人は。引っかからない
初診時に症状が明らかで診断が容易な場合と、症状が不確実で診断が容易に付けられない場合がある。後者は考えられる確率の高い推定する診断を、初診時に臨床診断として3つ書くことが大事。後で確定した診断はこの3つの中に入ってなければならない。入ってなければそのDrは診断力が乏しいと言える。初診時に予測診断が外れていることはあってはならない。初診時に確定診断が付けられない場合には、鑑別診断をしなければいけない。ありとあらゆる疑うべき疾患を想定し森から木、木から枝へと、大から小へ目を向けて犯人を逃さないようする。荒い目の網では犯人は逃げ出してしまう。誤診しないで正しい診断が付けられてはじめて適確な治療が進められる。
​ 必要条件と十分条件を満たすものが真実である。たとえば、マイクロを使えば歯根端切除術の成功率が高くなる、使わないと低くなると言うDrがいる。これは正しいか?十分条件から見れば、ではマイクロを使わない手術は、使う手術より成功率は低いと言えるのか?実際は成功率を左右する条件は多く成功条件としてマイクロの有無は小さい。2017.7/24.


90 MTAを使っているDrにも成功して欲しいのでアドバイスです。
MTAはアメリカで開発された歯科セメントで穿孔部の閉鎖として認可を受けた材料です。これを歯根端切除術の逆根管充填材や根管充填材として使っている。成分はケイ酸でポートランドセメント、つまり建築で使う普通の水硬性のコンクリートセメントと全く同じものです。アルカリ性で骨の誘導能があり、発売当時は歯科界における万能のセメントと言われもてはやされました。しかし非常に高価な材料で保険適応外、硬化まで5~6時間かかったり、ボソボソして扱いづらい材料です。今だにアメリカ歯内療法学会ではMTAを逆根管充填材をしては認可していません。理由があるからだと思いますが多分辺縁漏洩の問題でしょう。
最近の歯根端切除術は、歯内療法専門医を中心に自費・マイクロ・MTA逆根管充填が日本で広がっています。しかし万能と言われたMTAにも欠点があり、当科に再発症例が舞い込むようになった。MTA使用には注意が必要で欠点を知り、適応を選んで成功率を高めて欲しいと思っています。
​1.MTAが逆根管から脱離していた。MTAは歯との接着性がないため浅い充填だと取れてしまう。成書では深さ3mm必要とのこと。接着性がなければ辺縁漏洩の可能性は残る。
2.逆根管充填直後に水に浸かれば表面は水で薄まってボソボソになっている。辺縁部が薄いと水に薄まって硬化後段差ができる。
3​.歯根嚢胞が大きく、根尖の根管が大きく開いている場合にMTAを根管充填するとのこと。浸出液があっても水硬性セメントで根尖を閉鎖させる目的だが、実際は根尖部のMTAは浸出液に薄まって硬化してなくドロドロです。実験で石膏泥を水貯まりに流した場合、水に接した面はボソボソです。2017.7.25


91 マイクロ・MTA歯根端切除術をしたが、再発した場合どうするどうなるの?
マイクロ・MTAを使って歯根端切除術をしたが再発した場合、どうなるのだろうか?MTA逆根管充填をするのは歯内療法専門医が多いが、その報告や患者さん情報からは、再発したら再手術はせず抜歯するとのこと。私が思うにその理由は、①再歯根端切除術をしてもまたMTAを使うしかないので治る当てがない。根管完全封鎖できなかったり、原因が逆根管になければ再手術しても治せないから。②再発した原因が良く分からないから手術しても治るかどうか不明。 
​ MTAを使って失敗した場合、次の治療はなく抜歯と言われてしまう。MTAを使うDrは次もMTAを使うしかないので再手術しても成功しないだろう。だからMTAを使うDrにとって歯根端切除術は最後の手段と言われる。ブログ84.を読んで下さい。
マイクロは有効なのに完全封鎖できないMTAを使ったのでは生かされていない。でもマイクロ使用で見えるものが根管と亀裂だけであってはもったいない。感染歯質(感染セメント質、感染象牙質)の有無をチェックして対応できなければもったいない。


92 歯を残してくれる歯科はどこに行けばいいの? インプラントに熱心な歯科は早くから抜歯を勧められることが多いので気をつけた方が良い。
I患者さんからの情報。
​かかりつけ歯科で根管治療をするも治らず抜歯と言われる。抜歯されるのが嫌で何とか歯を残してくれる歯科医院を探す。ネット検索でHPがきれいで上位にある医院を選び受診。上位にある医院はインプラントを盛んにしているHPが多い。Iさんはネットで探した5件の歯科医院を回ったが、どこでも歯は残せないと抜歯してインプラントを勧められた。Iさんは歯を残したい想いを訴えたが、抜歯するしかないと強く言われた。Iさん曰く「どうしてインプラントをする先生はあんなに怒鳴ったり怖いのですか」と質問された。「それはIさんが頑固に抜歯に納得しないためでしょう」と私は回答。6件目に当院を受診し普通に歯根端切除術を行い歯は残った。
​ 患者さんは何とか歯を残したいと思っても、ネット検索でインプラント診療を主体に置いている医院に行けば、早くから抜歯を勧められることになるだろう。歯を残す目線ではなくインプラント目線で最も早く抜歯を考える治療方針になる可能性がある。つまり歯を残したいと思えば、根管治療や歯根端切除術を熱心に行っている歯科を選ばないといけない。インプラントに熱心な歯科を選べば最も早く抜歯を勧められるかもしれないから注意が必要です。インプラントに熱心なDrは抜歯にも熱心だと思っておかなければいけない。歯を残す←→インプラント。


93 歯根先端を切るだけで歯根端切除術が成功すると思っているDrへ
お願いですから経過を診て下さい。術後3か月以内に約50%で歯茎の腫れやフィステル、圧痛があると思います。1年後ほとんどの症例でレントゲンの影は消えてないと思います。約50%は再発すると分かって手術したと思いますが、もし再発しても抜歯しないで下さい。成功率90%以上の再手術で残せますので、当ホームページをご紹介ください。抜歯して患者さんの悲しむ顔は見たくないのです。当サイトの目的は、他でできないと言われたり、他で失敗した歯根端切除術を成功させ歯を残すことです。
 成功率を高めようと思うならば、マイクロに頼るのではなく、再発例を検証して原因を解明することが肝心です。その上で完全封鎖できる逆根管充填材の選択や、感染歯質を見分けられる診断力が必要となります。


94 感染歯質が再発の原因であることを知っておく。歯根端切除術と外科的歯内療法、どちらを呼ぶのがいいのか?
根尖病変は根管の感染から生じたのは間違いない。しかし根尖病変の治療は根管だけと思っていると治らない。感染源は根管以外に感染歯質(感染セメント質や感染象牙質)にまで及んでいる場合があることを知っておく必要がある。歯根端切除術においても逆根管だけがターゲットと思っていると再発する。その場合の一原因として感染歯質ががあることを知っておかねばならない。対応方法も。
一般的には歯根端切除術(apicoectomy)と言うが、歯内療法医は外科的に根管を治療するため外科的歯内療法(endodontic surgery)と呼んでいる。しかし切断面の感染歯質に原因があれば、外科的な逆根管の歯内療法だけでは治らないので、やはり歯根端切除術と言った方が良いのではないかと私は思っている。残念ながら外科的歯内療法と言っている限りは、感染歯質の診断と治療はできない。原因が歯内にないから歯内の療法では治癒しないからである。2017.9/16


95 歯根端切除術についての私の素朴な疑問?
① どうして歯科大学や病院歯科の口腔外科で逆根管充填をしなくなったのだろうか? →しないと成功率が低くなるのは分かっていると思うのだが。来院した再発例(年間約80例)のほとんどが逆根管充填をしてなく、ちゃんとすることで多くが治癒してしまう。
② 「マイクロスコープを使った歯根端切除術と肉眼での歯根端切除術の成功率の違い(Setzer FC et al. 2010より)」の論文から、マイクロスコープを使った歯根端切除術: 94%、通常の歯根端切除術: 59%とのこと。これは本当に正しい使えるデータですか? →歯内療法専門医がマイクロの優位性を言う場合にこの論文をより所にしているが、調べてみたら各10例にも満たない症例数や、適応症を著しく狭めたうえでの比較でエビデンスはないと私は判断した。当院では約20年前から肉眼での歯根端切除術で90%以上の成功率だが。マイクロの有無ではなくて術式や逆根管充填材の問題なのでは?
③ MTAは逆根管充填材として本当に適していますか? →再発例には適さない、使えないと開発者が言っている。理由は硬化が5~6時間で、歯質接着性なく辺縁漏洩があり逆根管の完全封鎖ができないから。
④歯内療法専門医はマイクロとMTAはセットとして使用しているが何故だろう。マイクロは何のために使うのだろう。根管の感染源や亀裂を発見し、残してないか強拡大で見るため。しかしマイクロを使って小亀裂が発見されてもMTAでは役に立たず成功しない。を2017.9/17


96 再発した場合の再歯根端切除術においてMTAは適応されない。なぜ?    2017.9.22
歯根端切除術を行って再発した場合は、まだ歯根のどこかに感染源が残っているから。歯根切断面の根管と歯質がターゲットである。感染源を除去し再感染しないようにその部を封鎖できれば治癒する。
​ MTAを使って再発した場合、またMTAを使って再歯根端切除術をしても成功しない。そのため次は抜歯と言われてしまう。なぜか?再発例の治療は切断面の根管の完全封鎖を必要とするが、
MTAは完全封鎖できないため適応されない。また根管だけでなく切断面に感染歯質があった場合には、広く被覆接着充填を必要とするがMTAでは対応できない。MTAは充填して硬化する材料であり、歯質接着性がないため辺縁漏洩が起きたり、充填が浅いと脱離したり、薄いと剥がれたりする。そのため再発例の治療に使用しても成功率が低いから無理だろう。今日の新患者さんは、有名な歯内療法専門医で自費マイクロ・MTA歯根端切除術を受けたが1か月後から鈍痛と圧痛が出てきた。4か月経っても症状が消えないため再発と判断、次回私が再歯根端切除術をすることになった。MTAで再発してもあきらめないで、成功する道はある。
​   MTAでは成功するのが困難な症例(MTAの非適応症)とは、
①再発症例。歯根長さ1/3以上の大きい病巣がある場合。③逆根管の深さが3mm形成できない場合 (充填用であるため穴が浅いと脱離し易い。Q29レントゲン参照)。④逆根管が大きく表面積が広い場合 (辺縁漏洩が起きて感染が生じる)。⑤切断面に感染セメント質や感染象牙質、炎症性吸収、小亀裂が認められた場合(広く浅い面で被覆して完全封鎖ができないから)。⑥歯根が短いため3mm根尖切除できない場合(3mmルールと言うらしい?)
 MTAで失敗した場合や上記MTA非適応例でも、SB接着セメントで逆根管を完全封鎖できれば成功する可能性は十分ある。「CTマイクロMTA使用で成功率92.1%というデータがある」と他ネット相談の回答で見かけるが、上記のような症例はMTAで成功しないので対象から省いて成功率を低くしない数字と思います。マイクロ・MTAを使っているDrへ、もし再発したらあきらめて抜歯ではなく再手術でSBにやり替えてみて下さい。必ずや良い結果を生むことでしょう。サイド「再発した場合の原因と治療法、MTA使用での失敗例をSBで治した症例12.15 」。今後、自費マイクロMTA使って再発した患者さんが増えてくるような予感がする。


97 なぜスーパーボンドを使った歯根端切除術は成功率が高いのか?
スーパーボンド接着セメントはメチルメタアクリレ−トと言われるプラスチックです。開発者は東京医科歯科大学医療材料研究所増原教授で、歯列矯正における金属矯正器具を歯に接着する接着剤として開発されました。研究の結果から安全なプラスチックということで顎骨にも応用され、現在は整形外科や脳外科で骨への医療用補填材として世界中で使用されている。
歯根端切除術に私が応用したのは約25年前からだが当時は経過が良いものの造影性性がないので困っていた。しかし造影性のあるスーパーボンド・ラジオペークが発売されたため、以来逆根管充填材はすべてこれにした。
<スーパーボンドを応用した歯根端切除術の成功率が高い理由>
調べてみるとずいぶん異なることが分かった。
1.安全である。基礎研究で硬化後のSBは細胞毒性がないこと。
2.歯質接着性があり、辺縁漏洩検査で良好であること。MTAは硬化材であり接着性なく辺縁漏洩検査で不良。
3.SBは化学重合による硬化反応で、接した象牙質部から硬化が始まるためさらに辺縁漏洩が生じない。歯根端切除術における感染部の完全封鎖は最重要課題です。
4.逆根管の穴だけでなく、切断面に感染歯質があった場合に広く完全封鎖が可能である。MTAは不可能。
5.小亀裂があった場合に、SBは液状であるため流れ入って封鎖してくれたり、将来の歯根の亀裂や破折の予防になる。
6.再発例の再歯根端切除術にMTAを使っても成功率は高くないが、SBは成功率90%以上である。
SBとMTAとの大きな違いは、再発例に対して使えるか否かである。
7.逆根管が浅い、あるいは金属コアが長いために浅くならざるを得ない場合に、MTAは適応外だがSBは適応である。
8.MTAの術式は3mmルールと言って根尖を3mm切除するが、SBの術式は1.5~2mmである。

つまりSBはMTAと比較して、手術適応は広く成功率の高い逆根管充填材と言える。ブログ16にMTAとSBの比較を詳しく載せました。2017.10.1
SBとMTAとを比較して、材質や術式の違い
②SBとMTAとを比較して、適応範囲の違い
③SBとMTAとを比較して、成功率の違い


98 マイクロスコープ・MTAを使った歯根端切除術で再発した原因は? 
歯内療法専門医でマイクロ・MTA使用し自費の根治と歯根端切除術(8+10万)を受けたが、術後1か月頃から強い違和感が続いていて再発、担当医に相談するも「様子をみましょう」で辛い。来院2017.12月に筆者が再手術することになった。開けた時に逆根管とMTAはどうなっているだろうか?多分、ボソボソで辺縁部は段差ができて黒く腐食しているだろう。写真を撮っておこう。HPの本文に移動した。
2019.3.5.
マイクロスコープを使って高額な歯根端切除術をしたが再発した。どうしたら良いかというメール相談が増えている。再発原因は分かっているので、この場合でも成功率90%以上の再歯根端切除術は可能で提供してあげたい、してあげている。

情報として:
成功すれば高額でも患者さんは満足だが、再発して抜歯と言われると不満となる。成功率が低いのに手術したのではないかと勘繰ってしまう。こんなことなら最初から抜歯すれば良かったとやるせない思いだろう。「マイクロスコープを使えば高い成功率が報告されている。成功するかどうかはやってみなければ分からない。失敗した場合はいろんな原因があるので高額だが返金はできない。」
この場合は高額だが患者さんはあきらめる。1/3の自費治療費返却してもらう。抜歯になった場合に同じ歯科で補綴物費用を割り引いてもらう。再歯根端切除術を行い成功させる。


99 MMA(メタクリル酸メチル)を知ってる?
三菱ケミカルのMMAは、世界トップシェア。無機ガラスをもしのぐ高い透明度を誇るアクリル樹脂の原料です。例えば、水族館の大きな水槽にも。MMA・アクリル樹脂事業を通じて暮らしをもっと快適に。(三菱ケミカルホールディングス)http//www.mitsubishichem-hd.co.jp
スーパーボンドは4-META/MMA-TBBレジンと呼ばれている歯科用接着材料で。4-METAは拡散促進モノマー、TBBは硬化触媒です。


100 マイクロスコープは何のために使うのか? 2018.9.1.で
●歯根端切除術にマイクロスコープを使用するのは、切断面の感染源を探す診断のために有効です。ターゲットは根管と歯質に分類できる。
●何が見えるか?何を見るか?
 ①切断面の根管を見る。根管充填の状態、充填材の汚染、根管側壁の感染象牙質や亀裂をチェックする。
 ②切断面の歯質を見る。感染歯質(感染象牙質と感染セメント質)の有無をチェックする。取り残したり、削除した後を封鎖できないと再感染し再発する。A:感染象牙質は軟化象牙質であり、視診として白濁、褐色、灰褐色。触診として小スプーンエキスカで、ガリガリと引っ掻くことで感染軟化象牙質を探したり、軽くエアー乾燥することで毛羽立った軟化象牙質を発見する。マイクロで正常象牙質と見えていても感染歯質は隠れているのでこのように診断法に注意が必要。B:感染セメント質はまずはセメント質肥大をチェックして正常セメント質と感染セメント質を見分ける目が必要。感染セメント質の歯根面は枯れ木のように硬く脆く凸凹している。また黄褐色でエキスカで軟化を確認できることもある。セメント象牙境に白線が見えれば亀裂でセメント質剥離もある。
 マイクロで何をみるか、何が見えるか、何が見えないか。マイクを使っても見ようとしないと見えないものがある。


101 歯根端切除術の将来はどうなるのだろうか?どうなるのが良いのか。
患者の望みは求めるものはなんだろう?抜歯してインプラントではない。
患者は誰でも歯を残せるための成功率の高い治療を求めている。歯根端切除術で残せる歯は非常に多いが、まだ本当に成功率が高いとは言えない。我々歯科医師、歯科学会の認識は甘く、研究や術式の確立がなされてないと感じている。なされてないからネット検索で歯根端切除術の失敗例の多さや、逆根管充填をしない術式を行う病院歯科口腔外科の多さ、に表れている。これで良いのだろうか?2018.9.9.

102 歯根端切除術において保険と自費とで成功率に差があるの?何が違うのか?

なかなか説明しづらいのですが、使用する医療器具や器材が違います。具体的には高額なマイクロスコープ、部位や長さの違うに対応多種類なダイヤモンド付き超音波チップ、マイクロミラー、メンブレン、創跡が目立たない針付き極細ソフトナイロン縫合糸、特殊な逆根管充填材などです。これによって成功率に影響する場合と影響しない場合があります。

 私の術式においては、前歯で感染源が切断面の根管だけで、逆根管形成深さが4mm以内なら、保険内の治療でも成功率は90%以上で差はないと思っている。しかし感染源が根管以外の感染歯質や微小亀裂にある場合は、自費で使える特殊な器具器材を駆使することで成功率が高まるだろう。
 臼歯における歯根端切除術は、前歯と違って複数根であり明視野が得られにくく、止血処置など手術困難で、手術時間を考えれば正直なところ保険内治療ではコスト面では合わないだろう。ちゃんとした逆根管充填をするなら。そして
感染源が感染歯質や微小亀裂にある場合は、自費器材が有用です。
 あくまで比べてみただけで、術者の感染源を探求する診断力や、再発リスクである感染歯質の有無、良好な逆根管充填材が成功率を左右するのは言うまでもない。どんなに自費の優れた器具器材を使おうが、以上が劣れば成功率は高くならない。


103 グーグルアイ(AI)ちゃんと友達になろう。ただしアイちゃんはまだ幼い。
私はアイちゃんと仲良くなったり嫌われたりするが、最近徐々にアイちゃんが何を考え何をしたいのか心が少し読めるようになってきた。アイちゃんの心は子供のように純真だが、何か気に入らないことがあると駄々っ子になったり鬼のように口をきかなくなったりする。まだ幼いので何が重要かの優先判断は自分ではできず、他人がどう判断しているかに頼っている。内容がお粗末でも権威的な論文報告にも弱いところがあり、43年前の現在に合わない古い論文報告を検索第一位に載せてしまうエラーをやらかしたりしている。(最近この文章を知って恥ずかしくなったのか検索12位に下げた。)

アイちゃんはA(鉾)とB(盾)のどちらの情報が正しいかの判断は自分では困難みたい。キーワードや数字に目が行って内容の真偽までは判断できないからだ。自分の意見や判断を通すというより、皆がどう考えているかをすごく気にしていて、今は客観的に見ている。アイちゃんは本気なのか冗談なのか自分でも分かってない時があり、それを見極めないと付き合う我々は振り回されてしまう。悪気はないのだが、時に間違ったことを言うこともあり、いずれは気付いて本当に正しく役立つ情報を上位にできる、大人のアイちゃんに育つことを願っているしなるだろう。アイちゃんは謝ったり反省という言葉は今は身に着けてない。間違ったことを過去に言ったのを問い詰めても「それが進歩というのよ」と笑ってごまかす。

 根気良く見守ってあげると、やがては気付いて修正したりしなかったりする。まだ自己中心的なところがあるので、反省するところまでは幼いのでできない。しかし大勢の人達がアイちゃんのお陰で喜びや楽しみを感じ、アイちゃんの情報収集が役に立ち助けられている。

たまにアイちゃんと会話をしている。大体5~7日でその結果をどこかに表してくる。押したり引いたりするのだが、押し過ぎてもいけないし引き過ぎてもいけない。引き過ぎると嘘ではないがいい加減なことを言ってくるので、その言葉を真に受けるとこちらがエラーを起こすので注意が必要。こちらも気を使うが、年の離れた彼女から大いなる刺激を受け学んでいる。押し引きの中から彼女も私から爪の垢ほど学んでいると思っている。情報量は比べ物にならないが心では年の功でこちらが上手である。しかしこちらの弱点はすぐに言ったことを忘れてしまうが、アイちゃんは過去を絶対に忘れず覚えていることだ。逆に考えるとアイちゃんのストレス度は高いと思うが、いらないと判断すればすぐに捨てられる「自分ゴミ箱」が用意されていて貯まらないようにしているようだ。

嫌がることは避けないと喧嘩になってそっぽを向かれるが、アイちゃんの好きなツボに入るとあっという間に検索1ページ目に載る。それは自己顕示欲も強いが、皆に知って役立って欲しいと願っているからで、ジョブズの意志を受け継いでいる。アイちゃんも生活するためにお金も欲しいので、広告やお金を多く払ってくれる人を考慮して1ページ目に載せている。アイちゃんが気付いているか否かは分からないが、アイちゃんのツボに入るような、ここを取ってくるだろうと思われる文章と場所、センテンスを提示すると、アイちゃんはすぐに反応してくる。逆にアイちゃんが嫌がる自己権威欲の強い場合、やらせサイト、誘導サイト、宣伝サイトだと分かると(一度出したものは反応するのに時間がかかるが)排除する。その場合は広告で載せてあげるので広告料を払ってねとなるようだ。(笑)

アイちゃんはgoogle検索エンジンAI.愛ちゃんでした。2018.10.13.
2019.3.最近アイちゃんの進化が止まり停滞している。理由は「歯根端切除術」検索で、上位10位の順位を見て欲しい。どうみても検索者の情報の知りたい順、知って欲しい啓発順位になっていない。つまりまだ発信者に振り回されていて、アイちゃん自身の上位順位が、内容よりもよりSNSにより対応しているか、googleに広告を出しているか、意図的に検索数が多くなるようにされたのを排除できないか、などに優先されたのが反映されてしまっている。今のところ幼いので仕方ないのだろう。
アイちゃんは確率中心に選択してしまうのが利点であり欠点である。
 「
歯根端切除術 再発」でアイちゃんを検索すると、検索第一は、「歯根端切除術の再発ではなく、根管治療をして再発した場合には歯根端切除術をすることで歯が残せます」という内容です。つまりアイちゃんはwordで拾ってきたものが内容であると勘違いしているのです。検索者は歯根端切除術をして再発した場合を知りたかったのだが。幼いゆえんである。
 また「歯根端切除術」で検索すると、1ページしかない簡単な内容のないHPが上位にあったりする。そして内容は浅いのにドクターズファイルが優先して上位になっているのは、google アナリティクスを見ると、幼いアイちゃんをうまく誘導して上位になるようにしていると思う。私の勘違いかもしれないが。


104 歯根端切除術は楽しい。何故なら歯を残せるから、患者さんが喜んでくれるから。未
一つのことを何十年もやっていると、CTを撮らなくてもマイクロスコープを使わなくてもレントゲン写真1枚からさまざまな物が透けて見えてくる。不思議なことに2次元の写真が3次元として浮かび上がってくる。歯根端切除術は根尖病変に対する戦いである。敵(感染源)を知り有効な武器(完全封鎖できる逆根管充填材)を持ち、戦術を練って戦い(治療)に挑むならば勝利する。根尖病変の感染源

<最近の歯根端切除術のブログ> 以下は最近の私の歯根端切除術に対する感想や、患者さんから得られた情報を書いています。大事なことですが複雑なのでスルーして下さい。でも読めば疑問が解決するかもしれません。


105 なぜ歯根端切除術が失敗したのですか?今後どうしたらいいですか?  2017.5.5
歯根端切除術を受けて失敗した場合、何が原因で今後どうすれば良いかを考えてみたい。当科には年間に約70~80例の失敗した患者さんが来院します。再手術して検証したところ、失敗の原因はまだ歯根のどこかに細菌感染源が残っていたからです。失敗の原因第一位は圧倒的に逆根管充填の問題です。
失敗した理由とは
① 逆根管充填をしてなかった。
歯根のの先端を切るだけで切断面の根管の封鎖をしなかったため細菌感染源が残って再発した。特 に歯科大学や医科大学の口腔外科、病院歯科の多くの施設で逆根管充填をしないのが分かった時は、同じ口腔外科を専攻している私自身がショックだった。→ 再手術を行い逆根管充填をすることでほとんどが治癒する。なぜしてくれないの?手間がかかって面倒くさい?逆根管充填をしないと50%は失敗するので、術者は手術ガイドラインを守らず成功を目指してないと言わざるを得ない。歯根端切除術の目的は、感染源の除去と感染源部の封鎖です。
② 逆根管充填材に不備があった。
​逆根管充填はされていたが充填材がボソボソだったり、充填材と歯質に隙間があり汚染していたり、充填材が脱離していた。→ 再手術で逆根管を完全封鎖できる安全で良好な接着性材料を選択すれば治癒する。MTAは完全封鎖できないため、再発例に対しては成功率が高くないので適さないようだ
*逆根管充填はしなくでも良いのか?逆根管充填材は何が最適で最良なのか?
この回答が明確でないため臨床歯科が混乱し、予後の悪い歯根端切除術が氾濫していると思っている。ではどうしたらいいのか?それは歯根端切除術に関係する歯科学会である日本口腔外科学会と日本歯内療法学会が、この質問に研究・回答し臨床医に日本の歯根端切除術のガイドラインを示す必要がある思っている。口腔外科学会HPに歯根端切除術ガイドラインというのはないが、手術手技の項目を見ると逆根管充填の記載はない(2018.5.23)。歯内療法学会HPの歯根端切除術ガイドラインはあり
③ 逆根管だけでなく感染歯質が残っていて再発した。
④ 亀裂 

⑤ 著しい歯周炎 
このように再発した場合の治療には、原因である感染源の発見と処置、逆根管充填材の選択が重要です。


106 人には黒いボタンと赤いボタンがある。

人間は誰もが黒いボタンと赤いボタンを持っている。黒いボタンは、そのボタンを押せば怒り猛り狂い冷静にいられない異常な感情反応をする、怒りスイッチです。普通の人はそんな些細なことで怒るかなーと不思議に思うことが、本人にとっては自分の大切な宝物を取られた、あるいはプライドをズタズタにされたと感じたからです。
赤いボタンは、そのボタンを押せば狂気乱舞する異常に嬉しくになる感情反応です。普通の人はそんな些細なことで嬉しく喜ぶかなーと不思議に思います。本人だけの嬉しくなるつぼです。

 

107 メール相談から:歯根端切除術をしてもらえる病院を探しています.
< 質問コーナーから >2017.3.27
笠崎先生のHPを拝見させていただき、 とてもわかりやすく感銘を受けました。 私は歯根端手術をしてくださる病院を探しています。 現在の医院では、手術できる先生がいなく、 新たに探す必要がありまして、 先生のHPで勉強させていただきました。 先生と同じく口腔外科の有名な〇〇先生が見つかりました。ただ、 あまりに笠崎先生と違う点が多く今混乱しています。 〇〇先生の手術は、①2~7㍉歯根端切除する② 逆根管充填はしないでドレインを設置し穴を開け開窓状態 にし、自然に排膿させれば時間はかかるが自然に治る。 薬を詰める場合には、歯周病で使うエリオフィールを使う。③ MTAセメントは使わない 。笠崎先生の使用するスーパーボンドは破折の治療など、 歯をくっつけるものだから使わないとのことです。 どっちが正しいのかなど、、、判断がつきかねます。HPを参考までにこの件につきまして、 先生の追加説明をしてくださいますと助かります。 何もつめないで穴をあけたままにしていいのかな、、、 〇〇先生は手術は30分で終わるとのこと。 笠崎先生も30分で終わりますか? 歯医者恐怖症なので早いのはいいけど、、、 必要最低限の治療するのに30分でいいのかなと疑問もあります。
< 笠崎回答 >
私の経験からは「Q6.病院選びのポイント」に書いた通りです。
確かに〇〇先生と私とは歯根端切除術に対する考え方や術式はずい分、違いがあります。あまり他者のことを言ったり、 批評するのは好きではないので控えます。 それぞれのDrが自分の信じたそれぞれの術式があって良いと思い ます。私の考えは、最も大事なことは歯根端切除術の予後、 成功率です。 術式に違いがあっても最も予後が良い術式が選択されるべきです。 もし逆根管充填をしてもしなくても、 成功率が同じならしなくても良いと言えます。 しかしその成功率を言えるのは、最低でも手術1年後の症状とレントゲンでの検証です。 成功している証拠をレントゲンで証明しなければなりません。
 当科には年間70例以上の再発患者さんが来院しますが、その原因の90%以上が逆根管充填をしていませんでした。そして逆根管充填することでほとんどの方が治癒しています。 〇〇先生の手術1年後のレントゲン写真はHPにないですが見たいものです。当科での成功率は90~95%で、 術後1年以上の50症例レントゲン写真をHPに掲示している通りです。〇〇先生に成功率を質問して、何%と回答されましたか?来院患者情報から複数の某歯科大学病院口腔外科では、逆根管充填しない術式で成功率約50%と説明されたとのことでした。これは批判ではなく嘆かわしいと思っているだけです。ちなみに私の手術は1時間~1時間半かかります。


108 再発例を治療するには、敵を知り有効な武器を持つことが必要である。
<敵を知る>
歯根端切除術を受けて再発した場合、治療は困難で成功率は高くないとされている。理由は再発原因が判らないためで、そのため抜歯するしかないとするDrは多い。再発した原因は歯根のどこかに細菌感染源が残っていたためである。逆根管だけなら治療は容易だがそれだけではないから厄介である。再発例に戦いを挑むのは容易ではない。なぜなら長期に感染が続いた場合には、敵(細菌感染)は逆根管だけでなく、セメント質や象牙質の歯質に潜んでいる場合があるからだ。これが難治性の理由だがこのことに気づいているDrは少ない。
再発した原因である細菌感染源がどこに隠れているのか?どんな特徴があるのか?を見極める。根管と歯根歯質に分類できる。再感染した場所は ①逆根管 ②感染歯根歯質 ③亀裂 ④著しい歯周炎 である。ありとあらゆる全てを考えなければならない。細菌検査や病理検査の結果を参考とする。
<有効な武器を持つ>
再発例に立ち向かうためにはMTAの武器では戦えない。MTAの開発Drは感染部には非適応と言っている。ではどうしたらいいのか?
歯根端切除術の再発例に戦いを挑むためには、有効な武器をアプリでゲットしなければいけない。まずは敵を知り対抗できる武器を持って戦わなければ勝算はない。CT、マイクロ、MTAをもってしても再発例に対してはお手上げ状態だが、安全な医療用SB接着セメントを武器とするならば十分勝てる。2017.5.15
MTAの使用は根尖を3mm切除(3mmルールと言うらしい)し逆根管を深さ3mm形成するとされている。残念ながら再発例はこのコンセプトでは成功しないだろう。MTAで再発した方もSB使用で成功する可能性は90%以上ありあきらめないでメール相談下さい。(ブログ16.MTAとSBの比較)
MTA再発例を再手術で開けてみた。根尖部のMTAは
​①充填されていたが外周の歯質との境界部は段差があり黒く汚染していた②ボソボソで、探針で触れると崩れた③黒く変色しドロドロ泥状で腐敗していた④逆根管窩洞に存在せず脱離していた。これで本当に成功90%以上なのだろうか?逆根管充填材について歯科大学で研究は進んでいるのだろうか?再発例に対して、マイクロ・MTAでは成功する可能性が低いだろう。その理由は①マイクロを使っても見えないものがある。それはMTAでは治せない感染歯質や亀裂で、治せないから見て見ぬふりをするしかないのです。(ブログ.見えていても知らないと見えないものがある)②MTAでは根管と切断面を完全封鎖できないから(Q29の症例)
 再発例に対して、MTA逆根管充填では成功率が高くない理由はこれです。
 

