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歯性上顎洞炎で歯を残す治療

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<歯性上顎洞炎で歯を残す治療> 
Q29.歯性上顎洞炎で抜歯と言われたが、歯を残せますか?
虫歯や歯周炎など歯が原因で、その上方の上顎洞という副鼻腔に炎症が広がることがあります。歯が原因で上顎洞に膿が貯まった状態を歯性上顎洞炎といいます。治療は一般的に原因歯を抜歯することが多いですが、筆者はできる限り歯を残してあげたいと思っています。(以下症例、患者さま了承の上で掲載)
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【症例114】: 41歳女性【右上6番の歯根嚢胞が原因の歯性上顎洞炎。歯根端切除術で歯を残す】
右上6番の痛みと歯肉フィステルがあり、近歯科で約2か月間 根管治療を続けたが症状消失せず、大学病院を紹介され受診、抜歯を提案された。歯を残したくネット検索し来院、初診時は右上6番の歯肉にフィステルを認め、鼻閉感・鼻汁・後鼻漏を訴えていた。CT画像では右上6番の歯根を中心に上顎洞におよぶ巨大な嚢胞と思われる球状の陰影を認めた。
 局所麻酔下で右上6番の歯根端切除術、大きい嚢胞摘出術、SB逆根管充填を行った。術直後から鼻症状・歯症状は消失、病理検査は歯根嚢胞であった。1年3か月後のCT検査では上顎洞の病変は消失し歯根部の骨再生は良好で、6番歯は抜歯することなく残され完治した。

術前 初診時のCT画像     歯根端切除術 1年3か月後                                     img_20250925-202243.jpg 
                   
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       術前          歯根端切除術 直後     1年3か月後(症状なく経過良好)
                                右上6番は保存できた。
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【症例115]38歳女性【左上6番が原因の歯性上顎洞炎。歯根端切除術で歯を残す】
左上6番の歯肉に痛みとフィステルを認める。頬部鈍痛・鼻閉感・後鼻漏・不快な鼻臭があり耳鼻科通院中。歯性の可能性があり紹介にて来院。左上6番に歯根病変を認め、CT画像で上顎洞内は膿汁と思われる陰影で充満されていた。
 原因歯である左上6番の歯根端切除術、嚢胞摘出、SB逆根管充填、上顎洞内の膿汁を18ml 吸引し洞内洗浄、病理検査と細菌検査を行った。1年後、症状は全くなく充満していた膿汁は消え、根尖病変も消失し歯は保存できた。

初診時のCT画像                歯根端切除術1年後  
左上顎洞は膿で充満       上顎洞は空洞となった                                               
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                  術前             SB歯根端切除術 直後     1年後.  左上6番は保存できた。
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【症例116]:47歳女性【左上6番が原因の歯性上顎洞炎。歯根端切除術で歯を残す】405
左頬部の鈍痛と後鼻漏を訴え近耳鼻科を受診、副鼻腔炎と言われ去痰剤の内服が開始となった。歯が原因の上顎洞炎の可能性があると言われ、歯科受診を勧められた。ネットを見て来院。CT画像にて左上6番部の上顎洞底部に大きい嚢胞と思われる陰影を認めた。
 歯性上顎洞炎の診断の下、左上6番の歯根端切除術、嚢胞摘出、SB逆根管充填を行った。1年後、症状および上顎洞病変は消失し6番は抜歯することなく保存できた。

術前 初診時のCT画像     
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歯根端切除術 1年後
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       術前           SB歯根端切除術     術後1年. 左上6番は保存できた。
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208.歯性上顎洞炎で歯を残すための治療。歯根端切除術か再植術かの選択
歯性上顎洞炎の治療の基本は、原因歯の抜歯である。しかし病態や歯の条件によっては歯を残すことが可能である。デンタル用、パノラマ、CTによる画像診断が重要である。そして術者は上顎洞炎の知識と治療経験、耳鼻科医との連携を必要とする。また患者さんへは歯を残すがための再発リスクの説明と理解が必要となる。2026.5.10.
<原因歯が上顎6番の場合について>頻度が多いので詳しく
歯性上顎洞炎の原因歯が上顎6番で、歯根嚢胞や上顎洞病変が大きく、根管治療では治癒しない場合の治療法を考えてみたい。
 選択肢は、1.抜歯 2.歯根端切除術 3.再植術 4.歯根切除術である。上顎6番には3歯根あり病巣がどの歯根先にあるかで選択が異なる。3歯根の内、前方歯根の病巣が原因となっている場合が多い。その理由としては、①歯根湾曲 ②前方舌側根管(MB2根管、第4根管)が挙げられ、根管治療が非常に困難となり不良になる。CT検査が有効です。では実際の選択肢は、
●上顎6番の歯根端切除術
上顎6番は3歯根あり、内側の口蓋根は骨内深く歯根端切除術はできない。頬側2根は可能である。つまり口蓋根に病巣はなく頬側根に病巣がある場合は、歯根端切除術ができて成功する可能性が高い。
 3根の全部に病巣がある場合は、口蓋根の根管充填が良好なら頬側2根の歯根端切除術をする。根管充填が不良なら、口蓋根の再根管治療をしてから頬側2根の歯根端切除術をする。
 非常に例外的だが口蓋根の歯根端切除術ができる場合がある。口蓋根が開大してなく頬側根と平行に近く、頬側からアプローチできる場合である。CTで判断する。上顎洞内病変をアプローチをする場合は、口腔外科の知識と上顎洞手術経験が必要で、特に自然孔の開閉検査は重要である。 