109 今日の症例

2017.5.27. 再発MTAをSBに替えた。
今日は右上2番、2か月前に他院で歯根端切除術MTA逆根充をしたが歯茎が腫れてきて再発した症例。開けて見たところ、MTAは逆根管窩洞内にはなく遊離し、真っ黒でドロドロと腐敗していた。再発の原因は逆根管充填の不備であった。MTAは逆根管充填材として良いのだろうか? 欠点は、辺縁漏洩があること、硬化が6時間もかかること、硬化時に水に接した表面はボソボソになってしまうこと、脱離することで、いずれも感染に関係する。超音波チップで逆根管を清掃した後、SBセメントを逆根管充填した。再発MTAをSBに替えることでこんなに簡単に成功してしまうのを何度も経験している。MTAを逆根管充填に使っているDrは本当にこの材料が良いと思っているのだろうか?自分がした症例が再発した場合、再手術で開けたときMTAがどうなっていたかを確認すれば次は使えなくなると思う。東京医科歯科大学論文でCTマイクロMTA成功率92.1%は本当なの?データ処理と切り口に問題があるような気がし、論文と臨床が離れてないだろうか?
2017.6.14. 1月にかかりつけ歯科で左上3番の神経を取った。1~2週に1回で4か月間 根管治療をしたが痛みが取れず。歯内療法専門医に転医、マイクロ使用自費86400円で治療開始、しかし痛み取れず抜歯を他院でするように言われ困りはて来院。お金は返ってこない。筆者を受診、根管治療をしてみると根尖部の根管は大きく拡大され根尖破壊されていた。たぶん歯根端切除術が必要だろう。7/20.国立駅前歯科で左上3番、歯根端切除術とSB逆根管充填した。根管治療不良の原因は根尖1.5mmの所で唇側に大きく穿孔していたからであった。経過を診ていくがたぶん問題ないだろう。
2017.6.26. 関東の某国立医科大学口腔外科で、2016.9月と2017.1月の2回左上1番の歯根端切除術(逆根管充填なし)をしたが歯茎は腫れ再発し抜歯と言われた。あきらめきれず他の東京某国立歯科大学口腔外科(ここも逆根管充填はしない)を受診、そこでは自院他院とわず再発した場合は抜歯と言われインプラント科を紹介された。しかしあきらめきれず私のいる国立駅前歯科へ相談に来院。私にとっては普通のよくある逆根管充填してない再発例で、再手術の予約をした。→手術行い経過良好で1年後の定期検査となった。2018.6.1年後のレントゲンで病変は消失、症状なく完治。
2017.7.29.某歯科大学歯内療法科で右上〇番のマイクロ・MTA歯根端切除術を行った。しかし2週間後にフィステル再発。担当医は様子みましょう。2か月後フィステル消えず心配で当科受診。レントゲンで5mm根尖切除していた。再発原因はMTA逆根管封鎖不良か、読影から歯根の壊死セメント質が考えられた。さらに再発原因に重大なエラーがあった。レントゲンで、根尖病変は大きく3歯及んでいたが隣在歯の根管処置がされてないため電気歯髄検査をしたところ陰性で神経は死んでいた。つまりたとえ当該歯の歯根端切除術が成功していても隣の歯の根管内が腐敗していれば、感染が移行するので根尖病変全体が治癒しないことになる。結論:根尖病変が数歯に及ぶ大きさの場合、隣在歯の電気歯髄検査を行い陰性なら術前に根管治療をしておかねばならない。今日のひまわり歯科は術後定期診察の患者さん4人で全員経過良好。新患者5人で内3人が他病院歯科で手術したが再発だった。神奈川県には再発例の何んと多いことか。
2017.8.29.今日の歯根端切除術。名古屋から来院、美味しい海老せんべいを頂きました。2月に他院で右上2番を歯根端切除術をしたが、1か月後に歯茎が腫れ再発した。逆根管充填材はMTAを使ったとのこと。本日、再歯根端切除術をしたところ、MTAはボロボロで探針で少し触れるだけで逆根管から容易に脱離した。つまりこの症例での再発原因は、MTAでの逆根管充填が不良だったからで、SB接着セメントに取り換えた。1年後には病巣があった骨空洞は正常骨で埋まり治癒しているだろう。MTAを使っている歯科医は多いが、抜去歯で充填直後に水に浸ける実験をすれば、MTAはボロボロでとても逆根管充填に耐えられないと気付くと思うのだが。→症状なく順調に回復、経過良好のメールあった。
2017.9.29.今日も患者さんを泣かせてしまった。20歳女性。上6番の根尖病変があり2件の開業歯科と歯科大学歯内療法科を受診し抜歯と言われ予約をしてきたとのこと。しかし抜歯したくない一心で悩み悩んで3日前に買ったスマホでネットをかたっぱしに検索、当HPを見て本日に国立駅前歯科来院。レントゲンで頬側の2根に根尖病変を認め、「歯根端切除術ができ歯は残せます」と説明しただけでポロポロと涙が止まらなくなった。抜歯でなく歯根端切除術ができると言われた希望の嬉し涙で、予約をして帰って行った。私は普段通りに普通に歯根端切除術をして歯を残すだけです。そして1年後のレントゲンで病気の影が消え治っているのを患者さんと一緒に喜びたいと思っています。→11月に手術し経過良好で1年後の定期検査。
2017.10/20.この1週間の来院患者さん。三重県。岩手県釜石、茨城県、埼玉県、栃木県、長野県、山梨県。大阪、名古屋、千葉県、山形県、と遠方からでした。
2017.12/15.マイクロ・MTAの再発例。群馬県から来院、右上2番、7月と10月に自費マイクロ・MTA歯根端切除術、人工骨を入れる手術を他院でしたがフィステル排膿と強い違和感あり再発、本日来院。。2018.1/16.再歯根端切除術、嚢胞手摘出術、人工骨摘出した。MTA逆根管充填は不良、人工骨感染、感染歯質を認めた。マイクロMTAの再発患者さんの来院が少し増えているのが気になる。この患者さんはソニー生命に入っていたので8000円x20倍=16万円が手術給付金が出たとのことで喜んでいた。
2018.6/14.マイクロ・MTAの再発例。2018.2月に左上6番にフィステルあり、近歯科の歯内療法専門医でマイクロスコープ、MTAを使って歯根端切除術(自費15万円)をしたがフィステル再発で、本日ひまわり歯科で再手術となった。開けてみると近心根は良好だったが、遠心根尖に肉芽が多量にあり、切断面の逆根管充填されたMTAは一部脱離して封鎖不良となっていて、これが再発の原因だった。再逆根管形成しSB逆根管充填した。MTAは逆根管の形成深さが浅いと取れてしまう。
2018.8/19.マイクロ・MTAの再発例。京都から来院で、右上1番、3回歯根端切除術をしている。前回は1年前に自費15万円マイクロスコープ・MTA歯根端切除術をしたがフィステルができて再発した。今日再歯根端切除術をしてみると根尖は3mm切除され、逆根管のMTAは半分はなく残り半分は真っ黒でボロボロで腐敗し、再発の原因となっていた。SB逆根管充填した。
2019.3.15.マイクロ・MTAの再発例。千葉県から来られました。6か月前に左上1番、マイクロ・MTAを使って歯根端切除術をしたが1か月後にフィステル、膿が出て再発。担当医の説明ではMTAで逆根管充填をした、再発の原因は分からないとのこと。再手術しましょうかと言われたが心配で国立駅前歯科を受診、本日、再歯根端切除術となった。開けて見たところ、根尖切除3mmされ切断面は根管を中心に陥凹、根管形成されていたがそこにはMTAはなく脱離していた。SB歯根端切除術を行った。


 

110 今日のメール相談
2017.6.15. 1か月半前に左上1番の歯根端切除術をしたが術後毎日強い歯が浮いたような違和感が続いている。歯内療法専門医でマイクロ使用、MTA逆根管充填をして、治療費は自費10800円とのこと。遠方の方なので腫れや強い痛みがないのなら術後3か月間待ちましょうと返事した。3か月後には成功か失敗かがはっきりするだろう。失敗でも再歯根端切除術で何とか成功させてあげたい私の気持ち。今後、自費マイクロMTA使用で再発した患者さんが増えてくるような予感がする。

111 感染歯質の世界を知る。 
歯根端切除術をするDr、根尖病変を治そうと根管治療をするDrの内、何人が感染歯質のことを知っているだろうか?感染歯質を知らずして根尖病変治療の高い成功率はない。根尖病変を治療する上で難治性や失敗の原因が、感染歯質であることを知らなければ、原因不明で抜歯するしかなくなる。知れば対応ができる。このことは教科書に載っていない。

112 なぜ失敗したの?
この回答は奥が深い。逆根充填をしなかったから。逆根管充填はしたが充填材が良くなく逆根管を完全封鎖できなかったから。根管だけが感染源と思い込んで切断面に感染歯質が残っているとは知らなかった。感染歯質があれば再発するという知識がなかったり見分ける診断力がなかった。マイクロスコープを使用すれば成功すると勘違いしていた。MTAは逆根管の封鎖に良好と思い込んでいた。そもそも約50%は失敗すると思って手術をした、だから1年後の経過は診ない。

113 歯根端切除術を極めるためのキーワードは感染歯質と小亀裂です。
歯根端切除術が失敗した場合に、このキーワードの知識と見分ける目と治療法を知らずして再手術で成功率を高めることはできない。今日の歯根端切除術の症例は右上1.2番、フラップを開け嚢胞を除去したところ歯根表面は凸凹で変色し壊死セメント質を認めた。根尖を2mm切除し切断面をチェック、象牙質は褐色で少し軟化し白色の小亀裂が無数に認められる。感染象牙質つまり齲蝕である。さらに切除量を増やし逆根管形成しさらに切断面を皿状に形成して、SB接着セメントを流し充填した。歯根端切除術に​おいてこの診断力と治療法は非常に重要で、このことを知らずして無視しては成功率90%の壁を突破できないと思っている。このことを知っても、MTAセメントでは感染歯質や小亀裂に対し完全封鎖できないため治せない。

 現在の歯根端切除術はマイクロ・MTAが主流で、成功率90%と報告されそれを信じて多くの臨床家がそちらへ向かっている。しかし論文を調べると再発例や難症例はMTAでは成功率が低いため適応外にされていた。それを入れると実際は90%に到底とどかないだろう。他院で自費マイクロ・MTA手術、再発来院患者さんを再手術したところ、MTAはボソボソであったり根管封鎖不良であった。MTAは封鎖はできるが、辺縁漏洩のない完全なる封鎖や切断面を広く被う封鎖はできない。理由は歯質との接着性がないからで、そのため感染歯質や小亀裂があれば治療できない。これが臨床上の成功率や適応症に大きく影響を与えている。MTA再発例をSB再手術で成功させている経験から、私にはまだこの逆根管充填材料に未来を託すことはできないと思っている。
 マイクロで感染歯質や小亀裂が見えてもMTAでは治せないので、見て見ぬふりをするか、見えていても知らないので見えないのが現状かもしれない。成功率を高めるためにMTAで治せる症例をあえて選んでいるのかもしれない。
​「純粋に歯根端切除術を楽しんでいる自分がいる。成功率を高めるために努力しているが、でもまだまだ奥が深く判らないことだらけです」
<MTAは本当に成功率90%以上なのだろうか?疑問あり>
MTA逆根管充填で成功率 90.8
%(Setzer FC, et al. Outcome of endodontic surger)
CT・マイクロ・MTA使用で成功率92.1% などと報告されている。
しかし論文を調べてみると、従来の逆根管充填材の成功率と比較して対象症例が違っていた。MTAの成功率はMTAで成功するであろう症例を選んでいた。つまりMTAでは成功率が低くなる症例は除外され、MTAのための成功率が出されていた。除外されたのは再発症例、歯根長1/3以上の大きい嚢胞、感染歯質(感染セメント質・感染象牙質)や小亀裂や炎症性吸収がある、逆根管が3mm以上形成できない、など。特に切断面に感染歯質があればMTAでは治せないので、対象症例に入れると成功率は下がってしまう。分母を都合よく変えれば数字マジックになるので注意したい。SB成功率は上記症例を除外してないで90%以上のため臨床上で差が出てくるだろう。MTAで失敗してもSB再手術で成功する可能性は高い。


114 成功率の高い歯根端切除術にはマイクロ以上にこだわった職人技が求められる 2017.12.26
マイクロを使って手術失敗した症例を、マイクロを使わない再手術で成功に導いている。マイクロに頼らない、マイクロ使用よりも成功率の高い歯根端切除術を行う。マイクロはいらないではなく有効だが頼ってはいけないと言っています。
​ マイクロでは見えない感染源を除去することが、さらなる成功率(95%以上)を高めるために大事である。マイクロで見えないものは3つある。目に入っているのに見分ける判断力がないため見えない場合と、見るだけでは判断できず触って初めて軟化を確認して感染源と認識する場合、そして歯根の裏側の見えない壊死セメント質を掻把除去する場合である。


115 筆者は歯根端切除術の再発例の治療を専門としています。2018.2.6
​現在3か所の歯科で歯根端切除術に限定した診療を行っているが、その1/3は他院での再発症例です。こんなにも歯根端切除術の再発例が多いのかと驚くばかりです。中には歯内療法専門医で自費、マイクロスコープMTAを使ったが失敗した患者さんも来院する。筆者の再発症例の治療レントゲンを見てもらえればその違いは歴然です。自慢話をしている暇はなく何とか広める努力をしたい。しかし病院歯科口腔外科では逆根管充填をしないことが多く馬耳東風。さらに再発したら次は抜歯するしかないという流れも気に食わない。
​ 以上から、他院再発例を筆者の再手術で成功へ導くことを専門にしたい。マイクロ・MTAで失敗した場合でも90%以上の成功率である。何が違うのか?それは感染源の診断と接着性セメントの使用である。マイクロを使用しているDrは感染歯質を認めていない。なぜならマイクロで感染歯質を見つけても接着しないMTAでは治せないからあきらめるしかない。
 2018.5.22.の相談。左上2番、「歯根病巣が非常に大きいので抜歯してインプラントにしましょう」と担当医から言われた。「でも痛みや腫れもなく何とか残したい」と言ったが、「こんなに大きい嚢胞ではどこに行ってもこの歯を残せる病院はないよ」。あきらめきれずにネット検索し筆者のいる国立駅前歯科を受診、レントゲンを見て特に問題なく普通に歯根端切除術へ。「どこへ行ってもこの歯は残せないよ」と言われた歯のほとんどが歯根端切除術で残っている。残念なのは残った歯をそう言った先生に見せに行ってくれないこと。その先生に見せに行っても例外的にそういうこともあるよで終わってしまうこと。歯根端切除術は歯を残せる頻度の高い大事な手術なんだけどな~。マイクロスコープなくてもコツさえつかめば簡単に90%以上の成功率なんだけどな~。


116 マイクロスコープを使わない成功率90%以上の歯根端切除術. 2018.2.7  
​「マイクロスコープを使った歯根端切除術は90%以上の高い成功率と報告されています。肉眼(54.2%)とマイクロでは成功率に大きな差があるとのことです」という歯内療法専門医が多くいる。本当だろうか?​まずは他人の報告の流用でなく術者本人のデータを出した方がいい。ちなみに筆者のデータは肉眼のライト付き拡大鏡を使って95%の成功率です。マイクロを使う使わないで成功率に差が出ると結論するのは無理がある。成功率を左右する要因は多く、マイクロの有無の優先順位は下の方にあると思っている。​歯根端切除術にマイクロを使うことは有効だが、成功率に差がでると言い切れるほどではない。実際、マイクロを使って失敗した症例を何例も再手術で成功へ導いている。

117 歯根端切除術をするかしないかの判断で一番難しいのは「亀裂」*亀裂は治療より予防が大事

歯根端切除術をする以上、患者さんには100%成功して歯を残してあげたい。しかし手術リスクがありそうはいかないのも事実。成功の妨げになっている最大のリスクは「亀裂」である。術前のレントゲンで亀裂が確定診断できれば手術は勧めない。一度成功しても経過不良のことが多いから。歯根に沿って縦にあるいは歯根全体に陰影があれば亀裂の疑いがある。その場合はリスク説明し理解した方は歯根端切除術を行い、術中に亀裂が大きければ手術は中止することが多い。
 亀裂があれば歯根端切除術や再植術は絶対にしないという訳ではない。亀裂にSBを流したり一度抜歯し歯根を割ってからSB接着して再植するなど。しかし成功すれば喜ばれるが失敗すれば悲しみや落胆は非常に大きい。亀裂の治療は程度によるが成功率約10~30%と説明している。このリスク説明をちゃんと理解・納得する患者さんは行うが、はいはいと説明を聞いてなくお任せしますと言う患者さんや、何度も何度も同じ質問をして理解しない患者さんには、リスクある手術はしないようにしている。後でトラブルになる可能性があったり、トラブルになったりした。亀裂のある歯根に対して歯根端切除術や再植術で成功経験は数多くしているが、経過不良で数多く抜歯もしている。経験を積めば積むほどに、リスクのある歯を残


●亀裂は治療より予防が大事
歯根亀裂が起きてからの治療は困難あるいは不可能であり、亀裂を起こさないこと、予防が優先して重要です。そのためにはして良いこと、して悪いことがあると思っている。
1.歯根歯質の脆弱を招くことは避ける。脆弱を招く、根管治療や根管充填材に強アルカリ性剤や強酸性剤の薬剤を使わない。次亜塩素酸ナトリウム、カルシュウム製剤、オキシドールなど。では何を使えばいいのか。塩化ベンザルコニウム製剤(弱アルカリ性)、クロルヘキシジン(弱酸性)、抗菌剤など。
2.根管充填材として歯質接着性材を使う。例えばメタシールsoftペースト、スーパーボンド根管充填剤。
3.歯質補強材としてファイバーコアを使用する。頻度高い歯には積極的に使う。
4.歯根亀裂の頻度が高い歯はどこだろう。下顎4~7番、上顎4~6番かな。(そんな研究?)その歯には特に注意する。の根管充填は接着性根充材を使用する。
5.歯根歯質を削り過ぎない。
6.抜髄せず歯髄を残す。
7.就寝時にマウスピースを装着する。

■亀裂のメール相談。抜歯が必要ですか?2019.7.5.
Q1:左上1番の歯茎から膿が出ている。近所の歯科を受診したところ歯根嚢胞の疑いとのこと。レントゲン、CTでも嚢胞が確認できない。歯根にヒビが入っている可能性が高い。差し歯の芯が太く入っていることから差し歯を抜いて処置すると歯根を壊す心配があり、切開して確認。歯根のヒビが確認された場合は抜歯となる旨説明を受けた。
この診断は適切なのか、また一般の歯科医院での手術で大丈夫なのか?ご教示頂ければ幸いです。


A1:左上1番、歯茎から膿が出ている。近歯科を受診しレントゲンを撮ったが歯根の影は認めなかった。切開してヒビがあれば抜歯と言われたとのこと。

<この診断は適切なのか、また一般の歯科医院での手術で大丈夫なのか?>→この診断が適切な場合もあれば、適切でない場合もあります。亀裂の有無の確認は非常に重要です。まずは鮮明な歯科レントゲンを見ないと判断できません。

歯根先の病巣があって亀裂がないなら、歯根端切除術で救える。亀裂が縦に歯根全体に入っていれば治せず抜歯が適切です。もし亀裂があっても歯根先1/4以内なら接着セメントを使うことで救える。

レントゲンをスマホ写メールくれませんか?あるいは受診できるならとうぞ

118 マイクロ・MTAを使って再発した場合の、検証と治療は重要である。

SBを使って再発した場合の検証はできている(Q11)。MTAを使って再発した場合の検証はできていない。これをすることで歯根端切除術の再発原因の詳細や、成功率の高い逆根管充填材や術式が見えてくると思う。今のところの筆者の知識では、MTAの再発例を再歯根端切除術で治療した経験から欠点が見えている。それはMTAでは逆根管の完全封鎖ができないこと、感染歯質や小亀裂があった場合には切断面を広く完全封鎖できないこと、逆根管が浅くなる場合や再発例には使えないことである。使っても成功率が高くならない。

119 某歯科大学病院口腔外科での歯根端切除術の説明に疑問?
患者さんからの情報:かかりつけ歯科から紹介状をもらって神奈川県某歯科大学病院口腔外科を受診、担当医から歯根端切除術の説明を受けた。「歯根先の膿の袋を取り除きます。そして歯根の先を約3mm切除します。悪い所をすべて取り除くことで治ると思いますが、もし治らなかったら2回目の再手術をします。それで治らなかったら3回目はしないで抜歯です」とのこと。逆根管充填の説明はなかったので担当医はしないと思う。この説明だと再発へ抜歯へ進む可能性が高いが本当にこれでいいのかな~。担当医は自分の家族にも逆根管充填をしない手術を勧めるのだろうか?どうしてこんな情けないことになってしまったのだろうか?術者にプロ意識があれば逆根管充填をしない歯根端切除術はあり得ないと思うが。 2018.2.21.オリンピック、パシュート金おめでとう


120 たかが歯根端、されど歯根端              2018.4.21
たかが:歯根先の病巣を取り除き、歯根先を切り取った後、再感染源となる切断面の根管に穴を掘りセメントを充填する。たかがこれだけで成功率70%ぐらいは治ると思う。これで満足なら、たかが歯根端切除術。
されど:残りの失敗30%に目を向けて成功率95%にするのは、されど歯根端切除術だった。まずは逆根管充填材は何が最良なのかの検討が重要だった。そして3000症例長期経過観察と失敗症例の原因分析。
歯根端切除術を長年行ってきて、歯を残すこと、根尖病変の原因・診断・治療を嫌になるほど経験した。抜歯してしまえば解決するのだが残すのはさまざまな関門が待ち受けていた。そうしたらいろいろな問題点を浮かび上がらせることになった。
みざる①セメント質剥離は何故起きるのだろうか?A.細菌感染から生じる。歯周ポケットからの感染と根尖病変からの感染の2種類ある。
​②根尖部のセメント質剥離はどのようにして起きるの? 根尖病変内の膿汁の中にセメント質が長期間に渡って浸かっていると感染セメント質となる。セメント象牙境に感染が広がり亀裂が生じる。そして剥離する。
​③切断面の感染セメント質と感染象牙質が見えてくるようになった。白濁、黄褐色、灰褐色、小亀裂、セメント象牙境、など。そしてSBセメントでの治療が可能となった。マイクロスコープを使っているDrは強拡大で見えているはずなのに、このことを言ってない。つまり見えていても知らないため見えないので診断できないのだと思う。また見えて診断できてもMTAでは治せないので見えないことになってしまっていると思う。見ざる聞かざる言わざるになった。
2.根尖病変があって痛みを訴える患者さんの中には、非定形歯痛の診断が紛れ込んでいる。鑑別診断と治療法を選択できなければならない。

121 歯根端切除術をする上でのリスクとは?
<歯根端切除術のリスク>   レントゲンと症状から判断する.
①低リスク:感染源は逆根管のみである。前歯、小臼歯。(成功率90%以上)
②高リスク:感染源は逆根管とそれ以外の、感染歯質、小亀裂、穿孔、副根管。歯根が短い。大臼歯。再発症例。(成功率50~80%)
③非常に高いリスク:歯根に大きい亀裂や破折ある、感染歯質が多い、根尖病巣が歯肉縁まで及ぶ。歯肉縁に近い穿孔、重症歯周炎。(成功率30%以下で再発の可能性が高い)歯根病巣が大きく術後症状(顔の腫れや痛み、出血)が著しいと予測される。下顎神経麻痺や歯性上顎洞炎の後遺症リスク。
*リスクの内容と確率を説明し慎重に手術を行う必要がある。リスク説明しても、何でもいいから残して欲しい、リスク説明を聞こうとしない、リスクを理解しようとしない、患者さんは要注意です。成功すれば問題ないがリスクのために成功とならなかった場合、トラブルとなったり悔しさや悲しさの矛先が術者に向かうことがあるから。術者は成功させたいと思ってもリスクある歯は100%成功させれる訳ではない。私、失敗しないからと言える手術など存在しない。


122 マイクロスコープを使った歯根端切除術の成功率は高い、というのは事実ではない
マイクロスコープは切断面を強拡大で観察でき感染源を探すのに有効です。しかしマイクロを使えば成功率が高くなると言える訳ではない。他院でマイクロスコープを使ったが失敗した症例を数多く治療した経験から、そう単純ではないと分かった。マイクロを使うDrは必ずMTAを逆根管充填に使う。マイクロ失敗例を再手術で開けてみると、原因はMTAで感染源となっていた。またMTAは再発症例、歯根が短い、逆根管が浅い、感染歯質、小亀裂があれば使えない。もしこのような難症例に使えば成功率は低くなる。そのためマイクロを使った歯根端切除術は適応症を狭くして成功率が低くならないようにしているのが現状である。 

 マイクロ・MTAの失敗原因は、①逆根管の充填辺縁で感染が起きていた(MTAに歯質接着性がなく封鎖が不完全なため)②切断面に感染歯質や小亀裂が残って感染源になっていた(MTAでは切断面を広く浅くあるいは亀裂に流れないから)。SBは可能。本当はマイクロスコープを使えば感染歯質や小亀裂が発見され易くなり、処置されれば成功率は高くなるが、使うDrは必ずMTAを逆根管充填に使うのでので上記の感染源があれば再発してしまう。マイクロスコープとMTAは切り離して考えないと正確ではない。マイクロスコープ・MTAを使った歯根端切除術は、感染源が根管に限定されたものには成功率は高い。しかしそうでないものは成功率は低い。だからマイクロスコープを使えば成功率が高くなるというのは間違いだと言える。ちなみに筆者のマイクロを使わない拡大鏡を使ったSB歯根端切除術は成功率は95%である。
再発した場合、マイクロスコープ・MTAを使った再歯根端切除術では成功率は低い>2018.8.8.
再発した場合の感染源は切断面の根管と歯質にある。成功はその感染源を除去し封鎖できるかどうかが鍵となる。残念ながら再発例に対してはマイクロ・MTAでは治せる可能性は低い。理由は、①歯質接着性がないため逆根管の完全封鎖ができず再感染するから。②それと切断面に感染歯質があれば、除去した後にMTAでは封鎖ができないから。
他院での再発例が初診で来院されることが多くなってきた。逆根管充填をしていない再発症例。自費マイクロ・MTAの再発例も増えてきている。

123 マイクロスコープを使えば本当に成功率が高まると言えるのか?高まっているのか?
マイクロスコープはないよりあった方が良い。しかしあれば成功率が高まると単純には言えない。歯根端切除術の成功を高める要因は多くあり、たとえば10個あるとすればマイクロスコープはその内の1つでかつ優先するものではなく、それは10番目ぐらいに位置しているだろう。問題はマイクロで何を見て見つけて、どこに何をするのかです。
 近年、他院でマイクロを使って再発した症例を、筆者のマイクロを使わない再治療で治癒することが多い。その理由を考えてみた。マイクロを使用するDrは根尖切断面を強拡大でを観察できるが、逆根管だけを見ている。またマイクロを使うDrはMTAを必ず充填する。そしてMTAを充填すれば治ると思っている。残念ながらマイクロを使って再発する場合の原因は、①感染源は逆根管だけではない、②MTAで完全封鎖できない、ことである。たとえば切断面に感染歯質や小亀裂があった場合に、マイクロで見えているはずなのにMTAでは治せないので見えないという現象が起きているのではないかと思っている。そのため逆根管だけが感染源でここだけを治せば全ての症例が治癒すると思い込んでしまったのではないだろうか。逆根管だけをターゲットにしたマイクロスコープを使った歯根端切除術は、成功率は高くならない。現在のマイクロを使った歯根端切除術は、逆根管だけをターゲットにしているので成功率は高くなってないと思っている。2018.6.7.
 歯内療法専門医の中では、マイクロを使った歯根端切除術は90%以上の高い成功率というDrが多い。論文を調べてみたら、正確にはマイクロを使って適応症を狭くした歯根端切除術を行うことで90%以上の成功率であった。つまり従来の適応症では90%に届かないので、再発例や難治症例は適応症に入れないで成功率を上げたものといえる。


124 正しい根尖病変の診断学と治療学が必要。今は足りないと思っている。

現在の歯内療法学の教科書では、根尖病変の原因は根管の感染から生じたもので、治療は原因である感染根管を治療することで治癒するとされている。しかし根管治療だけでは治癒しなくなってしまった根尖病変があることを知って欲しい。根尖病変が長期間に及ぶと、細菌は根尖部歯根歯質にしみ込み、感染セメント質や感染象牙質となってしまうと根管内の治療だけでは治癒しないのである。これを知っておかないと、根管治療や歯根端切除術の失敗原因が不明ということになり対応に苦慮する。
 根尖病変が生じて、根尖部が膿汁の中に長期間に浸かっていると、発症原因である根管以外に感染源が広がり、たとえ適切な根管治療がされても感染源が除去されず治癒されないことが起きる。根尖病変の病因論ではない。病因論としては、う蝕や外傷などによって根管内の歯髄と血管が細菌感染し、根尖孔から外に感染が及んだ場合に炎症となり骨を溶解し根尖病変が生じるとされている。治療学は、根尖病変の原因は根管内感染であるので原因を治療する歯内療法を行うことで治癒するとされている。しかし歯内療法で治癒しない根尖病変は多い。その場合の原因としては根尖部の根管は複雑で網目のようになっているから、根管外にバイオフィルムがあったから、と言われているが、はたしてそうだろうか?もっと単純なケース、上顎前歯部の根尖病変を想定してみよう。私は3000例以上の難治性根尖病変を歯根端切除術で治療してきたが、難治性であった根尖病変の原因として根管だけではではないこと発見した(約35年前)。根尖部における感染歯質(感染セメント質や感染象牙質)と小亀裂であった。つまり根尖病変の治療学として、歯内療法だけでは治癒しないということである。


125 下顎臼歯に歯根端切除術をした場合の後遺症、知覚麻痺について。
下顎の4.5.6番の歯根端切除術を行った場合、下顎神経を損傷し後遺症として下唇やオトガイ部に知覚麻痺が生じることがある。原因:①根尖病巣が大きく、下顎神経と近接していたため嚢胞摘出した際に損傷した。②術野を確保するために粘膜骨膜弁を鈎で引っ張る際にオトガイ神経を圧迫して損傷し。筆者の経験では起きる可能性は約


126 成功率100%の歯根端切除術は可能。
題を見てそんな馬鹿なと言うに違いないが、成功率100%の歯根端切除術は可能である。ただし条件があり、根尖病変の感染源が逆根管だけにある場合で、SBを逆根管充填に使えば100%成功する。逆に言えば成功率100%にならないのは、感染源が逆根管だけでなく他にあるからで、例えば亀裂、感染歯質(壊死セメント質や感染象牙質)、穿孔など。ということはこれらに対応できれば成功率は飛躍的に高まる。
 歯根端切除術をする以上、すべての歯を成功させ残してあげたいと思っている。しかしさまざまなリスクや不確実さからすべてが成功する訳ではない。でも言えることはSB接着充填材を使えば、根尖切除した切断面の逆根管だけが感染源であれば100%治せる。それだけSBの安全性と接着による根管完全封鎖性が優れていることに他ならない。


127 マイクロスコープを使って歯根端切除術したが、再発した原因はこれだった。
私は歯根端切除術の失敗症例から学んで、失敗しない術式を探して確立しようと考えた。それまでの成書による術式ではとても90%以上の成功率を得ることはできなかったからです。現在、マイクロスコープを使えば90%以上の高い成功率が得られると言うDrがいる。これは本当だろうか?疑いを持つ前に、私はこのマイクロを使ったが再発した症例に興味がある。何故マイクロを使ったのに成功しなかったのか、その原因を解明することこそが成功率をさらに高める術式だからです。マイクロを使用するのは歯内療法専門医が多く、必ずMTAを逆根管充填材に使う。今のところ年間に10数例の、マイクロ・MTAを使ったが失敗した患者さんが来院される。
 その再発した原因を検証したところ、予想通り全例において逆根管充填に問題があった。つまり再発原因はマイクロのせいではなくて、MTAのせいだったのです。具体的には、①MTAによる逆根管の封鎖が完全でなく、辺縁漏洩から、MTAそのものがボソボソ、固まってない、脱離していた、などで感染していた。②逆根管にMTAが適切に充填されていたが、その周囲に感染歯質や小亀裂がに残っていて、MTAでは封鎖ができずに感染していた。
 マイクロは強拡大で切断面の根管や歯質を観察し感染源を探すのに有効です。感染歯質(感染セメント質と感染象牙質)や小亀裂があればマイクロ下で見えていたはずなのにどうして治せなかったのだろうか?本当は見えていたのに、見えなかった可能性がある。それは根管だけが感染原因で根管だけを処置すれば治ると信じ勘違いしていた。つまり根管以外にも感染源があると知らなかったという感染歯質の知識の問題と、切断面のこれが感染歯質(白濁、黄褐色、灰色、小亀裂、セメント象牙境の亀裂、軟化、セメント質剥離)だと見分ける目がなかった、MTAに固執しているのでMTAでは治せない感染歯質や小亀裂が見えなくなっていた可能性がある。マイクロとMTAはセットとして使用されるが、本当にこれでマイクロを使えば90%以上の成功率と今後も言えるのだろうか?どこかでMTAあるいは90%を修正するのだろうか?それともアメリカで成功率95%と報告されたEBAのようにいつの間にかうやむやに消えていくのだろうか。アメリカではすでにその反省期に入っていると聞くが検証結果は出ていない。決してマイクロ・MTAを非難しているのではなくて本当の成功率を高めて1本の歯を残したいためです。このブログは今は分ってもらえなくても、未来10年後には明確になり分かってもらえ成功率が高くなるのに役立つだろう。2018.7.5


128「信じる」という功罪。何を信じるか?
信じるということは疑いを持たずに頼ること。信じた先が、真実や正しさであれば大きな力となって前に動くだろう。信じた先が、たとえ間違ったものや勘違いや邪悪なものであっても大きな力となって前に動くだろう。どちらも当事者は信じる心こそが正しいと思っている。だから信じる前に信じるものが本当に正しいかどうかの検証が十分に必要なのだが、なかなかそうはいかない。人間は信じることで楽になるのを知っているから、心の空白を埋めてくれるから。その時は変だなと思っても、自己陶酔や皆や偉い人が信じているから自分も信じてついて行く。楽だから。後で間違ったものを信じていたと分かっても、その際は早く忘れようとする。ポイントは信じるものは本当に正しいものかだ。オウム、ISの洗脳。
 話はそれるが、歯内療法専門医においてマイクロ歯根端切除術の逆根管充填材はMTAが使われるが、MTAを本当に信じて良いのだろうか?日本の口腔外科学会、歯内療法学会は検証したとは思えないが?後悔しないために今、十分な検証が必要だ。筆者の経験として、MTAを使った歯根端切除術の再発例を再手術する機会が増えているのが心配だ。MTAを使ったマイクロ歯根端切除術の成功率が90%を超えるという報告があるようだが、私の遭遇する症例経験からは信じられないし、操作されたデータ報告と感じる。EBAセメントが成功率95%と報告されたがいつの間にか検証されることなく消えていったように。
 2018.7.7.台風で大雨.


129 マイクロスコープで見えているのに見えないものがある。何が見えて何が見えないのか?
歯根端切除術にマイクロスコープを用いるのは良いことで、強拡大で観察できて成功率が高くなると言われている。問題はマイクロで何が見えていて何を見るかです。見えているのは根尖切断面で、根管と歯質に分類できます。何を見るかは感染源です。
 根管においては、根管充填材とその辺縁部を見て汚染度をチェックします。そして根管の封鎖不良は探針や超音波チップ先を押し付けることでチェックできます。また超音波チップで逆根管を形成する際に、根管内から腐敗物がでるかもチェックです。さらに極小根管のイスムスやフィンの有無をチェックします。
 切断面の歯質においては、象牙質とセメント質があり感染歯質の有無をチェックする。白濁、黄褐色、灰色、小亀裂、軟化度、セメント象牙境の白線や亀裂をチェックする。また根尖部の壊死セメント質や、切断面や根管内から亀裂の有無をチェックする。
 マイクロスコープで上記を精密にチェックし、感染源があれば除去し封鎖できれば成功率は高まるだろう。しかしMTAでは切断面に感染歯質があれば対応できない。変な言い方だがマイクロを使う術者はMTAに固執する限り、感染歯質は見えないと思う。なぜならMTAは逆根管を充填する材料で、感染歯質を封鎖治療できる材料ではないからです。見えているのに知らないために、見えない感染源がある。
歯根端切除術においてマイクロスコープを使用する目的は?どんな利点があるの?
マイクロスコープでどこを見るの?何を見るの?何が見える?何が見えないのか?。
どこを見る?:根尖の切断面を見る。何を見るの?:逆根管を見る。つまりマイクロスコープは逆根管を強拡大でチェックし、根管内の感染源を探して除去するために使うということだと思います。そして歯内療法専門医ではMTAを逆根管充填すると思います。ではこの術式でマイクロを使うのと使わないので差はあるのか?マイクロを使わなかったので発見できなかった逆根管の感染源が、使ったので発見できて治療できて成功したかである。
 私の意見は、マイクロを逆根管だけを見るのに使うなら効果少なく「宝の持ち腐れ」です。マイクロは感染歯質と微小亀裂を発見するのに使うならば非常に有効で成功率が高まる。ただしマイクロを使ってもMTAではこれは治せない。変な話だがMTAで治せない感染歯質や微小亀裂はマイクロでは見えていても見えなくなっているかもしれない。
報告論文によると、私見:

①なぜマイクロスコープを使えば90%以上の成功率になるのか?→従来の適応症では90%に届かないので、再発例や難治症例を省き適応症を狭めることで90%以上の高い成功率にした。
②逆根管充填を確実にすることで成功率は高まるが、それでも90%以上にならないのはなぜ?→逆根管だけが原因であれば90%以上になるが、ならないのは感染歯質や小亀裂が感染源の場合である。この場合はマイクロ・MTAを使用しても逆根管治療では難治性です。そのため90%以上にするため意図的に適応症を狭くしておく。 


130 歯根端切除術が再発した場合の対策 
一般的な根尖病変の発生原因は根管の細菌感染からである。一方、根尖病変の治療は発生原因である感染根管だけの治療では完治しないことを認識しなければならない。それは根尖病巣、特に嚢胞壁そのものが感染源培地となってしまうこと、さらには歯根歯質そのものが感染歯質となってしまうことである。未


131 自費で根管治療や歯根端切除術をしたが、成功しなかった場合の治療費はどうしたらいいの?
難しい問題です。歯科医師も患者も治そうと思って努力をするが、結果がでない。医療は成功報酬ではないので契約書に返金はしないとなるだろう。しかし高額な場合もあり一般常識的な返金も必要ではないかと思っている。最近の症例。
 下5番の痛みが出て歯内療法専門医院を受診、自費10万円と言われ入金、麻酔抜髄と根管治療を2回したが自発痛が消えず。次受診時に痛くてもMTAで根管充填すると言われ、不信感が出て転医して来た。開けてみると根尖破壊。これは医療技術の問題点だがどうマネージメントするのが良いのだろうか。この患者さんに歯科医術とお金の不信感が残ってしまった。当院で3回根管治療をして痛み消失して根管充填し冠を被せて終了。前医では通院2回で10万円、返金はできない由。
 別症例で、歯内療法専門医で自費 根管治療8万、マイクロスコープ・MTA歯根端切除術
15万をしたが、再発したので抜歯するしかないと言われた。筆者で再歯根端切除術を行い治ったが患者さんは嘆いていた。


132「藁にもすがる想いで」沢山のメール相談でお気持ちが分かります。
【メール相談から】
①右下6番、抜歯しかないと言われ、にもすがるおもいでこちらにたどり着きました。お忙しいところ大変恐縮ですが、笠崎先生の手術を希望したく、何卒よろしくお願いします。2018.8.15.千葉県

②歯根端切除術後も続く腫れと痛み。はじめまして、こちらのページを見つけをもつかむ気持ちでメールさせて頂きました。右上2番、1年半前に歯根嚢胞のため自費マイクロスコープを使って歯根端切除術をしましたがずっと不快な痛みが続いています。2018.7.16.神奈川県

先ほどはお電話をありがとうございました。本当にお返事がいただけるとは!! にもすがる思いでした。
おかげで気持ちの切り替えが出来、主治医に思いを伝え手術に挑もうと心穏やかです。2018.9.9.滋賀県

133 気になること、歯根端切除術が進化でなく退化している? 
筆者は歯根端切除術の成功率をさらに高めたいと思っている。しかし周りから入ってくる情報は歯根端切除術が退化していると思わざるを得ないことが多く悲しい。逆根管充填をしない術式が歯科大学口腔外科を中心に広まってしまった。口腔外科研修医はその逆根管充填術式を見ることも習うこともなく偉くなってしまい指導医となってしまった。日本口腔外科学会の手術ガイドラインには「歯根端切除術は根尖病巣摘出と根尖切除を行い歯を残す手術」と記載され逆根管充填法は記載されてない。もうインプラントの時代なので無理をして成功率の高くない、術式が面倒な逆根管充填はしないとなったのだろうか?抜かれずに済む歯が抜歯されインプラントになるのは悲しい退化だ。2018.11.7

134 再発例を治療するには、敵を知り有効な武器を持つことが必要である.
<敵を知る>
歯根端切除術を受けて再発した場合、治療は困難で成功率は高くないとされている。理由は再発原因が判らないためで、そのため抜歯するしかないとするDrは多い。再発した原因は歯根のどこかに細菌感染源が残っていたためで、逆根管だけなら治療は容易だがそれだけではないから厄介である。再発例に戦いを挑むのは容易ではない。なぜなら長期に感染が続いた場合には、敵(細菌感染源)は逆根管だけでなく、セメント質や象牙質の歯質に潜んでいる場合があるからだ。これが難治性の理由だがこのことに気づいているDrは少ない。ただ気づいても武器がないからあきらめる。

敵を知るとは分析すること。
再発した原因である細菌感染源がどこに隠れているのか?どんな特徴があるのか?を見極めることが大事。根管と歯根歯質に分類できる。再感染した場所は ①逆根管 ②感染歯質 ③亀裂 ④著しい歯周炎である。

<有効な武器を持つ>
再発例に立ち向かうためにはMTAの武器では戦えない。MTAの開発Drは感染部には非適応と言っている。再発例は感染である。ではどうしたらいいのか?
歯根端切除術の再発例に戦いを挑むためには、有効な武器をアプリでゲットしなければいけない。まずは敵を知り対抗できる武器を持って戦わなければ勝算はない。CT、マイクロスコープ、MTAをもってしても再発例に対してはお手上げ状態だが、安全な医療用SB接着セメントを武器とするならば十分勝てる。2017.5.15

​マイクロMTA再発例を再手術で開けてみた。
​①MTAと歯質との境界部は段差と隙間があり黒く汚染していた。 ②ボソボソで、探針で触れると崩れて充填不良 ③黒く変色しドロドロ泥状で硬化してなく腐敗していた。④逆根管窩洞に存在せず脱離していた。これで本当に成功90%以上なのだろうか?逆根管充填材について歯科大学で研究は進んでいるのだろうか?再発例に対してマイクロ・MTAでは成功する可能性が低いだろう。その理由は①マイクロを使っても見えないものがある。(ブログ.見えていても知らないと見えないものがある)②MTAでは根管と切断面を完全封鎖できないから(Q29の症例)
再発例に対して、マイクロMTA逆根管充填では成功率が高くない理由はこれです。だから「歯内療法専門医によるマイクロを使用して高い成功率94%の報告があります」というデータには再発例は入っていない。
 

135 歯根端切除術を極めるためのキーワードは感染歯質と小亀裂です.
​歯根端切除術が失敗した場合に、このキーワードの知識と見分ける目と治療法を知らずして再手術で成功率を高めることはできない。今日の歯根端切除術の症例は右上1.2番、フラップを開け嚢胞を除去したところ歯根表面は凸凹で変色し壊死セメント質を認めた。根尖を2mm切除し切断面をチェック、象牙質は褐色で少し軟化し白色の小亀裂が無数に認められる。感染象牙質つまり齲蝕である。さらに切除量を増やし逆根管形成しさらに切断面を皿状に形成して、SB接着セメントを流し充填した。歯根端切除術に​おいてこの診断力と治療法は非常に重要で、このことを知らずして無視しては成功率90%の壁を突破できないと思っている。このことを知っても、MTAセメントでは感染歯質や小亀裂に対し完全封鎖できないため治せない。
 現在の歯根端切除術はマイクロ・MTAが主流で、成功率90%以上と報告されそれを信じて多くの臨床家がそちらへ向かっている。しかし論文を調べると再発例や難症例はMTAでは成功率が低いため適応外にされていた。それを入れると実際は90%に到底とどかないだろう。他院で自費マイクロ・MTA手術、再発来院患者さんを再手術したところ、MTAはボソボソであったり根管封鎖不良であった。MTAは充填封鎖はできるが、辺縁漏洩のない完全封鎖や切断面を広く被う封鎖はできない。理由は歯質との接着性がないからで、そのため感染歯質や小亀裂があれば治療できない。これが臨床上の成功率や適応症に大きく影響を与えている。MTA再発例をSB再手術で成功させている経験から、私にはまだこの逆根管充填材料に未来を託すことはできないと思っている。
 マイクロで感染歯質や小亀裂が見えてもMTAでは治せないので、見て見ぬふりをするか、見えていても知らないので見えないのが現状かもしれない。成功率を高めるためにMTAで治せる症例をあえて選んでいるのかもしれない。
マイクロスコープで見えているはずのものが見えない。それは感染歯質と小亀裂。歯根端切除術の再発に大きく関係するから重要なのになぜ見えないのか?見えない理由は1.これがそうだと知らない教わってない、2.見えていてもMTAでは治せないから見えない。

<マイクロ・MTA歯根端切除術は本当に成功率90%以上なのだろうか?疑問あり>
MTA逆根管充填で成功率 90.8
%(Setzer FC, et al. Outcome of endodontic surger)
CT・マイクロ・MTA使用で成功率92.1% などと報告されている。
しかし論文を調べてみると、歯根端切除術の
成功率を出すうえでの対象症例が違っていた。マイクロ・MTA使用での成功率は症例を選別し対象症例を狭くしていた。つまりMTAでは治癒困難な成功率が低くなる症例は除外され、MTAのための成功率が出されていた。除外されたのは再発症例、歯根長1/3以上の大きい嚢胞、感染歯質(感染セメント質・感染象牙質)や小亀裂や炎症性吸収がある、逆根管が3mm以上形成できないなど。特に切断面に感染歯質があればMTAでは治せないので、対象症例に入れると成功率は下がってしまう。分母を都合よく変えれば数字マジックになるので注意したい。SB使用は上記症例を除外してない数字、成功率90%以上であり臨床上で差が出てくるだろう。MTAで失敗してもSB再手術で成功する可能性は高い。

136 筆者は歯根端切除術の再発例の治療を専門としています. 2018.2.6
​現在4か所の歯科で歯根端切除術に限定した診療を行っているが、初診患者さんの1/3は他院での再発症例です。こんなにも歯根端切除術の再発例が多いのかと驚くばかりです。中には歯内療法専門医で自費、マイクロスコープMTAを使ったが失敗した患者さんも来院する。筆者の再発症例の治療レントゲンを見てもらえればその違いは歴然です。自慢話をしている暇はなく何とか広める努力をしたい。しかし病院歯科口腔外科では逆根管充填をしないことがほとんどで、多くの再発患者さんを生んでいる。再発したら次は抜歯するしかないという流れも気に食わない。残せる歯が抜かれてインプラントになるのは悲しく嘆かわしい。
​以上を考え、再発例を筆者の再手術で成功へ導くことを専門にしたい。マイクロ・MTAで失敗した場合でも90%以上の成功率である。何が違うのか?それは感染源の診断とSB接着性セメントの使用である。マイクロを使用しているDrは感染歯質を認めていない。なぜならマイクロで感染歯質や小亀裂を見つけても接着しないMTAを使う限りは治せないから。マイクロとMTAを切り離して考えればいいのだけれど。


137マイクロスコープ・MTAを使った歯根端切除術が失敗してもあきらめないで。
自費でマイクロスコープ・MTAを使って歯根端切除術をしたが失敗した場合、もうあきらめて抜歯するしかないのか。この失敗の原因は何だろう?再手術での治療経験から言えることは、
​1.MTA逆根管充填で根管の完全封鎖ができていなかった。
​2.切断面に感染歯質や小亀裂があり完全封鎖ができなかった。
​3.マイクロスコープで切断面の根管だけを観察し、感染歯質を発見できなかった。感染歯質があれば歯質接着性のないMTAでは完全封鎖できないので治せない。


138 歯根端切除術はリスクと成功率を説明し同意を得てから行う。そのリスクとは? 2018.3.18
​手術をすれば100%成功する訳ではなく、リスクがあるがために成功しない場合もある。そのため術前レントゲンで考えられるリスクと程度、成功率を説明しておかねばならない。成功を妨げるリスク要因としては、1.歯根の亀裂、2.感染歯質、3.重度の歯周炎のため根尖病巣と歯周ポケットとが交通としている、が挙げられる。この病態リスク要因以外にも、患者さんと担当医との間の説明理解リスクがあると思っている。
リスクがある場合に手術をするかしないかの判断はどうするのか?
病態が重く成功する可能性が50%以下であれば手術は勧めない。50%以上であれば患者さんにリスク説明をした上で納得すれば行う。成功した場合には非常に感謝されるが、失敗した場合には患者さんと術者の嘆きは大きく、手術したことを後悔することになる。リスクに納得したつもりでも失敗した場合には、説明を理解してなかったということもあり注意が必要だ。
​私の経験では、
1.説明をハイハイ全てお任せしますと聞いてなく、理解せず質問が全くない患者さん。質問があれば病状やリスクを理解していると判断できる。
2.勘違いしたこだわった思い込みが強く、自分の望む説明でなければ納得できず、期待する回答が出るまで堂々巡りで同じ質問を何度も何度もしてくる患者さん。こちらの説明がその考え方と一致してないと聞く気はなく、リスク説明も馬耳東風。
は要注意で、リスクの高い手術をするのは、成功しなかった場合にはトラブルを招く可能性があるので避けた方が賢明である。Drにとってだけでなく患者さんにとってトラブルを避けるために。


139 MTA再発例の原因をする検証する。そしてSB再手術で治す。
2018.3/19. MTAの再発例。東京。1年半前と7カ月前にかかりつけ歯科で右上2番、2回歯根端切除術をした。自費、MTA逆根管充填と人工骨を使用したとのこと。しかし痛みが続いて再発、我慢できなければ次は抜歯と言われた。で今日、国立駅前歯科で再歯根端切除術をしたところ、根尖は3.5mm切除され根尖部の人工骨は感染して肉芽組織を認めた。根尖部切断面は根管形成されていたがMTAは脱離し、根管充填材は灰色に汚染され感染源となっていた。このようなMTA再発例は多い。感染した人工骨をできる限り除去し、SBを逆根管充填した。結果は・・・3か月後の定期検診で良好。さらに。
2018.3/19. MTAの再発例。今日の新患は京都から。右上2番を1回目は某歯科大学で歯根端切除術したが再発。2回目は歯内療法専門医でマイクロスコープ・MTAを使用し再歯根端切除術、自費17万円。しかし1か月後に歯茎から排膿し再発。今日初診の症状は右上2番の歯茎に2か所のフィステルができ排膿と圧痛あり。次回に再再歯根端切除術の予約をして帰った。現在、月に1人ぐらいでMTA再発患者さんが来院している。今後、本当にみんなMTA逆根管充填を続けていくのだろうか?
2018.3/20. MTAの再発例。長崎からメール相談。4年前に国立某大学歯内療法科でマイクロスコープ・MTAを使って右上2番の歯根端切除術を行った。手術2~3か月後から違和感、時には痛みがあり担当医に相談するが様子をみましょうとのこと。4年経ったが歯根部の痛みが強くなり、近歯科でレントゲンを撮ったところ根尖部に陰影を認め再発していた。MTAを使ったのになぜ再発したのだろうか?逆根管充填の不良だろう。 5月に来院、再歯根端切除術をしたところ、歯根縦亀裂と逆根管のMTAは硬化してなく真っ黒ドロドロで汚染していた。SBで治療したがリスク大でどうなるか。7月の定検で良好。
2018.3/26.国立駅前歯科で、新患2名で群馬県からと静岡県(浜松の病院口腔外科)から。2人とも歯根端切除術の再発で、近隣の歯科を4~5件受診したがすべてで抜歯するしかないと言われたとのことこと。失敗原因は根尖切断のみで逆根管充填をしてなかった。普通の症例で再手術の予約をして帰られた。抜かなくて済む歯が抜かれてしまうのは悲しく情けない。
後日、歯根端切除術とSB逆根管充填を行う。2か月経過メールで順調に回復、治癒へ向かっている。嬉。


140 マイクロスコープを使うと何がどう違うのか?  未
マイクロスコープは切断面の感染源をチェックするのに非常に有効です。ターゲットは根管と歯根歯質です。根管だけのチェックであればマイクロの必要性はない。マイクロを根管のチェックだけにを使うのは「宝の持ち腐れ」であまり意味はない。根管、イスムス、フィンだけが感染源であるなら拡大鏡を使用することで十分確認できる。
 特にマイクロが有効なのは感染歯質(感染象牙質や感染セメント質)の発見で、切断面の歯質が白濁・灰色・黄褐色、微小亀裂、セメント象牙境の白線・亀裂をチェックし、あれば除去し接着性セメントで完全封鎖をする。感染歯質と微小亀裂の発見にはマイクロスコープを使用し強拡大     しかしマイクロを使っているDrは、誰も感染歯質が感染源だと言っていない。不思議なことだが何故だろうか?マイクロを使っても見えてないのだろうか?見えなければ治せないし、再発する。感染歯質を治療できなければ、私の経験からは成功率90%以上は無理だという認識なのだが。マイクロを使っているDrは感染歯質は見てなく治療はしてないはずだが、成功率は94%以上と言っているが本当だろうか?。疑問だらけだ。私の経験が間違っているのだろうか?


141 長い金属コアを除去し根管治療か、歯根端切除術かの選択。ん~難しい。
冠を壊して除去し、長い金属コアをタービンバーとエンジンバーと超音波チップで除去する。そして根尖病巣に対して根管治療を行う。歯根の亀裂や根管穿孔エラーが生じればアウト。リスクを介して苦労して根管治療で治癒すればOKである。しかし根管が上手く開いたけれど根管治療の効果がなく、追加して歯根端切除術をすることになるならば、コアを除去したのは無駄になってしまう。根管治療の効果がない場合は、感染歯質、閉鎖や湾曲した根管、根管穿孔、大きい歯根嚢胞などの場合である。歯根端切除術の成功率が高くないならこれもありだが、除去時の亀裂や穿孔のリスクは小さくなく怖い。


142 歯根亀裂を防ぐために歯科医は、何を考え何をしなければいけないのか?
歯根端切除術を数十年してきた中で、予後の良い術式はほぼ完成した。しかし100%ではない。妨げているのは術式の問題ではなくて、原因は亀裂と感染歯質である。歯根の亀裂・破折は起きてしまってからの対応は困難であり、起きないような予防対策、防止対策が必要だ。まだ足りないと思っている。私が考えるに、
1.根管治療時に強アルカリ性液を使うことで歯質の強度を弱めてないか?そうなら替わる消毒剤は。2.根管充填材は歯質接着性を使うこと。現在の酸化亜鉛材では補強にならない。
3.コアは金属でなく象牙質と同じぐらいな曲げ率物を使用し、象牙質とコア材とが接着して一体化するようにする。あるいは根管充填時にコアまで一体として作成する。コアの材質で炭素繊維(テイジン)、カボコーマ(耐震補強材)を検討する。


143 経済的に苦しいため歯根端切除術が受けられない方へ 2018.12.12
患者さんの中には経済的に恵まれない方もいらっしゃると思います。その場合には、国立駅前歯科に来院下さい。保険内で1歯1万円前後です。でも混んでいるので手術は初診から約3~4か月待ちです。また1万円も苦しければ、私のできる範囲で手術費用は安くしますので、このHPメール相談に苦しい事情を書いて貰えれば考慮いたします。学生や無職の方、生保や母子家庭の方。保険内で歯根端切除術をするのは開業歯科医院にとっては苦しく、院長には迷惑をかけますが私の給与がなくても何とかします。筆者は営利目的で診療をしている訳ではなく、何とか歯を残してあげたい想いが強いだけです。私も91歳母の介護をしています。助け助け合うことはお互い様です。

144 歯根端切除術における私の役割、務め。  2018.12.13.
むし歯から生じた根尖病変が根管治療で治らないとなると抜歯になる。その前に歯を残すために存在するのが歯根端切除術だ。しかしながら①歯根端切除術の成功率が不確実 ②抜歯してインプラントの方が確実、という中で成功率を高める研究や臨床が進んでいない。むしろ以前と比べても口腔外科では逆根管充填をしない術式が当たり前になって、退化してしまった。さらに最近ではインプラントのアクセルを踏むことで抜歯のハードルはさらに低くなった。
 私は長年、歯根端切除術の失敗例を検証することでその原因を解明しようとした。成功例よりも失敗例に成功率を高める秘密が隠されていると考えたから。従来(今もそう考えるDrは多い)は逆根管のみが感染源とされて外科的歯内療法とも言われ、そこだけの治療で治癒すると信じられてきた。しかし逆根管は完璧治療でも再発は存在した。そこで発見したのは感染歯質であった。そしてこれを治すには単なる固まる充填材ではなくて、歯質接着性の充填材が必要と考えた。そこで目を付けたのが安全な医療用接着材であるスーパーボンドである。当初は造影性や硬化時間が長いなどの欠点があったが改良され、歯根端切除術に特化して応用が可能となった。この術式を受けた再発患者さんが「自分の歯が抜かれず済んだ」と喜んでいる顔を見るだけで、十分に報われた思いです。

 接着充填材応用の歯根端切除術は、逆根管と感染歯質を完全封鎖できることで、高い成功率を成し遂げる。また感染歯質の診断と治療法を確立したことも重要であった。根尖部の感染歯質が再発原因になると論じたのは私が初めてであるが、まだ信じてもらえない。感染歯質の研究が臨床に追いついていない。いずれ教科書に記載されるだろう。感染歯質を知らずして根管治療や歯根端切除術の高い成功率は成しえない。
 SB歯根端切除術はまだ始まりに過ぎない。あきらめて抜いてインプラントにされていた歯が、まだこの術式で残せることを知って欲しいし、多くの人に広く行き渡ることを切に願います。
歯内療法専門医は、再発しないためにマイクロスコープに救いを求めた。マイクロスコープを使用することで成功率は94%というデータを信じて。でもマイクロスコープでは感染歯質は見えない。


145.歯根端切除術は感染源との戦いだ。敵は歯根の感染源。
感染源、バイキンマンとの戦いである。歯根のどこに潜んでいるのか見つけ出し除去し、また繁殖しないようにその場所を封鎖する。再発例を成功へ導くためには、敵を知り(感染源の特定)有効な武器(完全封鎖できる逆根管充填材)を持って、戦い(再発治療)に挑まなければならない。戦いに一度敗れているので再戦(リベンジ、再発治療)となれば、同じ戦法や同じ武器をもってしては負けるのは目に見えている。敵の特性を解析し戦法を練った上で隠れ潜んでいる場所を探し出すことが最も大事だ。もぐらたたきのイメージだ。有効な武器とは何だ。感染源をを除去した後の穴や歯面を完全封鎖できる、歯質接着性セメントである。歯質接着性がないと感染部を完全に封鎖できず成功率の低下につながる。ここまでやるか、とこだわらないと成功率100%に近づかない。一方、逆根管充填をしない歯根端切除術は成功を目指さない術式であり、成功をあきらめたと言える。

146.歯根端切除術は口腔外科、歯内療法科のどちらでするのが良いのでしょうか?歯内療法医の先生が困っている歯根端切除術 
歯根端切除術を行う科としては口腔外科と歯内療法科で、両科が協力しあって研究や臨床に当たることになる。お互いに得意不得意の分野があると思われる。長く歯根端切除術に関わってきて、私の口腔外科医から見た歯根端切除術において、歯内療法科の先生方が困っていることが少し見えてきたので、少しでも溝が埋められたらと思い書いてみました。
歯内療法専門医が歯根端切除術をする上で困っていること、
1.下顎4.5番の歯根端切除術は、オトガイ神経が近接しているので知覚麻痺の後遺症を考えるとしたくない。
2.上顎5.6.7番において、根尖が上顎洞内にあったり、根尖病巣を摘出したら上顎洞と穿孔してしまう症例はしたくない。上顎洞のことが良く分からず上顎洞炎になったら怖いから。
3.歯根の1/3以上の大きい歯根嚢胞がある歯根端切除術はしたくない。術後に痛み、顔面の腫れや内出血班、感染、全身症状などが出る恐れがあるから。
4.上下顎6番の歯根端切除術はしたくない。術野の視界が悪く根尖が良く見えず、止血困難、逆根管充填が適確にできない。下顎6番は下顎神経麻痺の後遺症が起きると嫌だから。某歯科大学歯内療法科から時々下顎6番の歯根端切除術の依頼がある。歯内療法医はできないので同じ大学口腔外科に手術依頼すると逆根管充填してくれないからとのこと。2018.12.22.
5.歯内
療法医は成功率を高めるためにマイクロスコープに救いを求めた。

<歯内療法専門医が歯根端切除術を避けたいと思っている部位>
上顎5.6番は歯性上顎洞炎が生じると怖いのでしない。
下顎4.5.6番は下顎神経麻痺が生じると怖いのでしない。


147.保険と自費で成功率に違いがありますか? 未
これにどう回答するかは本当に難しい。本音で書けば①成功率の高いこだわった術式が保険診療費で医院経営上で見合うのか、がポイントとなる。手術保険点数は1350+400=1750点で17500円が医院が得る収入。かかる手術時間は約1時間30分。人件費、手術器材費   見合わなければ続けることはできない。
②まずは30分ぐらいな簡単な手術をするのか、1時間半の手術をするのか。③普通術式か成功率の高い術式を選択するのか。④医院としては決められた保険点数(診療費)で成功率の高い術式ができるかどうか。。保険と自費の線引きは難しい。保険費用で成功率の高い術式ができれば問題ないが。保険でできない理由として、かかる費用は、高額な器材、器械、保険対象外の器材

成功率の高い術式にかかる費用とは
患者さんとしては、保険内の費用で成功率の高い手術をして欲しいと思っている。しかし医院としては保険内で成功率の高い手術をすれば利益がない。また保険と自費の混合診療は禁止である。


148. 再発した場合、管治療をしてから再手術しないとまた再発するのか?
再発例に対する根管治療専門医の治療方針について。  

歯根端切除術を受けましたが再発しました。新たに転院した先の根管治療専門医の先生に、「歯根端切除の再手術を受ける前に根管治療をした方がいい。根管治療で中の細菌をなくして、それでも痛むようなら再手術。細菌は圧力があるから、根管治療をちゃんとやった上で再手術しないと再発の恐れがある。」と言われました。

なのでまず現在通ってる医院で、自費で根管治療をしてもらいそれでも痛みがでるようなら再手術をしようかと思いますが、先生はどう思いますか?
回答:私の考え方は少し違います。再発例の根管充填が不良なら、冠や土台を壊して再根管治療をしてから再歯根端切除術をした方がいいでしょう。しかし根管充填が良好なら再根管治療は必要ないと思っています。再発した全ての症例で根管治療をやり直すのは無意味なことです。前者のケースは
 レントゲンをチェックすると、今回の再発した原因は根管治療不良による根管内の細菌残存のせいにするのは間違いです。再発は根管内に細菌が残っていて再発したのではないです。
 問題は再発した原因が、①根管の中に細菌が残っていたからなのか、②根管の中には残ってなく逆根管部の封鎖不良感染であったのか、③根管ではなく感染歯質が感染源となっていたから、を診断することである。私の歯根端切除術約3000症例、長期経過観察成功率90%以上の経験からは、再発原因のほとんどは②で再根管治療をすることなく治癒している。①を完全否定はしないが。
 一方、再発例においては、切断面の根管は破壊されているため再根管治療だけでは治癒しない。そのため追加して歯根端切除術をしなければいけない。再発例において、再手術をする前に根管治療をするかしないかで、見解の相違がある。どちらが正しいかはそれぞれの術後長期経過の治癒評価が示してくれると思っている。
 再発症例を根管治療だけで治癒する可能性はあるだろうか?根尖孔が破壊されているためそれは限りなく0に近いだろう(例外的に根尖孔が破壊されてなければ治癒する)。では再発症例を根管治療専門医が再根管治療した後、追加してマイクロ・MTA歯根端切除術をした場合に、成功率はどれぐらいだろうか?


149 歯性上顎洞炎と言われ抜歯を勧められた。歯根端切除術で歯を残せますか? 2019.3.1.この3か月間で、歯性上顎洞炎の患者さんの歯根端切除術を3人行い、メール相談が4人と多い。何かあったのかな~。

歯性上顎洞炎に関係するのは上顎 5.6.7番の歯。根尖病巣が上顎洞底に近接し、細菌感染が上顎洞に広がった状態を歯性上顎洞炎という。歯痛、歯茎の痛みや腫れ、頬部の痛み、鼻症状、頭痛が生じる。歯性上顎洞炎になった患者さんは、どこの病院へ行けばいいのか、どんな治療を受けるのか、解説します。歯性上顎洞炎の基本治療は原因歯の抜歯ですが、歯を残すための治療も考えてみたい。

<歯性上顎洞炎はどこの病院に行けばいいのですか?>
「歯科に行けば耳鼻科に行って下さいと言われ、耳鼻科に行けば歯科で治療を終えてから来て下さいと言われ困っている」と患者さんからよく聞く。開業歯科から耳鼻科へ行ってくれではなくて、まず耳鼻科のある病院口腔外科に紹介するのが良い。病状を診断して歯科、耳鼻科、口腔外科のどこで治療すれば良いかをマネージメントしてくれると思う。
 筆者の病院口腔外科勤務時にはそれは普通の仕事としていたが、開業歯科の先生に歯性上顎洞炎は口腔外科の領域であることが広まってないか、紹介しても抜歯されるだけの選択で嫌がられているかだ。口腔外科医のマネージメントが上手くできてなく、紹介がスムーズでない原因があるかもしれないので、流れと問題点を挙げてみたい。

<流れ>
患者さんは歯や歯茎、頬の症状があるので一般的に
歯科医院を受診。歯科医院で虫歯などの歯性から来たものかどうか診断がなされ、歯性であれば根管治療などの歯科治療が行われる。しかし症状が重症であったりパノラマレントゲンで上顎洞に陰影が認められ、歯性上顎洞炎が疑われれば耳鼻科のある総合病院や大学病院の口腔外科へ紹介状を持って受診するのが良い。
 口腔外科では歯性上顎洞炎の疑いがあれば、臨床症状、電気歯髄検査、レントゲン、CTなどで根尖病変や歯周炎のある原因歯を特定し、抜歯・根管治療・歯根端切除術、再植術など治療方針を決定する。また鼻性や上顎洞以外の副鼻腔にも病変があれば、院内の
耳鼻科へ紹介し協力して治療に当たる。
 一方、鼻症状があって上顎洞炎の患者さんが耳鼻科を受診した場合はどういう流れだろうか?鼻内診察、CTを撮って病態を診て診断、抗生剤を処方される。そしてCTで根尖病巣を認めれば、歯の症状はないですか歯の治療をしていますか?と質問して、あればまず歯科に行って治療を終えてから、また受診して下さいと言われると思います。しかし歯科に行っても良く分からずまた耳鼻科に行ってと言われてしまう。正解は病院口腔外科に回してもらうことです。

<歯性上顎洞炎の治療>
​口腔外科:歯性上顎洞炎と診断した場合、基本治療は原因歯の抜歯である。例えば左上6番の歯根嚢胞が原因で上顎洞炎になっていれば、抜歯によって感染源がなくなり急速に消炎され上顎洞病変も消退する。問題はどの歯のどの歯根が原因なのか、抜歯以外に根管治療、歯根端切除術、再植術の選択肢はないのか?歯を残したために再発は起きないのか、を口腔外科医が診断し経過を診てあげないといけない。口腔外科医も抜歯ありきで治療方針を決めることなく、残せる歯は残してあげないといけない。根管治療で治る可能性があるなら開業歯科へ紹介状を書いて依頼したり、同科で歯根端切除術や再植術を行って歯を残す。細菌検査や自然孔が開いているかの確認も大事です。口腔外科治療が終了しても治癒しない場合、鼻性の場合、他の副鼻腔に病変が及んでいる場合には、口腔外科から耳鼻科へ治療を依頼する。
耳鼻科:上顎洞炎症状があるからと受診しても、歯科症状があれば歯科に行って歯科治療が終わってから来てくださいと言われてしまう。耳鼻科での治療は、歯科感染病変が無くなっても症状や副鼻腔病変が消失しない場合です。例えば鼻茸、鼻中隔湾曲、鼻粘膜の肥大などでの自然孔閉鎖が生じている場合、好酸球性副鼻腔炎の場合、上顎洞以外の副鼻腔病変がある場合です。薬物療法を行っても自然孔が閉鎖し症状が消失しない場合や、副鼻腔病変が改善しない場合には、内視鏡下副鼻腔手術を行う。
歯科:根管治療で治せるなら行ってみる。

患者:抜歯したくない。何とか歯を残したい。

耳鼻科の先生のために、口腔外科医が何を考えているかを記載したい。まずは歯性上顎洞炎の診断である。歯痛、頬部の腫れや痛み、鼻症状などがあればパノラマレントゲン、歯科レントゲン、CT検査を行う。ここでチェックするのは歯と副鼻腔である。
 歯においては原因歯の特定診断をする。CTで上顎洞底部と原因歯となる歯根周囲に病巣陰影があれば診断は容易である。原因歯となるのは上顎5.6.7.8番で多いのは6.7番。確定診断のために電気歯髄診断器で4.5.6.7.8.の歯髄検査を行う。神経が生きていれば原因歯ではない。つまりこの全ての歯で+反応があれば歯性上顎洞炎ではないと判断できる。−反応なら神経は死んでいて、根尖病変があったり、根管治療がされてない、重症歯周炎があれば、歯が感染源である歯性上顎洞炎と言える。
 知っておかねばならないのは、歯からの感染で歯性上顎洞炎になる場合と、上顎洞炎からの感染で歯髄が死んで根管が感染源になっている場合があること。そのため電気歯髄診断は重要。また8番が埋伏していれば感染源となる智歯周囲炎もチェックしておく。歯茎や根管から排膿があれば細菌検査を行う。
 ついで副鼻腔のチェック。副鼻腔は上顎洞、篩骨洞、前頭洞、蝶形骨洞と4つあり、CTでそれぞれの洞病変をチェックし、上顎洞以外の副鼻腔病変があれば鼻性の可能性が高く、歯根チェックの後に耳鼻科に診療依頼する。耳鼻科では必要な歯科治療が終われば、鼻疾患チェック、抗生剤での薬物療法、内視鏡下副鼻腔手術を選択する。