●上顎6番の再植術

上顎6番の口蓋根尖を含んだ大きい病巣がある場合、再植術が適応となる場合がある。しかし一般的には上顎6番の抜歯は困難で歯根破折を起こし再植できない場合が多い。
 理由は歯根異常のためで、歯根同士がハの字に開大、歯根弯曲、歯根が骨を抱え込んでいた、歯根が長いなどである。それでも嚢胞が大きく骨吸収量が多く、歯根異常が少ない場合にはトライしてもいいかもしれない。口腔外科医として本音を言うなら、上6番の再植を考慮した抜歯術は、本当に大変で気を使いヘトヘトになるのでしたくない。

①最後の手、どうしても再植術となった場合の秘儀:まず頬側2根を約3mm切除し歯根異常を解消する。その上で頬側歯槽骨を頬側へ開大させてスペースを作ってから脱臼・抜歯する。歯根端切除術・SB逆根管充填をした上で再植する。再植後には開大した歯槽骨を指で戻した上で、緊密なマットレス歯肉縫合をしておく。
②頬側骨をコルチコトミーしブロックとして頬側2歯根に付けたまま抜歯。そして歯根端切除術をした後、元に戻して再植する方法もある。
歯根端切除術と再植術、どちらを選択するのが良いですか?
 
歯根切除術。(トリセクション)
近心根あるいは遠心根のみに病巣があり、歯根端切除術では治癒しないと思われた場合。原因歯根1根をルートアンプテーション(歯根除去術)し他の2根を残する方法もある。亀裂や感染歯質や穿孔が著しい場合に適応。
上顎洞内の病巣を摘出する場合は口腔外科医に任せた方が良い。細菌検査、病理検査、自然孔のチェック、術後に上顎洞炎を継発した場合の治療などが必要となるので。

①上顎6番の場合。歯根は3本あり、頬側に2根、口蓋に1根である。歯根端切除術は頬側2根はできるが口蓋根は根尖が見えないのでできない。口蓋根に病巣なく頬側根だけの病巣なら、歯根端切除術で歯を残せる可能性は高い。もし口蓋根の病巣が歯性上顎洞炎に関係するならば、抜歯の選択が良い。再植術の選択もあるが6番は歯根が開大しているため、抜歯時に歯根破折が生じ再植できないことが多い。口蓋根をスーパーボンド根管充填しておいて逆根管充填せずに切断だけ方法もあるがかなり大変。
 もし内側根に病巣がある場合は歯根端切除術はできないので、内側根の根管治療をしてから頬側根の歯根端切除術をするのが良い。内側根の根管治療が不可能な場合の選択肢は、①抜歯 ②口蓋根を切断除去する ③根管充填をSBでして根尖切除のみをする ④再植術(歯根の開大や弯曲があって歯根破折を起こし再植不可能となってしまうことが多い)                                                                           

プロフィール

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笠崎安則:略歴
愛媛県松山市出身.1976年東京歯科大学卒業.慶応大学病院歯科口腔外科(13年間). 立川病院歯科口腔外科部長(27年間). 慶応大学医学部歯科・口腔外科(非常勤講師). 現在: 国立スマイル歯科,斎藤歯科にて歯根端切除術と再植術に特化した専門治療をしています.
笠崎真悟:略歴
東京都国立市出身.2010年東京歯科大学卒業.慶応大学病院,国立栃木医療センター,日野市立病院,都立多摩北部医療センター歯科口腔外科. 現在:2021.10/1から国立スマイル歯科、歯根端切除術とインプラント、親知らずの専門病院を開設しました.

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