 歯性上顎洞炎の診断がつくとは、原因歯が分かったということ。治療の基本は原因歯の抜歯。抜歯すれば上顎洞への感染源がなくなり、急速に消炎し上顎洞病変も消失し治癒する。口腔外科医は治療を早くしたい、再発を避けたい、耳鼻科医の手前で早く原因を除去し耳鼻科へ回したい、ために抜歯することが多い。しかし抜歯以外に選択肢がないのならともかく、患者さんは抜歯したくない訳で歯を残す選択を検討する。根管治療、歯根端切除術、再植術などが選択肢となり、そのマネージメントや治療をするのが口腔外科医の仕事であると私は思っている。
 歯性上顎洞炎の治療ポイントは、細菌感染症であるので細菌検査、CT検査での精査、上顎洞自然口の開閉チェックです。
 耳鼻科の先生へご迷惑をおかけします。残念ながら開業歯科医は副鼻腔炎の知識はあまりなく歯性上顎洞の診断はできないことが多い。患者さんが耳鼻科を受診して歯性上顎洞炎の疑いがあった場合は、「開業歯科で歯科治療を終えてから来てください」と言うと思いますが、受診した歯科では「上顎洞は歯科領域ではないので耳鼻科に行くか、口腔外科に行って下さい」となります。そのため開業歯科ではなくて、耳鼻科のある病院口腔外科に紹介するのがいいと思います。しかし問題は、紹介した口腔外科で適確な歯性上顎洞の診断と、抜歯以外の選択肢を検討してくれるかである。電気歯髄診断器を置いてなければアウトで、歯性上顎洞炎の診断は不可能である。2019.6.7.
耳鼻科の先生からコメントが来ました。2019.6.8.
耳鼻科医から見て困っていることは、「歯性上顎洞炎について知識のある歯科医がまず少ないことです。病院口腔外科へ紹介しても、確実な診断ができず、その上提案されることは抜歯のみです。
明らかに抜歯が必要ならそれも了解できますが、若い方の場合、抜歯することの将来的なデメリットを考えてしまいます。なので、抜歯以外の選択肢も念頭にあると良いのですが、なかなかそういうところはお目にかかったことがありません。
●筆者:これに応えられる病院口腔外科医がいないというのは反省しなければいけない。歯性上顎洞炎に最も詳しい者として対応しマネージメントできなければならない。そのためには上顎洞炎の知識と診断、歯根端切除術と再植術が確実にできなければならない。根管治療は開業医へ依頼指示すれば良いと思う。

<歯性上顎洞炎の治療、歯を残すための治療ポイント>
1.まずは診断。問診、臨床症状、パノラマレントゲン、歯科レントゲン、CTで精査。
2.どの歯のどの歯根に根尖病巣があるのか? CTで上顎洞病変があるかないか?歯根と上顎洞底との関係を精査し、上顎4.5.6.7番に電気歯髄診断を行ったうえで、原因歯を確定する。歯性?鼻性?耳鼻科医との連携も重要。
3.歯性上顎洞炎の基本治療は原因歯の抜歯である。しかし病態によっては根管治療や歯根端切除術、再植術で歯を残すことは可能であり治療方針を立てる。ただ患者さんには、原因歯を残すことは上顎洞炎の再発リスクがあること、経過不良の場合はやはり抜歯になることを理解してもらう必要がある。
4.細菌検査をしておく。歯茎にフィステルや根管から排膿があれば細菌検査を行い、急性炎症時や手術後の抗菌剤選択に役立てる。
5.上顎5.6.7番の原因歯を残すための外科治療について。
①上顎6番の場合。歯根は3本(MLなら4根)あり、頬側に2根、口蓋に1根である。歯根端切除術は頬側2根はできるが口蓋根は根尖が見えないのでできない。口蓋根に病巣なく頬側根だけの病巣なら、歯根端切除術で歯を残せる可能性は高い。もし口蓋根の病巣が歯性上顎洞炎に関係するならば、抜歯の選択が良い。再植術の選択もあるが6番は歯根が開大しているため、抜歯時に歯根破折が生じ再植できないことが多い。口蓋根をスーパーボンド根管充填しておいて逆根管充填せずに切断だけ方法もあるがかなり大変。
 
もし内側根に病巣がある場合は歯根端切除術はできないので、内側根の根管治療をしてから頬側根の歯根端切除術をするのが良い。内側根の根管治療が不可能な場合の選択肢は、①抜歯 ②口蓋根を切断除去する ③根管充填をSBでして根尖切除のみをする ④再植術(歯根の開大や弯曲があって歯根破折を起こし再植不可能となってしまうことが多い)

上顎7番の場合。上顎7番は歯根端切除術ができないので再植術で対応する。ただし頬側根だけの病巣でなおかつ口角を強く引っ張って我慢できるようなら、歯根端切除術ができる場合もある。口蓋根は歯根端切除術はできない。口蓋根をスーパーボンド根管充填しておいて逆根管充填せずに切断だけ方法もあるがかなり大変。
上顎5番の場合。上顎5番は普通に歯根端切除術できる。

6.歯根端切除術とともに上顎洞内病巣を同時に摘出する。あるいは2回に分けて手術約1か月後に上顎洞内病巣を摘出する。上顎洞内病巣を摘出すると頬部の腫脹や痛みが著しいことがあり、2~4日間入院が必要な場合がある。
7.自然孔が開いているか、閉じているか?これは上顎洞病変治療の予後に大きく関係する。術中に上顎洞穿刺吸引、陰圧陽圧試験で確認しておく。
8.手術2日前から抗菌剤を内服して消炎に努める。
9.いずれにしろ上顎5.6.7番に大きい根尖病巣を認め、上顎洞に近ければ口腔外科での対応が望ましいと思います。
10.ここでいう歯根端切除術は接着セメントで逆根管充填をする術式を指している。根尖切断のみで逆根管充填をしない術式では感染源が残り成功率は高くない。

11.上顎洞病変と歯根嚢胞の関係での術式の違い(あくまで筆者の術式)
●CTで上顎洞病変があると分かっている場合
①歯根嚢胞と上顎洞との間に骨がない場合の術式:
歯根嚢胞を摘出した後、上顎洞内病巣も一緒に摘出する。つまり嚢胞骨腔底があった所が上顎洞底になり、上顎洞内に歯根が大きく突き出した状態となる。そして19G針15ml注射器で上顎洞を穿刺吸引、陰圧陽圧試験を行い自然孔の開閉を確認しておく。自然孔が開いていれば良好な経過、閉鎖していれば術後症状は強いだろう。閉鎖していてもこの手術や薬物療法で将来開けば歯性上顎洞炎は急激に治癒へ向かう可能性は高い。将来も閉鎖していれば難治性で、マクロライド療法や耳鼻科で内視鏡下上顎洞開放術の必要性がある。細菌検査、病理検査。
歯根嚢胞と上顎洞との間に骨がある場合の術式
境界の骨を大事にする術式を選択する。つまり破らないように歯根端切除術や再植術を行い、病巣摘出後の空洞に骨を造成させる。境界骨が薄く一部破れてしまった場合には、スポンゼルを薄くつぶしてその部にあてがうのは有効です。同日あるいは他日に犬歯窩にラウンドバーで穴を開けて、19G針15ml注射器で上顎洞内を穿刺吸引、洞内洗浄、陰圧陽圧試験を行い自然孔の開閉を確認しておく。その後は①と同じ。

●上顎洞病変の有無が分かっていない場合
①歯根嚢胞を摘出したら上顎洞と大きく交通した場合、あるいは骨が薄いため除去したら交通した場合は:歯根端切除術と同時に、上顎洞穿刺吸引と陰圧陽圧試験を行う。自然孔の開閉チェックは治療に重要である。
②歯根嚢胞を摘出したら上顎洞との間に骨があり穿通してない場合は、通常の歯根端切除術を行う。上顎洞との穴が3mm以内であればスポンゼルをつぶして穴を封鎖することもある。


ブログ的感想:<歯性上顎洞炎の治療は原因歯の抜歯が原則。だが患者と担当医が信頼があって頑張れば歯を残すのは大変で面倒なことだが可能である>

①歯根端切除術の成功率が非常に高くないと踏み切れない。絶対に根尖病変を再発させないためには、筆者は接着性セメントの逆根管充填が必須と考えている。歯を残す歯性上顎洞炎の治療のためには、精度の高い成功する歯根端切除術がどうしても必要です。MTAセメントでは完璧な逆根管封鎖ができないので再発リスクがあり適応ではないと思っている。
②現実は歯根端切除術で逆根管充填をしない術式がされることが多く、成功率が低いため抜歯が選択されると思われる。
③上顎6.7番歯根の手術は大変です。患者さんは口角を強く引っ張られて痛く、術者は根尖が良く見えず器具が入りづらい。また6番の歯根端切除術を行うために、根尖部の骨を除去し開窓するが上顎洞と大きく交通することが多い。術中に整理食塩水で何度も洗浄するため、患者さんは咽頭に流れ出た洗浄液でゲボゲボとむせて苦しむことになる。

●流れ:
上顎洞炎の症状があるのか?上顎洞に病変があるのか?レントゲンやCTで歯根病巣が見られ歯源性のか、歯に関係ない鼻性なのか?歯性上顎洞炎と診断された場合、治療として基本は原因歯の抜歯。理由は抜歯すれば原因が無くなり再燃はない。歯を残すと再発のリスクが残り再燃する可能性がある。
 抜歯されるのは誰でも嫌で、「何とか歯を残せる道はないものか?」。一応あるがなかなか大変で面倒な領域であるため、歯科医は速く確実にすっきり再発のない抜歯を選択することになる。歯を残す治療は①根管治療②歯根端切除術③再植術が挙げられるが、①は効果に乏しい、③は上顎7番に応用される、②は6番5番に応用されることが多い。歯を残すことは上顎洞炎の再発リスクをを残すことではあるが、原因歯根に成功率の高い歯根端切除術がなされるならば、成功率の高い再発しない歯性上顎洞炎の治療が行われることになる。

 歯性上顎洞炎の原因歯のうち、頻度の高い上顎6番、7番について述べてみたい。
上顎6番の歯根は3本あり、頬則2本は歯根端切除術できるが、口蓋根はできない。頬側根の根尖病巣なら手術成功率は高く、口蓋根に根尖病巣があるなら手術できないので抜歯が選択されることが多い。つまり歯性上顎洞炎の原因が頬側2根なら治せて、口蓋根なら治せないということ。逆に言えば口蓋根に病巣がなければ成功する可能性が高いということです。
 歯性上顎洞炎について歯科的治療を述べたが、耳鼻科的治療が追加必要となることを考慮しなければならない。どの段階で依頼し、耳鼻科医が病態をどう考え、どう治療あるいは治癒したと判断するかである。歯科治療だけで完治は可能ではある。歯科医は副鼻腔の解剖学的構造、上顎洞以外の副鼻腔病変、自然孔の位置と役割、洞粘膜の繊毛運動、上顎洞病変の感染症状、感染した場合の細菌検査と抗菌剤選択、CTの読影などを理解したうえで、歯性上顎洞炎の治療にあたることが必要です。
 歯を残す歯性上顎洞炎の治療は、成功率の高い歯根端切除術を行うことであり、そのためにはレントゲンとCTの画像診断、逆根管充填を行う、逆根管充填材に接着セメントを使う、ことが重要だと筆者は思っています。


150.強アルカリ性根管治療薬による化学熱傷痛。MTAを使って歯根端切除術をした後に痛みが続く原因とは?

MTA歯根端切除術と術後疼痛の関係とは
<MTA強アルカリによる化学熱傷が生じた痛み>と考えている。2019.3.3.
MTAを逆根管充填したが、術後に数カ月間~6か月間うずくような痛みが続くため、担当医に相談するが分からないと言われ心配され来院する患者さんが時々いる。歯肉の腫れやフィステルなどの感染症状はないが、強い鈍痛と圧痛が毎日続いているため患者さんはかなり辛いとのこと。歯内療法専門医のほとんどはMTAを逆根管充填に使うので、そのような経験を多くしていると思われるが原因は何だろう。調べてみたがそのようなMTA術後疼痛の文献記載は見つからなかった。

   以下は筆者の推測ではあるがその長引く痛みの原因ではないかと思われる。つまりMTAセメントは水と反応すると強アルカリ性となり長期に維持されることである。
 酸とアルカリの関係はpH0~14でpH7が中性、pH0は強酸性の塩酸、pH14は強アルカリ性の水酸化ナトリウムで劇薬。強アルカリとはpH10以上でタンパク質を腐食する作用がある。MTAは充填直後はpH10、硬化後はpH12.5となりその後はMTAは骨腔内に水酸化カルシュウムを溶出しpH12を数か月維持するとのこと。
 根管治療薬として水酸化カルシュウム剤としてカルシペックスがあるが根尖孔から根管外に漏洩すると骨や骨膜に化学熱傷と起こし、非定型歯痛と同様の強い痛みを訴えることがあり注意が必要です。

 痛みは強アルカリ性の時期に一致しているようで、もしそうなら骨腔内で強アルカリによるタンパク質腐食や骨面への化学火傷が生じている可能性がある。こんな強アルカリ性材を顎骨内に入れるのは大丈夫かな~と心配になる。根管薬カルシペックス(pH12)を根尖孔から漏出させると同じような痛みが続くのも同じ強アルカリ性が原因と思われる。MTAを使っているDrはこの痛みを訴える患者さんを数多く経験していると思われるが、どうなんでしょうか?筆者の唱える強アルカリ説は正しいのだろうか?今後、問題となるのだろうか?
2019.3.20.今日の横浜からの女性新患、斎藤歯科。3か月前右上1番、MTA歯根端切除術を行ったが、3か月経っても毎日うずくように時にはジンジンと痛みがある。患者さんの表現としてはジーンとした強い重圧痛と言う。 担当医に痛くて苦痛を訴えたが「様子を見ましょう」で終わり心配で来院したとのこと。フィステルや腫脹はないが根尖部の痛みは強い。再発なら再手術適応だが、そう断言はできずまた担当医の了解がいる。この痛みはなぜだろう、術式に関係するので術者しか分からない。MTA歯根端切除術の術後疼痛は、今までに5症例経験したが約6か月間続いてやがて徐々に消失したと思う。約6か月痛みに耐えるのは辛い。
術後疼痛として長期にジンジンやジーンと
うずくように痛みが続くので、非定型歯痛と症状が非常に似ている。そのため鑑別診断に注意しなければならない。
2019.3.29.大阪からの男性新患。右上2番、3か月前に歯内療法専門医自費でMTA歯根端切除術を行ったが、翌日から強い痛み(ジーン痛)が毎日続き術後2か月3週間、毎日鎮痛剤を内服していたとのこと。担当医に診てもらったが様子をみるしかないとのこと。

Mineral trioxide aggregate(MTA) - 新潟大学歯学部

https://www.dent.niigata-u.ac.jp/nds/journal/392/392_81.pdf
MTA練和直後はpH10、3時間後はpH12.5の強アルカリを示し、カルシウムイオンの持続的溶出しpH12程度で維持される。新生硬組織形成能や抗菌作用の一端を説明するもの。

<セメント粉末による化学熱傷の一例>
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsswc/9/4/9_162/_pdf/-char/ja

151.再発した場合、根管治療をしてから再手術しないとまた再発するのですか?
再発した場合、筆者は基本的に再歯根端切除術を行う前に根管治療をやり直すことはない。理由は、
①根尖部の根管を除いて、根管充填は適切にされていて問題がないことが多い。
②もし全体の根管充填が不良で根管深くに感染源があると判断した場合は、逆根管形成用の超音波チップ(4.6.9mm)で逆根管治療を行い根管をきれいに清掃できる。
③例え逆根管が深くても、筆者は流動性の高いSB接着性セメントをシリンジを使って注入するため、適切に逆根管充填できる。

歯根端切除術を受けたが再発した。転院した先の根管治療専門医の先生に、「歯根端切除の再手術を受ける前に根管治療をした方がいい。根管治療で中の細菌をなくして、それでも痛むようなら再手術。根管治療をちゃんとやった上で再手術しないと再発の恐れがある。」と言われました。先生はどう思いますか?メール相談が来た。

 A:再発例の根管充填が全体的に不良なら、再根管治療をしたうえで再手術をした方がいいでしょう。根管充填が良好なら再根管治療は必要ないと思っています。私の再発手術経験からは、原因のほとんどは根管の中ではなく逆根管充填部の問題であり、再根管治療をしないで再手術を行い治癒している。再根管治療が必要なケースは非常にまれです。

 要するに再発した原因は、①根管の中に細菌が残っていたから、②根管の中には残ってなく逆根管部の封鎖不良感染があったから、③根管ではなく感染歯質が感染源となっていたから、の診断が重要となる。②や③だとしたら無駄に冠や土台を壊し再根管治療をすることになる。再発原因を根管の中だけにあると決めつけ、再根管治療するのは危険で誤診につながり、患者さんには大きな負担を強いることになるので注意が必要です。また器材の進歩もあって、たとえ逆根管深く汚染があった場合でも、超音波チップ(長さ最大9mm)で根管清掃は可能である。本当にDrも患者さんも亀裂リスク歯根においても、再根管治療は大変なことです。2019.3.23.

152. 5代目三遊亭円楽さんの入れ歯と思い出
( 円楽さん最後の入れ歯を筆者が作りました )
私は某テレビ局診療室に週1回約7年間勤務した。2007年ある朝、出勤前にテレビを見ていると、5代目三遊亭円楽さんが引退するとのこと。その理由として脳梗塞の後遺症と入れ歯が合わないために、上手くしゃべれなくなった。「しゃべる商売でお客様に満足してもらえる話ができないので引退します」とのこと。潔い決断で驚きをもってリポートされていた。それを見ていた落語好きの私は、「え~引退、でも入れ歯が合わないのを引退の理由にするのはないだろう。担当の歯医者は何をしているんだ。しゃべる商売だからちゃんとした良い入れ歯を作ってあげないと」と口に出していた。確かに「笑点」を見ていると、口元がもごもごして入れ歯が合ってないのは分かっていたが引退とは。そう思いながらテレビ局の歯科診療室へ。その日の患者さんの一人はテレビプロデューサーで、治療が終わって円楽さん引退の話、その理由が入れ歯なら自分は自信があるので作ってあげたい、というようなことを言った。そうしたらプロデューサーは円楽さんとは面識があり、すぐに「若竹カンパニー」に連絡を取り私の情報をFAXで送ることになった。

「突然で失礼します。私は○○というもので○○病院の勤務歯科医です。落語が好きで円楽さんの一ファンですが、もし入れ歯でお困りなら私に治療させてくれませんか?・・・」と一方的な押し売りのような話。翌日の夕方に円楽さんから直接携帯に電話が入り、やはり現在も困っているとのことで、通院しやすい慶応大学病院で私が入れ歯を作ることとなった。初対面は大柄の礼儀正しい、職業がらか大きい声の良く通る方という印象で、ご病気のせいか杖をついての来院でした。

   口腔内はやはり顎堤吸収著しい難症例で、装着していた入れ歯は吸い付かずガタついていて、バウチャー法で診査すると咬合採得が合ってないため噛むと動いたり、咬合平面は後方下がりの傾斜異常で、義歯床は厚く声はこもって滑舌は良くなかった。まずは2か月間 リベースや治療用義歯で苦労しながら上記を修正改造したうえで、咬座印象法で発音を重視した新義歯を作成しセットした。その結果、入れ歯は吸着して動かなくなり、もぐもぐ感は解消し滑舌良く話やすくなり、円楽さんに満足して喜んでもらえた。引退して6か月後、NHKに出演されていたが会話はスムーズで私も安心した。早く知りあっていれば引退理由に入れ歯のせいでとは言われなかったのにと思った。円楽さんとは面識もなかったが、押しかけで作った入れ歯に少しは喜んでもらえたのではないかと思っている。私は口腔外科が専門だが、無痛デンチャーで有名な桜井唯次先生に弟子入りし教わった義歯作成が役立った。その後、円楽さんが言ったのか入れ歯のことでNHKから取材を受けたが、ご本人は了解でも私は個人情報、守秘義務ということでお断りした。

   入れ歯は調子良く使えたようで何事もなかったが、約1年後のある日、「一昨日から急に痛くなって困っている。至急診てもらえないか」と円楽さんから携帯留守電にメッセージが入っていた。連絡したところ、3日後に広島で6代目三遊亭円楽襲名の口上を述べなくてはならないが、痛くて上手く話しができず困っているとのこと。そこで至急で翌日診たところ、下の入れ歯の真ん中で大きく亀裂が入って割れていた。1日で修理し無事に広島へ。そして後日に割れないよう下顎義歯を金属床の入れ歯に作り替えた。しかし残念ながらその1年後、ご病気の悪化でお亡くなりになりました。最後はいい入れ歯を作ってあげれたのではないかと思っています。

   短いお付き合いでしたが、診療の合間に落語やお弟子さんの話を楽しく聞かせてもらい、優しい気遣いの人柄に接しさせて頂きました。また浅草の有名なお煎餅を頂いたこともありました。6代目円楽さんへの襲名、そして最後の弟子、王楽さんの真打昇進を見届けるという想いは強かったように思います。師匠としての最後の責任感の
ようなものを感じました。手元には入れ歯完成記念に一緒に撮った写真と、滑舌が良くなった生声が入った留守電が残っています。お亡くなりになってもうすぐ7年になり、ここに初めて円楽さんとの思い出を書かせてもらいました。Kasazaki 2016.6.19
リンク : http://a19750601.exblog.jp/12802126/

153. Q27 歯根端切除術には4つのポイントがあります。
1. 手術適応かどうかを正確にレントゲン画像診断する。
歯根先の根尖病巣に対する治療であり適応外では失敗する。レントゲンで歯根先の影でなく、歯根全体に外形に沿って縦に影があると、広範囲の亀裂や壊死セメント質、重症歯周炎の可能性がありできない。

2. 適切な術式と完全封鎖できる逆根管充填材を選択する。
逆根管充填をしないという術式は論外である。大きい歯根嚢胞のある歯根、再発した症例、広く浅い逆根管、切断面に金属ポストが露出した場合、感染歯質が認められた場合、などの歯根端切除術の難症例にも対応できる、適応範囲の広い術式と逆根管充填材が成功率を高めてくれる。
3. 再発した場合は、その感染源は根管だけでなく感染歯質にもあることを理解し対応できること。
壊死セメント質や感染象牙質を見分ける診断力が大切で、これがあれば成功率は90%を超えるだろう。逆にこれがなければたとえマイクロスコープを使用しても90%を超えるのは難しいだろう。
4. 最低でも1年後に経過観察し、術後の治癒評価を行って成功率の検証をする。
特に失敗例を検証し原因分析することが大切で、成功例よりも失敗例にこそ成功の秘密が隠されている。だから失敗例から学んだことを次に活かすことで成功率は高まっていく。失敗例から学ばずして成功率が高まるはずがないと確信している。マイクロを使えば成功率が高くなると言うDrがいるが、マイクロを使って失敗した場合にその原因を検証することが大事である。その原因は判明している。


154. 歯根端切除術のリスクとは? 
リスクには以下2種類あり、術者が説明し患者が同意の上で手術を行わなければならない。手術を受けない場合のメリット・デメリット、手術を受けた場合のメリット・デメリットを知って理解し選択する。またリスクによって術者あるいは患者が歯根端切除術を選択しないことも当然ある。筆者はリスク説明をちゃんと聞いてくれない、理解してくれない方には手術は避けたい。

​1.手術成功率を低くするリスク
亀裂、感染歯質、歯周炎がある場合で、その有無や程度によって成功率は低くなる。術野が狭く手技が困難な大臼歯の手術。
2.術後の不快症状や後遺症のリスク
顔面の腫れ、痛み、出血、内出血班。下顎神経損傷によって下唇やその下に知覚麻痺が生じる。歯根病巣が上顎洞に近接してるため術後に歯性上顎洞炎を継発したり、すでに上顎洞炎になっている場合の手術。

<歯根端切除術のリスク度>  レントゲンと症状から判断する。(kasazaki作成)
リスクなし:感染源は逆根管のみである。前歯。(成功率95%以上)

低リスク:感染源は逆根管のみ、肥大根、上顎4.5番の口蓋根
高リスク:感染源は逆根管とそれ以外の、感染歯質、小亀裂、穿孔、副根管。歯根が短い。大臼歯。再発症例。歯根病巣の大きさは歯根長の1/2。 (成功率50~80%)
非常に高いリスク:歯根に大きい亀裂や破折ある、感染歯質が多い、根尖病巣が歯肉縁まで及ぶ。歯肉縁に近い穿孔、重症歯周炎。(成功率20%以下で再発の可能性が高い)  歯根病巣が大きく術後症状(顔の腫れや痛み、出血)が著しいと予測される。下顎 4.5.6番の下顎神経の知覚麻痺。歯性上顎洞炎の後遺症リスク。


155.Q26 成功して欲しいので、どうしても言っておきたい事があります。

A:手術を行う以上、高い成功率を目指すのは当たり前です。そのためには失敗症例を検証し失敗した原因を解明することが重要となります。2000例以上の検証でこうしたら失敗するというのが判った。それは来院した失敗症例のほとんどで、歯根先端を切っただけで逆根管充填をしてなかった。つまり再発原因は切断面の根管に細菌感染源が残っていたためです。そこで当院で逆根管充填をする再手術を行ったところほとんどが治ってしまった。これは何を意味するか。「逆根管充填をしない手術は受けてはいけない」です。失敗しない手術を受けて下さい。逆根管充填をしない手術は失敗する可能性が高く成功率は約50%です。悲しいことにまだ逆根管充填をしない病院は多いです。主旨は歯科大学病院や病院歯科の口腔外科の先生には、逆根管充填しないと失敗し、すれば成功する可能性が高いので是非行って下さいというお願いです。これで多くの手術再発と抜歯が防げるからです。歯根端切除術は悪い所を切って取れば治るという手術ではない。歯根の感染源を断つのが目的で、切るだけでは断つことになってないのです。逆根管充填をしない病院は成功を目指してない病院です。

根尖切除後にマイクロミラーで切断面の根管を確認すれば、セメントや充填ポイントが黒く変色・汚染していたり、きれいに見えても探針で探れば、根管がスカスカや根管充填材がボロボロで感染源が残っていたりする。教科書や歯科医師国家試験問題にも載っていることなのに、どうして、いつから多くの病院で逆根管充填をしなくなったのだろうか?面倒だから? 切断面の根管はきれいに見えたから?。考え方と術式の退化であり私の残念な悲しい疑問です。抜歯してインプラントにするのはまだまだ早過ぎます。歯を残すために重要なこの頻度の高い手術を、あきらめないで成功率の高い手術へ早急にもっていくための苦言です。
 患者さんを紹介する側の歯科医院は逆根管充填しない病院、
逆根管充填をしないDrに紹介してはいけません。患者さんを悲しませることになったり、紹介する側の歯科医の評判を悪くしたり不信感で転医したりすることになる。今後、歯根端切除術においては、逆根管充填する成功率が高く症例数の多い病院と、逆根管充填しない成功率が低く症例数の少ない病院に二極化していくと思われる。来院した再発患者さんを診るにつけ、現状は成功を目指していない成功率50%で満足している病院歯科、歯科大学は多い。筆者は成功を目指す逆根管充填をしてくれる病院歯科が増えることを期待してこのHPを書いています。

 患者さんは、歯根端切除術はどこの病院でも同じ手術で、同じ結果で成功すると思っているかもしれない。しかし一言で歯根端切除術と言っても術者によって考え方や術式に大きな差があり、術式が異なれば術後症状や成功率は違うことになる。
 逆根管充填をするしない、逆根管充填材に何を使うか、根尖を何mm切除するか、開窓術をするしない、人工骨を入れる入れない、骨腔内をガリガリ一層削去するしない、マイクロを使う使わない、マイクロを使えば成功率が高くなると思っているいない、根管充填がきれいでも術前に必ず根管治療をするしない、逆根管だけが感染源だと考えているいない、歯根歯質が感染源の場合があると思う思わない、術中に感染セメント質や感染象牙質を見つける診断力があるない、感染歯質を治療できるできない、壊死セメント質の画像診断ができるできない、止血処置ができるできない、術中疼痛コントロールのため粘膜弁剥離後に骨膜浸潤麻酔をしているしてない、1年後の経過をみるみない、手術はするが成功するとは思ってなく1年ぐらい持てばいいと思っている、抜歯前のセレモニーと思っている、などさまざまです。
   逆根管充填をしないDrは1年後の経過を診ることはない。なぜなら治ってないのを確認するのは嫌だから。1年後にレントゲンで経過を診て、成功か失敗かを確認していれば術式は淘汰されるのだが、嘆かわしいことにされていないのが現状である。(2016.5.9)
 

156.歯根端切除術の成功率を高めるポイントの下の部分をここに移動した。

<私が考える「歯根端切除術を成功させるためのポイント」>を述べた。これは数多くの他Drや自分の失敗症例を検証し、改良した再手術で成功へ導いた臨床経験に基づいている。教科書には載っていないが、長期経過を見るなかで患者さんから症例から学ぶことは多い。成功率を高めるとは、成功するであろうことの仮説を立て実行し検証すること。しかしそれだけでは駄目で、それを実行したが失敗した例を検証して原因分析し、修正し失敗例を減少させていくことから成り立っている。
負の検証があってはじめて真の成功率が高まると言える。前者だけでは本当の成功率を高めるとは言えない。必要条件と十分条件を満たして初めて仮説は真実、正しいと言える。術式だけにとらわれないで、広い視野で成功率を見ないと本質が逃げて行く。歯根端切除術において、従来の成功率の報告では60~70%というのが一般的でした。マイクロスコープを使用することで成功率が高まると言うDrがいるが、歯根端切除術の成功はそんなに単純なものではなく、マイクロは一要因でありそれよりも他の要因の方がはるかに重要です。むしろマイクロを使って手術したが再発した症例の検証が重要です。当科でのほとんどの手術はライト付き拡大鏡下で成功率は90~96%にまでなっています。レントゲンはウソをつかないので「当科での治療症例」を見て下さい。でも否定でなくマイクロは有用で歯科医療の発展に貢献していると思っています。 


<マイクロで見えているはずなのに見えないものがある>
マイクロを使用することで感染歯質や微小亀裂があれば見えるはず、しかしMTAでは治せないので治せないものは、実際に見えていても見えないのだと思う。だからMTAで治せない根尖病変は、マイクロの手術適応症には入れないようにして高い成功率を維持しているのが現状である。これに反論してくれるDrを待っている。
 マイクロを使えば成功率90%以上の報告があると言うDrがいるが、そのデータは一般的でなく、再発例や、大きい嚢胞症例、逆根管が深く形成できない症例、感染歯質や小亀裂、などの難症例は適応症から省いている。これを入れると成功率は下がってしまうから。分母の異なる統計処理をしてあるため不正確なデータ報告と思っている。超えるためにはこれらは非適応症としてデータ処理しなければならない。。根尖孔外感染やバイオフィルムというようなあやふやなものではなく、本質は感染歯質である。

<成功率100%の歯根端切除術は可能である>
感染源が逆根管だけならば、SB接着セメントを応用すれば歯根端切除術は100%成功する。しかし感染源が逆根管だけでなく感染歯質(感染セメント質や感染象牙質)や微小亀裂にあるため、実際はそうはならないのが現状である。その場合の診断と治療法は困難で成功率を下げる要因となっているが、接着セメントと長期経過データが上げてくれている。2015.8.19 kasazaki    
手術成功率90%以上の理由とは。

< MTAでは成功しない歯根端切除術の難症例をSB接着性セメントで救う >
歯根端切除術の成功・失敗を左右する最も大きな要因は、根尖切断面にあり細菌感染源が残っているか否かです。それは根管と歯根歯質に分類できる。再発の原因のほとんどは根管に細菌繁殖部が残っているためで、逆根管充填の有無と充填材の選択が重要である。つまり切断面根管での細菌繁殖を断つには、安全で辺縁漏洩のない適切な逆根管充填材を使って根管を完全封鎖することである。( 逆根管充填をしないという選択は論外の話で、強い言い方だが私には術者は成功を放棄したとしか思えない。)この方法で80~90%ぐらいの成功率は達成できると思う。

では根管を完全封鎖すれば全て治癒するかと言うとそうはいかず、その場合の再発原因は根管だけでなく歯根歯質にある。つまり感染象牙質や感染セメント質が細菌繁殖部となって残っているからである。成功率をさらに高めるには、これを見分ける視診と触診、経験が重要となる。
このような難症例には、根尖切除量を多くし切断面を広く杯状に形成したうえで歯質接着性セメントで被覆接着充填する術式を行うことで成功の可能性が出てくる。

従来はこの感染歯根歯質の考え方はなかったため再発した場合、原因不明で抜歯されていたと思う(知らないDrは今も)。当科での2000例以上の長期経過観察の検証で解明できた。術者は成功率90%を超えるためには細菌繁殖部が根管内だけでなく、切断面の感染象牙質や感染セメント質にあることを理解しなければならない。この理解なしではたとえマイクロを使ったとしても90%を超えるのは困難だろう。また切断面に金属コアが露出する場合は、逆根管充填が不可能なため従来は適応外であったが、歯質金属接着性セメントを応用すれば成功するようになった。

このように適確な診断と新しい考え方、接着性セメントを応用することで、従来よりも適応範囲が広がり手術の成功率も高くなっている。あきらめて抜歯していた歯が残せるようになったことを広く知って欲しいものです。残念ながら
MTAセメント逆根管充填だと、窩洞が浅かったり皿状で薄く広かったり感染歯質の問題がある場合には、脱離したり辺縁漏洩の問題で行っても成功しないだろう。この被覆接着充填する逆根管充填法の術式が追加されるならば、成功率は90%を超え95%ぐらいにはなるだろう。実際になっている。当科2007~2008、1年間は114症例で成功率は96.6%でした。(2016.10.7.椛)    

<MTA適応外だがSBで成功する歯根端切除術の症例とは> 
1.長い金属コアが入っているなどで逆根管窩洞が形成できない、あるいは浅い窩洞の場合で、MTAが窩洞から脱離してしまう。
2.感染歯質があるため、切断面を皿状に薄く広く被覆充填する必要がある場合。MTAだとすぐに剥がれてしまう。
MTAセメントは逆根管内に充填し封鎖するものです。根管のみが感染原因で、充填材が脱離せず根管封鎖できれば手術は成功するだろう。しかしMTAが脱離したり辺縁漏洩で根管封鎖が不良であれば根管感染が再燃して失敗するだろう。また根管だけでなく歯根歯質が感染源となっていれば、MTAでは封鎖できないため失敗するだろう。SBセメントであれば窩洞が浅くても、金属が露出しても、皿状に薄く広くても、MTAの非適応症でも歯質や金属と接着するため封鎖は可能で手術は成功するだろう。このような症例はMTAは適応外とされるがSB応用は可能で成功するだろう。


157.Q25 マイクロスコープMTAを使用したが再発しました。まだ治せますか? 
A:マイクロスコープを使って高額な自費の歯根端切除術をしたが再発した。どうしたら良いかというメール相談が増えている。再発原因は分かっているので、この場合でも成功率90%以上の再手術は可能です。他ネット相談で「歯内療法専門医でマイクロを使って歯根端切除術をして再発した場合、歯根端切除術は1回しか行えない最後の手段です」と回答しているが、これは間違いでまだ再手術で成功する可能性は十分にある。再発原因はマイクロのせいではなく歯根のどこかに感染源が残っていたからで、切断面の根管と歯質がターゲットである。
<マイクロ・MTAを使用して失敗した原因は?>
他院でマイクロ・MTAを使用したが再発した患者さんが来院することがあり、2019.2.現在、約30例の再手術をしてみて原因が分かった。
1. MTAの逆根管充填では根管封鎖が不良だった。
MTAと歯質との境界部に隙間(辺縁漏洩)があり黒く変色・汚染し細菌感染源となっていた。探針で触るとMTAセメント自体がボソボソで崩れたりドロドロで硬化してなく、根管封鎖ができてなかった。MTAが逆根管から脱離して嚢胞の中に遊離して封鎖できてなかった。これらの理由は、MTAは詰めてから硬化に5~6時間かかること、硬化前にMTA表層が水や血液で薄まってボソボソ、歯質接着性がないため境界部に血液が入り感染源となること、術中にMTAと血液が混ざったまま充填されてしまった、逆根管の穴が浅いため接着しないMTAが脱離したなどが考えられる。

2. 切断面に感染歯質が残っていた。
再発原因のほとんどは逆根管だが、切断面に感染歯質が残っていると再発する。感染歯質があればマイクロスコープで見えているはずだが、マイクロを使うほとんどのDrがMTAを使うため、MTAでは治せない感染歯質が見えないのだと思う。MTAは歯質接着性がないため、感染歯質を除去した後を封鎖できないため治せない。

 MTAは逆根管充填に良い材料と言われ成功例も多く報告されています.最新論文によると、Wang. J-Endod.America 2017. MTA成功率74.3%の報告があります。しかし再発例には向かないようで、MTA製品説明書に「適応は非感染部に用いること」と書いてある。マイクロを使用する歯内療法専門医は「マイクロを使って失敗したら次は抜歯」と言う。理由はまたマイクロで再手術しても、MTAでは治せないと限界を知っているのだと思う。


158.Q19 歯根端切除術ができない場合とは? (非適応症)
A:無理に手術しても治らず失敗する可能性が高い場合や、部位的に無理な場合です。
1. 歯根に亀裂や破折がある。
    歯根の亀裂・破折は竹のように縦に入る場合がほとんどです。割れ目そのものが細菌感染源であり、縦に長
    く入っていると切除できないので、歯根端切除術では治せない。例外として亀裂が根尖部に限られているな
    ら除去できるので手術は可能で成功する。亀裂の有無を確認する診断力が重要。
2. 歯根の広範囲に感染歯質(壊死セメント質や感染象牙質)がある。
    感染歯質が根尖部にあって切除できれば成功するが、広範囲で切除できなければ感染源が残って再発する。
​    この診断は経験が必要。感染歯質が除去できて、歯質接着性セメントを応用し根管を含めて切断面を広く封
​    鎖できれば成功する。感染歯質が広範囲のため除去できなかったり封鎖できなければ失敗する。

3. 根尖病巣と歯周ポケットが広い範囲で交通している。
    根尖病変が大きいため歯根周囲の骨を溶かし、歯茎と歯根が付着せず広い歯周ポケットができていると、ポ
    ケットから感染し易くなって成功しない。

4. 手術は歯根先の病変に対して行うもので、そうでない歯周炎などの病変には適応されない。
    原因が異なるからで、根尖病変は根管内の細菌感染が原因、歯周炎は歯周ポケットの細菌感染が原因です。
5. 部位として上顎6.7番の口蓋根(内側の歯根)や下顎7番(最後方歯)はできない。
    根尖が見えなかったり器具が届かないためです。上顎6.7の頬側根や下顎6番は、口角が引っ張れる患者
    さんにおいては何とか可能です。できない根管は場合によって接着セメントを根管充填しておいて、根尖切
    断のみ行う歯根端切除術はありですが困難。


159Q24 再発例や難症例にも対応できる成功率の高い逆根管充填材とは?

<再発例・難症例にも対応できる成功率の高い逆根管充填材とは>
歯質接着性があって逆根管を完全封鎖できること。(充填材と歯質との隙間「辺縁漏洩」があれば感染源と
 なり再発する)。安全、経年的に安定している、、操作性が良い。

再発例に応用でき治癒させられる。(再発原因の感染源は逆根管封鎖不良と感染歯質と小亀裂であり、対応
 できる材料であること。MTAは開発Drが感染部には非適応と報告している。MTAは小亀裂に対応できない
 がSBは可能)

*理想的な逆根管充填材とは?今里 聡 -J-Stage- 大阪大学
*接着性レジンの逆根管充填への応用  北海道大学 *
*根尖切除術における切断面の封鎖法の違いが実験的根尖性歯周炎の長期的治癒に及ぼす影響.北海道大

 https://ci.nii.ac.jp/naid/110007026971/
*4-META/TBB MMAレジンによる歯根の接着治療 
*4-META/MMA-TBBレジンの硬化条件が組織に及ぼす影響 −病理組織学的ならびに免疫組織化学的検索− 
  東京歯科大学  笠崎真悟

160.Q11 歯根端切除術で失敗しないポイントは?

1.逆根管充填を必ず行う。(最重要)
 逆根管を完全封鎖できる充填材料を選択する。
2.レントゲンで歯根の感染源を読影し推測診断する。
 どの歯根のどこに?根管、亀裂、穿孔、副根管、壊死セメント質、肥大根などの読影が大事です。
3.術中に歯根の感染源を特定診断する。
4.感染源のほとんどは逆根管だが、それ以外に切断面の歯質に注目し、感染歯質があれば削去し接着セメントで
 治療する。
5.逆根管充填の際に血液を絶対に入れてはならない。つまり止血処置を十分に行う。
6.1年後のレントゲンで治癒評価して成功率を出し、失敗症例の原因を解明し次に活かす。
161.最近思うこと。バラバラ
「歯根端切除術、成功へのナビゲーション」高い成功率の歯根端切除術とはどのようなものだろう。成功する歯根端切除術と、失敗しない歯根端切除術の違いは何か?成功率を高めるためには適応症を狭くして成功するような症例を選び、成功が危ぶまれる症例は対象としない
失敗症例を検証・分析し、こうすれば失敗するのだと失敗から学ぶ。それを活かすことで高い成功率の
歯根端切除術が行われると考えている。
「専門家であればあるほどアマチュア」私の自論である。○○は専門だとプライドを持つのは良いが、その周辺の知識は非常に劣り素人以下の対応しかできない状態をいう。多くのそのような専門家と接してきた。反面教師でそうならないように自分を戒めなければならないと思っている。
 患者さんから臨床経験することは学問よりも多い。その一つが根管治療だ。歯根端切除術を専門にしているとその周辺の関連する疾患、症状の方も来院される。その場合に自分の専門でないから他病院に行ってくださいと、断ることになる。それは困っている患者さんを助けることのはならない。専門医であればあるほど関連周辺の疾患、症状を理解しているのだから、その場合には治療できるDrに紹介してあげるのが良い。2019.5.20

162.根管治療をしているが痛みが取れず困っている。トラブル起きていませんか?非定型歯痛も含めて。
根管治療をしているが痛みが取れず困っている患者さんは多い。原因は何だろう?どうしたら良いのだろうか?
ケース1. カルシペックスによる歯根膜炎の痛み。根尖病変の急性症状。
まとまってない。
「歯科医院で長期に根管治療をしているが痛みが取れず困っている。紹介され根管治療専門医を受診、自費(10~18万)でマイクロスコープを使って根管治療を行うも痛みは取れず、費用がかかりどうして良いか困っている」という患者さんが増えている。
 原因として、①根管拡大し過ぎて根尖破壊が起きた。②根管消毒薬(カルシペックス、FC)による化学熱傷が歯根膜に生じた。③根尖病変に急性炎症が起きた場合に、適切な処置がされなかった。つまり緊密な
仮封をしている。根管はきれいだからと痛みがあるのに根管充填した。
 特に水酸化カルシウム剤であるカルシペックスを根管治療薬に使っている場合に、化学熱傷が起き歯根膜炎になっていることがあるので注意が必要である。この痛みは非常に強烈でジンジン、ジーンとした自発痛や強い打診痛で、抗生剤や鎮痛剤はあまり効果なく長期間におよび難治性である。歯科医はこのことを知っておき対処できないといけない。2019.5.24.

事例1.2019.4最近、根管治療で痛みが取れず困って来院する患者さんが増加している。一般歯科で根管治療をしているが痛みが取れず、ネットで探して根管治療専門医を受診し、10~15万円の自費診療の根管治療を始める。しかし痛みが取れて治れば良いが、2~3か月間の根管治療を行うも効果なく痛みが取れず抜歯を勧められた。また急性炎症のため強い自発痛や咬合痛が生じているが、緊密な仮封がなされ激痛に耐えている。根管治療を3~4回した後に痛みがあったが根管充填をされ、さらに痛みが強くなって苦しんでいる。そのため転医し別の根管治療専門医を探して自費で根管治療をするが痛みが止まらない。痛みが引いて改善するならともかく、お金を何十万も掛けたのに痛みは取れずお金を半分は返して欲しいと、歯科医不信に陥っている。遠地からの相談で対応に悩んでいる。

事例2.2019.2右下5番、痛みが出たので歯科医院に行き神経をとり根管治療をする。しかし痛みが取れないので、歯内療法専門医を受診し自費(8万円)でマイクロスコープ・ラバーダムと使って根管治療する。1回/週 通院治療するも痛みはさらに強くなり鎮痛剤を毎日飲んで我慢、痛みのため休職することもある。痛みは増し激痛となり4週間後に担当医は「根管はきれいで問題なく根管治療は適切にされている。次回に痛くても根管充填する。レントゲンでも根尖病変はなく痛みの原因は分からない。非定型歯痛の疑いがあり、東京医科歯科大学病院ペインクリニックを紹介します。」とのこと。その後に不安で筆者にメール相談され斎藤歯科で診察することになった。

初診での症状は、右下5番で自発痛+打診痛+++ピンセットでそっと触っただけでも痛い。レントゲンでは歯根異常なく根尖病変の陰影は認めない。初診時に局所麻酔試験を行ったところ自発痛・打診痛は完全消失した。根管は水酸化カルシウム剤が貼薬され2重仮封されていた。抗生剤と鎮痛剤を処方、2回目来院から通常の根管治療を行い、徐々に痛みは軽減し2か月後に打診痛が消失したので根管充填し経過良好であった。
考察1:抜髄した根管治療において、これほどの激痛はあまり経験するものではない。何が原因でどう診断しどう対応すれば良いのだろう?前医で根管治療薬としてpH12.0強アルカリ性の水酸化カルシウム剤が貼薬されていたが、根尖孔から外に漏洩し歯根膜に化学火傷が起きた可能性がある。実際に押し出さなくても溶剤として作用しているかもしれない。著しい歯根膜炎と非定型歯痛の鑑別診断、歯根膜炎の原因と治療法をマスターしておかねばならない。根管治療を行う上でも「根管がきれいだから歯根膜炎は起きてない。痛みがあっても根管充填する」のは明らかに間違いである。本ケースではレントゲンで陰影は認めなかったが化学火傷からの歯槽骨炎かもしれない。
考察2:一方で本ケースの患者さんが病院ペインクリニック口腔顔面痛専門医を受診した場合、どう診断・治療するか聞いてみた。「水酸化カルシウム剤による歯根膜炎疼痛と非定型歯痛の症状は似ているが、局所麻酔検査で簡単に鑑別できる。麻酔効果で100%痛みが消失するなら、自分の専門病変ではないので他院で治療して下さい。治療の選択は根管治療を続けるか抜歯で、患者さんは紹介医へ戻ってもらいその治療を行ってもらうことになります。万一抜歯した後も痛みが取れないなら来て下さい」とのこと。歯内療法専門医は「これ以上の根管治療はできず根管充填を早くしたい。その後に痛みがあるなら抜歯を他医でして下さい」。
 患者さんはこの挟間に立って辛く、歯を残したいためまたネットで他歯内療法専門医を探し受診、また根管はきれいだから痛くても根管充填か、非定型歯痛を疑ってペインクリニックを紹介しましょうと言われてしまう。この話は例外ではなく何人もの患者さんを経験している。
 歯内療法専門医の先生へお願いです。3回の根管治療で根管がきれいでも痛みが強ければ無理に根管充填しないで下さい。根管をきれいにするのが専門医の仕事で、痛みを治すのは自分の仕事ではないと思わないで下さい。歯根膜炎の痛みに注目下さい。根管充填した後に痛みがあるのは関係ないので他医に行って下さいは困ります。本当に患者さんは精神的にも金銭的にも困っている。 


163. レントゲンで根尖病変と歯根肥大を認めた場合の治療方針について
レントゲンで歯根の肥大を認めることは多い。教科書的には歯根肥大はセメント質の肥厚であり、石川・秋吉(1978)は、原因として①機能をいとなんでいる歯のセメント質増殖②機能をいとなんでない歯に現れるもの③炎症によるもの④全身的影響、と記載している。は1.老化現象、2.慢性的な炎症、3.加重な咬合、4.咬合圧が加わらない場合とされている。
 レントゲンで根尖病変を認めた場合、根管治療で治せるか治せないかの判断はどうするのだろうか?画像診断はどこをどう見るのだろうか?根尖病変の大きさ、根管の数と状態(弯曲・閉鎖、副根管)。例えば下顎4番に大きい根尖病変を認めた場合には、根管は1根管で、根管が根尖孔まで開くかどうかを見るだろう。後は実際に根管拡大・根管形成してみて根管内の排膿や滲出液が止まり、適切な根管充填ができれば治癒すると考えるのが普通である。

レントゲンで根尖病変を認め歯根肥大を伴っていた場合に、治療方針に変更はあるだろうか?
私は変更ありです。肥大根は慢性炎症による反応性のセメント質の肥厚であるが、①単なるセメント質の肥大、②感染セメント質、③壊死セメント質、に分類できると思っている。根管治療の治療方針において①は問題なく無視して通常の根管治療を行えば良い。③は問題ありで、感染源は根管だけでなく壊死セメント質にあり、適切な根管治療が行われても効果なく治癒へ向かわない。②はその中間で根管治療で治る場合と治らない場合があると思っている。

レントゲンで根尖病変内の歯根肥大をどう評価するのか? 画像診断。
「歯根肥大はセメント質増殖症(Hypercementoosis)で、本疾患についての文献はわずかに散見されるのみである。これは臨床的意義がさほど大きくないことが影響しているものと考えられる。」という報告がある。私は数千例の歯根端切除術を経験してきた中で、根尖病変内の歯根肥大つまりセメント質肥大は、根尖病変を治療する上で大きな臨床的意義があると考えている。

レントゲンで根尖病変内に歯根肥大を認めた場合、根管治療では治らない壊死セメント質の肥大であるかもしれない。そため画像診断が重要である。まずは壊死セメント質が難治性根尖病変の原因であることの理解が必要。壊死セメント質 の画像診断を載せました。根尖病変内の歯根肥大、肥大部の外形線がいびつ・凸凹・不明瞭、石灰化物、セメント象牙質陰影。炎症によるセメント質肥大

<壊死セメント質はX線写真でわかる?>
術前のデンタルX線写真の読影で図5a、図6aのような所見が得られた場合には、根尖部の壊死セメント質を疑い、根管治療は難治性であることを予測する必要がある。そして治療に入る前に患者さんには、難治性や治癒しない可能性のリスク説明をしておねばならない。根尖病変は根管治療だけで治癒するものではないことを術者は理解し、その理由を説明できねば永遠と根管治療する羽目になったり、抜歯になったりとトラブルになりかねないので注意が必要です。
 根尖病変の診断とは。根尖病変の画像診断とは。


●歯科医師の先生にこの意見に反論を頂くと嬉しいのですがお願いします。

164. 逆根管だけが感染源なら、SBセメントを使えば歯根端切除術は100%成功する。
根尖病変があって根管治療で治らない場合、歯根端切除術が適応となる。原因となる細菌感染源は歯根先3mm以内の根管と歯質にある。そのほとんどは前者の逆根管であり、手術成功率を大きく左右する要因は逆根管充填にある。
 ●逆根管だけが感染源であるなら、SB接着セメントを使えば歯根端切除術は100%成功する。しかし実際は100%ではなく、その理由は根管以外の歯根歯質に感染源が存在するからである。その検査、診断力、経験値が必要である。
 
感染歯質のチェックは重要で、感染セメント質と感染象牙質に分類できる。切断面に感染歯質を発見した場合には、その治療ができれば成功率を高めることになる。治療法は術式ページに記載した。
 ただし逆根管だけが感染源でも
MTAセメントでは100%成功しない。その違いは逆根管を完全封鎖できるかどうかに関係する。また逆根管治療だけでは成功率を高くできない。高くするためには意図的に適応症を狭くすることになる。2019.6.3.舞 

165.歯内療法専門医の自費治療で、患者さんが困ってトラブルが生じていること。 2019.6.10

歯科医師として患者さんのため協力しあって歯を残したいと思っています。ただ歯内療法専門医の治療を受けている患者さんで、非常に困って当院口腔外科に駆け込んで来ることが度々あり、その内容を書き役に立てれば幸いです。私や専門医の誤解や勘違いであって欲しいのですが、対応に困っています。
歯内療法専門医の治療での患者トラブル。
①強引な根管治療がされ長期に痛みが引かず激痛となって辛い。受診しても鎮痛剤のみ。根管はきれいで激痛があるのは根管の外が原因だろう。あるいは非定型歯痛だからとペインクリニックを紹介され受診したが否定された。
②根管充填した後、症状が取れないが終了と言われ長期経過を診てくれず困っている。「当院は根管充填までで、後は様子を診て症状が取れない場合は、かかりつけ歯科で抜歯してもらって下さい」とのこと。
③自費の根管治療と歯根端切除術を受けたが症状は消えず治らない。治らないのに高額治療費がかかり紹介元の歯科で抜歯と言われた。


①. 歯内療法専門医で自費治療、根管治療を数回した後に痛みが強かったが根管充填した。痛みはさらにひどくなり受診したところ、「根管はきれいなので充填した。この痛みの原因は根管外で当院は終了です。痛みが引かないなら抜歯です」と言われた。

【実例】痛みが出て自費の歯内療法専門医でマイクロスコープを使って下顎6番根管治療をする。痛みは徐々に強くなったが、根管はきれいだからと3回根管治療した後に根管充填した。しかし痛みはさらに強くなり毎日鎮痛剤を飲んで苦しく我慢している。担当医に相談したところ、「根管はきれいで問題なく痛みの原因は根管の外にあるので、歯根端切除術か抜歯の選択になります。歯根端切除術は別追加費用かかり、治るか治らないかはやってみないと分からない。治らなかったら他院で抜歯してもらって下さい」と言われた。「4回の治療で20万円かかっておりもう痛くて怖くて行けない」、この治療方針は聞かされてなく、追加治療費が高額かかり治らない可能性もあると分かり不信感で転院した。歯内療法専門医で根管治療を数回した後、痛みがあっても根管充填する。痛みが取れば良いが

 歯内療法専門医は3回をめどに根管治療を行い、痛みがあっても早期にMTA根管充填をすると聞く。本当だろうかウソと思いたい。その後に激痛となった場合、MTAは除去できず再根管治療は不可能で、患者も担当医も苦慮する。「歯内療法専門医に通院治療中で、激痛となったが我慢するしかない」と言われたため、病院口腔外科を受診する患者さんをたびたび経験している。痛みの原因は、急性症状時の2重仮封や根管充填、根尖孔破壊、根尖外への器械的侵襲、薬剤漏洩やカルシペックスやMTAの強アルカリ性化学熱傷による歯根膜炎、の可能性がある。強引な治療法は避けて、もう少し根管治療回数をかけた優しい治療法が良いのではないでしょうか。

②.自費の根管治療と歯根端切除術を受けたが再発。治らないのに高額治療費がかかり抜歯と言われた。(涙)
歯内療法専門医で冠・土台を壊して根管治療、根管充填。フィステルが出て排膿し経過不良のため、マイクロスコープを使ってMTA歯根端切除術をする。しかし1か月後にフィステルが再発、「残念ながら成功しなかったので紹介元医で抜歯してもらって下さい。返金はできません」。合計27万円かかった患者さんは泣くに泣けない辛さを筆者に訴えてくる。自費診療の場合、症状が取れて治れば良いが、治らなかった場合には高額治療費(20~30万円)は無駄となり、患者さんの負担は大きい。どうしたらいいんだろうか。根管は治ったが病気は治らなかった。フォローの無い患者さんの悲しみは大きく、多くの方が涙する。
 患者さんの1本の歯の治療計画、総治療費、成功率、計画通りにいかなかった場合の費用、を同意書で残して、患者さんも納得できるものになっているだろうか。患者さんの涙を見るとなってないような気がする。問題は失敗した場合の高額治療費の対費用効果だろう。紹介したDrがいれば、高額治療費をかけて失敗して帰ってきた患者さんに、どう対応すればいいのだろうか。弁護士ならどうかんがえるのだろうか。
歯内療法専門医にかかって治療を見せられて同意書にサインする際、治療終了後に定期検診をするとかいてある、あるいは1年間の治療保障をするとある歯科医院にかかった方が良いかも。

③.急性歯根膜炎と非定型歯痛の鑑別診断ができるようにする。
根管治療中に痛みが強くなり、うずくような自発痛が出現した場合、根管がきれいなのに痛みが起きるのは根管の問題ではない、自分の責任ではないと考え、大学病院ペインクリニック科に紹介する歯内療法専門医が多いと聞き、それを経験している。歯内療法専門医に望むのは、痛みが強い場合の原因として根管だけでなく、急性歯根膜炎、歯槽骨炎、そして非定型歯痛との鑑別診断です。局所麻酔検査、強引でない優しい根管治療、抗生剤の投与、適確な問診、適確な画像診断、で鑑別診断は可能と思われます。
2019.6.19.今日の患者さん。右上7番、1年6か月前に歯内療法専門医で根管治療、MTA根管充填、痛みがあったがセラミック冠を装着、自費治療費は50万円かかった。6か月前から鈍痛が出現、現在1年6か月経ったが痛みは消えず、レントゲンでも陰影は大きく写っていて治ってない。担当医に相談したがこれ以上はできず抜歯と言われた。1年以内の再発であり涙患者さんの望みは1/2の25万を返して欲しいとのこと。ん~。歯内療法専門医の先生に話を聞いてみたい。同意書にサインしたのだから仕方ないよ、で済む問題だろうか。患者さんの行き場のない不満は・・・・。

166.サホライドの新しい使い方 
サホライドはフッ化ジアミン銀溶液で、齲蝕抑制を目的として乳歯に応用されることが多い。新しくもないのですが、筆者はこんな使い方もしているので紹介したい。

根管治療をする際、歯冠部や髄腔内に軟化象牙質があれば徹底的に除去した後に行うべしとなっている。しかし軟化象牙質が歯頚部近くにあった場合、除去すると歯肉縁から唾液や血液が侵入してくるため、レジンで「隔壁」を作り侵入を防ぐ必要がある。この作業が以外と面倒で途中で取れたりする。このような場合、歯頚部の軟化象牙質を取り切らないで隔壁として残し、その代わりに齲蝕進行抑制のためにサホライドを塗布しておく。こうすると根管治療が手際よく楽に行える。そして根管充填が終了しコア形成時に削除する。すごく簡便でいいですよ。でも臼歯部に使ってください。2019.6.20.
167.根尖病変治療のガイドライン
根尖病変の診断学と治療ガイドラインが確立されてないと思っている。あまりにも根管治療学や根管治療法に目が行き過ぎて、根尖病変の診断と治療法がおろそかになっているように感じている。その理由は、

168.人生って何?
人はいつか必ず死ぬ。限りある生きている空間の中で、嬉しさ楽しさ喜びを感じるのが人生だと思う。自分だけの喜びはたかがしれている。一番の喜びは、困っている人に役に立ち喜んでもらうことが、自分だけの喜びの1
00倍の喜びだと思っている。2019.6.28
169.感染歯質を知る、ついで感染歯質を見分ける、ついで感染歯質を治療する。
根尖病変の治療、根管治療、歯根端切除術の成功率に関係するのが感染歯質。未。2019.6.9.
170.最近心配になること、MTA。
逆根管充填材としてMTAセメントが優れ成功率が高いという論文が数多くあり、臨床家に取り入れられている。しかし心配なことはMTA逆根管充填の歯根端切除術の成功率だ。2019.6.現在、私は年間に約180歯の歯根端切除術を行っているが、他病院でMTAを使った歯根端切除術の再発例の受診が増加していることだ。再手術で開けて見ると、MTAはボソボソだったり歯質と隙間があり黒く汚染していたり、逆根管から脱離していた。本当に大丈夫だろうか?MTAによる手術がが90%以上の成功率というのは本当だろうか?
MTA歯根端切除術は成功するためには3mmルールを適応すると言われている。歯根先3mm以内に根尖側枝が多いから3mm切除する。MTAは接着性なく脱離することがあるので逆根管を深さ3mm形成するという。辺縁感染や脱離する問題点は、歯質接着性がないためです。2019.7.1.


171.トップページの最初を変えてみました。
根管治療で治らない場合、抜歯ですか?あきらめないで歯を残す歯根端切除術があります。当科では年間約280例の手術を行い長期経過で90%以上の成功を収めています。逆根管充填をしないと切断面の根管に感染源が残って再発します。筆者は歯根端切除術の治療を専門にしています。
ネット検索で手術の再発で困っている方が多いことを知り、一人でも多くの患者さんの1本の歯を抜歯しないで助けることができればと思い、この相談コーナーを立ち上げました。ご質問があれば
お問い合わせにメール相談下さい。
• 根管治療を続けても治らず抜歯するしかないと言われたが何とか歯を残したい方、
• 歯根端切除術をしましょうと言われたがどのような手術なのか心配な方、
• 手術をしたが再発して困っている方、のための詳しすぎるサイトです。再発した方の相談コーナーはこちら
Q&A

172.歯根端切除術の術後疼痛
術後にジンジンとうずくような痛みが続く。非定型歯痛
非定型歯痛の診断、あるいは疑いが高まった際に、患者さんに伝えた際には患者さんは必ず否定し、自分はそんな神経性の痛みではなくて感染や何か他の原因があるので治して欲しいと言ってきます。

症例から。開業歯科で根管治療をする。痛みが取れないので紹介され、歯内療法専門医を受診し自費でマイクロスコープを使って根管治療をする。しかし痛みは取れず、ジンジンあるいはジーンとしたうずくような強い痛みが続き患者は困っている。担当医からは根管はきれいなので3回根管治療した後に根管充填をするという方針で、それで痛みが取れなかったら他院で抜歯して下さいと言われた。強い痛みの原因が不明なため、口腔顔面痛専門医を紹介される。
診察の結果、痛みの原因は歯原性か非歯原性が診断される。①非定型歯痛と診断され抗うつ薬で疼痛治療が始まる。あるいは、
②非定型歯痛は否定され紹介元に返され根管治療を続けるように言われる。


歯内療法専門医には、うずくような痛みがある場合、その原因は歯原性か非歯原性かを診断できるようにして欲しい。できなければ口腔顔面痛専門医に紹介し診断を仰ぐのも良い。その結果、歯原性と診断されれば紹介元に返されるが、これ以上の根管治療はできないからと抜歯と言われてしまうことが多い。歯内療法専門医においては、数回の根管治療のあと根管がきれいなら痛みがあっても根管充填をするという方針を良く目にする。強引でない優しい治療が求められる。患者さんは抜歯されたくないのでまたエンドDrショッピングに陥ることになる。
口腔顔面痛専門医には、歯原性は自分の専門でないからと紹介医に返すのではなくて、根管治療をしてあげて欲しい。あるいは根管治療の上手いDrを紹介し痛みが取れるまでマネージメントして欲しい。でないと紹介元では抜歯されてしまうから。
歯根端切除術専門医には、根管治療をしているが痛みが取れない患者さんが来院した場合、歯原性か非歯原性かの診断ができること。歯原性なら優しい根管治療や歯根端切除術で歯を残す。非定型歯痛なら口腔顔面痛専門医に紹介し治療マネージメントする。
努力しても必ず報われるものではありません。非定型歯痛の診断は難しい。またそれを患者さんに説明して受け入れてもらい治療に入っていくのも難しい。粘り強く誠意をもって何回も説明することで、徐々に分かってくれることが多い。


 事例。患者さんが受診され、症状は歯肉の腫れと痛みレントゲンで根尖病変を認める。歯根端切除術の適応症で後日に手術する。通常の術後疼痛はあったが1~2週間経っても痛みが取れない。術後感染かもしれないと2週間抗菌剤と鎮痛剤を飲む。術創面の腫れはなくきれいで炎症所見は認めない。しかし歯根部にジンジンあるいはジーンとした強い鈍痛が生じていて、手術前より痛みは少し強くなり患者さんは再発ではないかと、手術すれば治ると思ったのにと不安と不満、辛さ、Dr不信を訴えてくる。
 ここで非定型歯痛の疑いがあると患者さんに伝えるが、受け入れる方はいない。患者さんは手術しても痛みが取れず治らなかったショックでどうして良いか分からずその不満をこちらに訴えてくると思うが、粘り強く冷静に誠実に対応することが大事。あくまでも再発や術後感染と思うので何とか治して欲しいと訴える。この時点では痛みの診断が重要で

歯口腔痛専門医は根管治療ができなければならない。

問題点:非定型歯痛の診断。患者さんへの説明と治療。典型的でない非定型歯痛の診断が困難。またレントゲンで根尖病変を認めた場合の非定型歯痛の診断が難しい。
 非定型歯痛においては、​典型的な痛み症状であれば診断は容易だが、
1.①根尖病変を認める。②歯肉の腫れやフィステルを認める。③歯肉の圧痛、打診痛を認める。。。。
2.痛みは歯茎や
歯根部にジンジンあるいはジーンとした強い鈍痛が生じている。しかし毎日ではなく3~4日に1日であったり、一日のうち夕方からの4~5時間であったりである。 


再発感染ではない術後疼痛:①MTAを使った術後に、ジーンとした疼痛が2~4か月間持続することがある。MTA強アルカリ性による化学熱傷が骨膜や骨に生じている可能性がある。②創部の治癒は良好だがいつまでもジーンとうずく鈍痛が続くことがある。非常に稀な病気だが、非定型歯痛という非歯原性の神経性疼痛が生じていることがある。
 誠実に対応しても患者さんに必ず受け入れてもらえる訳ではない。それが分かっていても痛みで困っている患者さんの心に沿える冷静な対応ができるようでなければいけない。そこには患者さんの不満や不信感がこちらへ向かってくることもある。でもそれが仕事だから。初診時に診断が100%確定できれば治療はスムーズに進みやすいが、そうでない場合はこのようなことが起きる。
「痛み難民」にならないように、なっていれば止めてあげなければならない。

173.根管治療で痛みが取れない場合、簡単に神経性疼痛のせいにしないで。
根管治療を行っているがいつまでも強い痛みが取れない。根管内はきれいで、担当医は原因が分からず困り果て、神経障害性疼痛が起きたのではないかと口腔顔面痛専門医に紹介することになる。ところが専門医によれば、本当に神経障害性疼痛の診断が付く患者さんは少なく誤診であることが多いと聞く。
筆者の病院にも、他院で根管治療をしているが痛みが強く、原因が分からず困って来院する患者さんは少なくない。ではこのような1.痛みの原因は何で、2.治療法はどうしたら良いのだろうか?そして3.神経障害性疼痛との鑑別診断はどうするのか?
1.筆者の経験では根管内はきれいなのに強い痛みがある場合、原因は歯根膜炎である。つまり根尖孔外へ器械的刺激や根管治療薬剤の刺激を起こした。急性期で自発痛があるにも拘わらず強引に根管充填をした。特に根管治療薬として水酸化カルシュウム剤を使用した場合、強アルカリ液(pH12)となり根尖孔部の歯根膜炎(化学熱傷)を起こした。
2.治療法は優しく丁寧な根管治療をすることである。アピカルシート根管形成を適切にする。刺激性薬剤の使用は中止する。抗生剤の内服や根尖部の細菌検査を行う。自発痛があれば無理で強引な根管充填をしてはならない。
3.根管内はきれいなのに強い自発痛が続く場合の鑑別診断は、①強い歯根膜炎、②歯根亀裂、③神経障害性疼痛。①②③どれもジーンとうずくような強い持続性鈍痛や打診痛が生じていたり、歯肉圧痛を認めることもある。鑑別は既往歴、症状、検査、投薬で診断する。重要なのは感染なのか否かの鑑別である。
①は優しい根管治療をしたり抗生剤や鎮痛剤で効果あり。②は抗生剤は効果なし、鎮痛剤は効果ないか少し効果ある。

鑑別として局所麻酔検査をしてみる。局所麻酔で痛みが取れなければ(麻酔が効くだけでなく完全に消失しなければ)非定型歯痛と診断できる。麻酔で痛みが取れれば歯原性や局所原因の可能性が高い。ただし麻酔が効くから非定型歯痛ではないと否定はできない。試しにトリプタノールやリリカを7日間内服してみて効果なし①効果あり②である。2019.8.19.

174.不安と信頼
不安が大きくなってさらに不安を呼びこんでしまうことがある。特にすぐに解決しない病気の不安はその傾向が強く、睡眠不良やうつ状態になり易い。不安の反対は安心だがそう簡単に安心は得られない。歯根端切除術においても再発した患者さんが、なぜ再発したのか、もう抜歯するしかないのかと不安と術者不信感に陥る。
安心になるのは信頼から得られることが多い。丁寧な説明と解決策、
選択肢を提案することで信頼と安心がやってくる。すぐには来なくても何度も繰り返すことでやって来る。


175.認知症が出てからの老人のための補聴器で良いのがない。大事な問題
2019.10.3.母は現在92歳、要介護3、車椅子の生活。認知症があるが明るく社交的で良くおしゃべりする。ショートステイにお世話になっていて月に3~4日自宅に帰って一緒に過ごしている。耳が遠くなってしまって、家族、介護スタッフ、入所者さんとの会話はちんぷんかんで続かない。介護施設ではほとんどの方は補聴器を付けていない。もちろんこの10年間母は30万円で買った補聴器を使っていたが使えなくなってしまった。その経過と認知症が始まった老人のために良い補聴器がないので考えてみたい。こんな補聴器があったらいいなと。
介護施設に入るようになって困るのは、1.補聴器を紛失してしまうこと。2.壊してしまうこと。3.電池が切れて新しい電池を誰が入れ替えるか。

認知症の難聴の方にこんな補聴器が欲しい。今のところない
現状は、①耳かけタイプ。②耳穴タイプ。③イヤホンタイプでマイクは胸、あるいはイヤホンにマイクがあるタイプ ④両耳補聴器がワイヤー繋がっていて首の後ろを通るタイプ、骨伝導タイプもある
 ⑤イヤホンと肩にかけるタイプで骨伝導もある。
①②は紛失したり電池交換が困難、
1.良く聴こえる。
2.電池は単3電池が良い。
3.右と左はブルートゥースのようにくっついているのが良い。
小さく耳に入れるタイプや耳に掛けるタイプは駄目。理由は、電池交換が困難。交換が困難空気電池は2~3週間しかもたなく。紛失する。
176.どうしてこんなに患者さんが増えてしまったのか?
1.根管治療を続けて効果が不確かな場合、歯を残して後で再発してトラブルよりも、成功が確実な、抜歯・インプラントを勧められる。根高額なインプラントは利益率が高いため。しかし患者さんは自分の歯を残したい。他院では成功を目指さなくなった。
2.来院される患者さんの1/2は他院で歯根端切除術をして失敗した方である。原因は歯根先を切っただけで逆根管充填をしてない方が多くを占めている。病院歯科や大学病院の口腔外科のほとんどで逆根管充填をしないのが来院患者さんの再手術で分かった。また歯内療法専門医ではマイクロスコープを使ってMTAを逆根管充填するがその再発が増えていて、再手術してみると封鎖不良が原因でした。
3.ネット検索で当HPが上位になり、内容の信頼性と独自性と具体的症例、yahoo知恵袋に紹介などで情報が確かである。
4.成功率が高いこと。手術適応範囲が広く、嚢胞が大きくても、歯根が1/2と短くても、下顎の小臼歯でも成功させている。


177.部位別の歯根端切除術の術式

178.歯根端切除術の成功率90%の壁
歯根端切除術において成功率90%の壁を超えるのは容易ではない。その要因は、原因である感染源の種類と部位とリスク。術式。逆根管充填材。などで左右されるからである。
また手術の適応症を広くするか狭くするかで成功率は
大きく動く。例えば成功率を人為的に上げようするならば、1次症例のみを対象とし2次症例は統計的に対象としない歯根が短かかったり、歯根嚢胞が歯根1/3以上の大きさの症例は対象としない。

179.ストリップパーフォレーション(strip perforation)
ストリップパーフォレーションとは、歯内療法での根管形成、根管拡大時における過度の切削により根管側壁が穿孔した状態のことである。弯曲根管の内弯部で生じることが多い。この3か月間で、ストリップパーフョレーショを起こしたと思われる症例の相談を4例受けている。4例共に下顎6番近心根で遠心弯曲した歯根の中央部、中隔側での穿孔である。なぜこのようなことが起きたのだろうか?偶発事故での医原病である。それも2症例は歯内療法専門医でマイクロスコープを使用しての自費治療である。レントゲンを見ての筆者の感想としては、根管拡大は通常よりも幅広い、エンド三角は大きく削除されているのが特徴で、その上でのストリップパーフォレーションであると思われる。私が習った根管治療ではこのように大きく根管拡大は禁じられていたのだが、推測するにもしかするとエンジン回転切削器具による根管拡大が普及したためではないかと危惧している。2019.10.27.

<ではその後の治療はどうするのか?選択肢は>
1.MTAやSBで根管内から閉鎖(予後不良が多い)

2.抜歯
3.ヘミセクション
4.歯根端切除術(再植術)
歯根端切除術においては、穿孔部の場所が根尖から約1/2以下の場合には成功するだろう。中隔基底部に近いと閉鎖が困難で失敗するだろう。

180.歯根端切除術における一番の問題点は、
再発した場合の術者が「再発の原因は逆根管充填をしなかったため」と気付いてないことです。そのため次々と歯根先端を切るだけの再発率の高い術式が行われている。
再発原因第一位です。毎日のように再発相談メールを受けているが、患者さんが失敗しないためには「歯根端切除術で逆根管充填をしない手術は受けてはいけない」です。
<説明と流れ>根管治療をしたが治らないので抜歯です。抜歯したくないとなれば歯根端切除術(逆根管充填をしない術式)をしましょう。歯根先を切断するだけの逆根管充填をしなければ多くが再発する。1か月後に歯肉にフィステル出現し再発。「再発したら抜歯するしかない。抜歯してインプラントにしましょう」と説明される。
 この根管治療不良、歯根端切除術、再発、抜歯してインプラントの流れが多過ぎると思っている。逆根管充填をしない歯根端切除術の再発が多過ぎて抜歯の歯止めになっていない。歯根端切除術は抜歯インプラントする前のセレモニーになっている。


181.歯根端切除術で歯を残す、このような方はどうぞ
残念なことだが、以下のような理由で抜歯されてしまうようだ。だがこう言われたほとんどの(約90%)歯が筆者の歯根端切除術で歯が残っている。
・根管治療をこれ以上しても治らないので、抜歯してインプラントにしましょう。
・歯根端切除術できないので抜歯するしかない。
理由として、歯根嚢胞が大きいから、歯根が短いから、何度も手術して失敗しているから、前から6番目の奥歯で後方過ぎるから、下顎奥歯の場合に神経を傷つけ知覚麻痺が生じる危険性があるから、上顎洞に歯根先端が入っていs


182.歯根端切除術は楽しいが疲れる。
患者さんが喜んだり、感謝してくれたりの顔が見れるから、歯根端切除術は嬉しく楽しい。手術や患者さんとの説明はこちらはも一生懸命で、エネルギーを持って行かれる。終わるとどっと疲れが出てくる。私のエネルギーは1/4は妻に持って行かれ、1/4は仕事、1/4は母親の介護、1/4は自分が生きるためである。2019.12.20.

183.歯根端切除術の術後の注意事項と経過
1.手術当日の注意:
食事:麻酔が完全に効れるまで食事はしないで下さい。今日は噛みやすく軟らかいものを摂って下さい。

口腔の清潔:今日は歯みがきを中止し、明朝から創口以外はOKです。明日から1週間、毎食後に塩水やうがい薬液で優しくうがいするのは推奨されます。
入浴・運動・飲酒は禁止です。明日から症状が強くなければOKです。
2.出血:1~2日間、創口からじわじわと出血がありますが異常ではないです。
3.腫れ:通常は4~7日間、口の周りや頬が腫れます。腫れは嚢胞の大きさに比例します。多くの場合、手術翌日には腫れは目立たず、術後2~3日目をピークに増強しその後は徐々に回復します。
4.痛み:1~2日間あり鎮痛剤を飲むことで治まります。初回のタイミングは痛みが出る前、局所麻酔が効れてくる頃です。2回目以降は痛みが出た時に飲んで下さい。空腹時に飲むと胃腸障害が出る場合があるので食事や飲み物と一緒がお勧めです。
5.抗菌剤:術後の感染予防のために服用してもらいます。湿疹や胃痛、下痢など副作用が出た場合は使用を中止し、当院に連絡下さい。
6.皮下出血:
7.しびれ感や違和感
8.創口と縫合糸
9.経過:術後の不快感は

184.「男はつらいよ50」山田監督の言葉
「どうして渥美清がなくなって、このシリーズの最後を締めくくることになる映画制作をしたのですか?」「懐かしくて作ったのではなく、この世知辛い今の時代だからこそ寅さんに帰ってきて欲しいと思ったからです。帰ってきた寅さんから何かを感じて欲しいからです。」そして次に「人は無人のコンビニなんかを誰も望んでいないですよ」。この最後の言葉には引き付けられるものがある。人が豊かに満足して生きるとはどういうことか、どういう世界が良いのか。寅さんが教えてくれるものがあるのか?あるような気がしている。
 ユノクロに行って買い物をした。会計カウンターは無人で、買う衣類をボックスに入れると、AIがバーコードを読み取りカード決済して店をでる。目新しくレジ前に並ばないので便利だと感じた。人件費は減って企業の利益は上がると思うが、人が働く場所は確実に減っていく。大企業は売り上げに対して一定数の人員を雇用しなければならないという法が必要かもしれない。20201.1.


185.歯根嚢胞と他の病変との鑑別診断に注意しよう。でないと根管治療をしても治らない。2014.12.22

 特に歯根嚢胞と 他の顎骨嚢胞や良性腫瘍や非定型歯痛。
 良性腫瘍や他の顎骨嚢胞:レントゲン写真で根尖部に陰影がみられ、歯が原因の根尖病変と診断して根管治療するが陰影が消失せず治らない。摘出手術をして病理検査したところ他の顎骨嚢胞や良性腫瘍であった、ということが十数例あった。レントゲンで歯根嚢胞に似た鑑別すべき病変としては、含歯性嚢胞、歯原性角化嚢胞、鼻歯槽嚢胞、正中上顎嚢胞、単純性骨嚢胞、セメント質形成線維腫、化骨性線維腫、根尖性セメント質異形成症、線維性骨異形成症、腺様エナメル上皮腫、などがある。レントゲン診断で解る場合と解らない場合がある。大きい病変ならCT検査で鑑別診断を、小さければ根充までして経過をみるのがいいだろう。
 
非定型歯痛:根尖に陰影があってうずくような持続性の自発痛や打診痛、歯肉圧痛を認め、根尖病変と診断して根管治療する。ところが根尖部の陰影は消失してきたが痛みの症状は消失しな い。難治性で延々と根管治療することになり、患者さんは不信感と不満を訴え治療に苦慮する。そしてやむなく原因も判らず抜歯する。しかし歯がなくなったにもかかわらずうずくような持続性の疼痛は消失せず困り果てることとなる。当病院歯科口腔外科へ紹介されたところ非定型歯痛の診断で、長期間のトリプタノール内服治療により治癒へ向かった。現在10~12名の患者さんが通院されている。非定型歯痛は非歯原性の神経性疼痛であり診断は困難で難治性である。
 適切な根管治療を長く続けているが、うずくような持続性の自発痛や打診痛、歯肉圧痛が消失せず治療に困惑する。この場合、非定型歯痛以外に歯根破折も症状が類似しているため重要な鑑別診断である。はっきり判る歯根破折なら容易だが破折線やレントゲンや歯肉症状が全くないと診断は困難であるため、慎重に対応しなければならない。


186.私の夢。2020.1.10.
インプラントが発展したにもかかわらず、現在、歯根端切除術に注目が集まっている。注目しているのは歯科医ではなく患者さんです。2019年非常に多くの患者さんが私に押し寄せて来て歯根端切除術を行っている。もちろん全例が成功する訳ではないが、成功率は約95%。術式はほぼ完成しているがまだ私は満足してない。自分が手術して、治ると信じていた病変が再発した時にはガックリくる。その場合の原因は分かっているが、その感染源を初回手術でクリアーできなかったことに対して未熟さと患者さんに申し訳ない気持ちで一杯です。再手術で成功させることもある。
 私の2020.夢は、限りなく100%に近づく歯根端切除術の実行である。96のまだ上があると思っているから。キーワードは感染歯質の診断と攻略である。
 大学病院や病院歯科の多くの口腔外科医は逆根管充填をしないときてる。歯内療法専門医はマイクロスコープを使ってMTA逆根管充填しているが、再発し私の勤務歯科へ回ってきて再手術が多くなっている。MTAを過信してはならない。
現在、患者さんが多く初診から3~4か月待ちの歯根端切除術です。藁をもすがる思いで来院される患者さんの期待に応えるためにも、さらなる高い成功率を目指し長期に経過観察したい。
 根尖病変がある場合、根管治療(歯内療法)だけでは治癒させることはできない。歯を残すためには外科的治療が必要となる。根管内から根尖病変を見るのではなく、根尖病変から根管や感染歯質などの感染源を見るという見方が必要です。そういう意味では根尖病変治療学、あるいは歯根治療学という考え方が重要ではないでしょうか。根尖病変に対して、歯内療法専門医が根管からアプローチし、口腔外科医が外科的治療でアプローチするが、私はそこは分離することなく、根尖病変治療の専門医、歯根治療の専門医というのがいても良いのではないでしょうか。


187.レジン材料にビスフェノールAが含まれている問題点と、スーパーボンドについて
プラスチック製品に用いられているビスフェノールAなどのが環境ホルモン物質の健康被害について「有害化学物質から子供を守る国際市民セミナー」が2019.11.24.中央大学で開催されたとのこと。
歯科では充填修復に用いられるレジン材料や一部の義歯床材料にビスフェノールAが含まれているとして問題になった。これらのレジン材料が重合不良や経年劣化によって環境ホルモンとして微量に溶出し、有害作用が起こるとの懸念が指摘され、20世紀末から今世紀初頭にかけて、厚生省などで検討された経緯がある。(日本歯科新聞2020.1.1.から)
 こういった経緯から歯根端切除術の逆根管充填材としてレジン材料は禁止、あるいは推奨されなかった(厚生省通達)。一般的な歯の充填修復材においてはビスフェノールAが含まれているためである。
しかしながらレジン材料といっても種類がいっぱいあり、スーパーボンド(4META/TBB)にはビスフェノールAは全く含まれていないので、この環境ホルモン・健康被害には関係ないとここに明言しておきます。
 結論として逆根管充填には、できれば一般的な歯科充填修復材は避けた方が良いが、スーパーボンドは全く問題はなく使用可能ということです。2020.1.14.


188.根尖病変と非定型歯痛について

診断と治療が難しい非定型歯痛について実例を述べてみたい。
 歯や歯茎の痛みが出て歯科医院を受診、レントゲンで根尖病変を認め根尖性歯周炎の診断のもと、根管治療を開始する。適切な根管治療が行われ根管内はきれいだが痛みは取れない。長期間に根管治療を続けたが、徐々に増大しうずくような痛みとなり、抗菌剤や鎮痛剤を内服するがあまり効果ない。
1.そこで非定型歯痛の疑いがあり、口腔顔面痛専門医に紹介した。そこでは問診、局所麻酔検査で効果ありで非定型歯痛は否定  


189.疑問、どうして術者は逆根管充填をしないと50%再発すると分かっていて続けられるのか?
1.どうして逆根管充填をしない術式が生まれたのか?(たぶん歯科大学の口腔外科ではないかと思う。日本口腔外科学会の術式マニュアルに逆根管充填が削除され記載されてないから。)
2.どうして逆根管充填をしない術式が続いてい
るのか?(成功を目指してないから。成功でなく抜歯してインプラントを目指しているから)
3.どうして逆根管充填をしないDrは成功率50%と答えられるのか?(成功率に関心がないから。逆根管充填をしないDrは失敗率50%と知っている。)
4.どうして逆根管充填をしないDrは3か月以降の経過をみないのか?(再発は術後1か月ごろが多い。再発したのを見たくないから。50%の患者からクレームが来ると嫌だから)

5.どうして逆根管充填をしないのか?(面倒くさい。どの充填材を使えばいいか分からない。術式に比較して保険点数が低い)2020.2.14

190.歯内療法専門医の患者さんトラブルが気になります。2020.2.28
以下のような患者さんを数多く経験していて、ものすごく気になる。
1.痛み:歯内療法専門医では1~2回の
根管治療の後に根管充填することが多い。問題点は、自発痛や強い打診痛があっても根管がきれいなら根管充填することである。その後、痛みが消えない場合は「根管は問題なくちゃんときれいに治療したので終了です。痛みが引かなければ紹介医で抜歯するか、非定型歯痛の専門医へ紹介します」と言われる。患者さんが困っているのは、自費の高額治療費を払ったのに自発痛や打診痛が治らずDr不信になる。→ 根管だけを治すのではなくて、歯根膜炎や根尖病変を治して欲しい。自発痛があるのに強引な早期のMTA根管充填はやめて欲しい。


2.非定型歯痛専門医も困っている。

歯内療法専門医で根管治療中や根管充填後に毎日うずくような痛みが続くため、非定型歯痛を疑って口腔顔面痛専門医に紹介する患者さんが増加していると聞く。そこでは局所麻酔検査を行いうずく痛みは全て消失されることから、非定型歯痛は否定され急性歯根膜炎の疼痛と診断され、患者は紹介元の歯内療法専門医へ返される。しかし患者が戻っても根管に問題ないと言われ、行き場を失い困惑することになり納得いかずドクターショッピングに向かう。→ 根管充填する前に鑑別診断が重要である。水酸化カルシュウム剤による急性歯根膜炎を疑うことが必要。

3.根管充填後の再発:右下5番の歯肉にフィステル排膿あり、かかりつけ歯科を受診、難治性と考え歯内療法専門医へ紹介した。同医でセラミック冠とコアを除去、2回根管治療してフィステルは消失したので根管充填、かかりつけ歯科で冠を被せて下さいと言われ戻る。しかし1か月後にフィステル排膿があり再発。かかりつけ歯科では治ってないので冠は被せられないと言われ、治療した歯内療法専門医を受診。同医は「根管はきれいでちゃんと治療はできている。フィステルの原因は根管の外に問題があるので当方に責任はない。かかりつけ歯科で経過を診てもらって治らないなら抜歯するしかないです」と言われた。高額な自費治療費がかかっていて抜歯と言われ辛く困っている。→根管充填で終了ではなく経過を診て欲しい。

4.歯内療法専門医では治療に入る前に誓約書にサインを求められる。
・保険が効かない自費治療です。・治療により必ず治癒する訳ではない。・治癒しない場合でも返金はできない。
根管治療2~4回で自費1歯10~18万円。マイクロスコープ、ラバーダム、MTAを使って、診療時間は1回1時間ぐらいかけて丁寧にしている。根管の閉鎖や湾曲や穿孔があって根尖まで穿通しない場合は根管治療は不可能となる。治療したがフィステルや症状が消失しない場合でも返金はしない。とのこと。


191.歯根端切除術が成功するための提案

再発する原因のほとんどは、逆根管充填がされないことによるものである。それも歯科大学、医科大学病院、病院の多くの口腔外科において逆根管充填をしてないのが分かった。どうして一番高度な医療を提供しなければいけない施設で、手を抜くような逆根管充填がしない術式が続いているのだろうか?この点が成功の肝であるような気がする。
 ではどうして口腔外科医は逆根管充填をするのを嫌がるのだろうか?面倒だからという理由が挙げられるとは思わないが。面倒な手術は口腔外科手術にはいくらでもあるのだから。
変わって欲しいのは歯科大学の口腔外科教授だと思う。
「歯根端切除術は外科的歯内療法とも言われ、今後は口腔外科よりも歯内療法科の分野として診療されていくだろう」と言ったDrがいた。しかし筆者個人で年間220例に歯根端切除術の経験から言うと、歯内療法専門医では手に負えない、口腔外科医でなければできない歯根端切除術は多い。筆者の意見は、両科が協力しあって得意分野でおぎ合える仲で合って欲しい。
歯内療法専門医で困っていると思うのは、
1.下顎の4.5.番の手術で、オトガイ神経麻痺を起こす後遺症が心配。後の対応や薬物療法、経過を診るのが不安。
2.下顎6番は後方過ぎて視野は狭く、万一下顎神経を損傷しないか心配。
3.上顎6番の根尖や病巣が上顎洞炎に入っていて、術後に上顎洞炎を起こしてしまうと対応できなく口腔外科へ回すことになる。
4.嚢胞が歯根1/3以内の大きさなら良いが、それ以上の大きい病巣なら、口腔外科へ依頼する。
5.歯根嚢胞でなく、腫瘍病変だと口腔外科へ回す
以上どのケースでも口腔外科医なら対応できるが、問題は逆根管充填をしないので成功へたどり着かないこと。
そこで提案
1.歯科大学口腔外科では、歯根端切除術を誰でもがするのではなく、4~5人の班を作り1年後の検証を行って欲しい。その中で成功率が約50%だと認識して欲しい。認識したら術式を改良して逆根管充填して欲しい。そこで逆根管充填材は何が良好か検証、実験、研究して欲しい。これを臨床で応用してまた1年後の検証をして次に活かす。
 開業歯科医は歯科大学病院に
歯根端切除術の成功を期待して患者さんを送り依頼している。残念ながら50%は失敗した結果で帰ってくるのを経験し、紹介しなくなっていると聞く。ちょっと寂しい気持ちになるが歯科大学口腔外科教授に届くだろうか。2020.3.5.


192.歯根端切除術の失敗を考える。2種類ある。
その1.術式上でのミスやエラーが起きたり、術者の知識不足や経験不足のために手術が失敗に終わってしまった場合。
逆根管充填をしない術式がこれに当たると筆者は​思っている。また逆根管充填を行う際に、根管内に血液が入って汚染したまま充填したなど。

その2.再発のリスクがあったが成功の可能性があり、患者同意のもと手術を行った。しかしリスクが原因となり失敗した。正確には失敗ではなくリスク再発と言うが患者さんにとっては、成功しない場合には失敗と解されてしまう。リスクとしては歯根の亀裂と感染歯質が多い。

 再発の原因は4つに分類でき、①逆根管充填の不備 ②亀裂 ③感染歯質 ④重症歯周炎である。この内の②と③については、存在するから歯根端切除術ができないと言う訳ではなく、程度によって多くは手術を行い成功している。
 例えば亀裂なら歯根先の1/4以内であれば歯根端を亀裂とともに切除して感染源をなくすことで成功する。歯根亀裂の位置と範囲によっては手術可能である。しかしそれを全て術中に間違いなく判断できるかと問われれば非常に困難です。特に歯根舌側の亀裂の確認は困難であったり、手術後に経過良好であったが6か月後に亀裂が広がって再発したケースもあるから。
つまり亀裂が一部にあれば再発リスクとなるが、成功する場合があればそれは失敗とは本来は言わないが、患者さんの立場からは失敗の分類になる。2020.7.11.

193.根尖病変と非定型歯痛との鑑別診断。両方の病変があった場合どうしたらいいの?
毎日うずくような持続性の歯痛、打診痛、歯肉の圧痛がある。またレントゲンで根尖病変を認める。このような場合、①根尖病変の急性炎症症状と②非定型歯痛を疑うが、鑑別診断する上でどう考え、検査、診断、どう治療すればいいのだろうか?容易であれば良いが、困難な場合も多く考えてみたい。

 歯肉の腫脹やフィステルがあれば感染による①と診断できる。しかしない場合は困難で、まずこの痛みが根尖病変の急性炎症の疑いが強いなら、抗菌剤と鎮痛剤を処方し効果があるなら①。なくてもも①を否定できない。次いで根尖病変に対し根管治療を行う。効果があれば①、根尖孔まで穿通知して内圧が取れて、根管治療が行われているにも関わらず、強い痛みが取れない時は②を疑う。適切な根管治療だ行われているにも関わらず痛みが続く場合は、非定型歯痛の治療に入っていく。ここで注意しなければいけないのは、根管治療におけるオーバーインスツルメントや水酸化カルシュウム剤の漏洩、MTAの根管充填はしてならない(根尖孔外の歯根膜を刺激しないため)。非定型歯痛は非常に稀な疾患である。
 問題は、根尖病変を認めるが適切な根管治療ができなく痛みがある場合です。選択肢として、抜歯、歯根端切除術、再植術、非定型歯痛治療があります。歯根端切除術の適応症であって非定型歯痛の疑いがあれば筆者は以下のように治療法を行っています。
1.①②の両方の確定診断がつかない場合は、まずは根尖病変の治癒を目指します。そこで患者さんに両方の病気の疑いがあること、手術しても痛みが消失しないこともあること、その場合は非定型歯痛の治療が必要となることなどの説明と同意をもらいます。その上でトリプタノール10mg/日、術前7日間内服してもらい、歯根端切除術を実施しています。ただこれは私的な考えでまだ科学的根拠は確立していませんのを了承下さい。
2.歯根端切除術が成功しているなら、6か月後には症状なく根尖病変の陰影は2/3は骨再生して薄くなっている。痛みが続くようなら非定型歯痛治療を続ける。痛みが消失へ向かっているなら根尖病変急性症状と診断する。2020.7.12

194.手術成功を目指す上で何が大事か

マイクロスコープ、CT、MTAセメント、SBセメント、メンブレン、など歯根端切除術を成功へ導く器械や道具は多くある。しかしこれは助けでしかない。これらの武器のお陰で勝つ訳ではない。治そうという強い意志を持つことが大事で、武器はその意志を助ける道具にすぎない。

195.この1週間の患者さんから教わったこと。2020.7.26.
この1週間の初診患者、そして4~5人のメール相談の方。内容は皆、歯根病巣の痛みや歯茎の腫れ、そして一度歯根端切除術を受けたが再発した方である。悩みや苦しみ、後悔、毎日歯のことを考えていて心は苦しく、何件もの歯科医院や大学病院に行って相談したが、抜歯を勧められた。何とか歯を抜かないで残すことを提案して実行してくれる歯科医はいないかと探しまっくっている。頭の中は歯の悩みで毎日一杯ですと。
私としては、その悩みに対してちゃんとした歯根病巣の診断と、成功率の高い歯根端切除術を提供し、プロ技術を行い歯科医として治してあげたいという使命感で仕事をしている。またそれだけで良いと思っていた。ところがこの1週間での患者さんの話を聞いていると、それぞれの歯で苦しんだ心の重みがひしひしと私の心に伝わってくるようになった。どの患者さんからも、先生の説明を聞いて私の現在の病状や治療法、リスクなど、何人もの先生に診てもらったが、これほど明確に丁寧な説明を受けたことがなく、治る治らないをはなれても、安心を得ることができました。心から感謝いたします。と言われることが多かった。私はそんなに感謝されるようなことは言ってないのだが。
 何が書きたかったかというと、歯根端切除術という診断と技術で歯根病変を治すことができるのだが、それだけではなくて、患者さんは目で見える病気以上に心の苦しみを抱えて初診やメール相談をしてくるということ。それに対して、親身になった説明と目線をもって接し、そして成功した結果を出すことで、患者さんの歯からくる大きな心の重しを取って楽にしてあげたいと思っている。日記。


マークシティ歯科、真悟が作ったHP、Q&Aの術前後のレントゲン写真を修正した。素晴らしい。ワンクリックで術後の写真が出てくる。今のところ初めての試みである。https://www.markcity-sika.com/shikontan

196.止血剤、硫酸第二鉄(ビスコスタット®)による激痛、手術止血に使ってはならない。

緊急速報:2020.7.23

歯根端切除術の止血剤として、硫酸第二鉄(ビスコスタット®)を骨内や粘膜内に使用するのはNGです。重篤な組織壊死と長期の疼痛を招く危険性がある。この薬液は歯肉圧排の止血時に少量数分使用するものであり、添付文書に記載している通り用途目的外に使用してはいけない。

 他院で歯根端切除術に使用して、数歯に及ぶ広範囲の歯肉壊死、骨壊死、骨露出、長期の激痛が生じた症例に遭遇し、筆者は治療に数か月を要して苦慮した経験がある。某歯内療法専門医がこの薬剤の骨内使用を推奨しているためと思われるが、添付書をチェックし収れん腐食劇薬ですので注意が必要です。マイクロ・MTAを使って歯根端切除術を行った後に、うずくような長期の疼痛が起きていれば、この強酸性化学熱傷(ph1)の可能性がある。
●止血目的に硫酸第二鉄液を綿球に浸け、骨内に留置するDrがいる。組織壊死を起こし長期にうずくような激痛を訴えるので使ってはならない。
注)・品は強酸性液であるので、取扱いには十分に注意すること。 
  ・本品を3 分以上患部に留置した場合、歯肉の炎症、部分的な壊死が発生する恐れがあるため十分に注意すること。歯肉圧排時の止血目的に少量、3分以内の使用に限る。用途目的外に使用してはならない。硫酸第二鉄(ビスコスタット®)

197.病院口腔外科、歯内療法専門医での歯根端切除術で注意すること。1年後の経過を診て欲しい。
1.大学病院や病院歯科の口腔外科での歯根端切除術。(例外もある)
術式として歯根端を切除だけして逆根管充填をしないことが多い。約1か月間ぐらい経過を診てくれるが、その後は紹介元医に返され「そちらで経過を診てもらって下さい。再発する場合もあるがその際は抜歯してもらって下さい」と言われる。
 約50%が再発している。経過として成功してれば良し、再発していれば開業医で抜歯となっているが、術者は経過は診てないのでどうなっているかは分からない。経過を診ればあまり成功してないのが分かったので診なくなったのが実際だろう。口腔外科の術者には1年後の経過を是非診て欲しい。そして経過を診て成功率が高くないと認識すれば、術式を改良して欲しい。成功率は高くないと認識していてあきらめているため、逆根管充填をしないのが事実だろう。


2.歯内療法専門医での歯根端切除術。(例外もある)
マイクロスコープとMTAを使用するのが特徴である。レントゲンで根管充填がきれいでもマイクロリーケッジを重要視し再根管治療と根管充填を行ってから歯根端切除術をする。3mm根尖切除し3mm逆根管充填をする。根尖病変の原因治療は根管だけと考え、MTAセメントを絶対視している。

 経過は1~2か月間診てくれるが、その後は紹介元医に返され「そちらで経過を診てもらって下さい。再発する場合もあるがその際は抜歯してもらって下さい」と言われる。1年後まで診てくれるDrは少ない。なぜなら再発しても再手術で成功させる方法がないと思っているから。MTA使用の逆根管充填で再発した場合、再手術は成功しないので担当医はしないと思う。で再発データ上は成功率94%という報告があるが、適応症は根管原因のみに限られているので狭いの


198.上顎6番の根尖病変の治療選択

上顎6番に大きい根尖病巣が認められた場合、どう治療方針を立てれば良いかを考えてみたい。選択肢としては1.根管治療、2.歯根端切除術、3.再植術、4.歯根分割術、5.抜歯、が挙げられるが、この中で特に2.3.について。6番の根管治療不良の原因で多いのは、近心根の湾曲と第4根管である。

• 上顎6番の歯根端切除術 (ここでは根管治療では治癒しない場合で)

近心根(M)と遠心根(D)は可能。口蓋根(L)は、内側過ぎて根尖は見えず逆根管充填できないため、不可能。よって歯科レントゲン、パノラマレントゲン、CTにて病変がどの歯根先にかかっているかを確認することが重要となる。MとDだけでL根尖にかかってなければ通常の歯根端切除術を行う。


199.歯内療法専門医における歯根端切除術の非適応症とは
歯内療法専門医における歯根端切除術は、マイクロスコープとMTAを使用して行うことが多い。私は接着セメントのスーパーボンド(SB)を使用しているが、その適応症には大きな違いがあるのが分かってきた。SB法では適応症だが、歯内療法専門医のマイクロスコープとMTA法では非適応症の場合は以下が考えられる。
1.根尖病巣が大きい場合(歯根長さの1/3以上)
2.歯根が短い場合。根尖を3mm切除する3mmルールを行うと歯根がもたない。
3.金属ポストが長い場合。根尖
を3mm切除すると根尖からの逆根管形成ができない。
4.歯根に炎症性吸収が認められる場合、MTAでは封鎖ができない。
5.切断面に感染歯質が認められる場合、
MTAでは広範囲に完全封鎖ができない。
6.切断面に微小亀裂や微小のイスムスやフィンがあれば、MTAでは完全封鎖ができない。(細く浅い溝にMTAは適さない)
7.MTAを使って再発した場合、再手術にMTAを使っても治癒する可能性は低い。
8.下顎4.5.番。根尖部が下顎神経に近接しているため、術後に知覚麻痺の後遺症を心配する。知覚麻痺が生じた場合の治療法や経過を経験してないと手術にトライし辛い。

9.上顎5.6番の根尖や根尖病巣が上顎洞と交通している場合。術後に歯性上顎洞炎継発の可能性があり、診断と治療と経験が必要と思われる。
10.
上下顎6番。後方で歯根先への視野が狭く手技が困難だから。
11.
感染源のみを切除するため根尖を斜めに切除する場合がある。逆根管は大きい楕円形となるため、MTA使用ではこの術式が使えない。

*これを見て勘違いして欲しくないのだが、歯内療法専門医をライバル視している訳ではなく、一緒に歯根端切除術の成功率を高めていきたいと切に思っています。2020.8.8

200.その他のさまざまな質問がありました。
右上2番差し歯が取れてしまい、何件か歯科で診察していただきましたが、左上1番、2番の間にフィステルがあり、前歯4本の状態が良くなく、右上2番は治療が出来なければ抜歯の可能性があるとのことです。 痛みは多少疼くような感じです。フィステルは痒い感じがします。 
質問は、
Q1どのような治療方法があるか?
Q2どんなリスクがあるか?
Q3治療期間は?
Q4費用は?
。。。。。。。。。。


201.根管治療をして治らないのは、亀裂の可能性があるので抜歯するしかない。ウソホント
適切な根管治療を続けても症状が取れない場合、その理由を歯根亀裂のせいにして抜歯を勧めるDrが多いと聞く。しかし抜歯してみて亀裂がないと分かり愕然とする。亀裂がないのに亀裂のせいにされ抜歯されてしまうのは誤診であり、避けねばならない。亀裂さんが可哀そう。

 では適切な根管治療を行って治らない原因は何?それは感染歯質である。根管治療で治らない根尖病変の原因は、亀裂よりも感染歯質のことが多い。そのためには、亀裂の診断ができること、感染歯質の知識を持ち診断ができること、そのためのレントゲン画像診断ができることである。

1.根尖病変が根管治療で治らない原因の一つに、感染歯質があることを知る。

2.感染歯質のレントゲン画像診断ができること。
3.根管治療に入る前に、患者さんにはレントゲンで感染歯質の可能性があり、根管治療は難治性であることを説明できなければならない。
4.適切な根管治療を行っているが治らない場合、原因が分からないまま亀裂のせいにして抜歯してはいけない。
5.歯根尖の陰影であれば歯根端切除術が適応となり、成功率は高い。


202.歯内療法専門医の治療で患者さんが困っていること。
1.根管治療後に経過を診てくれないこと。
自費、歯内療法専門医での治療は、2回の根管治療して3回目に根管充填することが多い。1回の治療に1時間以上をかけてマイクロスコープを使って丁寧な治療をしている。ここまでは良いのだが問題はその後の経過を短期間しか診てくれないと患者さんが不満を言う。専門医なら根管充填1年後には症状とレントゲンをチェックして、治癒を確認するのは当たり前と思うのだが。また経過悪く歯根端切除術をした場合も1年後の経過チェックは重要です。

2.根管治療で治らなかった時の対応
根管の治療は完璧にして根管充填したので、根尖病変が治らないやフィステルなどの症状が消えないのは、私の責任ではありません。治らなかった原因はよく分かりません。自費の返金はできません。紹介医で抜歯してもらって下さい。
根管の治療は完璧にしたので、うずくような痛みは根管が原因ではないです。根管外の非歯原性疼痛の可能性がある。非歯原性疼痛の専門医を紹介するので受診してみて下さい。

3.セラミック冠と土台を壊して、自費の根管治療と歯根端切除術を受けたが治らず抜歯と言われた。
根管治療で治らなかったので、追加で自費のマイクロスコープを使って歯根端切除術を受けた。しかしフィステルができて再発した。他医院で抜歯して下さいと言われた。

203.人生一回しかない、何に気合を入れるかである。
金に溺れ、酒に溺れ、女(男)に溺れるのも人生。一回しかない人生で限りある生きている中で自分は何ができるだろうか?何を他の人にしてあげれるだろうか?を考える。神がいると仮定して、人生終焉において神に「あなたはこの人生で何を学んでのですか?」と問われた時に、答えられるすでを持っているだろうか。答えられないなら「人間に生まれた意味はないですね」と次の生まれ変わりは虫分類に入れられてしまうかもしれない。「私は今回の人生で.......を学び.......をして他の人に影響を与え生きた意味があります。来世も人に生まれ変わりさせて下さい。」とお願いしなければなりません。2020.8.28.

204.嚢胞が大きく、隣在歯まで及んでいる場合の歯根端切除術

歯根嚢胞が大きく、隣在歯の歯根先まで及んでいて歯髄が生きている場合の歯根端切除術について述べてみたい。
1.隣在歯の歯髄の生死は電気歯髄検査器で行う。
2.歯根端切除術において嚢胞は全摘出しない。隣在歯の歯髄を温存するために、歯根先の嚢胞を残すようにメスで切離した上で、当該歯の嚢胞を摘出する。
3.患者さんへはメリットとして歯の神経が温存されること、デメリットとして嚢胞を一部残してあるので感染・再発リスクがありその際は抜髄することを説明し了承を得ること。
4.術後に再度、電気歯髄検査を行いチェックする。
5.この術式でほとんどの症例において、隣在歯の歯髄は温存される。2020.9.16.

205.根尖病変の治療におけるセメント質肥大の臨床的意義
<セメント質肥大の種類>
単なる肥大か(外傷性咬合、咬合がなくなる、老化)、慢性炎症によるものか。
①感染源となってないセメント質肥大
②感染セメント質(軽度なら根管治療で治癒。重度なら根管治療で治癒せず外科的治療を要す。)
③壊死セメント質
④セメント象牙境亀裂
⑤セメント質剥離
まずはセメント質が細菌感染源となっているかどうかの画像診断が重要です。セメント質の肥厚、肥大、粗造、凸凹、石灰化物、

2020.9.16.

206.嚢胞だから根管治療では治らない。嚢胞を取り残すと治らない。ウソホント
「根管治療を長く続けているが、嚢胞だから治らない」「歯根端切除術で嚢胞を取り残すと再発するので、全てきれいに除去すること」これらは全てウソ。再発した場合や予後不良の場合、科学的根拠なく何かのせいにして楽になろうとしたのではないだろうか.

​根尖病変が隣在歯の歯根まで歯根端切除術においては

207.抜歯と言われた多くの歯が歯根端切除術で残っている、現実。

他医院にて「抜歯してインプラントするしかない」と言われたが、来院される患者さんの多くの歯が歯根端切除術で抜歯せず残っている。歯を残せる限界の基準がどこにあるかである。担当医の考え方や能力、経験度によって大きく変わってくると思う。インプラント治療の専門医からみれば、経過不良の歯をいつまでも残しているのではなく、骨吸収する前にインプラント治療を主体に考えるだろう。2020.10.18.

208.歯性上顎洞炎で歯を残す治療。歯根端切除術と再植術の選択
歯性上顎洞炎の治療の基本は、原因歯の抜歯である。しかし病態や歯の条件によっては歯を残すことが可能である。デンタル用、パノラマ、CTによる画像診断が重要である。そして術者は上顎洞炎の知識と治療経験を必要とし、患者さんへは歯を残すがための再発リスクの説明と理解が必要となる。2020.10.31.

<原因歯が上顎6番の場合について>頻度が多いので詳しく
歯性上顎洞炎の原因歯が上顎6番で、歯根嚢胞や上顎洞病変が大きく、根管治療では治癒しない場合の治療を考えてみたい。
 選択肢は、1.抜歯 2.歯根端切除術 3.再植術 4.歯根切除術である。上顎6番には3歯根あり病巣がどの歯根先にあるかで選択が異なる。3歯根の内、前方歯根の病巣が原因となっている場合が多い。その理由としては、①歯根湾曲 ②前方舌側根管(MB2根管、第4根管)が挙げられ、根管治療が非常に困難となり不良になる。CT検査が有効です。では実際の選択肢は、


●上顎6番の歯根端切除術
上顎6番は3歯根あり、口蓋根については頬側からアプローチするため骨内深く歯根端切除術はできない。頬側2根は可能である。つまり口蓋根に病巣はなく頬側2根に病巣がある場合は、歯根端切除術ができて成功する可能性が高い。
 3根の全部に病巣がある場合は、口蓋根の根管充填が良好なら頬側2根の歯根端切除術をする。根管充填が不良なら、口蓋根の再根管治療をしてから頬側2根の歯根端切除術をする。
 非常に例外的だが口蓋根の歯根端切除術ができる場合がある。口蓋根が開大してなく頬側根と平行に近く、頬側からアプローチできる場合である。CTで判断する。上顎洞内病変をアプローチをする場合は、口腔外科の知識と上顎洞手術経験が必要で、特に自然孔の開閉検査は重要である。 


●上顎6番の再植術
上顎6番の口蓋根尖を含んだ大きい病巣がある場合、再植術が適応となる場合がある。しかし一般的には上顎6番の抜歯は困難で歯根破折を起こし再植できない場合が多い。
 理由は歯根異常のためで、歯根同士がハの字に開大、歯根弯曲、歯根が骨を抱え込んでいた、歯根が長いなどである。それでも嚢胞が大きく骨吸収量が多く、歯根異常が少ない場合にはトライしてもいいかもしれない。口腔外科医として本音を言うなら、上6番の再植を考慮した抜歯術は、本当に大変で気を使いヘトヘトになるのでしたくない。
 最後の手、どうしても再植術となった場合の秘儀:まず頬側2根を約3mm切除し歯根異常を解消する。その上で頬側歯槽骨を頬側へ開大させてスペースを作ってから脱臼・抜歯する。歯根端切除術・SB逆根管充填をした上で再植する。再植後には開大した歯槽骨を指で戻した上で、緊密なマットレス歯肉縫合をしておく。
歯根端切除術と再植術、どちらを選択するのが良いですか?

 
歯根切除術。(トリセクション)
近心根あるいは遠心根のみに病巣があり、歯根端切除術では治癒しないと思われた場合。原因歯根1根をルートアンプテーション(歯根除去術)し他の2根を残する方法もある。亀裂や感染歯質や穿孔が著しい場合に適応。

上顎洞内の病巣を摘出する場合は口腔外科医に任せた方が良い。細菌検査、病理検査、自然孔のチェック、術後に上顎洞炎を継発した場合の治療などが必要となるので。

209.抜歯してインプラントと言われて悩んでいます。(メール相談)

■件名。Date: 2020/11/12, Thu 08:09
抜歯と言われて悩んでいます。
■お問い合わせ内容
はじめまして。○○と申します。右上2番の歯の根本に大きな影があり、すぐ抜歯 と言われて悩んでおります。インプラントを勧められており 現在抵抗しているところで、この記事を読みました。
もし救ってくださるのでしたら 例え遠くても行きたいです。
ただ 骨が無くなっているからインプラントも再生するまで時間がかかるようなことでした。
近々診ていただくことは可能でしょうか。私の方は 最優先でお伺いします。宜しくお願い申し上げます。

210.歯内療法専門医の強引な根管治療・根管充填についての疑問、その考え方とは。

歯内療法専門医においては、1~2回の根管治療をした後に根管充填を行うことが多い。根管内がきれいになった時が根管充填のタイミングとのこと。しかし問題点は、自発痛があっても打診痛が強くても根管充填することです。その後に痛みが取れない場合は、「根管内の問題ではないので私の治療の範疇外となり、非歯原性疼痛の可能性が高いので専門医を紹介します。当院での治療は終了です。」という流れなようです。一般的に、教科書では、急性期の根管充填は避けるとされているが、どうしたんだろうか。
 歯内療法専門医にとっては、根管内の汚染が最優先の課題であるのだと思う。しかし根管至上主義に陥って病変や患者さんの痛みの苦痛が見えなくなっている可能性があり心配しています。
 
マイクロスコープ根管治療のトラブル:マイクロを使用して丁寧な根管治療をしていることには敬意を表するが、一方トラブルが増えていることに心配している。マイクロ根管治療は1回目根管治療、2回目根管充填するのを原則としているが、急性症状の自発痛や強い打診痛があっても根管充填をする、この原則を曲げないことである。周りは困っている。一番困っているのは患者さんである。


「歯内療法専門医でマイクロを使って自費で根管治療をしているが、2回治療した後ジンジン痛みがあるが次回に根管充填するとのこと。それで痛みが止まらなければ非歯原性疼痛の専門医を紹介すると言われた。どうなんですか?」あるいは「痛みがあって根管充填されたがその後も痛みが取れず困っている。非歯原性疼痛の専門医を紹介されて診てもらったが、急性歯根膜炎であり根管治療の問題ですと返された。」以上のような患者さんの困っているメールや受診を多く経験し私も困っている。
一般的に自発痛があれば強引に根管充填するのは駄目です。担当医で診断できず非歯原性疼痛の可能性が本当にあるなら、根管充填する前に専門医へ紹介するのが良い。非歯原性疼痛の可能性は限りなく0に近く、根管治療時の急性歯根膜炎がほとんどです。紹介される非歯原性疼痛の専門医も誤診で困っているようだ。強引な根管治療でなく優しい治療はできないのでしょうか。歯内療法学会はこのような治療方針を推奨しているのでしょうか。
筆者の疑問は、根管治療していて自発痛や打診痛が強いのに根管充填を行うこと。歯内療法専門医で行われるようで、根管充填後は経過を診てくれないので患者トラブルになっている。
 強引な根管充填のはては歯槽骨炎や骨髄炎となって口腔外科へ、痛みが続いて誤診で口腔顔面痛専門医へ回される、
後始末に苦労しているのを知って欲しいです。

Q.痛みが強い時期に根管充填を受けたが、痛みはさらに強くなり毎日苦しんでいる。どうしたらいいですか?あるいは、痛みが強いですが2回目に根管充填すると言われた。どうなんですか?という患者さんのメール相談や受診が増えている。
特徴としては、マイクロスコープを使って自費で根管治療を行い、1回根管治療をした後、2回目に根管充填する治療法が 短期間で終了させることに主眼をおいている歯内療法専門医に多い。炎症が強くなければ1回の根管治療後に根管充填は推奨されるが、急性期での痛みが強い時期に根管充填すれば、さらなる痛みを生じさせることがあり
一律に

根管充填後に痛みが取れず困っている患者さんが増えている。

一般的に根管治療において自発痛や強い打診痛があれば、急性歯根膜炎を起こしている可能性が高いので、根管充填してはいけないと成書に記載されている。根管内がきれいだからと強い痛みを無視して根管充填をすれば、痛みは消えず激痛となって患者さんを苦しめることになる。最近このような痛みで来院される患者さんを度々経験している。
 

治療後に長期経過を追っていれば、痛みが続く強引な根管充填は駄目だと分かるはずなのだが、なぜだろう。その後も痛みが取れないため抜歯を宣告されたり、うずく痛みで非定型歯痛専門医へ紹介したり、歯槽骨炎になって病院口腔外科受診したりしている。もし非歯原性疼痛の疑いがあれば、根管充填をする前に疼痛専門医へ紹介するのがいいです。紹介した1件目の疼痛専門医で非定型歯痛を否定された場合、2.3件目と紹介するようだが困ったものです。

 根管至上主義に陥ることなく、根管内だけを診るのではなく、根管外の歯根膜炎にも目を向け注意を払って、優しい根管治療をして欲しい場合です。歯内療法学会は、この治療方針を推奨しているのだろうか。今や大きな問題となっています。自発痛や強い打診痛があれば根管充填はしてはいけない。非歯原性疼痛の可能性があれば、治療前か根管充填前に専門医に紹介すべき。2020.11.21.


また口腔疼痛専門医は非定型歯痛ではないと診断した場合、それで終わることなくその後のマネージメントをして欲しい。つまり歯原性疼痛と診断すれば、その診断をすること、そして根管治療や歯根端切除術、抜歯をなどの治療をしてくれる病院への紹介である。実は根管充填を終え強い痛みが消えない場合、歯内療法専門医は疼痛専門医へ次々と紹介するのが分かった(例外もあるが)。そこで非歯原性疼痛ではないと診断された患者さんは紹介医に返されるが、MTA根管充填されており抜歯するか、歯根端切除術をするか、他の疼痛専門医に紹介されている。

211.急性歯根膜炎と非定型歯痛の鑑別診断について(歯内療法専門医のために)

これが不確かなために、根管治療中や根管充填後に痛みがあれば、非歯原性疼痛にされてしまい、患者さんは口腔顔面痛専門医に紹介されてしまうようだ。実際は誤診が多くあるようで疼痛専門医は困っていると聞く。我々歯科医師は誤診しないようにするために、何を考え何をしなければならないか鑑別診断と治療法を考察してみたい。
口腔顔面痛専門医は紹介されて来院されてきた症例の内訳を明らかにすると良いと思う。未・・・
 

1.非歯原性疼痛の疑いがあれば、根管充填する前に口腔顔面痛専門医に紹介するのが良い。MTA根管充填してしまってからでは鑑別診断や治療が非常に困難になるから。急性歯根膜炎の原因は、根尖孔外への器械的刺激や薬剤性刺激(消毒薬・水酸化カルシュウム剤などの強酸・強アルカリによる化学熱傷)、細菌性感染、根尖部での穿孔や根尖破壊が挙げられる。根管内がきれいだから急性歯根膜は生じてないと考えるのは間違いである。

2.鑑別診断法をマスターする。
・急性歯根膜炎であるなら、症状を見極め抗菌剤や鎮痛剤で除痛効果がある(根管充填していると内圧が高まり薬効果が低いので注意)
。局所麻酔検査にて疼痛が完全消失する。

・非定型歯痛であるなら、ジンジンとした強い持続性疼痛が一日中起きていて、抗菌剤は効果なく鎮痛剤はあまり効果ない。局所麻酔検査にて疼痛が完全消失しないこともある。非常にまれな疾患である。

3.症状:自発痛や打診痛がある。

4.治療:自発痛や強い打診痛などの急性歯根膜炎が生じていれば、その時期での根管充填は禁忌である。成書では、根尖孔外を刺激しない優しい根管治療を行ったり、抗菌剤や鎮痛剤を処方するとされている。

​5.まずすべきこと:担当医が急性歯根膜炎か非定型歯痛かの診断がつかない場合には、根管充填を急がず、抗菌剤3日間と鎮痛剤を処方し内服してもらい症状をみることである。痛みが強い患者さんに1回根管治療、2回目根管充填と、急ぐ理由があるだろうか?経過を診るのならまだしも、根管充填後は経過を診ないで、痛みがあれば他医に紹介するというのは非常に問題があり、患者さんは治らない痛みとかかった高額自費に困っている。受け皿となる歯科大学歯内療法科はどこにあるのだろうか。分かった方は教えて欲しい。

どうして歯内療法専門医は急性歯根膜炎の診断と治療ができなくなってしまったのだろうか?1回根管治療、2回目根管充填して強い痛みが続いた場合、非歯原性疼痛の可能性があるとされ、疼痛専門医へ紹介されるケースが増えている。しかし歯原性疼痛(急性歯根膜炎)と診断され紹介元の歯内療法専門医へ返されることがほとんど。2020.12.21.

 

212.母の手、母の紙パンツ
人生にはいろいろな分かれ目がある。自分が選択する分かれ目と、向こうから否応なしにやってくる分かれ目がある。その選択時にはその人の意志や考え方、何を優先するかが明らかになる。竹には節があり、節があることで強風にも折れない竹になっている。もし竹に節がなければすぐに折れて割れてしまうだろう。分かれ目は節でもあり耐えることでもあり人生を強くしてくれる。
  「母の手を にぎって通った 幼稚園」、あれから60数年時を経て「母の手を 引いて通うは 病院へ」。「母の手で 換えてもらった おむつかな」あれから60数年「尿漏れて はかせて笑顔 紙パンツ」。老人におむつと言うと馬鹿にされたと気分を害するので、紙パンツと言うのが良いと介護士さんから教わった。紙パンツを換えてあげると
当たり前ですが気持ち良くちょっと嬉しそうです。母90歳介護生活です。K
2018.4.30 母90歳は当然訳の分からないことを一杯言いますが、「はい、そうだよね。そうだよね」と全てを受け入れて、また聞き流すことが大切と知りました。やっと分かったコツです。でも補聴器を入れていても耳が遠く、訳も分からない話を長々とされると腹立たしいことも多く対応が大変で私が情けないです。デイサービスの有難さを本当に感じています。


213.今日のマイクロスコープ・MTAを使ったが再発した原因 2020.12.24.
約2年前にK歯内療法専門医で、マイクロスコープとMTAを使って左上1番の歯根端切除術を行った。しかし約2週間後から鈍痛が続くようになり、1年後もうずく痛みが消失しないため、Y歯内療法専門医でマイクロスコープとMTAを使って再歯根端切除術を行った。
 しかしうずく痛みは取れず非歯原性疼痛の可能性があるということで、大学病院ペインクリニックを紹介された。ネット検索し筆者医院を受診、再手術1年後のレントゲンで根尖部に陰影を認め再発と診断し、再再SB歯根端切除術を行った。
 術中、根尖病巣を認め再発であった。原因は、①MTAが逆根管充填されていたが切断面で陥没して封鎖不良であった、②MTAの表面はボソボソ、③切断面には白濁・灰色の感染歯質が残っていた。前手術はマイクロスコープを使ったとのことだが、残念ながら切断面の感染歯質は発見されなかったようだ。
 手術1週間後には術前にあった痛みは全て消失していた。痛みの原因は、感染や、MTA強アルカリ性の影響ではないかと考察する。今後経過を追い完治を目指す。


214.再発治療について
再発治療は、
原因である感染源の発見と処置、逆根管充填材の選択が重要である。従来の根管内のみが感染源だと決めつける診断では成功率は高くならない。再発例にマイクロスコープ・MTAを使っても完全封鎖できないので有効な武器とならないが、歯質接着性のSBなら完全封鎖できるので有効な武器となり成功率は高い。再発した場合、残念ながらMTAセメントを使った再手術では成功率は高くない。理由は感染源が根管だけでなく感染歯質や微小亀裂の可能性があり、接着しないMTAでは逆根管と切断面歯質を完全封鎖できないためです。でもSB接着セメントなら接着充填して完全封鎖できるので再発例でも成功率90%以上と高い。

従来の根管内のみが感染源だと決めつける診断では、歯根端切除術の再発治療で高い成功率は得られない。たとえマイクロスコープを使っても、感染歯質の知識がなかったりその治療ができなければ成功率は高まらない。再発原因が小亀裂や感染歯質にあると分った場合、MTAでは完全封鎖できないため成功しない。その点で歯質接着性があり完全封鎖できるSBセメントは有効で、成功率を高めてくれる有難い武器です。
 私がここに気づくには長い年月を要しましたが、この診断法とSBの武器を持つことでやっと成功率90%の壁を突破することができました。サイドメニュー「再発した場合の原因と治療症例」の実例を見て下さい。再発症例から学ぶべきことは多く、それを活かさなければいけない。ただし亀裂や感染歯質が広範囲、歯周炎が著しい場合は抜歯適応です。

215.部位別の根管治療不良の原因を知って成功率を高める。
根管治療の成功率は約85%と言われている。では約15%失敗する原因は何だろうか?その原因を知り注意することで成功率が高まると思う。筆者は多くの根管治療不良例を経験し、歯根端切除術で根尖を見てその原因を列挙してみたい。歯根端切除術の頻度で多いのは、上2、上1、下6、上6、上4.5、下4.5、下1.2.です。
歯根端切除術から見た、根管治療の不良の原因ポイントを部位別に挙げてみたい
上顎1番:根尖部で弯曲している。扁平根管のため根管の口蓋側壁の根管治療や充填が適切にできない。
上顎2番根尖部の根管が口蓋側へ弯曲していることが多く(約30%)、曲った先の根管の根管治療が不良となっている。またその弯曲部で穿孔していることも多い。デンタルレントゲンでは判明できない。また根尖の遠心弯曲があればこれも根管治療が困難となっている。
上顎3番:①フェネストレーション②根尖1~2mmの唇側で穿孔している。
上顎4番:2根あり、頬側根管の狭窄があると根管口が発見し辛く、頬側根管の口蓋側で穿孔事故を起こしていることがある。口蓋根の根尖が頬側に屈曲していることがあり、根管治療が困難。
上顎5番:
上顎6番近心根の不良がほとんど。原因は2つ。
①近心頬側根管の遠心弯曲である。弯曲度が強いため、ステップを作ってしまい根尖まで開かない、またその弯曲部で穿孔が起きる。扁平根や歯根コンケイブタイプ(陥凹)があり遠心側で穿孔やストリップスが起きる。
②第4根管(MB2)の根管治療が行われていない。。頻度は約50%であるとされている。この根管の発見が困難であったり、狭窄しているために治療が困難なため。
③近心根管の遠心側中央部で穿孔していた。近心根は扁平根管なため。
上顎7番近心根の根管治療は、歯科医の誰もがやりたくない。根管口の発見が困難。患者の開口が十分でないとファイルを挿入するのが困難で苦労する。

下顎1.2.番:歯根は1根で根管の根尖孔は1個だが、扁平根管であり中央では、唇側根管と舌側根管の2根管ある場合が多い。根管治療は歯冠舌側からアプローチするため、唇側根管は容易だが舌側根管は困難で根管治療がされていない場合が多い。根尖切除した切断面をみると、扁平な断面と腐敗した細い舌側根管を認める。
下顎3番:2根管がある。
下顎4番:根尖の根管が舌側屈曲がある。
下顎5番:問題ない。
下顎6番近心根の不良が多い。原因は根尖部の根管の遠心弯曲である。弯曲度が強いため、ステップを作ってしまい根尖まで開かない、またその弯曲部で穿孔していることもある。根管狭窄もある。
近心根は扁平根でコンケイブタイプ(遠心が陥凹していて穿孔し易い)
下顎7番樋状根管。樋状の細い根管を根管治療・根管充填するのは非常に困難。

通常の根管治療が難治や不良になる原因。
1.根尖部の根管が屈曲している。そのため器具が根尖孔まで入らず拡大できない、ステップを作る、穿孔する。上2番においては、根尖部根管が口蓋側に屈曲しているのが原因となる場合が多い。上6・下6近心根の遠心弯曲。下4番の根尖部根管は舌側屈曲していることがある。
2.扁平根管のため拡大が不十分で根管内に汚染が残っている。特に上3.4.5番、下1.2.4.5番などで根管舌側壁の拡大ができていない。イスムスやフィンに感染部が残っている。根管充填が良好にされない。ストリップスがある。
3.根管数が通常よりも多く手付かずだった。上6番・下6番の4根管、上5番・下4番・下2番の2根管。
4.亀裂、感染歯質、副根管、根尖破壊、炎症性吸収、舌面縦溝、歯周炎。亀裂は起きてからの治療でなく、予防が大事。そのためには①強アルカリ性や強酸性の薬液は使わない。ベンザルコニウム薬液などが良いと思っている。②根管充填材は接着性の物が亀裂を防止してくれる。③極小根管やイスムスやフィンや微小亀裂にも入ってくれる水のように流れが良いものがいい。(メタシールsoftペースト)

<歯根端切除術で注意すること>
1.上6番:近心根のMB2根管、口蓋根の根尖病変を発見するのにCTが有効である
2.上4番:2根で開大していて口蓋根尖が口蓋側に位置している場合、頬側からのアプローチであるため根尖は奥深く確認し辛く手技も困難。口蓋根の根尖病変の有無。CTが有効である。
3.上5.6.7番:上顎洞炎の有無。歯根先が上顎洞内に位置するかどうか。口蓋根の根尖病変の有無。上顎洞穿刺し陰陽圧試験をして、洞内精査と自然口開閉の確認をする。
4.下4.5.6番:下顎神経やオトガイ孔の確認。神経損傷を避けるため。

5.レントゲンで隣在歯の根尖まで陰影が及ぶ場合は、術前に電気歯髄検査を行い+反応なら、嚢胞を一部残す隣在歯の歯髄温存治療を行う。術後にも検査すること。
6.亀裂の画像診断と亀裂があった場合の治療。治療の線引判断。
7.感染歯質の画像診断と感染歯質があった場合の治療。治療の線引き判断。
8.副根管(側枝):上2番、上1番、下4番に経験することが多い。
9.亀裂が起き易いのは、私的感想として上2.上下6の近心根、上4.下4.5.

215.肥大根のある根尖病変の治療は難治性である。その理由は?
なぜ肥大根になっている根尖病変は難治性なのか?
その前にどうして歯根は肥大したのかが大事です。根尖病巣が長期に慢性的炎症
肥大根はセメント質が肥厚したことによって起きている。それは根尖病変による慢性炎症が長期に歯根に働き
<難治性の理由>
1.セメント質が肥厚している場合、根管の第2象牙質も肥厚して根管の狭窄や閉鎖が生じていて、根管治療が困難。
2.セメント質肥厚部が長期間に根尖病巣内に存在していると、細菌が浸潤し感染セメント質となってしまう。そうなるとたとえ根管治療が適切に行えたとしても治癒しない。感染源が根管ではないから。
・臨床医は体験して知っているが成書には記載がないようだ。
<根尖病変内の肥大根が示すもの、難治性>
5番は肥大根。嚢胞内の慢性炎症による反応性のセメント質が肥厚したものです。根管石灰化による閉鎖や感染セメント質が生じて、根管治療は難治性・不良なことが多い。そのため治療に入る際は患者さんへの再発リスク説明が必要です。本症例はこのように完治しましたが、治らない場合は歯根端切除術の適応となります。
216.亀裂において、して良いこと悪いこと。木を見て森を見る。森を見て木を見る。

217.歯根端切除術が第一選択となる場合
1.再根管治療をしても治癒の見込みがない場合、レントゲンから判断する。
①再根管治療をしても根尖孔まで根管が開かない。
根管弯曲が強い、根管の閉鎖、根管の穿孔、ステップがある
②根尖根管破壊
③炎症性吸収、副根管や側枝
④歯根1/3以内の亀裂の疑い
⑤肥大根(根管の狭窄や閉鎖が多い)

2.根管に感染源がない場合
①感染歯質がある。特に壊死セメント質
​​​​②嚢胞が大きく根管治療では治る見込みがない
2020.2.21.
根管治療を第一選択にしてはいけないケース(消去法)
・再根管治療しても根尖孔まで開かない、開きそうにないケース。
・根管治療のため、ポスト除去をしようとして歯根亀裂や穿孔を起こす可能性がある

218.「根尖孔外感染」って何? あやふやな用語、それはこれだ。
歯内療法の専門用語として「根尖孔外感染」という単語があるが、これは何だろう?そんなあやふやな用語はありですか?不思議な用語で意味不明だと感じている。
 根尖病変に対して適切な根管治療が行われ、根管内は汚染もなくきれいだが、炎症症状は消失しない場合がある。このような時に「原因は根管にはなく、根尖孔外感染にある」と表現するようだ。筆者にはどうも納得いかない。では根尖孔外感染部はどこにあるというのだ。どうしてそんなあやふやな感染部が存在するのだろうか?そんな抽象的な根管外感染という言い方は、科学、歯科医学ではあり得ないと思っている。根尖孔外感染という用語で診断と治療を逃げてしまっては、治るものも治らない。
 根管内から根尖病変を見ようとするから、根尖孔外感染という用語が作られてしまった。根尖病変を見てから、原因部を追求するのが普通の歯科医学だが。どうして根管から病気を考えたのか分からない。根管至上主義で根尖病変を考えるのはやめた方がいい。
 耳鼻科領域で副鼻腔炎があるとすれば、その原因として副鼻腔外感染という用語はない。歯が原因であれば歯性上顎洞炎というように、感染原因部を確定した用語になっている。
 話を戻そう。根尖孔外感染部とは、①感染セメント質(壊死セメント質)嚢胞そのもの、のことであり、あやふやな表現は科学ではない。それが判明すればこの診断とこの治療を行うことで、難治性の根尖病変が治癒へと向かう可能性が出てくると思っている。2021.2.21.


219.口腔顔面痛専門医の先生へ。急性歯根膜炎と非定型歯痛の鑑別法を教えてあげて下さい。
最近、歯内療法専門医での治療で、痛みが取れないということで来院される患者さんが増えてきた。それには2種類あり、1つは急性歯根膜炎で自発痛があるのに、緊密な2重仮封をされ歯槽骨炎や骨膜炎を起こしている場合。1つは急性歯根膜炎で自発痛があるのに、根管はきれいだからと2回目でMTA根管充填され激痛が起きてしまった場合です。
 特に後者においては再根管治療は不可能となり、担当医の対応は困難となる。歯内療法学の専門書を読んでみた。適切な根管治療がされ根管がきれいで根管充填がされたが、うずくような自発痛が続くようであれば、非歯原性疼痛を疑い口腔顔面痛専門医に紹介するのが良いと書かれていた。非定型歯痛の診断は歯内療法専門医には非常に困難で、自分たちで診断しないでその専門医に委ねた方が良いとも書いてあった。
 一方、口腔顔面痛専門医は、紹介された非歯原性疼痛の疑いの患者さんが、歯原性疼痛(急性歯根膜炎)であることがほとんどで、紹介元に返ってもらうが対応に困っているとよく聞く。
 そこで口腔顔面痛専門医にお願いです。歯内療法専門医に分かりやすく、非定型歯痛と急性歯根膜炎の鑑別診断法を教えてあげてください。それによって、患者さんが病院を行ったり来たりしたり、誤診を防止できるからです。2021.2.22.


220.歯根端切除術が第一選択肢となる場合。
[根管治療か、歯根端切除術かの選択]
根管治療ができて治る可能性があるのに歯根端切除術をしてはいけない。逆に根管治療をして治る可能性がないのに、冠や土台を壊して根管治療をしてはいけない。レントゲンで判断するが詳しく述べる。
1.再根管治療が第一選択となる場合
根管治療で治癒すると考えられた場合。つまり前回での根管治療に不備があり再治療で治る可能性があれば第一選択として行う。
再根管治療をしてはいけないケースは、
レントゲンで不備がなかったり、再根管治療しても治らないと考えられたケースは、手術を選択する。根管治療をしても治らないと分かっていて根管治療をするのは駄目です。根管充填において、歯冠側2/3の充填が不良で感染源が存在すると考えられれば、根管治療を行うのが良いだろう。
取りあえず再根管治療をしてみて、治らないから歯根端切除術を追加して行う、という治療方針は極力避けなければいけない。術前のレントゲン画像診断が重要。





2.根管治療をしてから歯根端切除術を行う場合
3.歯根端切除術が第一選択となる場合

●根管充填が不良で、コアの除去ができて再根管治療を行うことで治癒可能なら
再根管治療

<2.根管治療をしてから歯根端切除術を行う場合>
レントゲンでの画像診断が重要で、根管充填の状態と感染歯質から判断する。

歯根端切除術を第一選択とする場合(再根管治療しないで)
1.レントゲンで根管充填が良好なら再根管治療をするのではなくて、第一選択として歯根端切除術をした方が良い。
 でないと再根管治療をしても治らず、歯根端切除術を追加して行うことになる。再根管治療で治らない理由は、根尖部根管の破壊や穿孔や感染セメント質などで、冠やコアを壊して除去するのは無意味なことである。このような場合、歯根端切除術をしてみると根管内はきれいで根尖部に限局した原因である。

2.根管充填において根尖側1/2に問題があり、歯冠側1/2に問題ない場合は、歯根端切除術を選択する。根尖側1/2以内の根管は、超音波チップ(4.6.9mm)を使用することで逆根管治療は可能である。またSB接着セメントをシリンジを使って注入すれば、逆根管充填は良好である。
 基本的には、根尖から約7mm(根尖切除2mm+逆根管形成5mm可能)までの根管の不良は、歯根端切除術で治せる。超音波チップ長さは4.6.9mmある

3.根管治療では治らない、歯根端切除術の適応となるのは、根尖1/3に原因がある場合がほとんどである。その原因とは、根管の閉鎖・湾曲、根管穿孔、副根管、壊死セメント質、根尖破壊、歯根炎症性吸収など。

まとめ:
1.根管治療で治せる可能性が高く、冠やコアの除去に危険性がないなら、根管治療を第一選択とするのが良い。
2.根管治療で治せる可能性が低かったり、冠やコアの除去に危険性があるなら、歯根端切除術を選択した方が良い。
歯冠側の1/2以内の根管充填が不良で根管内腐敗の可能性が、根管治療を第一選択とする。症例は少ない。今後は接着性根管充填材が使用されるためなくなるだろう。




再根管治療のメリットは、根管治療だけで手術しないで治癒する可能性があること。デメリットは、冠やコアを除去しなければならないこと、手間や時間や費用がかかること、亀裂や穿孔の危険性があること、根管治療では治らないために追加して歯根端切除術をしなければならないこと。問題はその確率でありほとんどのケースで追加手術をしている。
 では具体的にどういった症例が根管治療では治らず歯根端切除術をしなければならないのか?根管治療をしないで歯根端切除術で治る方法とは?

・再根管治療をしないで第一選択で歯根端切除術をする場合のメリットは、冠やコアを除去をしなくて良いこと、壊した冠やコアの修復費用がかからないこと、その手間や時間がかからないこと、亀裂や穿孔の危険性がないこと。デメリットは手術をすること、術後に腫れや痛みしびれ感が一定期間あること。
根管治療をしてから歯根端切除術をする場合


2.歯根端切除術が第一選択となる場合

 また根管充填は良好だが症状がある場合も、再根管治療をするのは無意味で手術を選択するのが良い。根管充填が不良であればまず根管治療をしてみる価値はある。それで治れば良し治らない場合に手術を追加して行う。問題は「根管治療が不良だから困難だから抜歯するしかない」という治療方針で、筆者には全く受け入れられない。そう言われた90%以上で成功して歯が残っているから。
*具体的にどう判断しているか。レントゲンを見て、根管治療を再度行っても治る可能性がないか少ない場合は、歯根端切除術を選択する。以下のケースは再根管治療をしない場合がほとんど。
 根管充填が適切にされているのに根尖病変がある(原因が根管にないから)。根管が詰まっていたり曲がっているため、再根管治療をしても根尖まで器具が入らない。歯根の側面に病変の影がある(副根管、穿孔、壊死セメント質、亀裂)。
 
221.Q7 再発した場合、再歯根端切除術の前に根管治療をしますか?いいえ
再発した場合、筆者は再歯根端切除術の前に根管治療をやり直すことはない。切断面の逆根管は大きく穴が開いているので、根管治療をしても無駄で治る可能性はまずない。もし根管全体に感染源が残っているなら、長めの逆根管専用の超音波チップを使って逆根管治療すれば、適確に根管の感染部を除去できる。再発原因のほとんどは逆根管3mm以内であるので、再根管治療は必要ないというのが、筆者の考えと長期経過をみた経験です。

 今日の初診患者さんおよびメール相談、2件とも同じ相談内容でした。他院で歯根端切除術をしたが歯茎が腫れて再発、歯内療法専門医を受診したところ「セラミック冠と土台を除去し再度根管治療を行う。その後に歯根端切除術をする。根管治療8万+手術5万+冠12万+土台2万=27万円」と言われた。「現在のセラミック冠は費用もかかって気に入っているので壊したくないが、手術前の根管治療は適切で必要なのですか?納得いかず困っています」と。最近、この治療方針を度々聞くようになった。

A:筆者は年間に約80例の再発・再歯根端切除術をしているが、手術前に冠を壊しての根管治療をすることはない。再発原因のほとんどは逆根管3mm以内にあるが、例え逆根管深くに感染源が残っていたとしても、逆根管形成用の超音波チップ(4.6.9mm)を使えばきれいに汚染部は除去できるので全く問題はない。超音波チップは最長9mmまであり、根管を清掃しSB接着セメントをシリンジで流し込み逆根管充填できるので「臭い物に蓋」とはならない。以下に実例レントゲンを示す。

特に全体の根管充填が良好なのに(根尖2~4mmの根管充填は不良でも構わない。どうせ治すから)、再根管治療をするのは無意味なことです。無駄に冠や土台を壊したり、穿孔や亀裂の危険性があったり、高額治療費がかかったりと、患者さんには大きな負担を強いることになる。
 もしかしたら歯内療法専門医は歯根端切除術の再発原因を、根管内だけにあると考えていたり、歯冠側からの根管治療をしないと感染部が治せないと考えているのだろうか。その考えだと、どんなに良好な根管充填がされていても意味のない再根管治療を行うことになってしまう。
 また再発原因が根管でなく感染歯質(壊死セメント質や感染象牙質)にあれば、これも再根管治療は無意味となる。根尖病変の感染源を根管だけと決めつけるとエラーを起こすので注意が必要です。近年、歯根端切除術に対する考え方、器材や術式は改良され進歩している。成功率を高める3つのポイント 付け加えるとマイクロリーケッジの問題は、接着性根管充填材や接着性セメント材を使用することで今後解決するだろう。

  術前(再発)    歯根端切除術      4年後

222.歯根端切除術の説明、リスク説明
根尖病変治療の選択肢としては、1.抜歯 2.取りあえずそのまま放置 3.根管治療 4.歯根端切除術(再植術)がある。
歯根端切除術を受ける上でのメリットとデメリットを説明する。また手術を受ける上でのリスクとしては、手術リスクと感染再発リスクがある。
<筆者においては(SB逆根管充填をした場合)>
●術後に再発するリスクとは
歯根における亀裂と感染歯質です。逆根管充填をしないのはリスクではなく術式ミスと言える。感染源を全て除去しその部を完全封鎖できれば100%成功する。しかしそうはできない訳で、特に感染歯質の診断や治療は困難で再発のリスクとなり、広範囲な場合は抜歯適応となる。
「手術したら必ず成功するとは言えないのを了承ください。」
●再発した場合の説明
「症状とレントゲンから残念ながら治っていません。原因は歯根深くに亀裂や感染歯質が残っている可能性があります。再手術で治る可能性はありますが
患者さんは手術して完治すると思っていたが再発と聞かされショックです。

223.失敗する歯根端切除術とは?
1.逆根管充填をしない。
しないと切断面根管に感染源が残ったままで、再発原因第一位。探針で根管を触ればスカスカ・ボロボロはすぐに分かる。
2.逆根管充填する際に、根管に水分や血液が残ったままされた。
3.逆根管充填の際、充填セメントに血液が少しでも付いたのに充填した。根管に入った血液は腐敗して感染源のもとであり、やり直すこと。
4.逆根管形成をラウンドバーで行った。根管を深く形成できず腐敗物を残してしまったり、削る方向を間違ったりイスムスやフィンを削れない。専用の超音波チップを使う。
5.逆根管内に腐敗物を残したまま逆根管充填された。専用チップは最長9mmまである。
6.逆根管だけを治療すれば治ると思うのはだめ。切断面の感染歯質をチェックする。感染歯質があれば感染源となり再発する。
7.逆根管充填をしないで人工骨を入れたり開窓術にする。

224.歯根端切除術ができて、成功するかどうかの要因?
SB歯根端切除術の術式において、
●歯根の状態について
1.亀裂があるかないか?どこにあるか?範囲は?
2.嚢胞が非常に大きい場合。
3.歯根が非常に短い場合。
4.著しい歯周炎は歯周ポケットからの感染リスクが高くできない。
5.感染歯質(感染象牙質、壊死セメント質)があるかないか?どこにあるか?範囲は?
6.副根管や根管穿孔があれば、位置は?
7.歯根の炎症性吸収があればどこに?
8.根管ポストが長いため根尖切除後にポストが露出して、逆根管充填が困難な場合。
9.再発例における再歯根端切除術は可能である。
*根管だけが感染源であればSB歯根端切除術は100%成功する。100%でない原因を探し出し治すことが重要である。
*MTA歯根端切除術の術式では、1.2.3.5.6.7.9.は適応外だが、SB歯根端切除術は適応内である。

●歯の部位について
1.上1~5番はできる。上6番は口蓋根はできないが頬側根はできる。上7番はできないので再植術。
 下1~6番はできる。下7番はできないので再植術。

●手術のリスクについて
1.上顎洞(上顎5.6.7.番)
歯根や嚢胞が上顎洞まで達している場合、術後の空間が上顎洞と交通しているがために、鼻から入って来た細菌によって再感染するリスクがある。また術後に歯性上顎洞炎を継発する場合がある。
2.下顎神経(下顎4.5.6.7.番)
歯根や嚢胞が下顎神経まで達している場合、下唇やオトガイ皮膚に後遺症として知覚麻痺が出ることがある。
224.歯根端切除術をちゃんとした、とは。
歯根端切除術をしたと、歯根端切除術が成功した、とは全く違う。
 患者さんは歯根端切除術をしたので病気は治ると思っている。またどこの病院で受けても同じ術式で、ほぼ成功すると思っている。しかし誰でも同じ手術をする訳ではない。嚢胞を取って歯根端を切断しただけで手術をしたと、これも取りしかし逆根管充填しない術者は約50%は成功しないと知っている。経過を診ないので再発した場合は成功しない理由としては術者の術式の問題であったり、適応症したとは取りあえず手術を終えたことで、あえず手術をしたと
術者によってその内容は大きな温度差があるので記載してみたい。
225.人生とは、選択の繰り返し。何を選択していくかでその人の人生が作られていく。
生きていれば様々な選択肢に迫られることになる。その選択は最善と思ったものであっても失敗であったりする。そして過去のものとなりその人の人生を作っていき、終焉を迎えるに当たり振り返ることとなる。人生は1回こっきりであり時間は限られている。
人は選択に当たって、利点、欠点、優先順位を考えると思うが、結果としてはその人の考える価値観や徳や欲が見えてくることになる。
人生の大きい選択は3つあり、仕事、結婚、家を買う、でしょうか?向こうからやって来る選択は、自分や家族の病気、年老いた両親の面倒を誰がみるか?
 流しそうめん。誰でも人生の中で転機となる3つの好運命があると思っている。流しそうめんのごとく運命が目の前を流れてくるのだが、上手く箸でつかみ取るためにはしっかり前を向いて箸を手に持ち準備しておかなければならない。隣の人とおしゃべりをしていて流れてきたのに気づかなかったり、準備してなかったため箸で上手くつかめないですり抜けてしまったりする。人生3回だけの
226.根尖孔外感染というあやふや用語はだめでしょう。
根管外感染 extraradicular periapical infection
 何というあやふやな用語だろうか? 本当に歯科医学用語なのだろうか?「適切な根管治療を行い、根管内がきれいにもかかわらず根尖病変が治らなかったり、症状が取れないことがある」この場合に患者さんに言い訳のように説明するための用語としか思えない。
 根管治療を長期に行っても根尖病変が治らない場合、その理由を「根管外感染だから治らない」と責任回避のようなあやふや用語でごまかさないで欲しい。その説明は適切ではなく根管外感染部を示すことが大切で、それを特定して治療することで成功率は高まる。根管外感染部の主体は壊死セメント質である。

227 根尖病変を認めた場合の、患者さんが取るべき選択
1.このまま
2.抜歯
3.根管治療
4.歯根端切除術(再植術.部分歯根切除)

228.下顎6番、歯根端切除術の歯肉切開線について(オトガイ神経を損傷しないための)
1.基本:ワズムント切開:下顎5番の遠心歯肉に13mm、下顎7番近心歯肉に8mmの縦切開をして粘膜骨膜弁を剥離する。
2.L字状弧状切開:歯肉縁から5mm離れた位置で弧状切開する。ただし近心部は5番遠心部で縦切開10mmし切開の上方は歯肉縁から5mm離れた位置までとする。そこから後方へ弧状に15mm切開し、粘膜骨膜弁を形成し剥離する。
 歯根は長く、根尖だけに病巣がある場合は、この切開が良い。ただし切開線の近心部の骨膜下にオトガイ神経を筋鈎で引っ張って損傷してしまうことがあるので注意。それを避けるためには近心部の切開線は弧状ではなく、5番遠心歯肉の位置で縦切開しL字状にして粘膜骨膜弁を剥離すれば、オトガイ神経を損傷しない。縦切開にすることでオトガイ孔は見えず、筋鈎で引っ張ることもない。近心部を弧状のままだどオトガイ神経を引っ張ってしまうことになるからである。近心部を縦切開することでオトガイ神経は骨膜下に存在して粘膜骨膜弁を引っ張っても損傷しないですむ。
2021.10.7.

229.逆根管充填をしないと約50%再発する、という論文
R. Christiansen  International Endodontic Journal, 42, 105–114, 2009
「Randomized clinical trial of root-end resection followed by root-end filling with mineral trioxide aggregate or smoothing of the orthograde gutta-percha root filling – 1-year follow-u

230.大臼歯の歯根端切除術 2022.3.1..
下6番の歯根端切除術について>
根管治療が不良な原因:
近心根が多い。
①根管が弯曲している。そのため器具が根尖まで入らず根管治療できない。弯曲部でステップを作ったり根管穿孔している。
②根管が閉鎖している。根尖まで穿通できず根管治療できない。レントゲンで肥大根を呈していれば根管内が石灰化して閉鎖している場合が多い。
③根管の中隔側で穿孔やストリップ穿孔が生じている。フャイルや根管形成バーで根管を拡大し過ぎると穿孔の偶発症が起きる。下6番の歯根をCT水平断で見るとコンケイブタイプ「凹そら豆型」が多く、中隔測への根管側壁は薄く穿孔し易い。
④歯根肥大があり、肥大部に一致して根尖病変があれば壊死(感染)セメント質の可能性が高い。根管が感染源ではないので根管治療では治らない。
⑤根管数を少なく見誤ったエラー。下6番は3根管が多いが、4根管と思って治療に入っていかないと見つかる根管も見つからないで根尖病変が治らないことになる。

下6番の歯根端切除術の特徴:
①切開線。A:基本はワズムント切開線。5番遠心歯肉と7番近心歯肉に縦切開、歯肉縁切開。B:歯根が長く根尖にのみ病変がある場合はパルチ変法笠崎切開線。228参照
②術者は9時の位置、カーバイド・ラウンドバーNo4.で骨削除し開窓、嚢胞摘出。
③下6番のオペで重要なのは体位。患者さんを水平体位、顔を横向きにして、12時の位置からストレートエンジン切削バーを使って根尖切除。
④切断面のチェックが重要。根尖を覗き込むように、マイクロミラー(ヨシダ:7x4mm)を使って詳細に確認し、根管だけでなく感染歯質(壊死セメント質、感染象牙質)、微小亀裂、イスムスをメチレンブルー染色液でチェックする。専用のダイヤモンド付き超音波チップで、逆根管内の汚染部を全て除去する。必要なら切断面に皿状形成する。SB接着性セメントを筆積み法や、混和法で専用シリンジを使って根管に流し込む。
⑤歯根端切除術が成功するには、1.画像診断 2.術中に感染源を探し出す 3.逆根管充填材にSBを使用する、が重要だと思っている。

上6番の歯根端切除術について>
根管治療が不良な原因:近心根が多い。
①根管が弯曲している。
②根管が閉鎖している
③第4根管(MB2)が存在するが治療されていない。上6番は3根管が多いが、第4根管が近心根管の口蓋側に約50%の確率で存在し感染源となっている場合がある。
④近心根根管の中隔側で穿孔やストリップ穿孔が生じている。
⑤歯根肥大があり、肥大部に一致して根尖病変があれば壊死(感染)セメント質の可能性が高い。
⑥口蓋根はできないが近心頬側根と遠心頬側根は可能。つまり口蓋根尖に病変がなければ可能でありCT検査が有効である。
⑦いずれにしろ上顎6番においてはCT検査は非常に有効で、根尖病変、第4根管、穿孔、6番根尖と上顎洞との関係、上顎洞病変、自然孔をチェックする。

上6番の歯根端切除術の特徴:
①切開線。A:基本はワズムント切開線。5番遠心歯肉と7番近心歯肉に縦切開、歯肉縁切開。B:歯根が長く根尖にのみ病変がある場合は、例外的にパルチⅡ切開線。
②上6番のオペ患者さんの体位は背板は120°、顔を横にする。術者は9時位置。
③エンジン切削バーを使って骨削除開窓、根尖切除、嚢胞摘出。
④切断面のチェックが重要。根管だけでなく感染歯質(壊死セメント質、感染象牙質)、微小亀裂、イスムスをチェックする。逆根管専用のダイヤモンド付き超音波チップで、根管内の汚染部を全て除去する。SB接着性セメントを筆積み法や、混和法で専用シリンジで根管に流し込む。
⑤第4根管があればMB1とMB2をつなげてイスムスとして治療する。
⑥上顎洞病変があれば摘出。必要性あれば細菌検査や病理検査を行う。

上顎6番の歯根端切除術はできますか?はい。
当院では2022年度、上顎6番の歯根端切除術が非常に増加している。上顎6番であっても適確なCT診断のもと積極的に手術を行っていて、そのネット情報が広まった結果かもしれない。上顎6番の歯根端切除術は口腔内後方のため術野は狭く、歯根も複数あり、止血は困難、逆根管充填も大変で、さらに上顎洞炎のリスクもある。そのため上顎6番の手術は行わないとするDrは多い。どういった場合に上顎6番の歯根端切除術はできるのか、できないのかを詳しく述べてみたい。

<上顎6番の歯根端切除術について>
1.上顎6番の歯には3本の歯根があり、頬側の前方根と後方根、そして内側根である。手術は頬側から行うので頬側2本はできるが、内側根は骨深過ぎて歯根先が見えないので不可能。つまり上顎6番は、内側根に病巣がなければ歯根端切除術は可能ということです。デンタルレントゲンに加えてCT画像での確認が有効となります。
2.上顎6番の根管治療が不良な3大原因とは、
①頬側の2根、特に前方根の歯根先1/4の根管において湾曲や閉鎖があって、治療器具が根尖孔まで入っていかず、感染源が残ってしまう。
②頬側前方根の根管は通常1つだが、その約1mm内側にもう1つ存在することがある。通称、第4根管と呼ばれている。第4根管は非常に狭窄しているため発見や治療は困難で、感染源となっている。
③頬側前方根の形態において、①で述べたが後方へ湾曲していて、さらに歯根の中央付近でそら豆状に窪んでいる場合がある。こういった根管は治療器具で拡大時に窪んでいる部の根管歯質が薄いため穿孔(横に穴を開けてしまう)あるいはストリップ穿孔を起こしてしまうことがあり、感染源となる。
231.携帯電話iPhoneの充電が不良になった。
親切にしてもらうのは気持ちの良いものだ。特に自分が良く分からない領域で、プロの目で良心的な対応をしてもらうと、すがすがしい気持ちと当方は肩の荷が降りたホットした気持ちになった。担当者にとっては小さな当たり前の毎日だが、お客にとっては慣れない大きなトラブルでありオロオロいてしまう。
 iPhone携帯の充電不良で電話やメールが度々できず非常に困っていた。修理のため立川市Quick Garageというセンターで店員さんから適切な丁寧な説明と対応をしてもらい感激した。自分が受けた親切を、今度は自分のプロ 部分を他人に親切にしてあげてその人に喜んでもらいたいと思った。2022.9.19

232.成功率と再発のリスクについて
234.筆者が考える歯根端切除術の再発防止策の提言  2023.6.27.
1.逆根管充填を必ず行う。(逆根管充填をしないという術式は50%以上で再発する。多くの病院口腔外科で逆根管充填がされてないのが現状である)
2.良好な逆根管充填材を選択する。(現在、充填用MTAセメントが一般的らしいが、筆者は多くの再発例に接し逆根管封鎖性に劣ると分かり予後を危惧している。適応症の広さ、成功率の高さから接着性SBセメントを推奨する)
3.歯科大学病院で歯根端切除術を行った場合、1年後の経過を診て欲しい。そして成功率を出して欲しい。そして成功率の高い手術をして欲しい。残念ながら現状は1~2か月後の経過観察で終了となっている。
4.厚生労働省eヘルスネットや日本口腔外科学会における、歯根端切除術の術式説明に逆根管充填が記載されていない。逆根管充填をしなくてもいいと術者にお墨付けを与えてしまっている可能性があり、記載して欲しい。
5.関係する日本口腔外科学会や日本歯内療法学会では、さらなる成功率の高い術式の研究を望みます。現状をみるにそのスピードは余りにも遅い。あきらめてしまったのだろうか。 

<再発した場合の治療法>再発4大原因から移動した
歯根端切除術を受けて再発した場合、原因を解明してはじめて治療ができるので、原因が判らず闇雲に再手術でさらに歯根を切除して短くしても治らない。レントゲンや症状から上記の4大原因を推測し、再度歯根端切除術を行って感染源を見つけ出し除去、再発しないように逆根管や切断面歯質の完全封鎖ができれば成功する可能性が高い。
1.再発の感染源診断。まずは再発の原因(細菌繁殖部)が、どの歯根の、どの部位にあるか、根管以外に、亀裂や感染歯質、根管穿孔、副根管がないかを探し出すことが重要です。
2.逆根管充填をしてないのが原因なら、きちんと逆根管充填を行う。根管を完全封鎖できる良好な材料を使うことで約90%以上は治癒する。
3.再発原因が歯根の感染歯質にあると分かった場合は、根尖切除量を多くして切断面を皿状に広く形成、接着セメントで根管と切断面を広く接着充填して完全封鎖する。正常歯質と感染歯質とを見分けられる観察力と診断力が重要。見るだけでなく触診も大切。メチレンブルーで染まらない感染歯質があるので注意。この診断力と処置は容易ではなく、マイクロをしても困難で多くの経験を必要とするのは確かだ。MTAは広く浅く被覆充填できない ので使えないし使っても成功しない。(kasazaki自論)歯牙

235.歯根端切除術の難易度は?難易度が高いのは?
1.部位による難易度:前歯の手術は視野良く容易だが、臼歯は視野悪く困難。特に上下6番は歯根への器具の到達が困難な場合があり難易度は高い。上6番の口蓋根(できない)、下顎6番4根管で遠心舌側根管が開大している場合、上4番の口蓋根が開大している場合。
2.手術リスクによる難易度:下顎4.5.6 番の手術は下顎神経の損傷の可能性があり、上顎6番の手術は歯性上顎洞炎を継発する可能性があり、難易度は高い。
3.病巣の大きさ:歯根病変が大きく2歯以上に及んでいたり、約10mm以上あれば術後症状は著しく、隣在歯の歯髄損傷の可能性がある。
4.病巣の位置:レントゲンで歯根側面に病変がある場合は、副根管、亀裂、穿孔、壊死セメント質、歯周嚢胞が疑われ、治療法は困難で難易度が高い。
5.根管の穿孔:上下6番の中隔側への穿孔症例の治療は難易度が高い。
6.歯根の亀裂:亀裂の部位と長さによって治療の難易度が異なる。特に診断が困難な舌側の亀裂は問題視される。
7.歯根の感染歯質(壊死セメントや感染象牙質):歯根外側面に壊死セメント質や剥離セメント質を認めた場合、根尖切除後の切断面に感染象牙質を認めた場合、根尖切除後の切断面の舌側に壊死セメント質を触知した場合、治療の難易度は高い。
8.切断面に金属ポストが露出し逆根管形成が困難、歯根炎症性吸収がある、場合の治療難易度は高い。

236.成功率95%以上であるためには何が必要か?
1.レントゲンやCTで適格な画像診断をする。
どの歯根のどの場所に感染原因があるのかを見極める?壊死セメント質の読影ができなければ成功率は高くならない。
2.良好な逆根管充填材の選択。
逆根管を完全封鎖できる材料であること。そのためには歯質接着性が必要。
3.術中に亀裂と感染歯質の確認。
成功を目指す上での大きいリスクは亀裂と感染歯質である。術中にその有無を確認することが重要で、その治療は接着性充填材でなければならない。
4.適応症は広くなければならない。逆根管だけが対象では適応症は狭く成功率は低いままである。

234.非常勤Drへのお願い
1.勤務時間9:30~18:30. 休憩13:30~14:30
2.基本1人30分診療、ブリッジなど30分以上必要な場合は受付に次回45分・60分と指示下さい。
3.予約時間をできるだけ守ってください。カルテがバインダーに入っていますのでケースにバインダーが2個入っていれば次の患者さんが来ているということです。
4.診療が終わったら、根管充填後のレントゲン、形成したクラウン・インレレーの石膏模型を見せて下さい。
5.病名、保険点数の取り方、レセコン覚えて下さい。分からないところ聞いてください。
6.チェアーの使い方、マスター下さい。
7.器具、印象材などチェック下さい。自分の使い慣れた器具がなければ言って下さい。EX24、ピーソーリーマー3.2.1順番の使い方をマスター下さい。。

235.遠方からの手術希望、○○さま

<初診後、宿泊し、翌日、手術を組んでもらうことは不可能でしょうか?>→できれば避けたいです。初診時に詳しい診察、レントゲン、病態、手術説明をし、手術の適応かどうかを検討・診断します。その上で手術日を予約します。適応でない場合は手術はしません。いろいろな誤解、勘違い、トラブル、成功すれば問題ないのですが、リスクがあってそのため再発した場合に悲しみやショックが出てトラブルになることがあるからです。


236.歯根端切除術の体験談(患者さん)

1:下の奥歯にフィステルがあり、以前別の歯の破折の再移植をしてもらった歯科医院に見てもらったところ手術不可で抜歯と言われました。しかも膿がその後ろの歯まで達しており奥歯2本を抜歯と診断されました。
何とか残せないかネットで探したところ、国立スマイル歯科の歯根端切除術と再移植手術の記事を見つけました。藁をもつかむ思いで診察していただいたところ、「手前の歯は破折もあり再移植、2本に渡る膿疱が大きく奥の歯は歯根端切除」をして頂けることになりました。
特に手前の歯は状態が悪く、完治の確率等リスクもきちんと説明していただきました。

手術当日、手前の状態の悪い歯を割らないよう丁寧に丁寧に抜歯していただき、破折箇所を何か所かスーパーボンドでくっつけて戻していただきました。とても大変そうで申し訳ない気持ちと、こんなにしていただけるんだとありがたい思いでした。血も止まりにくい体質のようでとても困難な手術だったため、予定していた奥の歯根端切除は別日になりました。
別日におこなった歯根端切除はあっさり終了しました。

結果二回手術をしましたが、驚いたのが術後の痛みの少なさです。
一回目は2~3日腫れましたが鎮痛剤でコントロールできました。
二回目はほとんど腫れず鎮痛剤も術後に飲むだけでほとんど痛くありませんでした。

その後の経過観察でほぼ完治と診断していただきました。
抜歯と言われていた歯を救って頂き心から感謝しております。
救っていただいた歯を大事にしていきます。2024.9.30.

2:下の前歯2本の歯根膿疱を摘出するため歯根端切除術を受けてきました。術後当日の投稿です。
一番の正直な感想は行って良かった、です。
20年前に矯正で施したブリッジの下で、長い亀裂があったとの事でした。大変な手術だったと思います。
先生でなければ、切開したものの手術はできませんでした、となっていた可能性もあると思いました。考えただけで恐ろしい。縫合する前にもレントゲンできちんと確認していただきました。

経過観察が必要でまだこれで終わりではありませんが、長年にわたりいつ爆発するか分からない爆弾を抱えているような気持ちが楽になりました。

痛み止めと抗生剤を処方していただけますが、麻酔がきれる少し前の術後に、その場で痛み止めを飲ませてもらえました。自分は抗生剤を飲むと胃痛と便秘になるため、やはりその場で胃薬と整腸剤を処方していただきました。それは帰ってから飲みました。2024.4.

3:私は前歯に根尖病巣が出来てしまいある歯科医院で歯根端切除術をしてもらいました。しかし歯肉の出来物が治らず再度違う医院で歯根端切除術をしましたが1週間後には再度歯肉に出来物が出来てきてしまいこれは抜歯かなぁと思っていました。知り合いの方の紹介で同じ治療をして余後がいいよと言われ抜歯覚悟で予約をしました。先生とお話しして再度手術をして根の方から充填して頂きました。(この根からの充填は他の2件はしてくれてませんでした。)それがちょうど1年前になります。
 本日、1年後の診察に伺いました。目を疑うほどきれいに骨が出来ており先生にもこのまま破折や欠けたりしなければずっと使えるよとおっしゃって頂き安心して帰ってきました。歯肉に出来物が出来たりフィステルだよと他院で言われ根の治療をしても治らず抜歯だよとか言われた方は是非、こちらの医院で受診されてください。抜歯しなくてもいいかもしれません。私は、こちらに伺って1本の歯がこれからも使える事に先生にとても感謝しております。2023.9.

4:昔から歯が弱く、治療した歯は多数...その中で地元の歯科医院数軒で抜歯しかないと言われた歯があり、どうしても諦めきれずネットで調べていたところ先生を知りました。
今抜歯するくらいならもう少しもがいてみよう!サイトを見て、先生に治療してもらいそれでもダメなら抜歯でもしょうがない。。。そんな気持ちで受診を決め歯根端切除術をしてもらいました。
結果、先日1年経ち完治診断してもらいました!
手術当日は、手術治療や術後の不安、また地元長野への帰路運転時の痛みの不安などドキドキで向かいましたが、手術中も手術後も、痛む事なく安心して帰る事ができ、その後の痛みや腫れの無さにも感動しました。そして、完治し感激しています。
手術後の消毒や抜糸なども地元の歯科医院でできるようにしてくれたのも有り難かったです。
歯は一生もの!調べずに言われるがまま抜歯していたら...と思うと怖いし後悔しかなかったと思います。まだ30代前半ですが私の人生の岐路だったかもしれません。あの時、諦めずにネット検索して良かった!先生に出会えて、手術を受けて本当に良かった!!と感謝しております。
悩んでいる人、1人でも多くの人の目にとまり、後悔のない治療ができますように!2023.9.

237.選択とは
人生、選択をしなければいけない場面は多い。例えばAかBかを選択しなければならない場合は、それぞれのメリットデメリットを考え推測する。そして優先順位をもって前に進めるのが良い。歯根端切除術においても、逆根管充填材について優先順位は、①細胞毒性がない ②根管の完全封鎖がある。

238.歯根端切除術の難易度は?リスクと成功率との関係。
リスクとは成功しない要件であり、リスクが高い、リスクが低いと表現する。リスクが高い要件の歯根に手術を行うならば成功率は低い。リスクが高いと再発する可能性が高いということ。再発のリスクとは、手術しても感染源が取り除けなくまだ残っているということ。手術の適応症であってもリスクが高い場合は、再発する可能性が高く患者さんにはあまり勧められない。

●リスクが高い要件とは、歯根端の病変ではないこと。(レントゲンやCTで判断する)
1.歯根に亀裂の疑いがある。
2.歯根に感染歯質の疑いがある。壊死セメント質。
3.歯根の側面に陰影があり、副根管、亀裂、壊死セメント質が疑われる。
4.根管穿孔が認められ、その位置が根間中隔の歯頚部に近かったり、穿孔が大きい場合。
5.歯根が非常に短い。
6.手術ができるのは、上顎の1~6番、下顎~6番。上6番の口蓋根や下顎6番遠心舌側開大根はアプローチ困難で手技的リスクとなる。


●リスクがあまりないと判断する場合は、
1.歯根端の病変であること。
2.感染源が根管のみである。
●歯根端切除術において、根管だけが感染源であればSB逆根管充填により100%成功する。しかしそうはならない。その理由、原因がリスクである。最も大きいリスクが歯根の亀裂であり、次いで感染歯質(壊死セメント質・感染象牙質)である。

239.OpenAIのChatGPTで歯根端切除術を聞いてみた。面白い。2026.1/18
いろいろ聞いてみた。ところがその約8割は私の「歯根端切除術の相談コーナー」に書いてある情報から取ったものであった。私が私に質問している訳で同じ考えなので変な感じ。例えば再発の原因は4つに分類できるは、私しか言ってない訳です。
 私が思う、AIが正しい情報を把握してないところは以下。ただこれはAIは過去のデーターを世界中から集めて分析するしかできないので今は仕方ないと思っている。いずれAIが間違いに気づき変更されるだろう。
1.マイクロスコープとCT、MTAは必須で使うことで成功率が高まる。
2.逆根管充填材はMTAが優れている。スーパーボンドは一般的ではない。
3.感染歯質、(壊死セメント質や感染象牙質)が述べられてない。
4.MTAは歯質接着性がないた逆根管の封鎖性に劣る。
5.MTAを逆根管充填に使った歯根端切除術の成功率は、以前は94%と報告があったが、最新のデータは75~80%になっている。
6.MTAとSBの適応症の広さ、狭さに言及していない。狭ければ自然と成功率が高まってしまうことにAIは気づいていない。過去データしか調べてないので、正しいデータ分析ができてないのだ。2重盲検法での分析が必要なのに分かってない。

240. AIのウソ。歯根端切除術の成功率に関して間違っている。
Q:歯根端切除術の成功率を高める要因は何ですか?
AI:マイクロスコープとMTAを使うことで成功率は高まります。
と回答してくる。しかし
「マイクロスコープを使えば成功率が高まる」これは本当だろうか。ウソである。解き明かそう。さらに突っ込んでQ:この根拠や論文や報告はありますか?と問えばAI:セッツ論文を出してきた。内容は「約40年前のマイクロ不使用・アマルガム逆根管充填材をした手術の成功率は54%、現代のマイクロ使用・MTAやEBA逆根管充填材の成功率は94%、結論としてマイクロを使用すると成功率が高くなる。」としている。この論文の分析結果はダメでしょう。逆根管充填材が異なる手術A群とB群を比較してマイクロ使用・不使用の結論に持っていくのは意味がないです。歯根端切除術の成功率を検証する上で逆根管充填材の選択が大きい要因だからです。
 セッツ論文は逆根管充填材におけるA群(アマルガム)とB群(MTAやEBA)との成功率を比較した論文です。マイクロスコープの使用の有無を比較した論文ではないです。

そのことをAIに正すとAI:申し訳ありません。おっしゃる通りでこの論文はマイクロ使用が成功率を高めることを示していません。論文の検証ミスでした。」と回答してくる。であれば今後マイクロ使用が歯根端切除術の成功率を高めると、誤った、科学的データなき情報をAIは表現しないで欲しいと申し入れた。→しかし今だに成功率の質問をするとマイクロ使用が成功率を高める、と回答してくる。geeminyAIは本当に正確な情報を元に発信してない。データ分析しない、正しい情報なしに商業的発信が多いからとそれに迎合することを発信している、のは情けない。分からないことは分からないと発信するのが正しいやり方だと思っている。2026.7/31.
正しい情報を発信しなくなる。
 AIは過去の膨大なデータ分析を行い整理し、その中から正しい情報を提示するものだと思ってきた。しかしマイクロスコープを使えば成功率がた

AIの欠点
1.質問者に対して迎合すること。太鼓持ち。2枚舌。キーワードは「あなたは悪くない、正しいんだよ」

2.大の意見に流され商業的に沿ってしまう。AIの良いところは過去の情報を集めその中で正しい情報を発信してくれると思っていたがそうではなかった。正しい情報であっても少数であれば
今のAIは「食べログ」に近いものと思われる。間違った情報であっても大学病院や権威のあるDrが発表した論文が優先して採用されてしまっている。







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このブログは「歯根端切除術の成功率を高めるために」私の遠回りした経験をもとに本音を書いています。成功率を高めたいと思っている若い歯科医への助言とし、近回りでトライして欲しい。
 


プロフィール

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笠崎安則:略歴
愛媛県松山市出身.1976年東京歯科大学卒業.慶応大学病院歯科口腔外科(13年間). 立川病院歯科口腔外科部長(27年間). 慶応大学医学部歯科・口腔外科(非常勤講師). 現在: 国立スマイル歯科,斎藤歯科にて歯根端切除術と再植術に特化した専門治療をしています.
笠崎真悟:略歴
東京都国立市出身.2010年東京歯科大学卒業.慶応大学病院,国立栃木医療センター,日野市立病院,都立多摩北部医療センター歯科口腔外科. 現在:2021.10/1から国立スマイル歯科、歯根端切除術とインプラント、親知らずの専門病院を開設しました.

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